2018年4月7日、8日の二日間、千葉の舞浜アンフィシアターにて開催された「Xenogears 20th Anniversary Concert -The Beginning and the End-」。ここでは4月8日の夜の部の模様をお届けする。

目次
  1. 我々はエルドリッジの乗組員となって、ゼノギアスの世界に降り立った。
  2. 第二部になって演奏はますますの盛り上がりから最終決戦へ!
  3. 最後の演出に、会場が涙。このコンサートの真のラストまで!
  4. この星が「ヒト」のものから「人」のものになった瞬間に我々は立ち会った。
  5. ニコ生視聴は4月30日まで!
  6. 展示品やその他貴重な品々をまとめて紹介!
  7. 終演後、光田氏、Michael McGlynnさん、Joanne Hoggさんにインタビュー!
  8. セットリスト
  9. 公演概要

本稿では公演の様子のほかに、「ゼノギアス」メインコンポーザーの光田康典氏やANUNAのMichael McGlynnさん、Joanne Hoggさんインタビューや、会場内に展示されていた貴重な資料などの紹介もあるので、ファンはぜひそちらにも目を通してもらいたい。

我々はエルドリッジの乗組員となって、ゼノギアスの世界に降り立った。

今回光田氏は舞浜アンフィシアターでの公演にとてもこだわったというが、その理由のひとつが舞浜アンフィシアターの独特なステージの形状にある。半円形のオープンステージ。このオープンステージでは、その形状を活かした様々な演出が可能となっている。

演者が次々と登壇し、オープンステージには男女混声合唱団のANUNAが。最後にステージに登場したのは、「ゼノギアス」音楽生みの親である光田康典氏だ。作曲家本人がこういった場で演者に参加することは極めて稀であるが、今回は光田氏自身もファンのみんなとこのコンサートを楽しみたいということで、シンセサイザー&パーカッションパートとして参加することを決意したのだという。

今回のコンサートは特殊な編成となっており、弦楽器各種や管楽器各種やハープ、ピアノ、といったオーケストラでよく見かける楽器以外にも、アコーディオン、ティンホイッスル、そしてドラムスやエレキギター、エレキベースなども入っている。ここでしか聞けない新たなアレンジでコンサートが楽しめるのは、間違いないということだ。

光田氏がオープンステージで深々と頭を下げそして着席するまでを、わくわくしながら見守る。筆者は今日、あえて一人のファンであることを最優先とし、セットリストを見ないようにしていた。それでも一曲目はもうわかってしまう。このステージの構造が、エルドリッジの艦橋を思い起こさせるからだ。

「ゼノギアス」のオープニング映像がスクリーンに映し出されると共に、弦楽器とピアノで奏でられる「冥き黎明」。ここにパーカッションやANUNAのコーラスも加わり、オープニングの緊迫感溢れる映像と迫力の演奏に、ぞくりと全身に鳥肌が立つのを感じた。プレイ当時、最初に見た時はまったく訳がわからなかったオープニングシーンだが、二周目で見るとようやくこのシーンが何を意味していたのか理解できるようになるという、今改めて見ても本当に奥の深い映像だ。

2曲目は、「海と炎の絆」。バルト関連のイベントで聴くことが多い曲だが、一番最初に聞くのはゲームを開始してすぐの、モノローグ。まさに物語を追体験する形だ。「海」を表すかのように、青をベースとした照明がステージを美しく演出する。ティンホイッスルの音色が主旋律を奏でるのでアイリッシュ感の強いアレンジとなっているが、弦楽器の美しさも負けてはいない。知らず、溜息がこぼれてしまう。

続いてはラハン村の曲、「おらが村は世界一」。「ゼノギアス」のオーケストラアレンジアルバム「MYTH」に収録されているバージョンに似た、ストリングスの美しい音色で始まった。徐々に力強くなっていくメロディはラハン村の夜から夜明けまでを彷彿させ、軽やかなピアノが平和なラハン村の昼間を彩り、やがては夜の帳が落ちるように、静かに終わった。

ここで光田氏がステージの中央へ。1998年の2月にゼノギアスが発売されてから20年の時を経てこうして音楽だけのコンサートを開催できるということへの喜びを露わにした。
そうして「見ての通り、バンドもはいり、民族楽器もあり、オーケストラもはいっています。しきたりですとかそういったものは一切ありませんので、皆さん感情のままに楽しんでいただければと思います」と笑顔で述べると、再び演奏席へ。

4曲目は「風のうまれる谷~遠い約束(Piano)」。シタンの家で流れる「風のうまれる谷」からのメドレーで、「遠い約束」のピアノバージョンが演奏されると、スクリーンにはフェイが初めてオルゴールを聞くあのシーンが映し出された。一周目では何気なく通り過ぎてしまうシーンだが、二周目をプレイするとシタンの「それはきっとあなたのなかで、この曲が好きだった、遠い昔のだれかが生きているからですよ…」というセリフの意味の重さがよく解る。この曲の間、金色のミラーボールがキラキラと光っていて、オルゴールが回っているかのようにも、或いは思い出を振り返る走馬灯のようにも受け取れる演出は、とても印象的だった。

そして照明で真っ赤に染められたステージから流れてきたのは、ギア戦で流れるバトル曲「鋼の巨人」。ラハン村の火事、そこからフェイが初めてギアに乗って戦い、ラハン村を後にするまでのイベントが、一気に蘇る。途中、エレキギターが唸るようなソロを弾くシーンもあり、そこに重なる弦楽器がより一層曲を盛り上げ、リミッターを解除したバトルと呼ぶのが相応しいロックなアレンジに、会場のボルテージも一気に上がった。

6曲目は「夢の卵の孵るところ」。先程の「鋼の巨人」の激しさから一転、ピアノとストリングスでしっとりと聴かせる曲となっていて、エリィの少女らしさと、そして強い愛に満ちた存在となるまでの奥深さを一曲で表現しきったアレンジだった。

7曲目は「グラーフ 闇の覇者~導火線」。「うぬは力がほしいか?」「我の拳は神の息吹! ”堕ちたる種子”を開花させ、秘めたる力をつむぎ出す! 美しき、滅びの母の力を!」といったグラーフの様々な名言が呼び起こされる。そしてそのまま「導火線」へ。ドラムやティンパニの効いた重低音が響くアレンジはクライマックス感に満ち溢れ、会場は熱狂の渦に包まれた。

8曲目は「つわものどもが夢のあと~死の舞踏」。ユグドラシル艦内で流れるBGMは、ゲームの中で一番長く聞いた曲という人も多いのではないだろうか。アレンジは「MYTH」に収録されているものに近いが、それよりも更にアイリッシュな雰囲気が前面に出されていた。

そうしてそのまま通常バトル曲の「死の舞踏」へ。この曲を聴くと、■■▲、などバトルのコンボが自然と浮かんでくると共に「しょおー」というシタンの声が脳裏を掠めてしまうのは仕方のないことだろう。トランペットなどの管楽器が主体となったメロディラインは、他のバトル曲同様、後半からエレキギターやエレキベースが効いたロックアレンジになっており、客席の熱量も最高潮に高められた。

9曲目は「SMALL TWO OF PIECES PianoVersion」。フェイとのバトルに勝つためにドライブを使ったエリィに、「どうしてドライブなんて…」とフェイが詰め寄るシーンをバックに、ピアノでしっとりと聴かせた。

10曲目は「盗めない宝石」。ステージにはANUNAが登場し、美しいコーラスを披露。原曲には歌はないが、先日発売された「Xenogears Original Soundtrack Revival Disc - the first and the last -」にはANUNAのコーラス入りのものが収録されているので、まだこのアルバムを手に入れていない人はぜひこちらで聴いてみてほしい。男女それぞれのソリストがフェイとエリィを表しているということで、その上で改めて聴いてみてほしい曲だ。

もともと讃美歌的な雰囲気が強い曲だが、透き通るようなハープの音とANUNAの神秘的なコーラスとが相まって、原曲から驚異的な進化を遂げた曲だと言えるだろう。

続いては「傷もてるわれら 光のなかを進まん」。この曲も原曲ではコーラスがないのだが、こちらもリバイバルバージョンのサントラに収録されており、今回演奏されたのはそのANUNAによるアカペラバージョン。

ANUNAのメンバーがオープンステージに円状に位置取り、その中央にステンドグラスのような照明が当たった後、ニサン正教のペンダントの図柄がライティングで落されるという演出や、エリィの部屋を彷彿させるライティングなどもあり、ゲームの場面を流さなくともそうと感じ取れる演出は、実に素晴らしいものだった。

12曲目はニサンの曲の、「やさしい風がうたう」。アコーディオンやローホイッスルが奏でる優しい音がホールに響き渡り、ニサンという街のおだやかで優しい、そして温かい雰囲気を満喫することが出来た。

第一部の最後は「lost...きしんだかけら」。ピアノのソロで始まった曲はやがてチェロが重なり、そこにヴァイオリンなどの他の弦楽器も重なって癒しの風のように客席を包み込み、第一部はいい余韻を残して終わった。

第二部になって演奏はますますの盛り上がりから最終決戦へ!

第二部は、教会の鐘の音と共に幕を開けた。16曲目となったのは、「悔恨と安らぎの檻にて」。この曲もアカペラアレンジとなっている。ANUNAの奏でる旋律の美しさに聞き惚れる一曲だが、歌詞を知って聞くと恐らくまるで聴こえ方が変わるだろう。歌詞は公式パンフレット及びリバイバルバージョンのサントラに掲載されているので、ぜひそちらを確認してほしい。

ANUNAの女性コーラスメンバーが客席のセンター通路にキャンドルライトを持って現れ、最後はメンバー全員がステージ中央へ吸い込まれていくという演出は、まさに「檻」に囚われたかのように見えた。

15曲目は「紅蓮の騎士」。1ループ目は原曲らしさを意識したアレンジだったが、2ループ目からエレキギターが重なり出し、この曲が根底に持つ激しさや畏怖の念を感じた。「紅蓮の騎士」といえばあの謎の音声のSEだが、これもしっかり再現されており、会場に響く躍動感のある音に重なる無機質な機械音声は、背筋にぞくりとくるものがあった。

続くはエメラダのテーマとも呼べる「神無月の人魚」。ハープとローホイッスルが奏でる悲しい音色にエメラダの孤独感が滲み出ていて、胸が締め付けられるような気持ちにさせられた。

17曲目は「風がよぶ、蒼穹のシェバト」。空の国に相応しい透明感のある楽曲は、コンサートでもイメージをそのままに演奏され、うっとりと聞き惚れてしまう。

シェバトといえば、マリアとゼプツェン。…となればこの後に待つのは、この曲なしに「ゼノギアス」は語れない、「飛翔~翼」。これまでに何度かオーケストラコンサートなどで「飛翔」を聞く機会はあったのだが、今回はドラムとトランペットがより際立つアレンジになっていた。筆者はこの曲を聴くと無条件で泣いてしまう。涙腺を刺激されるというよりかは、「飛翔」という名曲を生で聴けるという喜びに、無自覚のままに涙が出てしまうのだ。

そして続けて演奏された「翼」では、ギターとベースの二人が立ち上がって飛び跳ねて演奏するシーンも。他の演者も全員が満面の笑顔で演奏をしており、見ているこちらまでもいつのまにか笑みを浮かべ、そして幸せな気持ちになれた。

会場からは大きな歓声と鳴り止まない拍手が。それに応えるように再びステージ中央に立った光田氏は、「セットリストを考えるのに一ヶ月以上悩みました」と、今回のコンサートの演出について語った。

基本はゲームの思い出を追体験してほしいということで、ゲームの曲順にあわせることにしたという。そして「これから最終戦に入りますが、デウスと戦う準備はできましたか?ラスボスに負けた場合はそこで終了します(笑)」というジョークを交えたトークには、会場からどっと笑い声が上がった。

19曲目はラストダンジョンとなるメルカバー内部の曲、「予感」。ここでもANUNAが登場。ゼノギアスのアレンジアルバム「CREID」に収録されている「MELKABA」に近いバージョンとなっていたが、ANUNAのコーラスによって一層迫力を増していた。ラストダンジョンというよりは、ただひたすら粛々と”未知の何か”へ向かっていくようなこの曲は、コンサートの終わりが近づいていることも予感させた。

20曲目はデウス戦~ウロボロス戦の、「覚醒~神に牙むくもの」。「覚醒」ではデウス戦、「神に牙むくもの」ではスクリーンにカレルレンの姿が映し出される。「神に牙むくもの」は男性コーラスがかなり強調されていて、セフィロートの道でフェイに問いかけるカレルレンの声を彷彿させた。

21曲目は「最先と最後(いやさきといやはて)」。ラスボス後、世界との接点に向かうフェイとエリィ、そして二人の前に現れたカレルレンのシーンがスクリーンに流れる。原曲は、全編音声のみのブルガリアン・ヴォイスで作られているだけに、数の差をどう埋めてくるのかという不安があったものの、ANUNAのコーラスの前ではそんな心配はまるで無用だった。「これで神はいなくなる。この星は人の惑星…、自らの足で歩む、おまえの故郷だ」。そんなカレルレンの声が聞こえてくるのを感じた。

なお、ANUNAのコーラスでの「最先と最後」は、リバイバルバージョンのサントラに収録されているので、ぜひそちらを聴いてみてほしい。

いよいよコンサートのラストを飾るのは、エンディング曲の「SMALL TWO OF PIECES ~軋んだ破片~」。ゼノギアスのコンサートはJoanne Hoggさんを日本に呼べない限りやらないと決めていたという光田氏。Joanneさんの20年経ってもまったく変わらない力強い歌声に、会場のファンは全員震えたのではないのだろうか。エンディングの、ようやくハッピーエンドを迎えられたフェイとエリィの姿が瞼に浮かんで、涙が溢れ出そうになった。

スタンディングオベーションは鳴り止むことがなく、アンコールに応えて戻ってきた光田氏は客席に深く頭を下げた。

最後の演出に、会場が涙。このコンサートの真のラストまで!

光田氏は「せっかくアイルランドからきてもらったので、Joanneにはもう一曲歌ってもらおうと思います」と、オリジナルサウンドトラックでのみ聴くことができるアウトテイク曲の「STARS OF TEARS」を演奏。Joanneさんは集ったファンに「この場に来れて本当に嬉しいです」と英語で語った。光田氏もブズーキに持ち替えてJoanneさんの横で演奏を披露し、会場は大きく盛り上がった。

アンコールの2曲目は「BALTO ~ LAHAN (CREID Special Version)」。そのタイトル通り、アレンジアルバム「CREID」バージョンの「BALTO」から「LAHAN」のメドレー。バイオリンとアイリッシュなリズムが静かに響くスタートから、後半はパーカッションとアコーディオンが陽気なリズムを奏で初め、「アヴェ いにしえの舞」のフレーズも挟んだアレンジが耳に残る。

「LAHAN」も明るく賑やかな街といった風を更に強調したアレンジになっており、最後はANUNAも全員ステージに登壇して、会場が一体となって手拍子で演奏に参加した。そうして「CREID」といえば、ZABADAKの故・吉良知彦氏のことをどうしても思い出してしまう。ご存命であれば、きっとこのコンサートに誰よりも参加をしたかったに違いない。改めて、故人のご冥福をお祈りしたい。

最後はスタンディングオベーションの客席と共に、記念撮影が行われた。

最後、一人ステージ上に残った光田氏は感無量といった様子で「こうして皆さんと楽しめてよかったです」と、最後の挨拶で声を詰まらせた。

そしてステージのテーブルの上に小箱を置き、スポットライトが小箱だけを照らすと、光田氏はそっと木箱の蓋を開ける。それは「遠い約束」のオルゴールだった。

光田氏は深々と頭を下げてステージはを去り、会場のファンは呼吸をすることすら忘れたように息を詰めて、このオルゴールの音に聞き入っていた。

この星が「ヒト」のものから「人」のものになった瞬間に我々は立ち会った。

「いつかはきっと偉大な神が応えてくれると思っていたのかい?」――筆者がこのタイトルをつけたのは、この奇跡のコンサートは正直なところもう実現不可能なのだろうと諦めていたからだ。

だが、こうしてこのコンサートは開催された。それも最高の演奏と、最高の演出、何もかもが輝いて、眩いばかりの世界を見せてくれた。

「偉大な神」は、確かにいた。それは作曲家の光田康典氏本人はもちろんのこと、スタッフや、演者、ファンの声、全てがひとつになることで「偉大な神」を作り出し、そうしてこのステージを実現してくれたのだろう。

元々ゼノギアスは原初の時代から現代までの宇宙、生命、神、宗教などを主軸に旧約聖書、新約聖書も交えて描かれた作品とあって、ここはあえて「神様、本当にありがとうございました」、という言葉で終わりたい。

ニコ生視聴は4月30日まで!

このコンサートの模様は2018年4月30日(月)23時59分まで、ニコニコ生放送にて2,500ニコニコポイント(税込 2,500円)で視聴が可能だ。円盤化はない、と光田氏が断言していることから、ファンはぜひ期間中にニコニコ生放送で視聴することを強くお勧めする。絶対に損はしない。

ニコニコ生放送 試聴URL
http://live.nicovideo.jp/watch/lv311856881

また、今回のコンサートで披露されたコーラスの歌詞は、パンフレットやこのコンサートの直前に発売になった「Xenogears Original Soundtrack Revival Disc - the first and the last -」に掲載されているので、ぜひ手に入れてほしい。

展示品やその他貴重な品々をまとめて紹介!

会場内での展示をまとめて紹介しよう。まずは当時の設定資料や設定画から。

こちらは、発売予定のフィギュアの原型だ。

キャラクターデザインを務めた田中久仁彦氏による、今回のコンサートのための書き下ろし色紙はこちら。

会場に貼られていた公演ポスターの裏面には全て、こんな落書きがあったことに気が付きましたか?

今回のコンサートの最後に光田氏がステージに置いたオルゴール。

そうして以下は筆者の私物となるが、今回ソラリスシートの特典グッズであるオルゴールがこちらになる。

箱を開けるとメッセージカードが。メッセージカードには「あなたの思い出の一つになることを願って」という光田氏からのメッセージが。そうして箱の側面には「わが娘のたんじょうを祝して……世界中の夢と勇気と 愛をきみに……」というメッセージが書かれていた。特典のオルゴールから流れるのは、もちろん「遠い約束」だ。

終演後、光田氏、Michael McGlynnさん、Joanne Hoggさんにインタビュー!

左から、Joanne Hoggさん、光田康典氏、Michael McGlynnさん

――この四公演を終えての感想をお願いします。

Michaelさん:とても特別でユニークな体験でした。日本で公演するときはいつも特別な雰囲気でやることが多く、去年は能楽と一緒にやらせていただいたんですけれども、今回も素晴らしいミュージシャンたちと共演できて良かったです。

Joanneさん:とても素晴らしい経験でした。普段はバンドと一緒に歌うことが多いのですが、それとは違って今回はオーケストラと一緒にできたことがよかったです。また、20年ぶりに光田さんと再会できて嬉しいです。

光田氏:僕にとっては、この四公演は夢のようでした。構想からいうと、もう二年くらい前から考えていましたが、僕の頭で描いていたコンサートを実現するにはかなり大変な準備と多くの方の協力がないとできないというのは最初からわかっていたので、それをこうして具現化できたというのは、本当に今回関わってくださったスタッフの皆様のおかげだとおもっています。

ミュージシャンの中にも今回初めて一緒にステージに立つ方もいますし、最初はまだ気の知れていない方も多かったですが、回を重ねることによってお互いの音楽に対するフィーリングや魂がひとつに集約していくような体験をすることができて、本当に素晴らしい四公演でした。

――光田さんは最初からステージに演者として参加する前提で進めてこられたんでしょうか?

光田氏:僕は演奏家じゃないですし、一コンポーザーですので、人前で演奏するということがコンサートの質としてどうなのかというのは、ずっと今までありました。以前、自分の作曲家20周年コンサートを開催したときも、そう思っていたんです。ですが、演奏の上手さとかではなく、僕自身が出ることによってファンの皆さんと一緒の空間にいたかったっていうのがあります。なので、自ら「やります」っていうことになっちゃいましたが、本当は立たなくてもいいと思うんですよね。いつも山の中で篭もって作曲をしていると(※光田氏は山梨県在住)、リアルタイムの生の感じを得たいと思って参加することにしましたが、実際皆さんの熱意がひしひしと伝わりましたし、4000個の目が自分を見ているってなかなか経験できないですよね。いい経験ができました。

――今回のコンサートの編成はかなり独特でしたが、メンバーは光田さんご自身で選ばれたんでしょうか?

光田氏:はい。とにかくJoanneには来てもらわないと話にならない、Joanneが来てくれないならこのコンサートはやらない、と決めていました。で、Joanneにお願いして色々話をしたら、多分無理やりあわせてくれたとは思うんですが、この4月になら来れるということになったので、これならいける、と思って。

そしてコーラスも二通りあって、普通に教会音楽っぽい綺麗なクワイヤ(聖歌隊)とブルガリアン・ヴォイスの両方呼んでやるというのも考えましたが、ステージの広さなど色々制約もありますし、色々と考えた結果、僕はANUNAの大ファンだったので一緒にやってみたいという気持ちがずっとあって、ANUNAにお願いすることにしました。こうして一緒にステージに立てて嬉しかったです。

――ではJoanneさんとANUNAがこうして揃ったことは光田さんにとっては奇跡みたいなものですね。

光田氏:奇跡です! 本当に奇跡だと思います、これは強く言います、奇跡です!

――今回のコンサートを通じて、光田さんから見て改めて感じたゼノギアスの魅力などがあれば教えてください。

光田氏:やはり物語がとても深いですよね。音楽の力だけではない作品だと思いました。田中久仁彦さんの絵や、シナリオの深さ、そういったものがひとつのゲームとして素晴らしい作品に仕上がったということが、このコンサートにつながったと思っています。このゲームに参加できて本当に良かったと思いますね。

Michaelさん:海外から来て、日本のこういうゲーム文化を見て思うことは、20年前の作品であっても素晴らしいアーティストたちの作品だな、ということです。ひとつのゲームとして、20年前のノスタルジーとかそういったものではなく、ひとつのアートとして、芸術として素晴らしいものをつくると、人の心にちゃんと響くのだなと感じます。

――Joanneさんは、20年前にこうして日本からゲームの音楽をうたってほしいという依頼がきて、そうしてそれから20年経って今度はこうしてコンサートに呼ばれるということをどう感じましたか?

Joanneさん:20年前にオファーをいただいたときは、ゲーム音楽というものをまったく知らなかったんです。今は息子が二人いるんですが二人とも10代でとてもゲームにハマっているので、こういった素晴らしいゲームが若者たちに与える影響というのはありがたく思っています。20年前に実際にゲームを遊んでいた方たちが、今こうしてコンサートにきてくれて、その方々の反応を見ていると、こういった強い想いがストーリーや音楽にあるのだと体感できました。

今回オファーをいただいたときは、現実に起こっていることなのかととても驚きました。これだけ大きな会場で四回も公演するなんて、本当にすごく特別なプロジェクトであったことを改めて感じています。ご招待いただいたことを非常に光栄に思っています。息子たちに誇れます(笑)。

――こちらの会場を選んだ理由をお願いします。

光田氏:ゲームをやられた方はわかると思うんですが、オープニングはエルドリッジから始まります。で、このスペースシップに似た形がこのアンフィシアターだったので、ここ一択で他はまったく考えていませんでした。ここで一曲目の「冥き黎明」を演奏した時に、皆さんはその世界に没頭できるだろうということで、この会場を選びました。

演出ももちろん、この会場にあわせて考えています。ステージの中央に穴があいてあそこから煙がでてくるのは惑星に落ちるシーンをイメージしていて、そうして最後Joanneがあそこから上がってくるというのまで含めてゲームのストーリーにあわせて演出も組まれています。

「悔恨と安らぎの檻にて」はビリーのテーマとして書いているのですが、ビリーは幼児期にトラウマを色々抱えていてそこから抜け出せない苦しみっていうのがあるから、最後ANUNAのみんなが集まってライティングで囲まれて、穴に落ちていくっていう、細かなストーリーと演出があります。

Michaelさん:ただのゲームの音楽を再現するだけのコンサートではなく、ちゃんとコンサートの中にストーリーがあって、我々ANUNAもそのなかの登場人物としてキャラクターがあって、とされていたので、今回のお話しを引き受けました。これがただのコンサートだったら引き受けなかったと思います。

光田氏:え、こわ(笑)

――(笑)。Michaelさんは何かこだわった演出とかはありましたか?

Michaelさん:ただ歌うだけというのではなく、僕たちもコンサートに貢献して一部になって共演する、という形になっていたので、自分たちがいることによってコンサートに違いと生み出せることは意識していました。

光田氏:そういうのを含めてお客さんが感じられたらよかったな、と思いますが、こういうことを言うとまたBlu-ray化してくださいとかになるんですよね(笑)。

――(笑)。撮影、入ってましたよね?

光田氏:撮影はしていましたけど、僕がツイッターや日記で言っているように、ライブってやっぱり生ものなんで、映像化とか好きじゃないんですよ。ニコニコ生放送も拒否していたんですけれど、やっぱり地方の方でどうしても見たいっていう方がたくさんいらっしゃったので、その想いを実現できたらいいなということで、こちらはOKしました。

――Joanneさん、ステージの中央から出てきた時の感想はいかがでしたか?

Joanneさん:すごくこわかったです(笑)。初めて乗ったときは本当に気絶するかと思ったくらい(笑)。歌詞を忘れないようにと祈っていました(笑)。ステージの上にあがってお客さんと一体になった瞬間に自然と歌えましたが。

光田氏:Joanneは今回ちょっと飛行機トラブルがあって遅れたんですよ。本当は一日前に来てリハーサルをする予定だったんですが、到着したのが前日の夜の通しリハで、僕も20年ぶりなのに、その再会がいきなり穴の下から上がってくるJoanneだったっていう(笑)。びっくりですよ(笑)。20年ぶりの出会い方がそれはないだろうっていう感じでしたね(笑)。

――光田さんは、あの中央ステージから上がってくる予定はなかったんですか?(笑)

光田氏:僕はなかったです(笑)。

――今回のコンサートのタイトルに込めた想いみたいなものがあれば教えてください。

光田氏:「最先と最後(いやさきといやはて)」なんですが、こうしてなんか物事が動き出すというのは、何かのきっかけがあって動き始めるんですよね。このコンサートも人生のどこかのスタートで、時がくればいつか終焉があって、生きるというのはその繰り返しだと思います。

あと、このコンサートは本当に奇跡が重なって出来たんですよ。もう二度とないかもしれないということもこめて、このタイトルにさせてもらいました。でも、またやりたいです!(笑)。もう一回、同じメンバーでやりたいです!(笑)

Michaelさん:奇跡とはいいますが、むしろ不可能なことをやり遂げたんだと思います。色んなひとたちがきて、色々機材トラブルなども乗り越えて、可能にしたことなので、これは必然だとおもいます。

光田氏:いいこと言うなぁ(笑)。では必然ということで(笑)。

――ありがとうございました!

セットリスト

<第一部>

1. 冥き黎明
2. 海と炎の絆
3. おらか゛村は世界一
4. 風のうまれる谷~遠い約束(Piano)
5. 鋼の巨人
6. 夢の卵の孵るところ
7. グラーフ 闇の覇者~導火線
8. つわものどもが夢のあと~死の舞踏
9. SMALL TWO OF PIECES PianoVersion
10. 盗めない宝石
11. 傷もてるわれら 光のなかを進まん

12. やさしい風がうたう
13. lost...きしんだかけら

<第2部>

14. 悔恨と安らき゛の檻にて
15. 紅蓮の騎士
16. 神無月の人魚
17. 風がよぶ、蒼穹のシェバト
18. 飛翔~翼
19. 予感
20. 覚醒~神に牙むくもの
21. 最先と最後
22. SMALL TWO OF PIECES ~軋んだ破片~

<アンコール>

23. STARS OF TEARS
24. BALTO & LAHAN (CREID Special Version)
25. 遠い約束

公演概要

公演名

Xenogears 20th Anniversary Concert -The Beginning and the End-

開催期間

2018年4月7日(土)
【昼公演】13:00開場/14:00開演 【夜公演】17:30開場/18:30開演

2018年4月8日(日)
【昼公演】11:30開場/12:30開演 【夜公演】16:00開場/17:00開演

会場

舞浜アンフィシアター

製作総指揮

光田康典(プロキオン・スタジオ)

演奏

アーネンエルベ・オーケストラ -ゼノギアスコンサートスペシャルバンド&オーケストラ-

スペシャルゲスト

Joanne Hogg、ANUNA

主催・企画・制作

スクウェア・エニックス / プロマックス / フロンティアワークス

協力

プロキオン・スタジオ

公式サイト
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/xenogears/20thconcert/

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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