コーエーテクモゲームスより2017年3月30日に発売となるPS4/PS Vita用ソフト「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣」。ゲーム序盤のプレイを通して筆者が感じた、“表現”の魅力について紹介していきます。

目次
  1. 日菜子という少女が持つ危うさと、少女たちとのつながり
  2. “汚れ”の表現にこだわった現実空間とそれを映し出すカメラの存在
  3. シンプルで奥深いバトル性
  4. 「BLUE REFLECTION」から垣間見えるコミュニケーションのあり方

「BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣(以下、BLUE REFLECTION)」は、人間の本質・絆をテーマとした、少女たちの等身大の青春を描く“ヒロイックRPG”。岸田メル氏がキャラクターデザインおよび監修を担当、シリーズ構成には時雨沢恵一氏、五十嵐雄策氏、夏海公司氏を起用しており、現代の学園と美少女とファンタジーが融合したストーリーが展開していきます。

これまでの情報を通じて、おおよそのゲーム内容は見えてきているのではないかと思いますが、それらの要素が組み合わさったときに生まれる、本作の魅力とは一体何なのでしょうか。ここでは、実際にゲームの序盤をプレイした筆者の視点から、「BLUE REFLECTION」という作品に迫っていきたいと思います。

日菜子という少女が持つ危うさと、少女たちとのつながり

ゲームをプレイした当初から、私は本作の主人公である白井日菜子(CV:高田憂希)が持つ、未成熟な少女ゆえの不安定さを感じていました。

日菜子は足の怪我の後遺症によって、自身の生きがいでもあったバレエを踊れなくなってしまっています。その未練を胸に抱えたまま、怪我の影響もあって、一足遅れての初登校の日から本作の物語はスタートします。

冒頭の日菜子に感じるのは、現状に対しての無気力と、その上で見える危うさです。彼女自身がバレエを中心とした生活を送っていたことは後々の会話を通しても窺えるのですが、そのバレエに対する気持ちが未だに強いこともあってか、他人にあまり介入せず、ひとり思考に没頭するような瞬間を目にします。そして、他人と話す際にも思わず激昂して声を荒げてしまう場面も…。

物語が進むことで、日菜子はリフレクターとしてともに戦うことになる司城夕月・司城来夢の姉妹をはじめ、さまざまなキャラクターたちと関わることになります。そうした人々とのつながりの中でいろいろな感情を呼び起こしていく様は、まさに1人の少女が日常を通じて成長していく姿を描いています。

もちろん、日菜子以外の少女たちもそれぞれに悩みを抱えており、時には暴走してしまうことも…。リフレクターとして少女たちの抱える問題を解決するため、日菜子は「コモン」と呼ばれる異世界へと移動(リープ)し、彼女たちの想いの欠片であるエーテルフラグメント(以下、フラグメント)を回収することを目指します。

フラグメントを回収するためには、対象となる少女が抱いている感情を理解し、共感することが必要。その内容は、日菜子自身の悩みに直結するものから他愛のないものまでさまざまですが、共通しているのは本人にとっては大きな事柄であるということ。そこに寄り添っていく中で日菜子は自身の感情を整理していくことになります。

こうしたジュブナイルを想起させるストーリーの描き方は、ゲームで表現されることが非常に珍しく感じられます。その一因として表現がチープになってしまうことが挙げられますが、本作ではそのあたりにもとても誠実なアプローチが行われています。それが次項で触れる映像表現です。

“汚れ”の表現にこだわった現実空間とそれを映し出すカメラの存在

私はゲームの冒頭からこの作品の世界観に惹き込まれました。それは初登校のシーンでの日菜子を遠くから映し出すカメラワークだったり、教室で挨拶をするときに映し出される黒板だったり…。これだけだと何を言っているのかわかりづらいかと思いますので、順を追って紹介します。

まず黒板を見て何に気がついたかといえば、黒板の“汚れ”です。学生生活を送る日々の記憶を掘り返すといくつか印象的な風景があると思うのですが、私の場合は黒板についているチョークの跡が妙に印象に残っています。

今作で面白いのは、そうした“汚れ”の描写が随所に見受けられること。塗装が剥がれた壁や雑多と物が置かれた木のロッカーなど、実在感を感じさせるモチーフの数々がリアリティを感じさせます。ここに影の表現が加わることで、本作ならではの空間が生まれています。

一方で、人間の集合的無意識が具現化した空間であるコモンは、どこか作り物めいた綺麗さを醸し出しており、現実世界との明確な表現の変化を感じることができます。コモンには異なる複数の空間が用意されているため、ストーリーを進めていく中で見ることのできるコモンのバリエーションにも注目です。

そしてもう一点、これは従来のガストブランドタイトルとの比較にもなるのですが、本作では被写体の捉え方と被写界深度の調整などのカメラワークに、より明確な意識づけがされているように思います。

さまざまなアングルのカメラを駆使することで、人物ではなく空間を映し出すような感覚を覚えました。単純な位置関係としての表現だけでなく、例えば特定のキャラクターにフォーカスするシーンでは被写界深度が深くなったりと、一つのシーンの意味付けが濃密です。

従来、ゲームにおけるイベントシーンはどうしても流して読み進めてしまうものという感覚はありましたが、本作に関して言えば、映像表現としてのアプローチを持ちつつも、それが冗長にならないバランスで構築されているように思います。何よりも、岸田メル氏のキャラクターデザインから高精細に表現されたキャラクターモデルが確かな説得力を持っていることで、二次元としてのキャラクターらしさを残しつつ、作品の持つ空間に溶け込んでいることが大きいのではないでしょうか。

余談ですが、変身シーンも一見の価値アリです。この先はぜひ自身の目で確かめてみてもらえればと。

シンプルで奥深いバトル性

上記の要素について語るだけでもまだまだ言葉が足りないのですが、なかなかクローズアップされづらい本作のバトルも、実際に遊んでみると面白いと感じる点が多かったので紹介していきます。

本作ではさまざまなコマンドを駆使して戦うターン制のバトルとなっており、行動順は画面上部にあるタイムラインの順番に沿って決まっていきます。左側が自分たち、右側が魔物ならびに原種の行動を示していて、先に中央にたどり着いたほうから順番に行動します。

行動する際には、攻撃スキルを繰り出す“アタック”、回復・支援スキルを使う“サポート”を主に選択していくのですが、基本となる攻撃を除いて、すべてのスキルでMPを消費します。この情報だけだとフィールドの探索を通してのMPの管理が面倒に感じるかもしれませんが、基本的には1回の戦闘ごとにHP・MPの減少はリセットされるので、スキルを積極的に使ったテンポ感のあるバトルが楽しめます。

加えて、本作ではリフレクターの力の源となる感情のエネルギー“エーテル”というステータスが用意されています。エーテルは画面左下のパーセンテージで表示されており、“エーテルチャージ”というコマンドで溜めることができます。その恩恵については後述しますが、エーテルチャージにはMPを回復する効果もあるので、長期戦になった時には活用していきましょう。

そして、本作における戦闘の醍醐味といえばやはり原種との戦いですが、そこではエーテルの活用は不可欠。その最たる要素が、エーテルを一定量消費すると発動する“オーバードライブ”です。オーバードライブ中は指定の回数だけ、複数のスキルを連続で使用でき、2つ目以降のスキルは効果が強化されるとともに、MPの消費量も減少します。原種のHPを確実に、そして素早く削っていくために使いどころを見極めつつ発動しましょう。

また今回のプレイでは直接恩恵を受けることはなかったのですが、ためたエーテルは味方全員のHPやMPを回復する“リカバリー”や、敵の攻撃を軽減する“ガード”などのアクティブコマンドにも使うことができます。さらに原種戦では仲間となったキャラクターたちがサポートしてくれる点も心強いです。

このようにゲームが進むごとにできることは増えていきますが、シンプルに敵のHPを0にすることだけを目指していれば十分にクリアできる難易度です。レベルアップによって日菜子たちのステータスも上がっていきますので、徐々に慣れながらバトルの楽しさを感じてもらうのが一番ではないでしょうか。

「BLUE REFLECTION」から垣間見えるコミュニケーションのあり方

いくつかの要素をかいつまんでの紹介となりましたが、いかがだったでしょうか。これまでに触れた以外にも、日常生活でのイベントの数々や日菜子のちょっとした一言、効果的な音楽の使い方など、作品に散りばめられたパーツをこれでもかと感じる作品に仕上がっているように感じます。

その中で一点だけ、私が考える「BLUE REFLECTION」の魅力を体現している要素として、「フリスペ!」を紹介したいと思います。これは作中のスマートフォンにダウンロードされたコミュニケーションアプリで、日菜子はそれを用いてフレンドとのテーブルチャットや、収録されている放置系の育成アプリを楽しんだりします。

このシステムは一見すると、現代社会におけるコミュニケーション手段の表れになると思いますが、本作における「フリスペ!」の立ち位置は、あくまでも彼女たちのつながりを補佐するものでしかないと私自身は考えます。彼女たちは学園という場所で出会い、そこでお互いの悩みを通じて共感しあい、その上でつながっていく、その過程をぜひゲーム内で確かめてほしいと思います。

BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣

コーエーテクモゲームス

PS4ダウンロード

  • 発売日:2017年3月30日
  • 15歳以上対象

BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣

コーエーテクモゲームス

PSVitaダウンロード

  • 発売日:2017年3月30日
  • 15歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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