日本ファルコムより2017年9月28日に発売を迎えたPS4用ソフト「英雄伝説 閃の軌跡III」。シリーズの魅力を継承しつつも、新たなシステムを多数盛り込んだ本作のプレイレポートをお届けします。
エレボニア帝国の動乱に巻き込まれたリィンたち《VII組》の成長、そして次への一歩を歩み出す姿を描いた「英雄伝説 閃の軌跡II(以下、閃の軌跡II)」の発売から3年。いよいよ続編となる「英雄伝説 閃の軌跡III(以下、閃の軌跡III)」が発売を迎えることとなりました。
今作では「閃の軌跡II」の最後にトールズ士官学院を卒業したリィンが、帝都西郊に新設されるトールズ士官学院・リーヴス第II分校(以下、第II分校)の教官として赴任するところから物語が始まります。もちろんそのストーリーも気になるところだと思いますが、初めてPS4でリリースされる「閃の軌跡III」は、ゲームとしても大きな進化を遂げていました。
ここでは、一足先にゲーム冒頭をプレイした筆者が、それらの要素を中心に紹介していきたいと思います。前半では本作から入る人でも分かるように基本的なゲームサイクルについて紹介、後半では本作で新たに追加されたゲームシステム、そして気になるキャラクターたちの姿にも踏み込んでいきたいと思います。
学院と演習地、それぞれでのリィンと生徒たちを描く
冒頭でもお伝えした通り、本作でプレイヤーは教官となったリィン・シュバルツァー(CV:内山昂輝)の目線でゲームを進めていくことになります。リィンは「閃の軌跡」シリーズを通じた主人公であり、彼の歩んだ道についてはぜひ過去2作をプレイしていただければと思いますが、公式サイト内でストーリーダイジェストが公開されているほか、ゲーム中でも“PRESTORY”というメニューから、ストーリーを追うことができるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
序盤でのゲームの進行は、学院のあるリーヴスでの日々と、授業の一環として帝国各地に向かう演習の2段構えの構成となっています。過去にプレイしている方には、リィンがトールズ士官学院・本校の生徒として過ごした「英雄伝説 閃の軌跡(以下、閃の軌跡)」をイメージしてもらえると分かりやすいと思います。
プレイヤーがリーヴス内を自由に行動できる場面として、第II分校では自由行動日と呼ばれる、各々が好きに時間を使っていい日が設定されています。ここはお人好しなリィンとしてさまざまな依頼を解決したり、時にはリィンが担任を受け持つことになるVII組のメンバーをはじめとした、生徒との交流を深めていきます。
「閃の軌跡」シリーズ過去2作と同様に、今作でも自由行動日に絆行動ポイントを使って、特定のキャラクターとの絆イベントを見ることができます。イベントによってキャラクターの好感度を上げることができますが、もちろん全てのキャラクターとのイベントを見れるわけではありません。どのキャラクターとより仲を深めたいかなどを考慮した上で行動しておくといいでしょう。
「軌跡」シリーズとしては10年続いているため、キャラクター間の人間関係など随所に気になるところはあると思いますが、ここでは新たなVII組メンバーの立ち位置を紹介しましょう。作中でももちろん明かされてはいきますが、おぼろげでも背景を知っておけるとゲームにすんなり入れると思います。
そして、自由行動日を経て行われる演習では、第II分校の全生徒が特別列車「デアフリンガー号」に乗り込んで、広大な帝国の各地へと赴くことになります。もちろん、列車内で過ごす時間にもイベントは用意されているので、こうした時間もキャラクターの新たな一面を垣間見るのに役立てたいところです。
また、リーヴスにいる間や各地の街中ではさまざまなお店で装備やアイテムを購入することになりますが、たどり着いた演習地では主にIX組主計科のメンバーがバックアップに回ってくれます。何かに困ったら演習地に戻って、アイテムの補充や戦術オーブメントの整備をしておきましょう。
演習地におけるVII組メンバーの役割は特殊で、街で起きている問題や住人の悩みなどを依頼として請け負っていくことになります。フィールド内にはびこる魔獣の撃破、料理に使う材料の手配、迷い猫の捜索などその内容は多岐に渡りますが、必須の依頼以外はやるもやらないもプレイヤーの自由。もちろん、達成することでさまざまな報酬も手に入りますので、じっくりと遊びたい方はぜひコンプリートを目指してもらえればと思います。
少なくとも第1章時点での流れはこの通りでした。ストーリーの進行に応じて変わってくる部分もあると思いますが、参考にしていただければと思います。
ブレイブオーダーとブレイクゲージによって大きく変わったバトルシステム
ゲームの流れに触れるだけでも盛りだくさんではあるのですが、バトルシステムも前作「閃の軌跡II」から大きな進化を遂げています。まずは基本となる点だけ、簡単に紹介しておきます。
「閃の軌跡III」では、画面左に表示されるAT(行動順)バーに応じて戦闘を行う、「軌跡」シリーズおなじみの「ATバトル」を採用。その上で、リング上に描かれたアイコンから選択するこれまでの「リングコマンド」方式から、方向キー、○△□×ボタンに各コマンドを割り当てる「ダイレクトコマンド」方式へと変更されています。
本作における主な攻撃手段は、武器ごとの特性を活かした通常攻撃に加えて、キャラクター固有の技を繰り出す「クラフト」、戦術オーブメント《ARCUSII》にセットしたクオーツによって導力魔法を繰り出す「アーツ」が用意されています。通常攻撃やクラフトにはキャラクターの特性に合わせて【斬】【突】【射】【剛】の4タイプの攻撃属性、アーツには地/水/火/風/時/幻/空の7属性があり、敵との相性を考えながらパーティーメンバー、攻撃方法を選択していきましょう。
また、クラフト発動に必要なCP(クラフトポイント)を100以上消費して発動する「Sクラフト」は、行動に割り込むかたちで発動可能、かつ強力なものばかりです。Sクラフトには専用の演出も盛り込まれているのですが、過去のシリーズ以上にリッチな作りになっているので、こちらも注目です!
ここからは新たな要素について紹介していきましょう。まず最初に触れておきたいのは、今作ではフィールドやダンジョンで敵と接触した場所がそのまま戦闘マップになることです。これにより、これまで特に気にすることのなかった地形の要素が戦闘にも影響してくるようになります。基本的に離れた敵とエンカウントすることはないので大丈夫ですが、これまで以上に幅広いシチュエーションでの戦闘が楽しめそうで、期待が高まりました。
また、背後から敵に当てることで戦闘を有利に進められるフィールドアタックも健在。さらに今作では、100%奇襲攻撃状態で戦闘を開始できる“アサルトアタック”も用意されています。ただし、アサルトアタックに関しては時間経過やフィールド上のブレイクオブジェクトを破壊することで溜まる画面右下のAP(アサルトポイント)をゲージ一本分消化して発動するので、使いどころも肝心です(※ブレイクオブジェクトではCPの回復やアイテムの入手も可能)。
そして今作で最大の肝になるのが、戦況全体に影響を及ぼす「ブレイブオーダー」です。
「閃の軌跡」シリーズの特徴的なシステムのひとつに、リンク設定をしているパートナー同士でさまざまな攻撃やアビリティの発動が可能になる「戦術リンク」があります。リンク状態で、敵の弱点である武器属性で攻撃すると一定確率で発生する“体勢崩し”により溜まっていくBP(ブレイブポイント)を使って、リンクアタックと呼ばれる多彩な追加攻撃を発動させることが可能です。
今回新たに追加されたブレイブオーダーは、このBPを用いて発動するものです。オーダーの内容はパーティーメンバーによってそれぞれ決まっていて、攻撃力や防御力を上げるといったシンプルなものだけでなく、BPの消費量が大きくなるとより強力な効果をもたらすものがあります。一定ターンの間はその効果が持続するなど、戦局を大きく変える一手となりますので、通常戦闘はもちろんのこと、ボス戦ではぜひ活用してほしいシステムです。
また、今作では“ブレイクゲージ”と呼ばれるパラメータが敵側に設定されていて、攻撃をするとHPとともに少しずつ削れていきます。そしてこのゲージが0になると敵が状態異常「ブレイク」となり、体勢崩しが100%発生するようになります(※このほか、被ダメージアップなどの恩恵もあります)。ブレイク率の高いクラフトや弱点属性のアーツで攻撃することで効果的にゲージを削ることができるので、こちらも積極的に狙っていきましょう。
このように、今作では如何にブレイブポイントを溜めていくかが大きなポイントになってきます。逆に言うと、その点を意識して臨めばよりスピーディー、かつ幅広い戦闘のバリエーションが生まれてくるのではないでしょうか。
ミニゲームや釣りもパワーアップ!シリーズで出会う人々にも注目
そのほか、「軌跡」シリーズといえば細かな遊びの要素も魅力のひとつ。今作では「ヴァンテージマスターズ(VM)」という対戦型のカードゲームがミニゲームとして用意されています。
ゲーム序盤でデッキを手に入れてからは、お店で新たなカードを買ったり、ほかのプレイヤーに勝利してカードを手に入れたりとデッキを強化できます。単独したゲームとして非常にやり応えのある内容となっていますので、各地でカードのアイコンを見かけた際にはぜひ対戦を挑んでみましょう!
また、こちらもおなじみ「釣り」システムですが、今回はそのシステムが一新されています。魚をヒットするタイミング、そして引き上げるタイミングにそれぞれボタンを押しながら進めていくのですが、魚の種類によってそのタイミングも変わってきますので、歯ごたえのあるプレイが楽しめると思います。
また、各地にいるリィンの学友たちとの交流もゲームシステムとして落とし込まれています。彼らに出会うとさまざまなお願い事をされるので、演習地を回りながらクリアしていきましょう。
わずか数時間ほどのプレイにもかかわらず、紹介したい要素が盛りだくさんで駆け足気味になってしまいましたが、いかがだったでしょうか。もちろん、シリーズファンには嬉しいキャラクターたちの姿も随所にあって、それだけでもワクワクする気持ちでいっぱいです。それらのキャラクターが果たしてどのように物語に関わってくるのか、そしてリィンと新生《VII組》がどのような活躍を見せるのか、ぜひ実際にプレイしてみてください!