ソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売中のPS4用ソフト「Déraciné」。完全新作のVRアドベンチャーゲームである、本作のプレイレポートをお届けする。

「Déraciné」(デラシネ)は、SIE JAPANスタジオとフロム・ソフトウェアがタッグを組み、ディレクターを宮崎英高氏が担当するという、PS4用ソフト「Bloodborne」と同じ開発体制で作られたVRアドベンチャーゲーム。フロム・ソフトウェアや宮崎氏といえば、「Demon's Souls」や「DARK SOULS」シリーズなど、「Bloodborne」以外にも多数の“死に覚えゲー”を手掛けており、そこで名前を知った人も多いのではないだろうか。

「Bloodborne」のような硬派なアクションゲームを手掛けたチームが作った、完全新作のアドベンチャーゲーム。果たしていったいどんな作品になっているのか、ゲームの流れと合わせてお伝えしていきたい。

どんな物に、どれだけ干渉できるのかを探りなら進める

まずは本作の概要について触れておこう。ゲームの舞台は人里離れた寄宿学校で、6人の子どもたちと校長先生が暮らしている。プレイヤーは止まった時を生きる妖精となり、子どもたちと関わりながら物語を紡いでいくこととなる。

ゲームの特徴的な部分が、妖精であるプレイヤーが“止まった時を過ごしている”という点。登場人物たちと別の時間を生きているため、会話するといった直接的な交流はできず、誰からも視認されることがない。そのため、持っている物をこっそり拝借したり、見落としている物を近くに置いてあげたりと、時間が止まった状態の子どもたちに対して間接的に干渉しつつ、彼らと交流していくのだ。

プレイヤーは自身の手を動かし、いろんな人や物に干渉していく。
“止まった時”の文字通り、風になびいたカーテンも、ロウソクの火や煙さえも止まったままの世界。

文字だけで“止まった時”と言われてもしっくりこないかもしれないが、この点はゲームを始めればすぐに理解できるだろう。ゲーム開始時にはチュートリアルが用意されており、どのように世界や登場人物たちに干渉できるかをつかめるようになっている。また、本作はPlayStation Move モーションコントローラー(以下、PS Move モーションコントローラー)が2本必須となるため、それを使った操作方法も最初に学べるというわけだ。

基本的な操作は、右側のPS Move モーションコントローラーの○、×ボタンで向き(視点)変更、Tボタン(背面のトリガー)でアイテムを持つ、アイテムを持った状態で左側のPS Move モーションコントローラーの△or□ボタンで詳細表示といったものがある。移動は自由に動けるわけではなく、青い光が表示されたポイントに向かってMoveボタンを押すと、そのポイントまで移動できるという仕組み。

移動先が青く小さい光の場合は単なる移動先のポイント、何か調べられるものがある場合は青い光がサークル状になっている。

筆者はタッチパネルやモーションセンサーを利用した操作よりも、コントローラーが大好き人間なのでPS Move モーションコントローラーの操作は少し敬遠気味だったのだが、思ったよりも違和感なく入りこめた。ゲームに慣れてくると連続した移動が少し手間に感じてしまうかもしれないが、本を手に取って裏表紙を確認するといったような、「物を手に取る」「手に取った物を観察する」ときの動きは、現実と同じような動作でかなり自然に操作できた点に驚かされた。

プレイヤーがこの世界に干渉できる方法は、主に置いてある物を調べる(持ち歩く)、登場人物たちの所持品に触れる、言霊を聞く、の大きく3つ。言霊や子どもたちの持ち物などから「誰が何をしたいのか」を読み解き、それを実行するために「自分が何に干渉できるのか」を探っていくという流れだ。

これを実現するためのものとして、特殊な2つの力も存在する。1つは右手で物をつかむことで“命の時間”を奪ったり与えたりできるというもの。例えば「妖精の存在を証明するため、この花を咲かせてほしい」という少女の願いを叶えるため、この力を使って新鮮なブドウから命の時間を奪い、それを枯れた花に与えて花を咲かせる、といったことが行える。

もう1つの力が、「時振計」を使った導きだ。これは妖精に向けた教示で、次に何をすればいいかが表示されるというもの。いわゆるヒント機能だが、現在の止まった時でやるべきことが終わったあと、別の時へ移動するための機能も備えている。

まずは子どもたちに妖精がいるのだと信じてもらい、やるべきことが終わったら別の時へ移動し、今度は仲良くなるために…という感じで行動していく。先の例でいうと枯れた花を咲かせたことで妖精の存在を証明したあと、今度は別の時間でシチューの味を変えてしまい、さらに信憑性を持たせてみよう、といった流れになる。

どんな風に進めたかで変わるゲーム体験

宿舎内を探索する際に重要となるのが、子どもたちの幻影と言霊の存在だ。宿舎には登場人物たちの止まった姿だけでなく、子どもたちの幻影が残されている場合がある。どちらの状態からも、彼らの心情や思い出が言霊(声)となって流れ出してくる。

この言霊は、子どもたちが持っている物だったり、近くのオブジェクトなどに触れると発生することが多い。そのため、子どもたちを見つけたら干渉できる物はないか、まずはいろいろ試してみるのが基本となるだろう。

建物内を探索し、子どもたちの声を聞き、物を動かし、物語を進めていく。プレイヤーが取れる主要な行動を言葉にするとこれだけだが、“気付きの喜びに満ちたVRアドベンチャーゲーム”と謳っているだけあって、気付きの部分は非常に丁寧に作られている。

探索部分で言えば、庭でふと視点を上げたら木の上にまで移動できるポイントがあり、そこで男の子が昼寝をしていた、なんてケースがある。筆者はまさに“ふと視点を上げたら気づいた”のだが、実は建物内から木の上の様子を眺める少女がいるのだ。偶然見つけたら「さすが俺!」なんて気分になるし、先に少女のもとに行っていれば「あそこにも行けるのかな?」と、次に行動する指針が見つけられる。

言霊から聞ける内容も重要だ。男の子の幻影から「このカギは僕がポケットにしまっておくよ」という情報が得られたとする。この情報を得たときのプレイヤーの状況というのは、以下の6パターンに大別できるだろう。

  1. カギの使用場所を知らず、対象の人物を見つけ、カギを見つけていた
  2. カギの使用場所を知らず、対象の人物を見つけ、カギを見つけていなかった
  3. カギの使用場所を知らず、対象の人物を見つけていなかった
  4. カギの使用場所を知り、対象の人物を見つけ、カギを見つけていた
  5. カギの使用場所を知り、対象の人物を見つけ、カギを見つけていなかった
  6. カギの使用場所を知り、対象の人物を見つけていなかった

カギをどこで使うのか知っていれば、「あそこで使うものか」となるし、逆に知らなければ「よく分からないけど、この子がカギを持っているんだろう」と想像がつく。もちろん、すでに持っていれば「もう持ってるし」と、ドヤ顔ができるわけだ。

プレイヤーがどんな風に探索してきたか、今どんな情報を持っているかによって、その時その時で得られる気付きがまったく違うのだ。プレイした感想を人と話すことがあれば、「あそこで言霊聞くまでカギ気づかないよな」なんて人もいれば、「いや、俺先に見つけてたし」なんて人も出てくるだろう。こうした自分だけのゲーム体験が味わえるのが、本作の大きな魅力だ。

また、人との間接的な交流というのも、プレイしていて面白みを感じるところ。子どもたちの中には、最初から妖精を信じている子もいれば、反対に信じていない子もいる。プレイヤーが交流を図っていくことで、妖精を信じていない子の「みんな妖精さんの話ばっかり…」なんて態度が徐々に軟化し、「妖精さんを迎えるための椅子はどこに置くのがいいだろう」と真剣に考えてくれるようになったりする。

こうしたわかりやすい変化だけが注目ポイントではない。プレイヤーが何かしらの干渉を行うと、止まった姿の子供たちが干渉に対する変化の行動を見せてくれる。このとき、決して妖精のことは視認できていないのだが、まるでこちらが見えているかのように視線が合った状態で感謝の言葉をもらうと、温かい気持ちにさせてくれる面もある。

基本的には干渉した際に、妖精さんがいそうな方向を向くため、なかなか視線が合わない。偶然の産物だからこそ嬉しいのかもしれない。

さて、ゲーム序盤とはいえ、本レポートでは実際に起こるエピソードをいくつか書いている。プレイ前に情報を見れば見るほど読者の方の気付きを奪ってしまいかねないのだが、本作はあくまで“温かくもミステリアスな物語”である。温かな面ばかり紹介してきたが、ミステリアスな物語という面でもさまざまな気付きが存在する。どんな物語が展開していくのか、少しでも興味を持っている方にはぜひとも触ってみてほしい。

寄宿舎の外と思われる場所も。どんな経緯で彼らは外に向かうのだろうか…。

Déraciné

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

PS4パッケージ

  • 発売日:2018年11月8日
  • 価格:3,000円(税抜)
  • 12歳以上対象
Déraciné

Déraciné

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

PS4ダウンロード

  • 発売日:2018年11月8日
  • 価格:3,240円(税込)
  • 12歳以上対象
Déraciné
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(C)2018 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by FromSoftware, Inc.

※画面は開発中のものです。

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