「ラングリッサー モバイル」は、長い歴史を誇る人気シミュレーションRPG「ラングリッサー」シリーズのスマートフォン向け最新作。リリース後1日で100万ダウンロードを突破したという本作の魅力について、本稿で紹介したい。
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「ラングリッサー モバイル」は、ZLONGAMEからリリースされたiOS/Android向けシミュレーションRPG。1991年からメガドライブやセガサターンといったハードを中心に展開されたシミュレーションRPG「ラングリッサー」シリーズの世界観を引き継ぐ作品だ。
当時、「ラングリッサー」シリーズはイラストレーターのうるし原智志氏が描く魅力的なキャラクター(特に女性キャラ!)と、シミュレーションRPGとして完成度の高い内容から人気を獲得していた。今でも本シリーズが心に残っているという人は少なくないだろう。こうした背景もあってか、本作は4月2日の配信開始後1日で100万ダウンロードを達成。期待と人気の高さを窺わせている。この記事ではそんな本作の内容について詳しくお伝えしたい。
聖剣と魔剣を巡る物語が蘇る!聖剣ラングリッサーを復活せよ
本作はこれまでの作品のリメイクではなく、完全なオリジナル作品として作られている。平和が戻った世界で、突如帝国が侵攻を開始。同時に光の女神ルシリスにより闇の封印が破られ、魔剣アルハザードの脅威が迫りつつあることが告げられる。しかし、魔剣アルハザードと対になる聖剣、ラングリッサーは激しい戦争により既に失われていた。このため主人公たちは、聖剣ラングリッサーを復活させるために冒険の旅を繰り広げることになる。
聖剣ラングリッサー復活のカギとなるのが、伝説の英雄…つまり、過去作品に登場した主人公たち。世界各地にある「時空の裂け目」で伝説の英雄たちの試練を乗り越えていくことが、聖剣ラングリッサーの復活に繋がるのだ。
無料、アイテム課金という形が主流のスマートフォンゲームでは、本作のように過去作のキャラクターがオールスター的に登場するものが多い。過去作のキャラクターはユーザーが強い思い入れを持っているし、レア度も高く設定されることが多いため、どうしてもスマホ版用に用意されたオリジナル主人公の影が薄くなりがちだ。しかし本作の場合、ストーリーが明確に本作の主人公中心に展開していくため、本作オリジナルの主人公も主人公としての存在感を保ち続けてくれる。このことが、本作のストーリーも魅力的に見せていると感じた。
コンシューマーに近い形式!自分で冒険している感覚の強いマップ
基本的なゲームの流れは、フィールドマップでチャレンジするクエストを選び、クリアしたら次のクエストへ…という形。一般的なスマホゲームで採用されることの多いリストからクエストを選ぶ形式ではなく、コンシューマーゲームに近い形式だ。このため、プレイすると「シナリオを読んでいる」感覚ではなく「冒険している」感覚が強く味わえる。
クエストは3種類用意されている、ひとつは「NEXT」と指示されたクエスト。このタイプのクエストではたいていの場合、キャラクター立ち絵+背景グラフィックを使ったストーリー演出の後、ストーリーに絡んだバトルが発生する。
次にクエスト開始時に「Encounter a Battle」と表示されるクエスト。このタイプのクエストはほとんどバトルオンリーで構成されている。「NEXT」と「NEXT」の中間に挿入されている、越えなければならない中間クエストといったところだ。
最後にボスマークのついたクエスト。このタイプのクエストは、「NEXT」へ向かうルートから外れたところに配置されることが多く、挑戦するもしないも自由。いつ挑戦してもいいというクエストだ。強力な敵が登場する反面、よい報酬が手に入るという形になっている。ただただクエスト選択がマップ的な見た目をしているだけでなく、ボスクエストのように挑戦するかしないか、挑戦するならいつ挑戦するのか…といったプレイヤー判断に任されるクエストが用意されていることも、本作の「冒険している」感覚に貢献していると感じた。
ド派手!テンポがいい!爽快で戦略的なバトルパート
クエストで行われるバトルは、四角形のマスで区切られたフィールド上でユニットを移動し、敵ユニットを倒していくというタクティカルバトルの王道スタイルだ。やはりシミュレーションRPGといったらこのスタイルだろう。
「ラングリッサー」シリーズと言えば、「指揮官」と「傭兵」の組み合わせで1ユニットを構成するというシステム。「指揮官」がキャラクターにあたる存在で、「傭兵」は戦略シミュレーションゲームの「兵種」「兵力」にあたる存在だ。コーエーテクモゲームスの「信長の野望」で、織田信長という「指揮官」に、鉄砲隊1000人という「傭兵」を組み合わせてユニットを構成する…といった形を思い浮かべると理解しやすいだろう。「指揮官」、「傭兵」それぞれにHPが用意されており、通常は「傭兵」のHPから先に減っていく。
また、キャラクターに対してどの兵種の「傭兵」をセットするかは切り替えることが可能だ。歩兵は槍兵に強く、槍兵は騎兵に強く、騎兵は歩兵に強いなどといった形で兵種間に相性が設定されているため、敵の兵種によってキャラクターにどんな兵種を割り当てるのか切り替えることが、戦略のポイントになっている。
クエストは、設定された目標を達成すればクリアとなる。たいていのクエストでは敵をせん滅すればクリアできるし、「一定ポイントまで到着すること」といったせん滅以外の目標が設定されている場合も、敵をせん滅するとクリア可能だ。また、各クエストには参加ユニットに上限が設定されている。たいていの場合5ユニットが上限となっており、敵ユニットも5ユニットでせん滅できる程度の数しか出てこないので、1クエストをプレイするのに必要な時間は数分程度。テンポよくプレイすることが可能だ。
また、ユニットの移動スピードや、移動モードから戦闘画面に切り替わる際の切り替えスピード、戦闘画面の演出などことごとくスピードが速い。サクサク進んでくれる。さらに、スピーディなだけでなく演出が派手なので、アクションゲームでもないのに爽快さを感じてしまった。
とはいえ、爽快感に任せてゴリゴリ力押しで進めるかというと、そんな作りにはなっていない。兵種の相性と、地形による効果を考えてユニットを動かし、さらに適切にスキルを使うことが重要だ。回復や、マップ上での範囲攻撃といったスキルを適切なタイミングで使わなければ、攻略は難しいだろう。そもそも本作にはプレイヤーレベルによってキャラクターのレベルが制限されるという仕様があるため、「レベルを上げて物理で殴る」的な力押しは通用しづらい。しっかり頭を使わなければ勝てない印象だ。
本作にも、オートモードや演出オフといったスマホゲームならではの快適機能が用意されているが、難易度を考えるとオートモードはよほどレベル差のある敵相手じゃないと厳しそうに感じた。ただ、敵の射程範囲を表示してくれる危険地域の表示機能はめちゃくちゃお世話になる。バトルの際は常にオンにして臨みたい。
シリーズファンも納得!?クオリティの高いシミュレーションRPG
本作のように長い歴史を背負ったタイトルだと、プレイヤーの中で思い入れも増幅されていることが多い。さらには思い入れのポイントが人それぞれなので、人によっては「ここが嫌だ!」というケースもあるだろう。たとえば、本作のイラストレーターはうるし原智志氏ではない。このひとつだけとっても、ラングリッサー=うるし原氏の描くキャラが活躍する世界観というイメージを持っている人にとっては、敬遠するポイントになるかもしれない。
ただ、本作はグラフィック面でも既存シリーズの世界観を壊さないよう丁寧に作られている印象だ。「ラングリッサー」シリーズの新作としてリリースできるだけのクオリティは十分備えた作品だと思う。
細かな内容を見ていくと、「ラングリッサー」シリーズをリリースされていたメサイヤブランドのシューティングゲーム「超兄貴」のアドンが登場したり、「ラングリッサー」シリーズの過去作品のシナリオが用意されていたりと、シリーズファンの思いをくすぐる要素が用意されており、シリーズを大切に設計されていることがわかるはずだ。
なお、本作は「ラングリッサー」シリーズをプレイしたことがないプレイヤーにとっても、クオリティの高いシミュレーションRPGとしてオススメだ。過去作の登場キャラクターへの思い入れはないだろうが、本作から登場するオリジナルキャラクターがしっかりストーリーを牽引してくれるし、キャラクターの魅力も味わえる。JRPG的なファンタジーが好きで、タクティカルバトルが好きという人であれば、手を出して損はないだろう。