ソニー・インタラクティブエンタテインメントが11月8日に発売したPS4用(PS VR必須)ソフト「Déraciné」(デラシネ)。その発売を記念して、東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkiba店にて展開中の「Déraciné」特別ブースにおいて、発売記念イベントが開催された。
「Déraciné」は、SIE JAPANスタジオ、フロム・ソフトウェア、宮崎英高ディレクター作品であるPS4用ソフト「Bloodborne」と同じ開発体制による、完全新作のVRアドベンチャーゲーム。“古典的アドベンチャーゲームを、最新のVR技術で描く”というコンセプトのもと、温かくもどこかミステリアスな物語が展開する。
発売を間近に控えてもなお、どのようなゲームになっているのか想像がつかなかった人も多いのではないかと思うが、発売を迎えるにあたり、全国各地で順次店頭体験会が行われている。
その中でも、東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkiba店では、「Déraciné」の特別ブースが展開。こちらには黒板アート作家のすずきらな氏が制作したという、同作をモチーフにした黒板アートが展示されている。
さらに、発売当日の11月8日には、SIE ワールドワイド・スタジオ JAPANスタジオプロデューサーの山際眞晃氏と、フロム・ソフトウェアの広報担当である小倉康敬氏、北尾泰大氏による発売記念イベントが行われた。ここでは、その模様を簡単にではあるが、紹介していこう。
3人がようやく発売を迎えられたと話す本作は、「Bloodborne」のDLCの打ち上げの際、ディレクターの宮崎氏から寄せられたアイデアが元になっているという。発売に至るまでには紆余曲折あったそうだが、結果的に当初掲げていた“実在感と非実在感”というテーマについては一貫して取り組めたと、その手応えを語っていた。
その流れから、ゲームの概要をスライドを交えて紹介。本作の舞台となるのは、人里離れた古い寄宿学校。そこでは少年少女6人と年老いた校長先生がひっそりと暮らしているのだが、プレイヤーは誰にも見えない妖精として、止まった時の世界を探索していくことになる。
探索を経て得られるのは断片的な情報の数々。それらの情報を元に考察し、そこにある意味に気づいた時の喜びが特徴的なVRアドベンチャーとなっている。登場するアイテムに用意されたテキストから読み解いていくフロム・ソフトウェアならではのエッセンスもあり、それこそゲーム性が違ったとしても、その世界に入り込めるようになっているという。
具体的なゲームの内容に関しては、本作の宣伝を担当するSIE マーケティング部の橋本宏平氏が実際のプレイを披露しつつ、いくつかのポイントについて紹介していった。
本作では左右に持ったPS Moveコントローラでの操作が、ゲーム内における手の役割を果たすことになる。移動自体は実際に歩くような動作をするのではなく、予め設定されたポイントに瞬間的に移動するようになっているのだが、これはVRによる酔いを軽減することを意識したよう。
基本的なプレイの流れは、人も物も動かない世界の中で探索をしながら、子どもたちの思い出を反映した幻影と言霊を見つけ、それらの情報から手がかりを得ていく。また、覗き込んだり、しゃがんだりといったVR空間ならではの動作もあり、それらの視点からの気づきなども盛り込まれている。
先ほども触れた通り、ゲームを進めるためにはさまざまなアイテムから情報の断片を得ていくことになるのだが、アイテムから読み解けるテキストは全て宮崎氏が手がけており、過去の作品と比べても、宮崎氏ならではのテキストのクセは強めだという。また、VRならではの空気感の表現や、直接的に関与しないものにも語られはしないものの意味があるなど、画面上の情報量も多いゲームになっていそうだ。
その後は、イベントに参加したファンからの質問コーナーとなり、“フロム脳”を随所に見せる荒木さんに始まり、それぞれにポイントを付いたファンならではの質問が寄せられていく。その中では、VRということで開発規模そのものは小さくとも、遊びや世界観の構築に注力していく作り方のプロセスは変わっていないこと、今回はキャラクターの動きや表情が重要になることから、モーション・フェイシャルキャプチャにもこだわったことなど、制作のさらなるエピソードが語られることとなった。
ちなみに、海外でのレビューではさまざまな評価が寄せられていることにも触れた上で、北尾氏は本作について人を選ぶ作品だという見解も示す。ただ、試行錯誤しながら生み出された内容については“大好きなゲームになっている”と改めてアピールしていた。