【CEDEC 2016】映像酔いのメカニズムを解説!「VR酔いの軽減とその理解に向けて」をレポート

【CEDEC 2016】映像酔いのメカニズムを解説!「VR酔いの軽減とその理解に向けて」をレポート

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2016年8月26日にパシフィコ横浜にて開催された「CEDEC 2016」のセッション、「VR酔いの軽減とその理解に向けて」をレポートする。

10月に発売が予定されているPS VRを筆頭に、スマートフォンなどでも立体視を用いたゲームアプリが多数登場し、今年に入ってぐっとVRが身近になった。視覚装置を通じてどんな仮想体験ができるのか関心が高まると同時に、「映像酔い」に対して懸念を持つ人も多いのではないだろうか。

今回のセッションでは産業総合研究所の氏家弘裕氏、渡邊洋氏、そして新潟大学の板東武彦氏が、VRのような映像体験からプレイヤーが受ける影響や、映像酔い(VR酔い)とはなにかを分かりやすく解説。VRコンテンツの開発者だけでなく、プレイヤーにも知ってほしい情報が盛り込まれた講演をレポートする。

この講演のテーマである「映像酔い」とは、映像を視聴した際に乗り物酔いのような症状を発症した状態を指す。一人称視点のダイナミックな動きや、手ぶれなどの映像中の動きが主要な原因だ。

また訓練用シミュレータの使用後に平衡感覚に影響が与えられたケースも多数あり、ただ映像を見るというより、頭部運動や機器の操作、乗り物の操作などを伴う場合に酔いが生じやすいとも言われている。

VRに影響することは間違いないと思われる「映像酔い」だが、そもそもなぜ人は酔うのだろうか。この講演で氏家氏は「感覚不一致説」を用いて酔いのメカニズムを紐解いた。人間は身体の動きについて、過去の経験に基づく感覚情報を持っており、その予測を逸脱した時に酔いが生じるのだという。「映像酔い」に関して言えば、自分が動いているかのような視覚情報を得ているのに、実際の身体は止まっている為に酔いが生じているという訳だ。

さらに氏家氏は、酔いを引き起こしやすい動きを探るための「ヨー、ピッチ、ロールの分析」を解説。この実験は、映像中の動きを身体の3つの軸に対する回転や併進運動を分解してその影響を探るもので、特定の速度帯域で酔いが生じやすく、速度が遅すぎても早すぎても生じにくくなることが明らかになったという。

実際にヨー、ピッチ、ロールの動きをデモ体験すると、自分も回っているような感覚を覚える特定の速度があった。なお、このデモ映像に実際の映像を適用した「映像酔い評価システム」が作成され、さらに詳細な検証もされているそうだ。

これを踏まえた上で酔いを抑えつつ動きを出すための表現に、氏家氏は感覚の不一致とベクションの特性を生かした方法を提案した。ベクションとは、画面の動きに合わせて自分も動いているように感じる錯覚効果で、隣の電車が動き出すのを見ると、停車中の自分が乗っている電車も動き出したように感じるのと同じものだ。

VRに欠かせない効果のベクションは感覚の不一致が小さいほど知覚しやすいという特性がある。そこで、先ほどのヨー、ピッチ、ロールの動きで不一致の程度を比べると、ヨー軸回りの回転は、ほかの2つに比べて程度が小さいことが明らかになった(図を参照)。さらに、視野サイズが大きいとき、ヨー回転はベクションが生じやすいという特徴も合わせれば、自ずと酔いを抑えたVR表現が導き出されるだろう。

続いて渡邊氏が登壇し「VIMS(映像酔い)を低減する動き予告」と題した講義を展開。渡邊氏は映像が持つ酔い成分を「能動性」「視点」「加速度」の3つに分類した上で、「プレイヤーが次どうなるか予測できるかどうか」にポイントを絞り受動的かつ一人称視点、等速運動あるいは加速運動というテーマで3つの実験を行った。

1つ目と2つ目は花畑と空中を移動するシミュレータを用いて、花畑には道、空中には先導者があるかないかで酔いの主観評価がどう変化するかを実験したもので、いずれもないほうが酔うという結果が見えた。

3つ目は柱の間を進んでいくシミュレータで、加速度の位置を予告するか否かでプレイヤーの副交感神経に影響を与えるか(興奮するか)という実験。こちらも予告をしなかった時の方が興奮するという結果が出た。

渡邊氏は上記3つの映像表現を酔いが低減させる効果のあるものとした上で、ゲームの中で移動するという当たり前の状況で“プレイヤーの脳は何をしているのか”を考えることが大事だと解説。現実・VRを問わず、その作業の予測ができれば酔いは避けられるので「予測」と「評価」という中枢神経系の大原則に則したUIを構築するべきだとした。

最後に板東氏から、「感覚不一致説」の基準となる人の空間認識や方向感覚が決定づけられるメカニズムが解説された。人間は生まれてから周囲の環境や視覚・聴覚・その他の感覚体験により構成されていくが、環境も身体も常に変化を続けるので絶えずキャリブレーションを行い脳内イメージと現実を照合していく必要があるという。

さらに坂東氏はVR体験の課題と言える「映像酔い」について、小さな子どもが使用した際に視力に差が生じる可能性などユーザー側に対する警告を行うとともに、鮮明な映像の表現や、映像の揺れを防ぐなどクリエイターに対しての注意喚起を行っていくことが必要だとまとめた。

VRは今までにないゲームへの没入感が得られる次世代のコンテンツだが、単純に視覚にのみ作用するものではないということが今回のセッションから学ぶことができた。今後、ますます活性化されることが予想されるだけに、開発者とプレイヤーの両方に安全で快適なVR体験を心がけてほしいと思う。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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