カプコンは、「モンスターハンター頂上大会2017東京地区大会」を、4月23日に東京・アキバスクエアにて開催した。各大会の熱戦の模様をレポートする。

目次
  1. 女子ハンター日本一決定戦では、両チームが苦戦する波乱の幕開けに
  2. 「MHST」エリア絆王決定戦では、まさかのリアル夫婦対決が!?
  3. 狩王決定戦では、凄腕ハンター達のスーパープレイの数々に会場も釘付けに
  4. 辻本良三氏・小嶋慎太郎氏のコメント

「モンスターハンター頂上大会」は、「モンスターハンター」シリーズにおける最強のハンターを決定するべく、全国各地で開催される公式大会だ。

東京会場では、各種展示のほか、「モンスターハンターダブルクロス(以下、MHXX)」の狩王決定戦・親子ハンター日本一決定戦・女子ハンター日本一決定戦、「モンスターハンター ストーリーズ(以下、MHST)」のエリア絆王決定戦といった種目が行われていた。ここでは、それらの種目の決勝戦の模様を中心にお届けしていく。

会場では、「モンスターハンター」シリーズに関連したさまざまなグッズや、「MHXX」でメインモンスターを務めるバルファルク装備の展示が行われていた。

女子ハンター日本一決定戦では、両チームが苦戦する波乱の幕開けに

まずハンター日本一決定戦・女子ハンター日本一決定戦では、予選クエストを1、2位の好功績で通過したチーム同士が激突することに。

先に行われた親子ハンター日本一決定戦は、オトモアイルーを操作できるニャンタークエストでブラキディオス1頭の狩猟を目指すという、他の種目とは一風変わったレギュレーションでの対決となった。

決勝に進出した「ビリビリ」チームと「ポリタン」チームは、ともにブーメランを主なダメージ源とした構成。チームともに、ブラキディオスの連続攻撃を見事に回避しながら、順調にダメージを与えていくも、リードしたのは「ビリビリ」チーム。

落とし穴で身動きの取れなくなっているブラキディオスに、使いこなすのが難しいメガブーメランを根元からフルヒットさせ大きく体力を削り取ったかと思うと、あっという間に討伐完了。そこから少し遅れて「ポリタン」チームもクリアするも、3分23秒60という好タイムを叩き出した「ビリビリ」チームが、いち早く決勝大会への進出を決めた。

一方、紅兜アオアシラ1頭の討伐クエストに挑む女子ハンター日本一決定戦は、「金糸雀」チームと、「俺の先輩ティガレックス」チームの対決。「金糸雀」チームが大剣&片手剣、「俺の先輩ティガレックスチーム」がチャージアックス&ヘビィボウガンという、それぞれまったく異なる戦闘スタイルをチョイスした両チームだったが、開始早々にともに1落ちしてしまうという波乱の幕開けに。

先に落ち着きを取り戻したのは「俺の先輩ティガレックス」チームで、チャージアックスの乗り攻撃でダウンを奪ったところに、ヘビィボウガンが的確に頭部を撃ち抜く連携で、3分12秒36という早さでのクリアに成功。開幕でペースを乱してしまった「金糸雀」チームは、焦りから本来の実力を取り戻せず惜しくもタイムアップとなってしまったものの、紅兜アオアシラの攻撃に合わせて脇の下を抜ける鮮やかな回避を連発し、開発陣も舌を巻いていたほどのプレイングを披露していた。

「MHST」エリア絆王決定戦では、まさかのリアル夫婦対決が!?

続いて行われたのが、「MHST」のエリア絆王決定戦。RPGである本作の対戦では、大会に合わせたオトモンの育成と相手の行動を二手三手と先読みする頭脳戦が見所となっており、これまでの大会とは一味違う内容となっていた。

準決勝では、強力な先制攻撃でライフを削り、かのんたま。選手に対し優位に立ったクライド選手。根性の効果でHPが1残ることを想定し、大タル爆弾による追撃で一気に勝負を決めていた。
しゃぺ選手は、大タル爆弾に加えて、「毒」「やけど」での追撃ダメージを含めた状態異常を使いこなし、hide選手を圧倒しての完勝。トリッキーな戦術での鮮やかな勝利に、大きなどよめきが上がっていた。

対人戦で有効なHPを1だけ残すスキル「根性」への対策として、固定ダメージを与える大タル爆弾での追撃を決める戦術で勝利を収め、4人のライダーによる決勝トーナメントを勝ち抜いたのは、クライド選手としゃぺ選手。

やや似通った戦術をとっていた両選手だったが、実はその関係がリアルな夫婦であったことが判明し、開発陣・客席ともに騒然となる。戦略からオトモンの編成まで、互いのことを誰よりも知るであろう夫婦同士の対決が決勝戦で実現するというドラマの筋書きのような展開に、会場全体が大盛り上がりとなっていた。

その会場の熱気に答えるかのように、開幕早々にクライド選手のキリンが先制攻撃でしゃぺ選手のライフを削ったかと思いきや、次のターンにはしゃぺ選手側がティガレックスの攻撃から大タル爆弾へとつなぐ得意の連携を決め、状況をイーブンに。

さらにその次ターンには、クライド選手がキリン亜種、しゃぺ選手がロアルドロス亜種へと、互いにオトモンを入れ替えて行われた攻撃でライフを1ずつ失い、ともに残すライフは1のみという一進一退の攻防が繰り広げられる。

それぞれ後がない状況の中、先手をとったのはクライド選手のディノバルドだ。放たれた「フレアチャクラム」がしゃぺ選手側のライダーへと炸裂。HPが減っていたしゃぺ選手のライダーは持ちこたえることができず、ここで試合終了。割れんばかりの大歓声が上がる中、クライド選手が夫としての意地を見せ、夫婦対決を制した。

優勝・準優勝の賞品として両者に贈られたのは、本大会のために作られたという、リュートの乗る金のリオレイアと、シュヴァルの乗る銀のリオレイアの特別なamiibo。シリーズファンからは、リオ夫婦として知られるレウスとレイアが、現実の夫婦の手に渡るという驚きの結末となった。

狩王決定戦では、凄腕ハンター達のスーパープレイの数々に会場も釘付けに

最後に行われたのが、最強のハンターを決する「MHXX」の狩王決定戦。決勝大会への出場権を賭けてハンター達が挑戦するのは、黒炎王リオレウス1頭を7分以内に討伐するというクエスト。だが厳しい予選を勝ち抜いてきた凄腕のハンター達にとっては、制限時間は問題にもならなかったようで、わずか2分足らずのクリアタイムを連発し、会場の度肝を抜くことに。

その決勝戦に進出したほとんどのチームに共通して言えるのが、ヘヴィボウガンの採用率の高さで、中にはチームの両方がヘヴィボウガンという構成も見られたほど。タイムアタックでの重要性が高い落とし穴+閃光弾という便利なアイテムを合わせもっていることもあり、多くのチームがリオレウスを罠に嵌めて動けなくしたところに、ヘヴィボウガンが最適な射撃位置に移動し、貫通弾による複数部位ヒットでの大ダメージを与えるという戦術を採用していた。

また装備に睡眠属性がついており、大タル爆弾も所持している操虫棍、空中の黒炎王リオレウスに対して攻撃がしやすく、常に高いダメージが見込める双剣もついで採用率が高く、ヘヴィボウガンとの華麗な連携により、本来強力なモンスターであるはずの黒炎王リオレウスが、ほぼ何もさせてもらえないまま討伐されることに。

中でも予選を1位で通過した優勝候補の筆頭「鈴天GX」チームは、へヴィボウガンと双剣のコンビで一際鮮やかかつムダのない動きを披露し、出場チーム中唯一の2分切り、1分53秒21という圧倒的なタイムでのクリアに成功。上位4チームとともに、6月25日に開催が予定される決勝大会への出場切符を手に入れていた。

なお、決勝に進出する5チームとそのクリアタイムは以下の通りだ。

1位:鈴天GX(1分53秒21)
2位:Unshakable(2分1秒20)
3位:しゅうしをくらうもの(2分6秒85)
4位:JUVES(2分7秒68)
決勝大会進出:狩*狩(1分56秒36)

※狩*狩チームは再計測の上、クリアタイム2位相当として認定。詳しくは「モンスターハンター頂上大会2017」公式サイト(http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/championship/)を参照。

「鈴天GX」のプレイでは、普段はモンスターに対してはあまり使われることのないキックが繰り出された一幕も。大会終了後、あのキックにはどういう意図があったのか質問を受けた「鈴天GX」によると、「あれは相方とのタイミングを合わせながらダメージを1稼ぐ、とても重要なキックなんです」とのこと。

6月25日に開催される決勝大会では、今回の激戦をくぐり抜けた東京大会の面々に加えて、4月30日に行われる名古屋地区大会をはじめとした、地区大会を勝ち抜いた強豪たちが集結。最強のハンターの座をかけ、さらにハイレベルな熱戦が繰り広げられることになることは間違いない。

また本大会終了後には、数々の「モンスターハンター」シリーズを手がけてきた辻本良三氏・藤岡要氏の両名に、本大会に関するコメントもいただくことができたので、合わせて掲載する。

辻本良三氏・小嶋慎太郎氏のコメント

――本日の大会の終えてのご感想をお願いします。

辻本良三氏:(以下、辻本氏):まず「MHXX」ではすごい人たちが集まって、凄まじいプレイをしっかり見せてくれたと思います。「MHST」は大規模な大会は今回が初めてだったのですが、決勝戦では夫婦同士の対戦という非常に盛り上がる形で終えることもでき、今後も楽しみです。

小嶋慎太郎氏:(以下、小嶋氏):「MHXX」が発売されてから一ヶ月ほど経っての大会となりましたが、既に新しい狩技とスタイルの方も活用していただき、参加者の方々の練習のあとが非常によく見えたかなと。今後の大会に向けても期待しかないです!

――今回のイベントでも登壇されていた、「MHXX」プランナーの土谷昇氏は元“狩王”の実績を持つ方でもあります。

辻本氏:こういうことも起こりうるということですね。土谷くんの場合、狩王を引退したあとカプコンを受けにきてくれて。ゲームを作るスキルが潜在的にありそうだなと思っていたのですが、実際にプランナーとしてその才能を発揮してくれています。

小嶋氏:「モンスターハンター」シリーズが生まれて13年が経ち、そうした人たちも出てくるようになって、ちょっと歴史を感じますよね。お互い歳を取ったなと思います(笑)。

――大会に参加された方々のプレイには、開発側の想定外のものも多かったのでしょうか?

辻本氏:最終的には、「理論上はいけるはず」と一応想定していた方向性に落ち着くことが多いのですが、大会に参加される方々の作戦は、始まるまで僕らにもまったく分からないんです。そうした作戦を自分たちだけで考えて本番で発揮しているわけですから、僕らにとっては驚きの連続ですね。

小嶋氏:想定外というよりは、想定を超えるものが多いかもしれないですね。ある程度の組み立て方はこちらでも想定しているのですが、そこからさらに突き詰めて、最速を実現するために、一歩間違えれば大きなタイムロスになるようなリスクも負った行動を組み込んだり……本番でそれを成功させるには凄まじい練習が必要なわけですから、本当にすばらしいと思います。

――さまざまなプレイがあったと思うのですが、大会を通して特に印象に残ったシーンはありましたか?

辻本氏:ステージ上でも少しお話しましたが、僕はやっぱり狩王決定戦で「鈴天GX」が蹴り(キック)を入れた瞬間ですね。「タイミングを合わせるためか、1ダメージを稼ぐためか」という予想をして、結果的に両方だったという回答でしたが、こうしたレベルの大会では、戦術を突き詰めていくほどミスが許されなくなってくるんです。このモーションから流した方がタイミングがズレにくいとか、そうした細かい所まで全部考えて、ああいう行動に繋がってくるんですよね。

小嶋氏:僕は「MHST」のエリア絆王決定戦で、勝利した瞬間のクライド選手の表情です(笑)。夫婦の戦いそのものも面白かったのですが、喜びでも安堵でもない、なんとも表現しがたい表情をされていて。あの裏側はどんな感情が含まれていたのか、後から聞いてみたかったですね。今回はそうしたドラマ部分も見所になっていたかと思います。

――近年ではe-Sportsが大きな盛り上がりを見せていますが、「モンスターハンター」シリーズとしても実感はありますか?

辻本氏:それは感じますね。e-Sportsという言葉を耳にする機会も増えましたし、僕らもずっと前から大会を開いていますが、ゲームが上手い人は見ていてもカッコいいし、すごいということを分かってもらいたいと思っていて。アクションゲームはスポーツ観戦的な要素も強く、例えばサッカー選手のボールの蹴り方を見て自分も真似してみる、という方もいると思うのですが、ゲームの大会にも通じる部分があるのではないかなと。

――最後に、今後開催される決勝大会に向けての意気込みをお願いします。

小嶋氏:この会場もそうでしたが、大会では毎回違う会場でそれぞれのドラマと新しい戦術が生まれていて、僕ら自身も見ていて楽しいです。他の会場の大会も絶対おもしろい内容になると思うので、期待していてください。

辻本氏:この後は5会場で大会が行なわれる予定ですが、大会が開けるかどうかは、参加してくださるプレイヤーの参加者数と、そのプレイヤーの方々がどの程度真剣にゲームをプレイしていただいているかに掛かっています。その点「モンスターハンター」では、たくさんのプレイヤーの方々に、大会のため何百時間という練習の時間を割いていただいています。今後開催される各会場でも、そうした熱意あるプレイヤーの方々が大会に出てくださるのを楽しみにしていますし、今日の大会に出てくれた方、また現在大会に向けた練習してくださっている方々に対してもお礼を言いたいです。それぞれのベストなプレイができるよう、期待しています!

――ありがとうございました。

モンスターハンターダブルクロス

カプコン

3DSダウンロード

  • 発売日:2017年3月18日
  • 15歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

関連ワード
  • エンタメ