千葉・幕張メッセにて9月15日より開催中の「東京ゲームショウ2016」。本稿ではイベント期間中に実施した、PS4用ソフト「仁王」のディレクター・早矢仕洋介氏へのインタビューを紹介する。

「仁王」は、「戦国死にゲー」と呼ばれる緊張感と高い達成感が得られるダーク戦国アクションRPG。最初の発表から約10年という歳月を経ていよいよ発売される本作は、これまでにα体験版、β体験版を通して世界中の多くのファンがプレイしてきた。その中で届いた意見を製品版に反映するという開発スタイルをとってきたタイトルだ。

今回は東京ゲームショウ2016の期間中、本作のディレクターを務める早矢仕洋介氏にインタビューする機会が得られた。TGSでの発表内容はもちろん、製品版完成までの道のりなど気になるポイントを質問してきたのでぜひ読み進めてほしい。

製品版はβ体験版からさらに良くなる

――先日β体験版の配信が行われましたが、ユーザーからの反響はいかがですか?

早矢仕氏:α体験版を4月に配信して、そこでいただいたご意見を極力反映したのがβ体験版です。そのおかげもあってか非常にポジティブで、高い評価をしてもらっている印象です。「仁王」は楽しみにしている方々を待たせてしまっているタイトルですが、ユーザーさんとともに作ることができたかと思います。もちろん、β体験版でも「もっと修正してほしい」と言われている箇所はまだまだあります。そこは製品版の段階でしっかりと対応してお出ししたいです。

――ということは、製品版ではさらに修正や改善が加わると。

早矢仕氏:もちろんです。先日配信したのは完成形の体験版ではなく、あくまでもβ体験版です。βと付けたのは、さらに良いものになるという決意表明でもあるので、楽しみにしてください。

――α体験版からの修正はかなり多岐にわたりましたが、特に注意したところはありますか?

早矢仕氏:特に操作性に関しては厳しい意見が多かったので、そこはしっかりと改善しようと意識しました。しかし操作性に手を加えすぎると、簡単になってゲームのコンセプトが崩れる可能性もあります。例え落命しても自分のせいであって、操作性のせいではないと思えるゲームにしようと考えており、β体験版ではそれがしっかり伝わったかなと、今は思っています。

――ユーザーからの意見を反映すると言っても、すべてを詰め込んだら破綻する危険性もありますからね。そういう意味では、早矢仕さんにとってどんな意見があっても外さない、芯となる部分はあったのですか?

早矢仕氏:システム面で言えばやはり気力ですね。気力は攻撃するたびに減って、0になるとしばらくアクションできなくなります。ないほうがいつでも攻撃できるのですが、私たちとしては侍のゲームを作りたかったんですよ。

――侍のゲーム、というと?

早矢仕氏:侍って、ただ斬るだけではなく、じりじりと間合いを詰めるなど、静と動のコントラストが格好良さにつながっていると思うんです。これを実現するためには気力は絶対に必要でしたし、絶対に活かさなければいけないと考えていました。

――なるほど。スタッフ間でどの意見を反映するか、あるいは当初のままでいくかという議論もあったのではないでしょうか。

早矢仕氏:確かに議論はたくさんありましたね。なので先ほど話した、「落命したら自分のせいだと思ってもらえるゲーム」を大前提にしようと、スタッフの間で意思統一して、そこから磨くことにしました。

――個人的には、装備品の耐久度を廃止したのは驚きました。

早矢仕氏:耐久度はもともと、手に入れた武器を付け替えるゲームにしようと考えて導入したシステムでした。しかしα体験版ではユーザーの皆さんに過剰なストレスになってしまったのです。その結果、私たちとしてはいろいろな武器を使ってほしいのに、ユーザーさんは武器を大切に温存する状況が生まれました。

そこで武器を使い込むと潜在能力が上がる愛用度を採用することにしたのです。これにより、「良い武器が手に入ったけど今の武器も強くなってきたし…」というポジティブな迷い方に変わると考えています。製品版もこちらの方向性でいきます。

――確かにα体験版では、武器を使い捨てる感覚がありました。

早矢仕氏:日本には物を大事にする文化がありますし、世界観にも合っていると思います。

――どうしても日本国内での意見に目がいきがちですが、海外ではまた違った意見があったのでしょうか?

早矢仕氏:ゲームの修正してほしいポイントとしては、実は日本も海外もあまり差はありませんでした。ですからフィードバックを反映すること自体はスムーズにいきましたし、海外のユーザーさんからも、β体験版は良い評価をいただいています。

――そういえば、ローカライズ言語もかなり多いという話でしたよね。ローカライズに力を入れることは最初から決まっていたのですか?

早矢仕氏:そうですね。「仁王」をワールドワイドで楽しんでもらう作品にすることは、開発初期のころから目標としてあったものです。日本が題材のゲームですけど、ゲームプレイは万国共通で楽しんでもらえると思います。逆に日本を知ってもらうきっかけになったら嬉しいですね。

――TGS 2016のPVではいきなり海坊主が現れていますが、あれはゲーム中で実際に戦えるのでしょうか?

早矢仕氏:かなり巨大な妖怪ですけど、戦えます。ゲーム内には海坊主に限らず、巨大な妖怪もたくさん出てくるので楽しみにしてほしいです。またボスによっては特別なシチュエーションで戦えるものも存在します。まだ詳しくはお話できませんが、楽しんでいただけるのではないでしょうか。

――出現する妖怪のバリエーションについてはいかがですか?

早矢仕氏:妖怪にあまり詳しくない人でも楽しめるよう、メジャーなところも多数登場します。β体験版に出てきた塗壁もそうですし、TGS 2016の試遊バージョンでは一反木綿も出てきます。逆に各地方の伝承にしか存在しない妖怪も取り入れています。知らない妖怪が出てきたら、そのルーツを調べてみるのも面白いかもしれません。

――新しいステージとして本能寺が出てきましたが、これ以外にも歴史上の有名なスポットは登場するのですか?

早矢仕氏:はい。体験版は九州が舞台となり、今回は本能寺と、徐々に東に進んできているんです。最後はどこへ行き着くかというのも注目してもらいたいです。

――一体どんなストーリーが展開するかも気になるところです。

早矢仕氏:ストーリーの根幹には、戦国という激動の時代の裏側で主人公のウィリアムがどんな活躍をしていたのか…というものがあります。戦国時代が好きな人は史実を絡めながら、ファンタジーの部分も楽しんでいただけると思います。まだお見せしていない武将もいますし、ウィリアムとの掛け合いというのも、面白いものになりますよ。

――キャラクターでは徳川家康を演じる市村正親さん、お勝役の武井咲さんといったキャストも話題になりました。

早矢仕氏:それだけ市村さん、武井さんが演じる人物が重要な存在ということですね。「仁王」は「戦国死にゲー」であると同時に、戦国を舞台にしたドラマでもあります。ユーザーさんの中にもドラマに期待する人は多いですし、ここもぜひ力を入れたいと考えお二人を起用しました。このおかげで、ストーリーの部分でも凄みを出せたかなと思っています。

――映像を見ていたら、顔までそっくりで驚きました。

早矢仕氏:ですよね(笑)。特に徳川家康は多くの兵を従える武将としての威厳を表現したいと考えていました。そのためには役者さんのオーラが必要だったのです。表情だけでなく声にも威圧感がありゲームに合っています。武井さんも妖艶だけど芯がある素晴らしい演技を見せてくれるので、イベントシーンはスキップせずに見てもらいたいですね。

――今回はTeam NINJAだけでなく、鯉沼さんやシブサワさんをはじめとしたコーエー側の方々も開発に参加していると思います。コーエー側のスタッフから感じる、戦国ゲームへのこだわりはありましたか?

早矢仕氏:やはり戦国武将に対する造詣がすごくて、ストーリーに対しても一言一句チェックしてもらっています。純粋に戦国時代が好きという人にとっても、納得できる作品になると感じています。

――ちなみに、先日「無双☆スターズ」が発表されましたが、これに「仁王」のキャラクターが登場する可能性は…。

早矢仕氏:うーん…それは知りません!(笑)

――ははは(笑)。それでは最後に、ファンへ向けてのメッセージがあればお願いします。

早矢仕氏:今回のTGS 2016には最新のバージョンを用意していますので、α体験版、β体験版をプレイした方にもぜひチャレンジしていただきたいです。またこれまで触ったことのない方でも、気持ちよく死ねる体験ができると思います。缶バッジのプレゼントもあるので、ぜひお越しください!

――ありがとうございました!

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(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

※画面は開発中のものです。

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