2017年4月の大阪公演を大盛況のうちに終えた「人形達ノ記憶 NieR Music Concert」の東京公演が、5月4日、5日と東京のよみうりホールで開催された。ここでは5月4日の昼の部の模様をお届けする。
会場の様子を紹介
会場に入ってまず我々を出迎えたのは、素晴らしい展示の数々。美しいビジュアルアートたちが、ファンの目を楽しませてくれた。
フィギュア化が決定している9Sの原型展示もあり。こちらは今冬発売予定となっている。実際に原型を目にすると、細部のディティールにまでこだわられているのがわかる。A2はまだ原型がなくフィギュア化決定の報せのみだが、こちらも発売が待ち遠しい。
そして一際目を引いたのは、スタンドの御祝花だ。ファン一同から贈られた御祝花には、「NieR:Automata」に登場する武器「白の契約」が。会場に訪れたファンたちも、想いが篭もった花を食い入るように見つめていた。
次に驚いたのは、会場に居た女性客の多さである。あくまで目測ではあるが、女性客が6~7割ほどと、かなり多めに見えた。そして年齢層も男女ともにかなり多岐に渡っており、この作品が幅広い層に支持されているのがよくわかる。
「2B、もっと楽しく」「無理」。安元さんと石川さんのゲームさながらの前説が楽しい!
コンサートやイベントで公演前に必ず行われる諸注意のアナウンスは、2B役の石川由依さんとポッド042役の安元洋貴さんの二人で行われた。
いかにも2Bとポッド042らしいやりとりで、撮影禁止や録画録音の禁止の案内が。そして2Bの「万が一違反した場合には、自我データを消去する」のセリフには、会場からどっと笑い声があがった。
「今日は楽しいイベントなのだから、もっと楽しそうに」と告げるポッド042に、「無理」といつもらしく簡素に返す2Bなど、ゲームさながらのシーンが繰り広げられる、大変に心和む(?)諸注意アナウンスとなった。
まずは演奏曲の模様をレポート!
このコンサートは、曲の演奏と朗読劇が交互に行われているのだが、朗読劇の内容についてはネタバレになってしまうため、演奏された曲たちについて紹介しよう。
出演者はエミ・エヴァンスさん、ジュニーク・ニコールさん、河野万里奈さんのヴォーカリスト三名と、ピアノは帆足圭吾氏(MONACA)、ギター後藤貴徳氏、土屋玲子カルテットの四名という、ゲーム音楽のコンサートにしては比較的小編成なコンサート。
大半の曲で、「NieR」シリーズの楽曲の作成もしている帆足氏の、柔らかなピアノソロから入るアレンジが多く見受けられた。
まずステージには「NieR」シリーズのミュージックディレクターである作曲家の岡部啓一氏が黒のタキシード姿で登壇し、「みなさん、カジュアルな気持ちで楽しんでいってくださいね」と笑顔で語った。
1曲目は「遺サレタ場所」。ステージには「NieR:Automata」から歌姫の一人として参加したジュニークさんが、黒いドレスに身を包み登場。ピアノの音からゆっくりと盛り上がっていき、そして廃墟都市の映像と共にジュニークさんの厚みのある歌声が会場を包み込むように響く。
まさにゲームをスタートして初めて廃墟都市に降り立った時と同じような、「これからどんなことが待ち構えているんだろう」という気持ちになるスタートだった。
2曲目は「遊園施設」。ステージには、「NieR」ファンにはおなじみのエミさんが登場。青いドレスがステージの上で際立ち、ただそこに立つだけでファンの目を集める、さすがは「NieR」シリーズきっての歌姫だ。
「遊園施設」はファンの間でも人気が高い曲だけあり、こうして生で聴けることに早速筆者の目からは涙が。いくらなんでも泣くのは早いと思いながらも、「NieR」の音の世界は今回もただただ美しく、そして儚かった。
続いてジュニークさんが「砂塵ノ記憶」を、4曲目はエミさんが「穏ヤカナ眠リ」を披露。
五曲目は「美シキ歌」。遊園地のボスである「ボーヴォワール」戦で流れる曲。機械という永遠に変わらないはずの肉体でありながらも、美しくなりたいという想いに囚われてしまった「異常」な機械。嘆きとも受け取れる激しい曲想の歌は、エミさんとジュニークさんの二人で熱く歌い上げられ、その迫力にはざわりと鳥肌が立つほどだった。
ステージからはジュニークさんだけが去り、ピアノとギターだけで奏でられた「曖昧ナ希望」。エミさんの澄んだ歌声を際立たせるような哀愁のあるピアノとギターの音が、最高のハーモニーを生み出していた。
七曲目は「イニシエノウタ/贖罪」。再びエミさんとジュニークさんの二人がステージ上に揃い、初代の「NieR」のアレンジ曲の「イニシエノウタ」を「NieR:Automata」アレンジバージョンで披露。
ステージのスクリーンに映し出されたデボルとポポルは「NieR Replicant/Gestalt」時代の映像も使われており、思い出と思い入れが合わさって、気づけばぼろぼろと涙が零れていた。
会場のボルテージも上がりまくったところで、ステージには「NieR:Automata」から新たに加わった歌姫の一人である河野さんと、河野さんに手を引かれた石井咲希ちゃんが登場。
「パン、パン、パパパパン」という軽快な手拍子と共に歌われたのは、「パスカル」。会場も一緒になって手拍子をし、それにあわせて河野さんと手をつなぎながら一生懸命歌う石井咲希ちゃんの姿に、見ているこちら側も心が和む。これぞ「パスカル」という曲に相応しい演出になっていた。
九曲目はエミさんが「終ワリノ音」を、続けてジュニークさんが「顕現シタ異物」を熱唱。
十一曲目の「『塔』」と、十二曲目は「双極の悪夢」はどちらもジュニークさんとエミさんの二人がステージに上がり、互いの歌声を重ね合う。その姿には、まるで9SとA2のバトルが目の前で繰り広げているかのような錯覚すら覚えた。
十三曲目は「追悼」。弦楽四重奏のみで演奏され、今回唯一ボーカルのない曲となった。
十四曲目は「Weight of the World/壊レタ世界ノ歌」だが、実はこの曲の前には朗読劇の第四幕(朗読劇のラスト)が挟まれており、その結末にただひたすら震えたところでの「Weight of the World/壊レタ世界ノ歌」の流れには、完全に涙腺が崩壊した。
ここであえて河野さんの歌う日本語バージョンの「Weight of the World」を入れてくることで、より一層、朗読劇の余韻が残る心をがくがくと揺さぶられるのだ。恐らくはここでハンカチを取り出したファンも多かったことだろう。
一連の「NieR:Automata」の世界をなぞったところで、岡部氏が登壇。「NieR:Automata」の世界にどっぷりと浸ってほしくてここまでMCも一切挟まずに一気に演奏をした、と語った。
実際ここまで休みなく続いた演奏は、まさに「追体験」と呼ぶに相応しい内容だった。だがここまでは全て「NieR:Automata」の世界であり、「皆さん、まだ物足りないですよね?」とにこりと笑った岡部氏。
アンコールという形でこそなかったものの、最後のブロックとして「NieR Replicant/Gestalt」から「カイネ/救済」、「Ashes of Dreams」を、エミさんが披露した。
そして本当に最後の一曲となったのは、二回目の「Weight of the World」。三人の歌姫が全員ステージに上がり、ジュニークさんがまず「Weight of the World/English Version」を、そして次はエミさんが「Weight of the World/Nouveau-FR Version」を、それを引き継いで河野さんが「Weight of the World/壊レタ世界ノ歌」を、最後は会場全員のファンがYoRHa部隊となって「ラララーラーラーラーラー」と歌う演出は、まさにゲームの中のEエンドさながら。
あそこで苦労をし、そして「助けられた」人ほど、このステージと会場が一体となってのコーラスに胸を打たれたことだろう。
「これで本当に終わりなんだ」というコンサートのラストに、会場は鳴り止まない拍手で包まれた。
朗読劇は初披露のエピソードが!
今回のコンサートの合間合間に挟まれている朗読劇は、全ての公演で第四幕まである。全公演で内容が違い、このコンサートでしか知ることのできない新たなストーリーとなっている。
この日行われた朗読劇のストーリーは明かせないものの、会場のあちこちからすすり泣く声が聞こえていたことで察していただきたい。
筆者もハンカチを握りしめ、心臓が抉られる思いで見ていたが、台本の文字情報だけでは決して伝わらないキャラクターの命のようなものを、この朗読劇から感じた。キャスト陣の素晴らしい演技があっての「NieR:Automata」であり、改めてそれを思い知らされる、そんな朗読劇だった。
余談だが、石川さんは黒いシフォン風のワンピースを、9S役の花江夏樹さんは黒のシャツに黒の半ズボンを、安元さんは黒いスーツを着ており、全員がこの劇に登場するキャラクターを重ねやすい衣装だったというのも大きなポイントかもしれない。
人類に栄光あれ!本当に、本当にありがとうございました。
フィナーレで、花江さんは「新しい9Sを演じることが出来て嬉しかったです」と、安元さんは「ポッド042以外に月面人類会議の声も自分がやっていたので、きっとヨコオ(タロウ)さんはそこからインスピレーションがわいたんじゃないかと思います」と、石川さんは「朗読劇の内容を全て見てからゲームをやるとまたゲームへの意識が変わると思うので、ぜひゲームをやり直してほしい」と、そして岡部氏は「今日はこんなに素晴らしいコンサートが出来たので、おちゃらけたことは言わず、皆さんにはこの余韻に浸って帰ってもらいたい」と一言ずつ述べた。
ステージの最後は、出演者と客席全員で「人類に栄光あれ!」とコールとポーズで記念写真。ちょっとしたトラブルによって撮り直し、二度目の「人類に栄光あれ!」になったのも、当日この時間に参加したファンにとっては良い思い出だろう。
そして全員がステージから降り、ファンが席を立ったその時、会場には石川さんと安元さんの声で最後のアナウンス「本当に、本当にありがとうございました」が流れ、涙を流しながら会場を去るファンが後を絶たなかった。
セットリスト
01. 遺サレタ場所
02. 遊園施設
03. 砂塵ノ記憶
-朗読劇 第一幕-
04. 穏ヤカナ眠リ
05. 美シキ歌
06. 曖昧ナ希望
-朗読劇 第二幕-
07. イニシエノウタ/贖罪
08. パスカル
09. 終ワリノ音
-朗読劇 第三幕-
10. 顕現シタ異物
11. 「塔」
12. 双極の悪夢
13. 追悼
-朗読劇 第四幕-
14. Weight of the World
アンコール
15. カイネ/救済
16. Ashes of Dreams
17. Weight of the World/the End of YoRHa
公演概要
人形達ノ記憶 NieR Music Concert
~大阪公演~
2017年4月23日(日)大阪・堂島リバーフォーラム
~東京公演~
2017年5月4日(木・祝)
よみうりホール
(昼公演)開場13:00 / 開演14:00
(夜公演)開場17:00 / 開演18:00
2017年5月5日(金・祝)
よみうりホール
(昼公演)開場11:00 / 開演12:00
(夜公演)開場15:00 / 開演16:00
主催:スクウェア・エニックス
制作:LIVE ASIA
制作協力:inLYNK
運営:
東京公演 / ディスクガレージ
大阪公演 / キョードーグループ
「人形達ノ記憶 NieR Music Concert」公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/nier/concert2017/
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