フリューのオリジナルアクションRPG「CRYSTAR -クライスタ-」。豪華スタッフが生み出したアクの強い作品である本作のインプレッション記事をお届け。
フリューのオリジナルアクションRPG「CRYSTAR -クライスタ-」のインプレッションをライターのカワチがお送りします。
“少女の涙”という表現をテーマにした「CRYSTAR -クライスタ-」。そのキャッチーなテーマだったり、シナリオを「ONE ~輝く季節へ~」「Kanon」などで知られる久弥直樹氏が手がけていることが気になり、プレイしてみました。
ちなみに本作はシナリオ以外にも豪華スタッフが集結。キャラクターデザイン・リウイチさん、キャラクターデザイン&キャラクターモデリングリード・ntnyさん、インサートイラストレーション・ウエダハジメさん、開発・ジェムドロップ、BGM・削除さん、オープニングアニメーション制作・シャフトといった各界を代表するようなメンバーが揃っているので、自分のように参加スタッフの名前でピンと来る人も多いのではないでしょうか。
ゲームを実際にプレイしたところ、アクション部分はライトユーザーでも気軽にアクションが楽しめるものの、歯ごたえは少なくちょっと残念な部分も。しかし、11月6日に配信されたアップデートパッチによってアクション部分はかなり快適に。そもそもの根幹となるシステムで残念な部分もあるのですが、キャラクターの操作などは大きく変わっており遊びやすくなっています(アップデートの内容はこちら)。
また、アクション部分だけでなく、世界観やキャラクターがとても素晴らしい作品でした。以下でこまかく解説していきましょう。
少女の悲痛を描いた切ないストーリー
本作のストーリーは、誤って妹を殺してしまった15歳の少女・幡田 零が、その妹を「ヨミガエリ」させるために双子の悪魔と契約。悪魔の代行者となって、死後の世界に蔓延する幽者や幽鬼と戦うストーリーです。
序盤に主人公が妹を殺してしまう展開からはじまり、ヨミガエリを目指す幽鬼たちを葬る展開、同じ代行者として共に戦う仲間たちの重いバックボーンが語られる展開など、かなりディープで引き込まれます。少女たちが苦しみ慟哭しながら進んでいくストーリーは本作でしか味わえない唯一無二の体験と言っていいでしょう。
また、ダークなだけではなく仲間との絆を感じられるシーンやモフモフな犬・セレマと交流するシーンなどホッとさせられる展開もあり、しっかりメリハリもついていますね。
アクション部分は初心者にも優しい難易度
アクション部分はシンプルで遊びやすいものの、敵の種類が少なかったり硬直時間のせいで爽快感がなかったりして少し残念。キャラクターの切り替えや個別のスキル、特定の条件を満たすと呼び出せる「守護者」など要素自体はいいのですが、それを存分に生かして戦うような場面が少ないです。
たとえば、キャラクターの切り替えは、交代時のダメージ量に応じてバフが掛かったり控えにいると一定値までHPが回復したりするため活用すればうまく立ち回れるのですが、キャラクターの性能差が大きいので変えるメリットのほうが少なく感じてしまうんですよね。
ただ難易度が低いこと自体は悪いことではなく、物語を楽しみたい人のネックにはならない作りになっています。いちど挑んだダンジョンは何度でも挑戦可能でレベル上げや思装(装備)集めなどで能力を上げることもできるので安心です。
また、戦闘中に敵を倒すと断末魔が視覚的に見ることができる演出があり、それが独自の雰囲気を作っています。操作しているキャラクターによって、トドメを刺したことを謝ったり無関心を決め込んだりと反応が違うのもおもしろいです。
素晴らしい作品テーマ……心えぐられる体験をぜひ!
辺獄で敵を倒すと「断末魔の思念」を取得でき、現実ではその思念を浄化して「思装」を生み出すことができます。浄化するためには「泣く」必要があり演出が導入されます。このシーンは、とくに製作者が「クライスタ」で表現したかったであろう「少女の涙」のテーマがヒシヒシと伝わってきます。
物語やゲームシステムを通じて描かれる少女の儚さや美しさ、弱さと強さ……。さまざまな部分から垣間見える本作の「苦しみ、泣きながらながら戦う少女を描く」というコンセプトは本当に素晴らしいものです。
「CRYSTAR -クライスタ-」はフリュー初のオリジナルアクションRPGということもあり、アクション部分に関してツメが甘いなと感じることがあるのも事実です。ただ、それ以上に豪華クリエイター陣の作り出す世界観や確固たるテーマなどオンリーワンの魅力が詰まった作品になっています。ぜひ少しでも気になる部分があれば手にとってみてください! きっと心に残るものがあるハズです!!