ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2019年5月30日に発売したPS VR専用ソフト「ライアン・マークス リベンジミッション」のプレイインプレッションをお届けする。

本作は、イギリス陸軍のエリート特殊部隊員であり、ギャング組織「マークス・ファミリー」のボスの息子でもあるライアン・マークスとして、敵対ギャング組織との戦いを繰り広げていくVRシューティングアクションゲーム。敵との激しい銃撃戦やピッキングなどのギミック処理といった、アクション映画さながらの体験がVRを通じて味わえるのが魅力のタイトルだ。

5月末に発売されたばかりのフレッシュな本作をプレイしたので、そのインプレッションをお伝えしていきたい。なお、以前にメディア向けに行われた体験会ではPlayStation Moveモーションコントローラー(以下、PS Move)を使ってプレイしたこともあり、今回は比較もかねてDUALSHOCK 4でプレイしている。

まずストーリーは、ライアンが拘置所のような場所にとらわれているところから始まる。どうやら現状のライアンは終身刑を言い渡されている立場のようで、「助かるために協力するからお前の身に起きたことを話してくれ」といった感じで、親身に接してくれる相手とやり取りを重ねていく。プレイヤーとしては、そこでライアンが語る過去を追体験する形で、マークス・ファミリーを襲撃した敵対組織のことなどを知っていくという流れだ。

とはいえ、実際のライアンはいきなり現れた人物を素直に信頼するほどの真人間ではなく「弁護士を呼ばせろ」とか「話してやるよ。ここを出たらな」というような皮肉を返したりする。ゲームの舞台がロンドンのためか、こうした海外らしいやり取りが随所に現れて楽しませてくれる。

ライアンの聴取を行うカーソン。彼もやり手で一筋縄ではいかない人物だ。
街中の作り込みにも注目したい。車に乗って移動するシーンもあるのだが、銃撃戦がなければ外の景色を眺めていたくなる。

アクションシーンのシステムに関しては、一人称視点で進行していく。一般的なFPSと異なる点として、フィールドを自由に動き回れるわけではなく、障害物などのポイントに隠れて戦うのがメインになる。移動の仕組みは画面(視界)に表示されたポイントに向かってアナログスティックを倒すと、自動で移動してくれるようになっている。

ときには、コソコソ隠れずに堂々と姿をさらして自動で前に進みつつ、上下左右いろんなところから出現する敵を撃退していく場面もある。ゲームセンターのガンシューティングライクで、「おっ、あの辺から敵が出てくるんじゃないかな?」なんて想像しながら、事前にそれらしい場所に狙いを付けたくなってくる。

銃の扱いについてはDUALSHOCK 4の場合、FPSのようにアナログスティックで狙いを定めるのではなく、DUALSHOCK 4を銃に見立てて操作することになる。直観的に操作できるPS Moveと比べるとやや狙いをつけづらく感じたが、PS Moveでの「マガジンを取り出して銃に入れる」というリアルな動作が必要なく、ワンボタンで弾をリロードできるというシステム的な手軽さもある。DUALSHOCK 4とPS Moveの両方を触ったところ、それぞれ以下のような印象を受けた。

DUALSHOCK 4での操作感
・リロードがR1/L1のワンボタンで行える
・ヘッドショットを狙うのは大変だが、雑な狙いでも思ったより敵に攻撃が当たる
・雑な狙いでマシンガンのような連射可能な銃を撃っているとそれだけで楽しい

PS Moveでの操作感
・両手に武器を持って戦う際の自由度とゲームへの没入感が高い
・片手に銃を、片手にリロード用の弾を持って戦うこともできる
・現実のようなリロード動作が必要だが、操作はすぐに慣れる

アクションシステムで欠かせないものとして、一定時間スローモーションにできる要素がある。これはプレイヤーが任意で発動できるため、スローモーションになっている間に敵にヘッドショットをお見舞いしたり、多数の敵を一気に撃ち倒したりと、ピンチな状況を突破するために役立つ。スローモーションは次の発動までのクールタイム(待機時間)があるため、困ったら毎回スローモーションというわけにはいかないが、ゲームの主人公らしいスーパープレイを楽しめる要素でもある。

敵との銃撃戦以外にも、道中ではハシゴを登ったり、鉄パイプにぶら下がって横に移動したり、ピッキングで扉の鍵を開けたりといったアクションやギミックが待ち受けている。基本的にどれも両手の自由が利くというか、右手と左手を別々に動かせるためPS Moveのほうがやりやすく感じたが、DUALSHOCK 4のほうが簡単に感じるところもあった。例えばピッキングでは、PS Moveだと器具を差し込んだあとに鍵穴の構造を見ながらPS Moveをうまく操作する必要があるのだが、DUALSHOCK 4では最後にL2ボタンを押すだけで処理できる。

銃撃にしてもギミックにしても、PS Moveに最適化した作りだなと感じることが多々あり、ゲームはDUALSHOCK 4のようなコントローラーでやる!というタイプの筆者でも、全体を通してみればPS Moveの方が操作しやすい印象だった。もちろんDUALSHOCK 4でも操作できるし、利点もあるが、もしPS Moveが2つあるのなら、ぜひPS Moveでプレイしてほしいと思う。

本作のメインはこうしたアクションだが、ストーリーや細かな作りこみというのも見逃せない。ストーリーの大筋はギャング同士の抗争といった感じで、海外のドラマや映画好きに受けそうな内容だ。互いに裏社会の人間で正義とは遠いが、だからこそ「舐めた真似をしてくれた相手をぶっ潰す」というような、感情で動けて分かりやすいところが魅力となる。タイトル通りライアンの復讐劇となるため、調子に乗ってる奴に痛い目を見せてやるシーンも痛快でいい。

この手のギャングものでお約束とも言える、仲間とのくだらないやり取りや、敵との冷や冷やするジョークも外せない。

例えば仲間と目的地に向かってドライブしている途中、ダイエットを話題に
「リンゴは炭水化物の塊だって知ってるか?フルーツもやめた」
「じゃあビールは?」
「それは穀物だからアリ」
という、思わずツッコミたくなるシーンがある。

ほかにも、敵対組織の襲撃を受けて軟禁状態のときに、銃を持った敵が「スコッチでお祝いしよう、酒を注いでくれよ。そうだ、ショットがいい!パン!パン!」なんてふざけたジョークを飛ばしてくることもある。それに対する返しも見事なもので、海外ジョークが好きな人にはたまらないだろう。

中央にいるのがダイエットでフルーツをやめたというライアンの兄・ニック。
敵対組織の襲撃を受けたシーン。銃を持った相手に軽口を叩くニックはなかなかに度胸があるが、さすがにキレられる。

ゲームの本筋からは外れるのだが、登場人物たちと会話するイベントシーンで、さまざまなオブジェクトに触れるのも面白いところ。例えば先ほどのドライブシーンでは、ミラーやエアコンの向きを変えたり、走行中なのにドアを開けたりできる。さらには、仲間から「吸ってみ?」と言って渡されるものがあるのだが、それを掴んで捨てるように放ると「おい、いい加減にしろよ!」といった感じで怒鳴られるのだ。

ライアンがつかまっているところでは、相手が用意した顔写真を掴んで放り投げてしまうこともできる。全てのシーンで全員が全員、何かしらの反応を返してくれるわけではないし、触れないオブジェクトもあるのだが、あまりにも自由奔放な振る舞いができてしまって驚かされた。

ほかにも、武器のカスタマイズやステージに隠されたアイテムの収集、タイムアタックなど、ゲームとしてのやりこみ要素も充実している。一度クリアしたステージをやり直す際には、こうしたサブ要素、コレクションアイテムの入手状況や目標の達成状況が確認できるので、やりこみ好きな人ならコンプリート欲も刺激されるだろう。

銃は性能に影響のあるパーツのカスタマイズだけでなく、スプレーで塗装して色を変えられる。

VRゲームのためアクション部分のように体験しなければ感じ取りにくい魅力というのはあるが、没入感の高さやギャングらしい奔放な振る舞いなどに興味があれば手に取ってみてほしいタイトルだ。

ライアン・マークス リベンジミッション

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

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  • 発売日:2019年5月30日
  • 17歳以上対象
  • PS VR専用タイトル

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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