エイチームがリリースしたiOS/Android向けアプリ「ヴァルキリーコネクト」は、北欧神話を世界観とするRPGとなっている。北欧神話のキャラクターと物語を本格的に扱った、プレイしがいのある本作の魅力を紹介していこう。

目次
  1. 凝ったビジュアル演出を持ちながらスピーディーで周回プレイも苦にならないバトルシステム
  2. 複数の異なるプレイスタイルを統合した懐の深い育成システム
  3. 原点である北欧神話を活かした世界観とビジュアル

「ヴァルキリーコネクト」は、北欧神話を世界観としたRPG。オーディーンやヴァルキリー、ロキといった北欧神話の登場キャラクター達は他のスマートフォンでもよく登場する。しかし、ストーリー性よりも収集要素を押しだすことの多いスマートフォンゲームでは、あまり登場キャラクターの内面に踏み込まないことが多い。

その点本作は、北欧神話の世界観・登場キャラクターそのものが持つ設定を活かしており、北欧神話そのものの魅力をしっかり伝えようとしている点がユニークだ。また、3Dキャラクターが動き回ってスキルを繰り出すド派手なビジュアル演出も見どころ。北欧神話にあまり興味がない…という一般的なRPGファンに「プレイしたい」と思わせる要素はしっかり用意されている。

だが演出の影に隠れがちだが、実は本作の魅力はやり込み要素たっぷりの育成。そんな、プレイしがいのある本作のポイントについてじっくりと紹介しよう。

本作の基本的な流れは、クエストをこなしてキャラクターを育てつつ、ストーリーを進めていくというもの。クエストは決められた数のバトルに勝利すればクリア。クエストをクリアすると、マップ上の次のポイントが解放される。スマートフォンゲームの王道といえるスタイルだ。

そんな中、特筆すべきゲームシステムが「コネクトバトル」。複数のプレイヤーが協力して強大な敵と戦ういわゆるレイドバトルなのだが、巨大な敵と多数のキャラクターがフル3Dで動くため高い臨場感が味わえる、興奮度の高い協力プレイだ。

コネクトバトルと通常のバトル、いずれもも高度なビジュアル演出にも関わらず、ハイテンポに進行する。スマートフォンゲームの基本である、カジュアルに楽しむという部分はしっかりと押さえている。

凝ったビジュアル演出を持ちながらスピーディーで周回プレイも苦にならないバトルシステム

バトルのシステムを具体的に見て行こう。バトルでは、キャラクター達の通常攻撃はオートで行われる。バトル中の時間経過とともにキャラクター毎のスキルゲージとリミットバーストゲージが上昇し、ゲージが満タンでキャラクター毎のスキルやリミットバースト技が使用可能。

スキルやリミットバースト技の使用はオートではなく、プレイヤーがアイコンをタップして使用する。スキルゲージ・リミットバーストゲージ共にクエスト内であれば持ち越しできるので、ザコバトルでゲージを貯めておき、ボスバトルで一気に畳みかける…という戦術が可能だ。

キャラクターの攻撃はアニメーションによってビジュアル的に描かれるが、再生速度がスピーディーなのでバトルはサクサク進行する。2倍速ボタンを使用することでさらにスピードがアップ。加えてオートボタンを使用すると、あっという間にクエストを達成可能だ。オートボタンを使わず2倍速ボタンのみ使用する場合でも、タイミングぴったりにスキルを使用するのが難しくなるほどスピーディーになる。

このため初めてチャレンジするクエストには向かないが、一度クリアしたクエストを周回プレイする場合には、2倍速ボタン+オートボタンの使用がオススメ。周回プレイの退屈さを感じない、快適なプレイが楽しめる。

本作のバトルのテンポの良さは、「ちょっとした暇時間にプレイする」というスマートフォンゲームのプレイシチュエーションを考慮したものだと思うが、それに加えて「育成」をより快適に楽しめるようにしているようにも感じた。というのも、筆者が本作をプレイしていて、バトルの戦術性よりも「どんどん強くしていく」という育成部分により強い魅力を感じたからだ。

一度育成の魅力にハマってしまうと、バトルをより効率よくハイテンポにこなしたいと感じてしまう。実際、本作の育成システムはスマートフォン向けRPGの中でも非常に凝っており、多くの魅力が込められている。

複数の異なるプレイスタイルを統合した懐の深い育成システム

本作のキャラクターは、普通にクエストをこなして経験値をゲットして成長させることができる。さらにクエストで獲得した「マナ」という資源を経験値に変換し、キャラに与えることも可能だ。このため、ガチャでゲットしたばかりのキャラクターに「マナ」を注ぎ込んで一気に成長させ、即戦力として使うことができる。

レベルアップによる強化以外に、武器や防具を装備することによってパラメーターの底上げをすることも可能。ユニークなのが、キャラクターの「グレード」によって装備スロットの数が増えて行くという点。キャラクターの「グレード」が上がって装備スロットが増えれば、それだけ沢山の装備を身につけられる。強力な装備を身につけることも重要だが、より多くの装備を身につけることも重要というわけだ。

「グレード」は、「オーブ」を集めることで上昇する。キャラクターには装備スロットとは別に「オーブ」用のスロットが6種類用意されている。ここに「オーブ」をひとつひとつ装備することで、パラメーターが上昇。そして6種類すべてのスロットに「オーブ」を装備すると、「グレード」がアップする。「オーブ」はクエスト内で手に入るので、足りないオーブを手に入れるため、クエストを周回プレイする必要が出てくる。

一般的なスマートフォン向けRPGが持ち合わせている育成要素「進化」も、もちろん本作は備えている。「進化」は、キャラクター毎に用意された「キャラクエスト」をこなして必要量の「ソウルクリスタル」を集めることで可能だ。

「キャラクエスト」はただバトルを繰り返すだけという無味乾燥なものではなく、キャラクターのバッググラウンドがわかるしっかりした内容。「キャラクエスト」を繰り返してキャラクターへの感情移入が深まった上で「進化」するという作りは、非常に上手い作りだと感じた。

本作の育成システムが良くできている点は、経験値によるレベルアップ、装備による増強、オーブによる「グレード」上昇、「進化」という複数の要素が用意されており、さらにそれぞれがゲームのプレイスタイルを引きだしていることだ。

たとえば初心者プレイヤーがなんとなくプレイしているだけでも、経験値によってレベルアップし、キャラクターが強くなる。より強くしたいと考えた中級プレイヤーが「グレード」をあげようと思えば、周回プレイによる「オーブ集め」というトレジャーハンティング要素が生まれ、キャラクターに興味を持ったプレイヤーが「進化」させようと思えば、「キャラクエスト」によって深い世界観を楽しめる。異なるプレイスタイルを上手に統合した、懐の深い育成システムといえるだろう。

原点である北欧神話を活かした世界観とビジュアル

最後に、北欧神話という題材に正面から向かい合った本作の世界観について。物語の背景は、世界樹ユグドラシルの加護の下暮らす世界で異変が起き、主人公(プレイヤー)がヴァルキリー・スクルドと共に旅立つというもの。こうした背景や登場キャラクターの設定など、既に触れたとおり、北欧神話そのものの設定を活かす形で世界観を構築している。たとえば、第二章で活躍するロキは、非常にいたずら好きで無軌道な性格。北欧神話を知る人だったら思わずニヤリとしてしまう、原典を活かした描き方をしているのだ。

物語的な側面だけではなくビジュアル面についても、原典である北欧神話を活かそうという姿勢が感じられる。本作に登場するキャラクターの性別は基本的には原典に忠実。ビジュアル的にも強引に萌えキャラ化・イケメン化するのではなく、原典の設定の範囲内でアレンジしている。このため、プレイヤーが北欧神話のファンだとしてもイメージが崩れることなくプレイできるはずだ。また、北欧神話を知らないプレイヤーであれば、歴史ある神話という素材をベースにした深みのある世界観を新鮮な気分で堪能できるだろう。

主にゲームシステムについて触れてきたが、斎藤千和さんや坂本真綾さんといった有名声優がキャラクターボイスを担当しているなど、本作はゲームの隅々まで力が入れられている。このため本作は、RPGが好きな人であれば、楽しい、と思える作品に仕上がっている。RPGファンの中でもとりわけ「RPGの育成要素が好き!」「北欧神話に興味がある」は、是非プレイしてほしい。至福の経験が得られるはずだ。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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