スクウェア・エニックスが、11月21日より配信開始するPS VR用ソフト「モンスター オブ ザ ディープ: ファイナルファンタジーXV(以下、MOTD FFXV)」。釣り・バトル・水辺の友情を「FFXV」の住人として楽しめる本作のレビューをお届けします。
本作は、「ファイナルファンタジー XV(以下、FFXV)」のアクティビティである“釣り”を題材にしたスピンオフ作品。シリーズ初の“PS VR専用”かつ“釣りゲーム”として、「FFXV」のファンはもちろん、「FF」の世界観が好きな人、釣りが好きな人もディープに楽しめるのが特徴です。
かくいう筆者は、「FFXV」未プレイ、釣り未経験ながら、本作発表時のPVで、FFの世界でイケメンと釣りやらキャンプができることに衝撃を受けた一人。PS VRで疑似体験する「FF」の世界観とフィッシングアクションの臨場感、そしてイケメンたちとのアウトドア体験とは…?そんな視点で本作の全容に迫るプレイレビューにお付き合い頂けると幸いです。
本作におけるプレイヤーの立ち位置は、異常気象とモンスターの凶暴化の謎を探るハンター。「FFXV」の世界に生きながら、本編では主人公たちと接点を持たない、いわばモブ的存在なので未プレイでも安心という訳です。
最初に「MOTD FFXV」の世界で活動するためのアバターを作成しますが、性別、人種、髪型、カラーリングなど、とにかく細かく作れます。とくに体型では、スリーサイズから首の太さ、僧帽筋の厚みなど各部位を細かく設定可能、顔も目・鼻・口のパーツや頬などの繊細なバランス調整ができます。身長はゲーム内の視点にも影響するので、憧れのあんな視点やこんな視点も楽しめます。
ゲームは拠点であるホームと各ステージを行き来するシンプルなもの。ストーリーモードでは、ハンターとしてシガイ化した怪魚とのボス戦をこなしつつ、ノクティスたちと釣りを通したコミュニケーションが楽しめます。
いざ遊びだしてみると、360度眼前に広がるFFの世界は圧倒的な美しさ。後で紹介する釣り場はもちろん、キャラクターの動きや表情もとても繊細なので、自然なコミュニケーションをとることができます。この世界を1人称視点で自由に動き回れるので、「FFの世界に行く」という夢が半分叶ったような感覚です。
本作のフィッシングでは、PS Move モーションコントローラーを用いた直感的なアクションが推奨されていますが、アナログコントローラーでも十分遊べます。ロケーションで釣り場を選択したら、○ボタンホールドでキャストモードに切り替え、ロッド(コントローラー)を振りかぶりホールド解除でキャスティングです。キャストモードに切り替える前にL2と○ボタンで魚探知をすると、魚影と水面にサークルが表れるので、それを狙っていきます。
キャスティングのタイミングや、腕を振り下ろすスピード、手首のスナップなども細かく反映されているようなので、適当に投げるとまず失敗します。最初は距離感を掴む所からはじめて、とにかく回数を重ねて慣れることをオススメします。
魚がヒットしたら水面に矢印が出るので、左スティックをゴリゴリ回しながら左右の指示に合わせてコントローラーを動かしましょう。最後に上方向の矢印がでたらフィニッシュですが、勢い余ってVRヘッドセットにコントローラーをぶつけてしまうくらいテンションが上がるのでご注意下さい。
余談ですが、噂のVR酔いを筆者は初プレイ時に体験しましたが、これも慣れれば大丈夫でした。途中でずれると困る…と、VRヘッドセットの調整ダイヤルを締めすぎると頭痛も併発するので、ほどほどに装着して激しい頭の運動は控えましょう。ストーリーモードは1ステージ15分もあれば終わるので、無理なく自分のペースで進めていけるのも嬉しいポイントです。
また、本作には南国の植物が生い茂る熱帯から、広大な海が広がる海岸、湿地帯、貯水池など、さまざまな釣りの舞台が用意されています。ロケーションによって生息する生物や魚の集まる場所が異なり、ボスの特性もさまざま。見た目の凶悪さも去ることながら、目で追うのが困難なスピードを持つものや、分身して攻撃するものなど、厄介な相手ばかりです。
ボス戦では、特製のボウガンで弱らせてからキャストし引き寄せると勝利となります。パターンを把握して次の行動を読むことが討伐のカギ…とはいえ、眼前に迫るシガイの迫力に終始翻弄されていた筆者。釣りとシューティング、2つのアクションをきっちり楽しむことができました。
このほかにも、全世界のプレイヤーと腕を競い合う「大会モード」や「フリーモード」、指定のボスを倒す「討伐依頼モード」も遊ぶことができ、ストーリーモードとは異なる時間帯のロケーションでの釣りも楽しめます。本作に登場するステージは、いずれも高精細なグラフィックで臨場感たっぷり、そして何と言ってもキラキラと光を反射して波打つ幾通りもの水の表現は美しく幻想的です。アクションに疲れたら、フリーモードでのんびり癒やされてみるのも良いかもしれません。
最後に肝心なキャラクターとの触れ合いについて。ストーリーモードを進めるうちに、釣りに並々ならぬ情熱を注ぐノクティス、魚を釣り上げると自分の事のように喜びカメラを向けるプロンプト、魚を食材と呼び真顔で今日の献立を考えるイグニス、圧倒的な筋肉で釣り場とハンターに安らぎをもたらすグラディオラス、そして冒頭から何かと力になってくれる優しいシドニーと出会います。お互いの事情は知らないし語り合うこともありませんが、釣りを通じて信頼や絆が芽生えていく様子に胸が熱くなりました。
全体を通して、しっかりとしたストーリー、そしてディープなフィッシングアクションが、シンプルな操作で楽しめ、PS VRデビューにもピッタリな作品だと感じました。イケメンとのアウトドアを目指してプレイした筆者も、この世界観にどっぷり。夢にまでみたあのワンシーンは軟派なレジャーではなく、釣りによって育まれた絆が生んだ奇跡の一時だと理解しました。彼らとの友情を体感するもよし、ハンターとして釣り場の平和を守るも良し、釣り師のプロフェッショナルを目指すも良し、思うがままに「FFXV」の住人として世界観を満喫してみてはいかがでしょう。