ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジアが本日7月19日に開催したPS4「GRAVITY DAZE 2(グラビティデイズ2)」発表会をレポート。ゲームの試遊やアニメーション企画、田中公平氏によるスペシャルミニライブの模様を掲載している。
一般参加者を含めて、恵比寿 Act squareにて行われた本発表会では、「GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収敛した選択」の正式な発売日が明かされることに。
そのほか、「GRAVITY DAZE」シリーズディレクター・外山圭一郎氏によるゲーム紹介、アニメーション企画の新発表、田中公平氏によるミニライブに実機での試遊会など、盛りだくさんの内容で行われた。
イベントの開幕を飾ったのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)プレジデント・盛田厚氏の挨拶。同社が提供しているPS4は昨今、歴代のPSプラットフォームの中でも、史上最速で世界累計4,000万台の普及台数を記録している。
さらに、今年の年末にかけては国産タイトルの豊富なラインナップ、そして巷を賑わしているPS VRが発売されることもあり、これらに言及しつつ盛田氏は「PS4はここで勝負しなければいけないだろう!」という気持ちで、今後の展開に臨んでいくと語った。
そして、盛田氏にとってもここ一番のタイトルとなるのが、今回の主役である「GRAVITY DAZE 2」だ。記事タイトルでもお伝えしているが、会場ではここで盛田氏より正式な発売日が2016年12月1日に決定したことが明かされていた。
「子供の頃、夢の中で学校に遅刻しそうになって、空を飛んだら学校に間に合いました」と語る盛田氏。当然、寝起きの氏は空を飛べないので現実では遅刻してしまったらしいが、PS4の掲げるメッセージ「できないことが、できるって、最高だ。」を体現している本作の”空を舞う”ことには、並々ならぬ期待があるようであった。
今回の発表会に関しても、先日のE3 2016の試遊出展では大好評を受け、国内外の関係各所より「せっかくならカンファレンスに出せばよかったのに」と多く言われたらしいが、盛田氏は本作をぜひ日本で発表したいという気持ちが強かったことから、今回のような場に繋がったという。
そして、本作は「男性ユーザーだけでなく、女性ユーザーにも遊んでほしい作品」である。強くて優しいヒロイン「キトゥン」の物語は女性でも、むしろ女性にこそ体験してほしいゲームなのだ――という旨を書いてほしいと言った盛田氏。会場では小笑いが起きたものだが、こんな熱い期待をかけられては書かない訳にはいかないだろう、という次第である。
ということで、「GRAVITY DAZE 2」は女性にこそふさわしいよ!
タイトルプレゼンテーション
続いてはタイトルプレゼンテーションとして、SCE ワールド・ワイドスタジオ JAPAN Studioより、「GRAVITY DAZE 2」ディレクター・外山圭一郎氏が登壇。加えてMCには、先日行われた27時間放送でも大活躍であった遠藤舞さんが起用されていた。
「GRAVITY DAZE 2」は構想10年、外山氏が練って練って練り上げたゲームを体現したものとして展開される。前作「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」はPS Vitaでリリースされたものだが、時世の流れによるPS4へのプラットフォーム変更、続編前提で作ることで前作では描ききれなかった“本当に書きたかった物語”、重力アクションの新たな進化など、これまでさまざまな紆余曲折があったとのこと。
企画当初は前作のモデリングを持ってきて、安定した素材でコストパフォーマンスよく制作しようとしたらしいが、それもPS4移行のために一から作り直しに。また、外山氏はこの10年を通して、キトゥンという少女への思い入れが段々と強くなり、いつしか“彼女の物語に結末をつけなければいけない”という使命感に駆られたという。そして、その集大成となるのが外山氏を含む、作品を熟知したスタッフたちが一丸となって作り上げた、今回の完結編なのだ。
本作の特徴として外山氏は、「序盤から終盤にかけて、ずっと密度の高いオープンワールドを作れた」「前作に比べて大規模になったことから、自分でも最近になってようやく全貌を掴めるようになった」とコメントしており、最近の個人的な感想としても「なにこれ、すっごい面白いじゃん!」と改めて感じたのだとか。
会場ではここから外山氏によるデモプレイを通して、キトゥンの新たな力、白銀色の装備「ルーナチューン」の具体的な効果が紹介された。ルーナチューンはキトゥンの身体を大幅に軽くするもので、重力エナジーを使わずとも、大空へと軽々と大ジャンプしたり(バーチカルライズ)、狙った方向に向かって高速移動をしたりと(ホリゾンタルジャンプ)、これまでの重力アクションとは違い、より直観的な運動を可能としている。
なお、ゲーム中はこのルーナチューンと、もう一つの装備となる体を重くする「ユピトールチューン」を素早く装備変更することができる。いずれも特殊な能力・挙動を持つが、操作性に関してはそれほど変わらず、操作感だけが異なっているので、プレイフィールも上々だ。
続いては本作の最初の舞台となる「ジルガ・パラ・ラオ」の紹介。今回降り立ったジルガ・パラ・ラオでは、天候変化によってタイミングが良いと見られるという虹の姿も。なお、本作は前作と比較し、マップの広がりは2.5倍から3倍になっているといい、雲の向こうで霞んで見えないような場所でも、目に見えるのならば全てアクセスできるようになっている。
さらに初公開映像では、新たな3人目の少女「アンジェ」の存在が映されていた。詳しくは続報、ならびに後ほど掲載する外山氏へのインタビュー記事を参照してほしい。紹介の最後に外山氏は「製品版では今日お見せしたものだけではなく、まだまだ未公開の要素やエリアもたくさん用意しているので、ぜひ発売日を期待してください」とし、壇上を降りた。
アニメ化新情報
続いてはアソシエイトプロデューサー・和家佐恭介氏より、「GRAVITY DAZE」シリーズのアニメ化新情報が発表。
ここではアニメのタイトルが「GRAVITY DAZE The Animation~Ouverture~(オーベルチュール)」に決定したこと、作品の尺が15分から20分程度の長さになること、そしてアニメの制作会社がスタジオカラーになることが明かされた。
アニメは“1から2までを繋ぐ物語”となり、登場人物たちがさまざまな悩みを抱えつつ、目の前の出来事に1つずつ向き合い、明るく前向きに進んでいく姿が描かれるという。本作について和家佐氏は、「クリエイティブであること」「お客様と一緒に喜べること」を念頭に、時代を選ばず親しまれる作品として届けていくと述べた。
なお、アニメの尺については「長さとクオリティのバランスが取れる、ワクワクするような疾走感ある映像を作るための時間」として、15分から20分程度に決めたとのことだ。
そして制作についてだが、スタジオカラーといえば映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」などで世間的な評価も高い、日本きってのアニメ制作会社である。これについて和家佐氏は、「アニメをどことやりたいかを話し合っていたとき、外山と一緒に最初に名前を上げたのがスタジオカラーさんでした」とし、そこから縁あって協業に取り付けたという。
なお、スタジオカラーとはゲーム本編のムービーシーンやキャラクターアニメーションなども共同で制作しているらしく、ゲームを遊んでいるとところどころで目に入るようになっている。制作に名を連ねるクリエイターたちも現代シーンを駆け抜けるトップランナー揃いということで、期待大といったところだろう。
初回限定版などPR展開
最後はプロデューサー・五十峯誠氏より、今後のプロモーション展開が紹介された。まずはマックスファクトリーが展開するフィギュアシリーズ「figma」より、新たにキトゥンとそのライバル「クロウ」のフィギュアが発売されることが発表。
前回のキトゥンfigmaは限定版への同梱となっていたが、今回はフィギュア単体での発売となる。これは「フィギュアを単体で買いたい!」というユーザーからの声を踏まえてのことらしい。
さらに発売日も発表されたということで初回限定版の紹介も。本作の初回限定版にはPS4用ソフト、アニメのBlu-rayディスク スペシャルバージョン、外山氏チョイスのサウンドトラック、スペシャルコスチューム「ホワイトキトゥン」ダウンロードコード、収納ボックスが同梱されるが、価格はまさかの通常版と同じ、6,900円(税抜)での提供となる。
この初回限定版は予約入手のほか、店舗でも発売されるとのことだが、品物は終了次第、随時通常版に切り替わっていく。お得なパッケージでゲームを入手したい人は必見であろう。
最後に、ゲームの発売日までは毎月放送として、ニコニコ生放送「GRAVITY通」が配信されることも決定した。本番組の初回放送は明後日7月21日20時が予定されており、今後は他社や著名なクリエイターとのコラボ企画なども予定しているという。
田中公平氏によるスペシャルミニライブ
続いては、「GRAVITY DAZE」シリーズの楽曲を担当している田中公平氏が壇上に姿を見せる。ここでは田中氏より、今回のゲームの全楽曲のボリュームがなんと、3時間40分にも及んでいることが語られた。
また、本作では楽曲面での新たな試みとして「インタラクティブ」なるシステムが取り入れられており、なんでも“2つや3つの楽曲が融合し、一つの楽曲として流れる”のだとか。とりあえず下記に例を上げておくので、これで伝われば幸いだ。
- 悪役Aの楽曲1
- 悪役Bの楽曲2
- キトゥンの立ち位置:悪役A←キトゥン→悪役B
この時、悪役Aと悪役Bの中間では楽曲1+2が融合した一つの音楽が流れる。当然、片一方に寄ればそれぞれの元の楽曲に戻っていく。文字どおり、リアルタイムでインタラクティブにBGMが変化していくのだ。なお、これらが破綻しないように楽曲を制作していくのは田中氏いわく、「作曲じゃなくてパズルでした」とのこと。斬新でいて得難い経験であったことは想像に難くないが。
会場ではここから、本来のオーケストラ編成をちょっぴり縮めてのピアノ、ギター、ベース、ドラム、サックスによるバンド編成で、実力派の演奏家たちがスペシャルミニライブを実施。ジルガ・パラ・ラオの入り口で4人のおじさんが演奏している楽曲など、計3曲が披露された。
遠大で陽気な「GRAVITY DAZE 2」の楽曲も魅力もさることながら、生々しい迫力の音を聴かせてくれるサックスの音には思わずうっとり。ちなみに、盛田氏も脇のほうで膝を叩いて音楽にノッていたのだとか。
「GRAVITY DAZE 2」を実際に遊ぶ
会場で試遊することができたのは、先日のE3 2016に出展されたバージョンのもので、重力アクションを練習するチュートリアル(初心者コース・経験者コースがあり)を選択した後、ちょっとした事件に些細なお使い、そこではじまるまさかの戦いの様子などが体験できた。
筆者はとりあえず初心者コースを選択。わずか15分ほどのプレイ時間であったが、先の発表会で謳われたとおり、オープンワールドの広大さが身にしみるほど素晴らしい。今回はさまざまな場所に行くことはなかったものの、ちょっとした操作ミスから何もない空へと落ちて、そこで思うがままに重力を操っていると、「こんなにも自由なゲームがあっていいのか」と感じてしまう。
また、戦闘面も操作性が向上しており、複雑なことをせずとも、狙いをつけてワンボタンで敵を倒すことができる。かといって、手放しにゲーム初心者でも遊べるかというと、多少のアナログスティックの使い方と、空間認識のスキルを身につける必要もあるかと思われる。まあ、遊びはじめて数時間で慣れる程度のものなので、あくまでファーストインプレッションでの話である。
なお、最初に経験者コースを選択した人は、初心者コースと同様の共通部分から分岐して、途中でクロウが現れ、一緒に共闘してくれる別の内容を楽しむことができた模様。素直に経験者を選んでおけばよかったが、これもまた体験会の醍醐味か。
PS4ならではの空間密度を新たな武器とした「GRAVITY DAZE 2」。今回は数ある要素のほんの一端にしか触れられなかったものの、重力アクションに込められたその魅力は存分に堪能することができた。12月1日の発売日も決定した今、期待を高めていても損することはまず無いだろう。
ちなみに、前作をプレイしていないという人は、現在PS Vita版とPS4 HD版が求めやすい価格で発売されている。発売までの時間をこれに当ててみるのもいいのでは?
GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収敛した選択 初回限定版
ソニー・インタラクティブエンタテインメント- 発売日:2017年1月19日
- 15歳以上対象
- スペシャルアニメーション:「GRAVITY DAZE The Animation~Ouverture~」Blu-ray Disc,サウンドトラック:「GRAVITY DAZE 2 ディレクタ-ズチョイス」ダウンロードコード,.スペシャルコスチューム:「ホワイトキトゥン」ダウンロードコード,豪華収納BOX