ライアットゲームズが8月7日に開催した、「League of Legends」の日本大会「LJL 2016 Summer Split Final」。本稿ではバロン・ナッシャーとドラゴンが来場者を出迎えた会場の様子、ならびにこの夏一番のLJL頂上決戦の模様をレポートしていく。

目次
  1. サモナーズリフトへようこそ
  2. 夏の大一番!世界線をかけたRPG vs DFM!

品川・グランドプリンスホテル新高輪にて開催された「LJL 2016 Summer Split Final」は、全世界で圧倒的な競技人口を誇るオンラインゲーム「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンズ)」の国内公式大会である。

LJL最大規模となった今大会の会場は、「Promotion Area」と「e-Sports Area」に分けられており、規模も施策もこれまでより大幅にパワーアップ。その証拠に、本大会前には渋谷ビジョン 計6ヶ所へのLJL告知、全国ローソンでのポスター掲示&店内放送、ドキュメンタリー映像「UNLOCKED」の公開と、さまざまなプロモーション施策も打たれてた。

本稿では会場の様子はもとより、熾烈な激戦となった「Rampage」vs「DetonatioN FocusMe」の要素をお届けしていく。

サモナーズリフトへようこそ

来場者を出迎えた会場のイメージは、サモナーの聖地であり、人によっては親の顔ほど見たであろう定番マップ「サモナーズリフト」。会場入り口には超スケールで制作されたバロン・ナッシャーの姿が。

会場奥側はジャングラー歓喜の緑豊かな景観に仕上げられていた。会場内ではみんないろいろな意味で大好き「ティーモ」から出題された謎解きゲーム「ティーモの挑戦状」をはじめ、ファンから送られた寄稿イラストの掲示、日本初のサモナーズカフェの提供に加え、迫力満点の巨大ドラゴンが設置。ここまでされたらエラ呼吸じゃない人魚も満足することだろう。

会場最奥、頂上決戦の行方を観戦することができる「e-Sports Area」。天井にはグランドプリンスホテル新高輪 飛天の間の名物である無数のシャンデリアが飾られており、実に煌びやかであった。

夏の大一番!世界線をかけたRPG vs DFM!

本大会の趣旨は、LoLプロゲーミングチームによる、世界大会「2016 International Wildcard Qualifier(IWCQ)」への出場権をかけたトーナメント。LJLでは春季の「Spring Split」、夏季の「Summer Split」で優勝したチームに世界戦の招待状が贈られるのだ。

試合方式はドラフトピックによる3本先取制の5番勝負「Best of 5」。1戦ごとに赤チームと青チームは交互する。出場チームは、LJL開幕以来の古豪であり、Summer Splitでリーグ1位通過を果たした「Rampage(以下、RPG)」。対するは日本初のフルタイム給料制チームとして話題を博す、2年連続LJL界の日本王者として君臨している「DetonatioN FocusMe(以下、DFM)」。

RPGはこれまで、DFM相手に2シーズン連続で敗北を喫しており、これ以上好き勝手させてはおけないチャレンジ魂がある。だからといって、それを安々と譲るなんてことはDFMもしないだろう。両チームはLJL発足から3年間、重要な場で戦い続けてきた意地があるのだから。

一方で、会場の雰囲気は正しくエンターテイメントショーのよう。試合前から来場者も大盛り上がりの様子だ。これには大会運営のスタイルはもとより、10代後半~20代前半が多いとされる来場者層からの求心力が影響しているのかもしれない。

【Rampage】スターティングメンバー
TOP:Paz(Shirou Sasaki)
JUGLE:Tussle(Lee Moonyong)
MID:Roki(Hiroki Yokoo)
ADC:Meron(Kiichi Watanabe)
SUPPORT:Dara(Jeon Jeonghoon)

【DetonatioN FocusMe】スターティングメンバー
TOP:Yutapon(Yuta Sugiura)
JUGLE:DayDream(Kang Min Kyung)
MID:Ceros(Kyohei Yoshida)
ADC:Hikari(Hirokazu Myojo)
SUPPORT:viviD(Han Ki Hoon)

第1ラウンド

昨年度と比べ、本大会のレギュレーションではアップデートパッチの存在により、試合のカギとなる点も変化している。各チャンピオンの個別修正はもちろんだが、全体としてはファーストタワーの耐久力および報酬、ならびにファーストブラッドの報酬の上方修正が挙げられる。このため、昨今では序盤のレーン戦の重要度が大きく増しているのだ。

しかし、両チームのKDA(キル/デス/アシスト比)がすさまじい数値を叩きだしている。平均7前後って、眩しすぎる。どのような試合展開になるのかは筆者にはまったく予想がつかないが、早速第1ラウンドの様子を見ていこう。

【Rampage(第1ラウンド)】青チーム
TOP:Paz/マオカイ
JUGLE:Tussle/リー・シン
MID:Roki/ビクター
ADC:Meron/シヴィア
SUPPORT:Dara/タリック

BAN
ガングプラング
レク=サイ
ブラウム

【DetonatioN FocusMe(第1ラウンド)】赤チーム
TOP:Yutapon/エコー
JUGLE:DayDream/グラガス
MID:Ceros/ジグス
ADC:Hikari/アッシュ
SUPPORT:viviD/アリスター

BAN
タム=ケンチ
コグ=マウ
シェン

※以下、青側・赤側に関わらずRPG・DFMの順で表記。集団戦は【3プレイヤーvs2プレイヤー】=【3vs2】、キルデスは【1キル:0キル】=【1:0】と表記していく。

両チーム、JGが序盤からGunkを仕掛けやすい構成。特に注目を集めたのは、意表を突いたRPG Paz/マオカイと、一部で人気が加熱しているジグスをpickしたDFM Ceros選手。これには観客から(歓声の)ファーストブラッドが贈られた。

ちなみにLJLでは実況・eyes氏、解説・Revol氏の息のあった掛け合いにより、試合の展開をとても分かりやすく見ることができる。とはいえ、まったくの初心者には何を言っているのかは分からないと思うので、そこは勉強に努めてほしい。この「試合を見ている楽しさ」にたどり着くまでの敷居の高さは、LJLのこれまでとこれからの壁ともいえる。

開始10分。両チームともに丁寧な立ち上がりで、大きな波乱もない。このクラスの対戦ではレーン戦の1vs1で崩れることなどない。試合を動かすには仲間の協力が不可欠となる。

開始15分。RPGがファーストドラゴンを獲得し、続けてRPG Tussle/リー・シンがトップレーンに仕掛ける。リーのフラッシュインで2vs1を作られたDFM Yutapon/エコー。Ultを使う暇もなくファーストブラッドを奪われ、決勝戦の初キルはTussle選手の手に。

開始22分。セカンドドラゴン前で4vs4。先にドラゴンに触れたDFMに対し、RPGが対応する。RPGは両サイドのリバーからDFMを挟んで2vs4vs2を形成しつつ、堅実かつ大胆な分断で3:0交換+ドラゴンと大勝利を収め、1,700G差のリードを獲得。RPGはその後のサードドラゴンも取り、DFMに対して2,500G差をつけた。

試合中盤、バロン前で集団戦。ここではRPG Paz/マオカイが目を見張る大健闘。一瞬で1vs4の状況を作られつつも、DFMから渾身の1キルをもぎ取り、1:1交換で終えるファインプレー。DFMにきっかけを掴ませないそのプレイングには、会場も歓声を贈る。

開始35分。バロンをはじめたRPGにDFMが介入。バロンのスティールを防止するRPG Tussle/リー・シンの動きもさることながら、バロン後の不利な戦況を1デスで済ませたRPGの引きっぷりも素晴らしい。だが、試合もそろそろレイトゲームに突入。オブジェクト有利のRPGだが、ここからは一瞬で試合展開も変わるかも――。

しかし、開始38分のエルダードラゴン前での集団戦。RPGはここを3:0交換で勝ち切り、そのままエルダードラゴンと、ミッドのサードタワーを奪取する。が、その後トップで起きた集団戦はDFMが0:2交換で終える。対価にネクサスタワーを1本支払ってしまったが、勢いのままにバロンを取り、ミッド攻めを敢行。RPGの防衛に阻まれつつもセカンドタワーを折りきる。

だが、最終エンゲージのきっかけを作ったのはRPG Tussle/リー・シン。孤立した相手を1vs1で制し、味方の1キルと合わせて5vs3でネクサスに突入することに成功。火力で押し切ってネクサスを破壊したRPGが1勝目を挙げた。

第2ラウンド

LoLの試合は短くて20分、長くて50分が目安となる。初心者はこのゲーム時間の長さに、一戦プレイするだけでもヘロヘロになるほどだ。それが壇上の試合、それも頂上決戦ともなれば選手たちの疲労は相当なものだろう。それは観戦者であっても例外ではなく、合間の休憩タイムでは「見てるだけで疲れる」の声が多数上がっていた。当然、良い意味での疲労だ。

それでは続いて、第2ラウンドを紹介していく。

【Rampage(第2ラウンド)】赤チーム
TOP:Paz/ナー
JUGLE:Tussle/ヘカリム
MID:Roki/ブラッドミア
ADC:Meron/ジン
SUPPORT:Dara/タリック

BAN
ガングプラング
レク=サイ
シヴィア

【DetonatioN FocusMe(第2ラウンド)】青チーム
TOP:Yutapon/シェン
JUGLE:DayDream/グレイブス
MID:Ceros/ビクター
ADC:Hikari/アッシュ
SUPPORT:viviD/ブラウム

BAN
タム=ケンチ
コグ=マウ
マオカイ

DFMのBANに、第1ラウンドで苦汁を舐めさせられたマオカイが入った。一方でRPG Paz/シェンはシーズンのWinレート100%と、恐ろしい数字を叩きだしている。ちなみに、筆者1人の視点では試合の全容が捉えきれないので、個々人の活躍に関しては“それだけでない”ことを頭に入れておいてほしい。ピックアップするのがCarryばっかりなので……。

第2ラウンドの試合が動いたのは開始3分のこと。DFMがJG+ADC+SUPの3人で赤側の青バフに侵入する。RPGはこの時点で2vs3であったが、撤退と反転の足並みが揃わなかったのか、手痛い0:2交換となり、DFMに1,200Gを与えてしまう。

開始10分。DFM DayDream/グレイブスがボットレーンへGunk。またもや3vs2を作ったDFMは1キル+ドラゴンで優位を加速。いずれもDFM viviD/ブラウムのサポートが機能していた。

第1ラウンドとは打って変わり、DFMは攻撃的に、RPGは守備に回らざるをえない状況となってきた。しかし、昨今のBAN王・ヘカリムを使うRPG Tussle選手が、持ち前の足の速さを活かしてハラスを与えつつ、タワーダイブにも加担していく。が、この時点でDFM DayDream/グレイブスのスコアは3/0/2。スクスクと育たれてしまったこの差は大きい。

開始20分。DFMがトップレーンへ強気のタワーダイブ。セカンドタワーを折ることはできたが、それに対するRPGの対応はまさに完璧。目まぐるしいフラッシュイン/フラッシュアウトの攻防を制した、RPGによる3:0交換を引き起こしてしまった。

開始26分。DFMはミッドレーンで0:2交換。その勢いのままにミッドのファーストタワー&セカンドタワーを奪い、サードタワーも耐久力50%まで減らす。しかし、開始30分にはRPGが3:0交換からバロンを取る。起死回生の一手となりえたが、開始32分ではDFMが逆襲し、ボットレーンで0:3交換。なんて目まぐるしい殴り合い!

DFMはここでネクサスまで繋げたいところであったが、RPG Roki/ブラッドミアが死に体のままボットレーンからトップレーンまで大逃走。すべてのリソースを吐きだすも、時間を稼ぐ。DFMの手はインヒビターまで届いたが、ネクサスまでいかなかったのはRoki選手の働きが大きい。

第2ラウンドで印象的であったのは、ちょこちょこと目立つプレイングミス。これは第1ラウンドとの温度差から生まれてしまったものかもしれない。しかし、本当に恐ろしいのは両チームとも、“相手のミスに対して確実にお仕置き”している点だ。1クリックのミスがドラゴンに繋がるのだから、息をつく暇もないだろう。

試合の決め手を作ったのはDFM Hikari/アッシュ。終盤戦では確実にWの撒き散らして相手を近寄らせず、それでいて最終エンゲージではトリプルキルを達成。相手の崩れた隙を見逃さず、DFMはネクサス前のミニオンへのテレポートを起点に押し込み、ネクサスを破壊。第2ラウンドはDFMがVICTORY。

第3ラウンド

今回のLJL会場では女性来場者の姿が多く目立っていた。これはLoLというタイトルの力のみならず、ショービジネスとしての成功が一因にあるのかもしれない。ちなみに会場の応援では、RPGとDFMの歓声は五分の様子であった。

両チーム1勝1敗で迎える大事な第3ラウンド。試合展開なんて誰も予想できない。

【Rampage(第3ラウンド)】青チーム
TOP:Paz/シェン
JUGLE:Tussle/ヘカリム
MID:Roki/ブラッドミア
ADC:Meron/ジン
SUPPORT:Dara/タリック

BAN
ガングプラング
レク=サイ
ブラウム

【DetonatioN FocusMe(第3ラウンド)】赤チーム

TOP:Yutapon/トランドル
JUGLE:DayDream/グラガス
MID:Ceros/ビクター
ADC:Hikari/アッシュ
SUPPORT:viviD/バード

BAN
タム=ケンチ
コグ=マウ
シヴィア

RPGはPaz/シェンのみの変更。DFMはviviD選手がバードをpick。「ブラウムくれないなら、バードやるよ!」と言わんばかりだ。バードは試合の流れをガラリと変えられるチャンピオンなので、その動きに注目が集まる。なお、eyes氏いわく「この構成は先手の取り合いです。これまではRPGが仕掛けやすい構成をドラフトしていましたが、ここでDFMが乗ってきた形です」とのことだ。

開始2分。RPG Meron/ジンが早々にバードを落とし、ADC有利の盤面に。試合序盤でADCに有利を取られるのは一大事なこと。今シーズン、常に勝利に貢献してきたDFM Hikari選手&viviD選手のコンビはここが頑張りどころである。

開始7分。RPG Tussle/ヘカリムが赤側のボットレーン、セカンドタワー横のジャングルから飛び出し、タワー前で1キル。序盤の趨勢は第1ラウンドと同様、RPGが握ってきた。

開始10分。続いてはトップレーンにTussle/ヘカリムが出没。E→Ult→Qのフルセットでここでも1キル。1分後にもRPGがボットレーンで4vs2をメイクし、2:0交換。その1分後にもTussle/ヘカリムがミッドレーンへGunkし、メンタル的にも効果的にも恐怖を与え、1キルを重ねていく。

しかし、RPGの集団が散り散りになった瞬間の開始13分。DFMは砂地獄のような位置取りで0:2交換と仕返しに成功。両チームともここまで、相手ジャングルの青バフを奪い合うなどの攻めっ気を見せている。それに加え、とにかくワードの視界確保が素晴らしすぎる。トリンケットってあんな風に置くのですね……。

開始21分。RPGがミッド横のブッシュで4人待機。DFMがミッドレーンを上げたのを見て、「タワー下でも関係あるか!」とばかりにTussle/ヘカリムが飛び出し、2:0交換。ここまでDFMもさまざまな攻めを行っていたが、RPGにはいなされ続けている。

開始24分。トップレーンの2vs1の仕掛け人は、もちろんヘカリム。この試合を見ていると、どうやら筆者はヘカリム使いではなく、ヘカリム使われであることが理解できてしまう。開始30分にはキルが12:3、ゴールドが10,000G差となった両チーム。Carry化したヘカリムを止められないDFMには非常に苦しい。

開始31分。トップレーンで集団戦。ヘカリムの突撃を正面から受け止めきれなかったDFM。RPGはここで5:0交換と決勝初のエースを記録。決定的なリードをものにする。DFMは中立で幅を埋めるか、レイトゲームしか手がない。だが、レーンコントロールも難しいこの状況。しかも、RPGはオブジェクト優先で、確実に勝率を上げてくる。強引な攻めは絶対に見せない。

開始37分。バロンをとったのはRPG。キル差がつきすぎたことで、DFMは有利な状況で集団戦をはじめても、RPGのタンク陣に痛手を負わせられない。RPGはパワー差のままにネクサスに特攻。第3ラウンドの勝敗によって、RPGの世界戦が目前となった。

第4ラウンド

もう後がないDFM。ここまでインターバルを含め、大会開始から3時間30分が経過している。選手間では体力・判断力にも差が出てくるかもしれない。とはいえ、そこを鍛えてこなかった選手なんて、壇上には1人もいないだろう。

【Rampage(第4ラウンド)】赤チーム
TOP:Paz/マオカイ
JUGLE:Tussle/リー・シン
MID:Roki/ビクター
ADC:Meron/シヴィア
SUPPORT:Dara/トランドル

BAN
ガングプラング
レク=サイ
ブラウム

【DetonatioN FocusMe(第4ラウンド)】青チーム
TOP:Yutapon/シェン
JUGLE:DayDream/グレイブス
MID:Ceros/リサンドラ
ADC:Hikari/ジン
SUPPORT:viviD/アリスター

BAN
タム=ケンチ
タリック
コグ=マウ

DFMはBANでタリックを落とす。タム=ケンチ&コグ=マウは絶対に明け渡さない姿勢だ。また、注目所としては最近は中国で流行しているというリサンドラをpickしたDFM Ceros選手。1vs1では火力がままならないが、集団戦で優位を作れるチャンピオンの1人である。

両チームのJGは、RPGが赤側ゴーレムスタート、DFMが青側カエルスタート。そこから開始5分が経っても、第2ラウンド・第3ラウンドほど激しい動きは見せず、静かにレーニングとファームが行われる。ミッドレーンではRPG Roki/ビクターとDFM Ceros/リサンドラがマッチアップしているが、リサンドラの攻撃速度の遅さが足を引っ張ったか、Roki選手がCS差10をつけた。

開始10分。ファーストブラッドはまだない。双方オブジェクトに対してちょっかいをかけるくらいで済ませている。がしかし、その均衡を破ったのはDFM DayDream/グレイブス。ノーマルなら絶対に引き分けで終わるような遭遇戦を粘り強さで勝ち取り、DFMに値千金のファーストブラッドをもたらした。

開始13分。DFMがトップとボットのファーストタワーを先取。致命的ではないが、RPGに不穏な空気が流れるのは言うまでもない。開始15分。相手青バフにちょっかいをかけたRPG Tussle/リー・シンが、DFM DayDream/グレイブスにつかまり、DFMに1キル。その後のミッドレーンでの集団戦でDFM viviD/アリスターが落とされたが、両チームのゴールド差は3,000G。グレイブスの単独ドラゴン、シェンによるトップのファーストタワー奪取で、DFMが加速する。

イケイケの試合展開でないときは、“あとすこしの視界”が欲しくなる。開始19分にDFM、ボットレーンで視界の甘い相手に1vs4を作り、そのうえでDFM Ceros/リサンドラに1キルを計上させていく。RPG Tussle/リー・シンはファーム差が祟り、遭遇しても強気には出られない。

開始22分。トップレーンで集団戦。物凄い飛距離から詰め寄ったDFM viviD/アリスターがファーストエンゲージ。有利な集団戦を進めた結果、DFMは25分までの3分間で3キル+バロン+ドラゴンを奪う。試合を決定づけた。DFM Hikari/ジンのロングスナイプを見ていると、思わず「ジンのUltはAAかな?」と混乱してしまう。

開始27分。DFMがミッド&トップのサードタワー+インヒビターを奪い取る。開始30分でキルが2:9、ゴールドが13,000G差と、第3ラウンドのお返しとばかりに一方的な試合に。それでも丁寧に、的確に、じっくりとゲームを進めていくDFM。インヒビターが復活されたら、「もう一回壊れてろ」とばかりに再破壊。RPGは攻勢のきっかけを掴めない。

開始36分。最終エンゲージは赤側の赤バフ裏にあるブッシュ。DFMの完璧なワーディングにより、RPGには何一つ視界が与えられていなかったのだ。5vs5の集団戦で出鼻を挫いたDFMは0:4交換に成功。付け入る隙を与えない完全試合の運びで、第4ラウンドはDFMがgg。

第5ラウンド

運命の最終決戦。これで夏の王者が決まる。これまでRPG、DFM、RPG、DFMと交互に勝敗を重ねてきた両チーム。仲良く勝敗交換をするのであれば、次はRPGが勝つだろう。しかし、そんなもので決まるはずはない。DFMは世界戦での苦い記録を晴らさなければならないのだから。

プロゲーミングチームとして、選手として、この一戦にはあらゆるものがかかっている。その熱さを共有できるこの会場こそ、現代のe-Sportsシーンの醍醐味なのだ。この瞬間、日本のe-Sportsの最前線はここにあった。

【Rampage(第5ラウンド)】青チーム
TOP:Paz/エコー
JUGLE:Tussle/グラガス
MID:Roki/ビクター
ADC:Meron/ジン
SUPPORT:Dara/アリスター

BAN
ガングプラング
グレイブス
シェン

【DetonatioN FocusMe(第5ラウンド)】赤チーム
TOP:Yutapon/ナー
JUGLE:DayDream/レク=サイ
MID:Ceros/リサンドラ
ADC:Hikari/シヴィア
SUPPORT:viviD/ブラウム

BAN
タム=ケンチ
タリック
コグ=マウ

ここでRPG、グレイブスとシェンをBANするために、ついにレク=サイを手渡した。DFM DayDream/レク=サイのWinレートは貫禄の100%。これだけでも、ここまでの試合展開とはまったく違う流れになることが予想される。

開始3分。DFM DayDream/レク=サイがトップレーンにGunk。しかし、不利な戦況のなかでRPG Paz/エコーがDFM Yutapon/ナーに根性のファーストブラッドを決め、数字以上の1:1交換を決める。開始7分にはRPG Tussle/グラガスが赤側の赤バフ横のブッシュに潜み、レク=サイの機先を制して追い返す。そのまま赤バフをウマウマするグラガス。両チーム、少ないアドバンテージをゆっくりと広げていくため、丁寧に試合を運んでいる印象だ。

開始13分。ミッド寄りのリバーにて集団戦。人数有利はDFMであったが、ファーストエンゲージを決めたのは、ミッド横のブッシュから飛び出したRPG Dara/アリスター。撤退と反転の判断に一瞬だけ逡巡してしまったDFMは、ここで2:1交換と差をつけられる。

開始15分。ドラゴンを取ったのはRPG。後から押し寄せたDFMに対して、RPG Paz/エコーがフェイントを仕掛けつつ、ブリンクで壁越え撤退とメリハリのついた動きを見せる。形勢が傾きそうな場面を引き分けで終わらせる大金星だ。

開始18分。DFMのミッドへの攻勢をフラッシュ1つでいなすRPG。RPGの守勢の判断がとにかく冴えわたっている。続く開始19分、4vs2を作り上げたのはRPG。DFMも的確に撤退したのだが、RPGはここでDFM viviD/ブラウムを1キルするためだけに、サモナースペルを計7枚も投入。しかし、この1キルにはその価値があるのだ。

開始20分を越え、RPGはドラゴンとタワーを1つずつ先取し、2,000G差の有利。さらにトップレーンでのこと、集団に囲まれたRPG Paz/エコーがUltを織り交ぜてのスーパープレイで相手を翻弄し、観客にその日1番の大歓声を上げさせる。最終的にはそれを許さなかったDFMが一枚上手に4人で囲み、エコーを落としたが、エコーに作られてしまった空気は厳しい。

開始22分。ドラゴン前での集団戦。RPGのドラゴン攻めに対し、ミッド側のリバーから攻めるDFM。そんな中、DFM Yutapon/ナーがドラゴン下のトライブッシュからの裏周りを敢行し、RPGの後衛を捉える。揉みくちゃの大乱闘に発展したが、Yutapon選手の裏攻めが功を奏したDFM、2:4交換に成功。ここにしてRPGとDFMの差がほぼイーブンに!

開始25分。青側の赤バフにて集団戦。先に仕掛けたDFMが1キルを奪い、続くミッドレーンでもDMF Hikari/シヴィアが孤立した相手を捉え、ついにはキル有利。ここでキルは7:8、タワーも一本差に詰め寄った。

一方、RPGは個人技を魅せつける。ブッシュに潜伏中、リサンドラから裏回りE→W→Qを受けてしまったRPG Tussle/グラガス。しかし、DFMからのフォーカスを絶妙にズラしてフラッシュで生還。さらにRPG、スキルを使い切っていたのを数えていたのか、少しだけ前に出ていたレク=サイを捉えて1キル。またもやキル差がイーブンに。観客に瞬きする暇が与えられない。

開始30分頃の状況。

最終試合にして、なんという名試合。ここに至るまでの丁寧なワーディングはぜひ参考にしたい。そして開始35分、バロン前に集まるRPG。DFMはけん制しつつ、集団の形を整えていったが、RPGはこれまでの力をすべてこの場面に集約したかのような大攻勢を見せ、ここにきて5:1交換を達成。DFMにエースを叩きつけた。

そのままバロン+エルダードラゴンを確保したRPGは、オブジェクト攻めに切り替える。対するDFMだが、両バフが消えるまで凌げればまだ逆転の目が見える。だが開始38分、RPGはミッド&ボットのサードタワー+インヒビターを取った。

LoLというゲームは一度差が付くと、相手を正攻法で追い返すことが難しい。それが頂点同士の戦いであればなおさらだ。開始40分。トップレーンで集団戦。RPGはDFMに対して1:3交換を果たし、残りでネクサスに臨む。ネクサスタワー1本、ネクサスタワー2本、そしてネクサスへ。

この瞬間、RPGは「LJL 2016 Summer Split Final」王者、ならびにIWCQ出場権を手にした。

見ているだけだったのに、なんていう疲労感。しかし、これがLoLというゲームであって、LJLという大会なのだ。

なお、今回勝ったRPGはここがゴールではない。今シーズンの日本王者であることには違いないが、RPGは続けて8月から9月にかけてブラジル・サンパウロにて開催される国際大会「International Wildcard Qualifier」に出場し、同じようにSummer Split Finalを勝ち抜いてきた世界中の代表チームと戦うこととなる。

そこで勝利したチームは、今年10月に開催される世界大会の頂点「World Championship(WCS)」への参加権が与えられる。まだまだ先は険しく、そして高いのがLoLの世界なのだ。それに、今後は敗退したDFMをはじめ、国内勢も打倒RPGに焦点を合わせてくる。何とも安っぽい言葉だが、それこそRampageの戦いはここからはじまるのだ。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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