「メモリーズオフ -Innocent Fille-」の発売に先駆け、これまでリリースされてきた「メモオフ」シリーズを、10年来のシリーズファンである筆者の主観で振り返り。第2回はシリーズの2作目「メモリーズオフ 2nd」を紹介します。
「メモリーズオフ」(以下、メモオフ)シリーズの歴代タイトルを順に紹介していく本企画。第2回はシリーズ第2作目となる「メモリーズオフ 2nd」を振り返ります。メモオフシリーズの原点が第1回で紹介した「メモリーズオフ」(以下、1st)であるならば、シリーズを確立したのがこの「2nd」ではないかと思います。そして「1st」から表現の幅が広がり、より作品への没入感がより深まった作品でもありました。
第2回:メモリーズオフ 2nd―「かけがえのない想いと引き換えに……」
「2nd」では、「1st」に登場した澄空高校と同様、私鉄芦鹿島電鉄芦鹿島線(通称、シカ電)の沿線上にある浜咲学園高校に通う伊波健を主人公に、高校3年生のひと夏で繰り広げられるドラマを描きます。健は、同級生で将来を嘱望されるピアニストである白河ほたる(CV:水樹奈々)と交際しているのですが、彼女に対する気持ちの変化、そして夏休みでのさまざまな出会いが、彼自身の行動に表れていきます。
白河ほたる(CV:水樹奈々) |
「2nd」を遊んでみてまず驚いたのが、ゲームを通じて「別れ」をテーマにしていることでした。筆者は当時、ささきむつみさんの描く切なげなほたるのパッケージイラストに惹かれてPS版を購入したのですが、実際のゲーム内容はそれに輪をかけてインパクトがあったなあと(笑)。
主人公の健は、ずっと打ち込んできたサッカーから引退というかたちで離れ、無気力に夏休みを過ごしています。最初こそ恋人であるほたるとの仲睦まじい様子を見ることができますが、ピアノに打ち込むほたるとの距離感が広がっていく内に、健とほたるの心はすれ違っていきます。健との関係を続けたいほたるのかいがいしい姿を見て、当時は「こんなに可愛くて健気な彼女がいるのに…!」なんて思ったものです。
また困ってしまうのは、ほかのヒロインが揃いも揃って魅力的なことです。健が一人暮らしをしているアパート・朝凪荘に引っ越してくる南つばめ(CV:池澤春菜)、お芝居に勤しむ快活な少女・飛世巴(CV:仲西環)、水泳部に所属する男嫌いの同級生・寿々奈鷹乃(CV:千葉紗子)、お菓子作りとプロレス観戦が趣味というギャップが印象的な白河静流(CV:菊池志穂)、明るくて少しドジなところに愛嬌もあるものの、浮き沈みの大きい相摩希(CV:南里侑香)。ほたるや健とも少なからず関係性のある彼女たちとの関係を経て、健の心は大きく揺れ動いていきます。
南つばめ(CV:池澤春菜) | 飛世巴(CV:仲西環) |
寿々奈鷹乃(CV:千葉紗子) | 白河静流(CV:菊池志穂) |
相摩希(CV:南里侑香) |
作品の世界観に没入できた大きなポイントに、舞台となる湘南、そして夏という季節を少しアンニュイな感じに表現していた点が挙げられると思います。それはテキストのテイストはもちろんのこと、少しおとなしめな色合いに落とし込んだキャラクターデザインや背景、そして前作よりも全体的にゆったりとした曲調で彩られるBGMと、作品を通じて一貫しているように感じられました。
巴が澄空高校に通っていたり、鷹乃や静流の交友関係が見えたりと、「1st」とのさまざまなリンクがあるのも特徴ですが、その最たるものが前作に続いて登場する稲穂信(CV:間島淳司)の存在です。今回は物語の中心にはいないのですが、「1st」での出来事を経た彼がもたらす言葉は、健にとっても大きな意味を持ちます。サッカー部の元主将で親友の中森翔太(CV:福山潤)も含めて、サブキャラクターが存在感を示すのも、メモオフシリーズならではの魅力ではないかなと思います。
稲穂信(CV:間島淳司) | 中森翔太(CV:福山潤) |
第1回で触れた通り、筆者はほたるが描かれたPS版のパッケージをきっかけにメモオフシリーズを知りました。というわけで2ndには強い思い入れがありますし、歴代のヒロインの中でも、ほたるはとても好きなキャラクターなんです。ほたるルートで大事な要素の一つは“音楽”。「悲愴」「愛の夢」といったほたるがピアノで演奏する曲はもちろんのこと、エンディングで聴くことのできる「オルゴールとピアノと」は、ほたる自身の気持ちが歌詞と曲に表れていて、今でも心に残っている1曲です。
恋愛は時として自分自身をも狂わせてしまうものですが、子供と大人の間という高校3年生ならではの目線でお互いの関係性を描きつつ、2人の関係はどうなっていくのか、最後の最後まで目が離せないことでしょう。
現在はDMM.comで配信中の、「1st」とセットになった「メモリーズオフ デュエット ~1st&2nd stories~」と、PlayStation Storeにて配信中のPSP版(PS Vitaでもプレイできます)がプレイできる主な環境です。こちらもPlayStation Storeにて3月19日まで108円で購入できるセールが行われていて、DMM.comにいたっては3月28日まで無料配信中なので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!
ちなみに、ほたる推しの筆者は、健と付き合うまでの過程をほたる視点で描いた「雪蛍」もお気に入りのエピソードです。どうしても重い雰囲気になる本編とは違った、ほたるの純粋な恋心が直球で楽しめるので、ほたるルートのクリア後にぜひプレイしてもらえればと思います。
PSP版「メモリーズオフ 2nd」配信ページ(PlayStation Store内)
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0745-NPJH50131_00-0000000000000000
PC版「メモリーズオフ デュエット~1st&2nd stories~」配信ページ(DMM.com内)
http://dlsoft.dmm.com/detail/images_0015/
7年ぶりの最新作「メモリーズオフ -Innocent Fille-」
前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から、7年ぶりの最新作にして、最終作となる本「メモリーズオフ -Innocent Fille-(イノサンフィーユ)」。劇中では前作「メモリーズオフ ゆびきりの記憶」から約3年の歳月が経ち、新たな物語が紡がれます。
第1回でも紹介した通り、これまでのタイトルからヒロインがゲスト出演するのですが、「メモリーズオフ 2nd」からは、ゲストキャラクターとして「白河ほたる」が登場します。「2nd」から10年の月日が流れている今作では、海外を拠点にピアニストとして活動しているようですが、公式サイトに掲載されている水樹奈々さんのコメントを読むと、どの場面で登場するのかも楽しみですね!
ほたるが写っているジャケットのCD。自分のCDが出せるまでに大きく飛躍したようです。 |
ちなみに、ほたるは本作の発売を記念して行われたメモオフ総選挙(http://memoriesoff.jp/if/sousenkyo/)でも1位に輝き、書き下ろしのショートストーリーも公開予定です。そちらも楽しみつつ、ぜひ実際にプレイして成長した姿をチェックしてみてください!