世界樹、ソニックのバンドライブに会場も熱気に包まれた「FACE to FACE vol.2」レポート!

発表会・イベント取材
0コメント アサミリナ

ゲームミュージックライブイベント「JAPAN Game Music Festival」(以下、「JGMF」)のスピンオフ企画「FACE to FACE vol.2 ~SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE & SQ F.O.E band~」が、6月22日に渋谷ストリームホールにて開催された。

「FACE to FACE」シリーズは対バン形式にて行うゲーム音楽ライブ。今回はセガ・アトラス作品にスポットを当てたものとなっており、出演者は瀬上純氏が率いる「SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE」、上倉紀行氏が率いる「SQ F.O.E band」が登場。しかも「SQ F.O.E band」には、「世界樹の迷宮」シリーズの作曲を手掛けている古代祐三氏がゲスト参戦、MCには「ロマンシング サ・ガ」シリーズなどで有名な作曲家・伊藤賢治氏が“MCのためだけに”登場するという、大変豪華な内容となっており、会場には多くのファンが詰めかけた。

開演時にMCとして登場した伊藤氏と上倉氏によれば、この日伊藤氏は舞台裏の進行管理役なども務めていたそうで、ステージ登壇者のメイクの時間管理まで行っていたそうだ。また、対バンの先行を務めるSQ F.O.E bandから、古代氏もステージに登場。古代氏は「SQ F.O.E bandって噛まずに言えたことがないんですが、上倉さんも噛んでくれてよかった」と会場のファンを笑わせる場面もあった。

スタートは「世界樹の迷宮」シリーズから、バトル曲オンリーの熱い演奏が!

1曲目は「世界樹の迷宮IV」から通常戦闘曲の「戦場 疾風」。ゲーム内で一番聴くことになる音楽だがこの曲が一番好きだというファンも多い人気楽曲からのスタートで、サックスの熱い音が曲とテンションを盛り上げる。会場のボルテージは一気に最高潮で、会場に集まったファンたちも大きく拳を振り上げていた。

2曲目は「世界樹の迷宮II」から「戦場 初陣」。バトル曲でありながら、ヴァイオリンの音がどこか切ない音色を出しているのが印象的だった。

ちなみに古代氏は、これまでもSQ F.O.E bandに数曲参加するという形では参加していたものの、全曲フルで演奏に参加するのは今回が初めてで、ライブに慣れていないため、弾いていると頭が真っ白になってしまうそう。ライブは譜面を見ないで演奏しないとならないが、譜面がないと弾けないので、次に何を演奏するのかわからなくなることもしばしばある、と語る古代氏。そんな古代氏にとっては、ライブに慣れているバンマスの上倉氏は、さぞかし頼もしい存在だろう。

3曲目は「世界樹の迷宮III」から「戦場 初陣」の「世界樹の迷宮X」アレンジバージョン。「世界樹の迷宮X」は、ゲームの発売日こそ一年近く前だが、サントラが出たのはつい先月の2019年5月。ドラムとベースの重低音が身体の奥に響く演奏に、これぞ生ライブの醍醐味という迫力を感じる一曲だった。

4曲目は「世界樹の迷宮I」から、ゲーム後半の通常戦闘曲となる「鉄華 討ち果て朽ち果て」。リメイク作になる「新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女」版のBGMに近いアレンジで演奏された。

5曲目は「世界樹の迷宮III」からボスバトル曲の「戦乱 剣を掲げ誇りを胸に」。ギターの激しいトレモロが印象的な曲で、ゲームで初めて聞いた時にイントロで震えたファンも多いのではないだろうか。ライブでもこの衝撃的なイントロは健在で、この曲が持つ荒々しいイメージは生演奏でこそ更に輝いたように思えた。

なお、間に挟んだMCで古代氏は「鉄華 討ち果て朽ち果て」で、やはり頭が真っ白になって色々吹き飛んだ、と会場のファンを笑わせた。古代氏と上倉氏との出会いは、レコード会社の担当者が「世界樹の迷宮III」の曲のアレンジCD制作を上倉氏にお願いした事がきっかけで、それが凄くよかったため「世界樹の迷宮X」でもまた上倉氏にアレンジを頼んだという。

上倉氏といえば、以前はファルコムjdkバンドにてバンドマスターを務めていたが、古代氏は昔ファルコムで働いており、その時に「イースI」や「イースII」の楽曲を担当していて、上倉氏がファルコムjdkバンドに在籍していた頃にはよく古代氏の楽曲も演奏してもらっていたという。その縁もあってか、上倉氏は自分の楽曲のツボをきちんと抑えた上でアレンジをしてくれる、と古代氏は上倉氏のことを深く信頼しているようだ。

6曲目は「世界樹の迷宮V」から通常戦闘曲「戦場 明日を掴むは死闘の先」。これまで比較的ヘヴィなロックサウンドで固められていた中で、どちらかと言えば少しポップともいえるノリの曲だ。だが明るさの中にしっかりとギターがうねりを響かせたり、バトル曲としての緊張感は決して忘れさせない演奏だった。

そのまま流れるように演奏された「世界樹の迷宮X」のラスボス曲「戦乱 生きとし生けるものの黄昏」は、まさにラスボスに相応しい重厚な出だしからスタート。そこからヘヴィなロックになっていくと、ドラムの音が身体の芯に響く。泣くようなヴァイオリンが特徴的だった。

そして、SQ F.O.E bandの最後の曲となったのは、「世界樹の迷宮IV」の「戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て」で、クエストボスなどで流れる曲だ。原曲の雰囲気を残した熱いロックに、会場のファンの盛り上がりも最高潮でSQ F.O.E bandのメンバーはステージを降りた。

トークコーナーでは驚きの秘話も

次のSONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCEの準備時間のためのトークタイムでは、MCとして再び伊藤氏が登壇。先ほどまでステージでギターを弾いていたばかりの上倉氏や古代氏もステージに再び戻ってきた。古代氏は「最後のステージでようやく落ち着いて最後の曲が一番冷静に弾けました」とライブの感想を語る。

そしてSONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCEのバンマスを務める瀬上純氏もステージに登壇。伊藤氏、瀬上氏、古代氏の中に入った上倉氏が「こんなすごいお三方の間に挟まれるなんて」と恐縮していたが、伊藤氏から「貴方ももうキャリア組です」と突っ込まれ、会場からは大きな笑い声が上がった。

瀬上氏から、この日のライブの翌日、6月23日がソニックの28回目の誕生日であることが紹介される。メガドライブで「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が発売されたのが6月23日で、オフィシャルでこの日をソニックの誕生日にしているのだ。その「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」だが、ゲームギアやマスターシステムといった8Bit機向けに発売されたバージョンでは古代氏がサウンドを担当していた。

その話に、古代氏は自身が会社を興したきっかけがこの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の8bitバージョンで、当時はフリーランスの作曲家とは契約ができなかったため、会社を作らないといけなかったという経緯があったそうだ。

イベントで顔を合わせることはあっても、そもそも共演という形で古代氏とこうしてイベントに出ることが初めてではないかという瀬上氏に、伊藤氏が「大体のゲーム音楽作曲家は、『大乱闘スマッシュブラザーズ』がきっかけで顔を合わせている」と発言し、会場の笑いを誘った。

瀬上氏はセガの入社前は生粋のバンドマンだったそうで、デモテープで送った楽曲も全てバンド演奏のもののみだったが、さすがにこのまま入社するのは気が引けると、瀬上氏はミュージックラルフを使ってパソコンを使った作曲を勉強したという。そのミュージックラルフとは、古代氏が作成したPC88/PC98用の作曲ツールのことで、作曲家でありながらプログラマーでもある古代氏ならではのツールとして、非常に高い評価を受けている。

伊藤氏はちょうどそのころにスクウェアに入社したが、スクウェアのスの字も知らないほどゲームのことをまったく知らなかったため、スクウェア入社後に「これを聴いて勉強しておけ」と当時渡されたのが、古代氏の作った「イース」の楽曲だったという秘話が明かされた。

そして古代氏は「世界樹の迷宮」の作曲の方向性として渡されたサンプルの半分が伊藤賢治氏による楽曲だったそうで、そこから生まれた楽曲が伝説の「眠らずの戦場」だったという。「眠らずの戦場」は「世界樹の迷宮I」の没曲で、サントラにのみ収録されていたが、あまりに評価が高かったため、リメイク版である「新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女」で奇跡の採用となった楽曲だ。

確かにそのような話を知ってから聞くと、ドラムの刻み方がそのように伊藤氏に似ていると感じるので、ぜひサントラを持っている人は「眠らずの戦場」を改めて聞き直してほしい。また「世界樹の迷宮X」のラスボス戦の曲は、イントロがあまりに伊藤氏の楽曲に似すぎているために一度ボツになったという、さらなる驚きの秘話を披露した。

後半戦は「ソニック」で、スピード感あふれるライブに!

後半戦のオープニングを飾ったのは、6月23日がソニックの誕生日ということで、ソニック色にアレンジされたハッピーバースデーだ。

ハッピーバースデーのメロディから流れるように演奏された後半戦の1曲目は「SONIC ADVENTURE-Emeraid Coast」から「Windy and Ripply」。キラキラした音がソニックの爽やかさを彩る。続けて、「SONIC ADVENTURE 2-Prison Lane」から「This Way Out」、シリーズ最新作の「TEAM SONIC RACING」から「Frozen Junkyard」が演奏された。爽快なサウンドに、会場は前半とは違う熱気に包まれた。

後半4曲目は「SONIC ADVENTURE-Character Select」から「Choose Your Buddy!-Slap Bass ver.-」。この曲は本当はセットリストから外す予定だったが、「これはいれるべきだ」というバンドメンバーからの口添えで復活した曲だという。キャラクターセレクト画面の曲を、ベースの唸りが効いたアレンジで演奏した。そして「SONIC ADVENTURE-Station Square」から「Welcome to Station Square」~「SONIC GENERATIONS/SONIC HEROES-Seaside Hill/Ocean Palace」から「Seaside Hill:Act.2」へと続き、メロディアスなロックに楽しく身体が揺れてしまう。

瀬上氏はこのバンドのコンセプトを、ゲームのスタートから終わりまでを音とシンクロさせた画像を合わせることで、目でも耳でも感じられるようにしたい、と定めており、「ソニック」を好きな人はもとより、初めて見る人にもシリーズの魅力が伝わって、楽しんでもらえるような内容になっていれば、という瀬上氏に会場は大きな拍手で応えた。

後半の7曲目は「SONIC ADVENTURE 2-Sky Rail」から「Mr.Unsmiley」。原曲よりもかなりヘヴィなロックサウンドにアレンジされており、瀬上氏の本領発揮と言わんばかりの重いずしりとした音にテンションが高まる。

8曲目は「SONIC ADVENTURE 2-Green Forest」より「Won't Stop,Just Go!」。制限時間内に脱出を目指すステージの楽曲とあって、疾走感の強い「ソニック」サウンドの中でもひと際心を逸らせる曲調が印象的だ。9曲目は「SONIC ADVENTURE」から「Theme of “Dr.Eggman”」。シリーズお馴染みの悪役Dr.エッグマンのテーマ曲で、スクリーンにDr.エッグマンの登場シーンが映し出されると、会場からは大きな歓声が上がった。

ゲーム音楽の場合、音楽を作ってレコーディングをしたらそこで完成という仕事だが、こうしてバンドで演奏をしていると完成品よりもさらにかっこよくなっていっている気がする、と語る瀬上氏。レコーディングをした時にはもっとテンポが速かった曲でもライブで演奏するためにあえてテンポを遅くしている曲もあるというが、その遅くしたテンポ感が逆にハマってしまうこともあると、生で演奏することで新たに気付く魅力について熱く述べた。

後半10曲目は「SONIC ADVENTURE-Speed Highway」から「Run Through The Speed Highway」。近未来のようなステージにあわせたテクノ調のサウンドはライブアレンジでも健在。11曲目「TEAM SONIC RACING」から「Market Street」と、街を舞台にするステージの楽曲が続けて演奏された。

ここからは続けて「TEAM SONIC RACING」より、3曲連続で演奏。「Haunted Castle」は、SQ F.O.E bandのテイセナ氏にヴァイオリンを担当してもらっていたため、ステージにもテイセナ氏を呼んでの演奏となった。ヴァイオリンが入って、より一層豊かになった音色は会場のファンのボルテージを更にあげていく。そんなファンに応えるように、テイセナ氏のヴァイオリンの音色はレースの張りつめたような緊張感を、美しく奏でていた。

13曲目の「Wisp Circuit」では、さらにSQ F.O.E bandからサックスの藤田淳之介氏とギターをキーボードに持ち替えた上倉氏が
ゲストに登壇し、レースゲームらしい正統派なロックサウンドを披露した。そのままのメンバーで最後に演奏されたのは、「Mother's Canyon」。会場の熱量をマックスまで振り切らせるような音の洪水でもって、SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCEのステージは終わった。

最新作の「TEAM SONIC RACING」からもたくさんの楽曲が演奏されたため、まだシリーズに触れて日が浅いファンも非常に楽しめる楽曲構成になっていたのではないだろうか。

だが、もちろんこれで終わるわけはない。会場からの鳴りやまない拍手に応えてのアンコールに再びステージに登場した伊藤氏から、「FACE to FACE vol.1」でも行った、各バンドからの混合セッションにて「世界樹」シリーズの楽曲と「ソニック」シリーズの楽曲の演奏を行うことが告げられると、会場は大きく沸いた。

アンコールの1曲目は「SONIC ADVENTURE 2 - Metal Harbor」から「That's The Way I Like It」が、ビッグバンド風なサウンドへと変貌を遂げた。

そしてアンコールの2曲目は「世界樹の迷宮V」から「戦場 明日を掴むは死闘の先」。この曲は、上倉氏からの「瀬上さんのギターでこの曲を弾いてほしい」という強い要望によって選ばれたそうだ。宮崎氏、瀬上氏という二名のギタリストがステージの上で実に楽しそうに演奏をしており、会場のファンもその二名の姿に魅了されたように拳を振り上げているように見えた。

アンコールを終えて、瀬上氏は「SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE」として今年はもう一度くらいどこかでライブをやりたいこと、また「ソニック」シリーズのテーマ曲を多く手掛けるシンガー入りのバンド、Crush 40としても近日中にライブを行ないたい、と今後の抱負を語った。

上倉氏は、「FACE to FACE」について、まだ2回目だが今度もゲーム音楽をバンド形式で演奏するということで、もっと色んな作曲家、メーカーと企画を組んでいけたら、と次回以降の開催も考えている胸の中を明かし、ステージは幕を閉じた。

セットリスト

01. 「戦場 疾風」 ~「世界樹の迷宮IV」
02. 「戦場 初陣」 ~「世界樹の迷宮II」
03. 「戦場 初陣」 ~「世界樹の迷宮III」(「世界樹の迷宮X」アレンジバージョン)
04. 「鉄華 討ち果て朽ち果て」 ~「世界樹の迷宮I」
05. 「戦乱 剣を掲げ誇りを胸に」 ~「世界樹の迷宮III」
06. 「戦場 明日を掴むは死闘の先」 ~「世界樹の迷宮V」
07. 「戦乱 生きとし生けるものの黄昏」 ~「世界樹の迷宮X」
08. 「戦乱 吹き荒ぶ熱風の果て」 ~「世界樹の迷宮IV」

09. 「Wlndy and Ripply」 ~「SONIC ADVENTURE-Emeraid Coast」
10. 「This Way Out」 ~「SONIC ADVENTURE 2-Prison Lane」
11. 「Frozen Junkyard」 ~「TEAM SONIC RACING」
12. 「Choose Your Buddy!-Slap Bass ver.-」 ~「SONIC ADVENTURE-Character Select」
13. 「Welcome to Station Square」 ~「SONIC ADVENTURE-Station Square」
14. 「Seaside Hill:Act.2」 ~「SONIC GENERATIONS/SONIC HEROES-Seaside Hill/Ocean Palace」
15. 「Mr.Unsmiley」 ~「SONIC ADVENTURE 2-Sky Rail」
16. 「Won't Stop,Just Go!」 ~「SONIC ADVENTURE 2-Green Forest」
17. 「Theme of “Dr.Eggman”」 ~「SONIC ADVENTURE」
18. 「Run Through The Speed Highway」 ~「SONIC ADVENTURE-Speed Highway」
19. 「Market Street」 ~「TEAM SONIC RACING」
20. 「Haunted Castle」 ~「TEAM SONIC RACING」
21. 「Wisp Circuit」 ~「TEAM SONIC RACING」
22. 「Mother's Canyon」 ~「TEAM SONIC RACING」

23. 「That's The Way I Like It」 ~「SONIC ADVENTURE 2 - Metal Harbor」
24. 「戦場 明日を掴むは死闘の先」 ~「世界樹の迷宮V」

出演者

<SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE>
Gt. 瀬上 純
Ba. 種子田 健
Dr. Act.

<SQ F.O.E band>
Gt.&Key.:上倉 紀行
Gt.:宮崎 大介
Sax.:藤田 淳之介
Vn.:テイセナ
Ba.:中西 道彦 from Yasei Collective
Dr.:白川 玄大
Special guest
Key.:古代 祐三

MC:伊藤賢治

イベント概要

イベントタイトル

〈JGMF spinoff 企画〉FACE to FACE vol.2 ~SONIC ADVENTURE MUSIC EXPERIENCE & SQ F.O.E band~

開催日

2019年6月22日(土) OPEN/17:00 START/18:00

会場

渋谷ストリームホール

チケット代

6,480円(税込)

※スタンディング
※ワンドリンク代別途 500円要
※未就学児入場不可

主催

株式会社ナウ

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