パシフィコ横浜にて9月4日~6日にわたって開催の「CEDEC 2019」。ここでは、9月4日に行われたセッション「ゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係とは?」の内容をお届けする。

セッションを行ったのは、DeNAの佐々木悠氏と、マレの平信一氏。

佐々木氏はまだゲーム事業がないころから、DeNAに在籍。2010年にゲーム事業部に移動になってからは、有名IPゲームの立ち上げなどを行い、2019年4月からはゲーム・エンターテイメント事業部長に就任している。

平氏は、恐らくゲームメディアの読者にはTAITAIとしての名のほうが知られているだろう。現在はゲーム情報サイト「電ファミニコゲーマー」の編集長を務めている。

ゲーム業界を知り尽くした平氏と、DeNAの佐々木氏という一風かわった組み合わせでのセッションは、まずゲームメディアの変遷について語られた。なお本セッションで使用されている資料は、ほぼ全て2014年に平氏が、当時ゲームメディアの状況把握のために独自にまとめたものであり、最新のものではない点や推測も混ざっている点にご注意願いたい。

ゲームニュースを部数やアクセス数から分析した図を見ると、1995年は雑誌の最盛期で、ファミ通が50万部、電撃PSが20万部、その他のゲーム系雑誌も50万部を売り上げていた時代だ。

そこから5年が経過し、4Gamer.netや、ファミ通.comなどのWeb系ニュースサイトが出てくる。2005年には、大半のWebユーザーが一度は見たことがあるであろう、いわゆる”まとめブログ系”が出現し、そこから更に5年後にはAppBankといった新しい勢力が台頭してきているのに対して、ゲーム雑誌はどんどん売り上げを落としている。なお、2019年現在はそこに更にYoutubeなどの動画系も加わってくるため、この図はあくまで推移を見るための参考程度にしてほしい。

これを金額ベースで見るとどうなるのか、というのが次の図になる。雑誌がどんどん衰退していくのに比べて、Web系はどんどんと伸ばしていっているのがわかる。

2010年頃には、雑誌におまけのコードを付けるのが流行っていたという佐々木氏。実際、ゲーム各誌にモバイルゲーム(スマートフォンゲーム)の特典コードが袋とじでついていたり、中にはおまけのコードばかりを集めた雑誌などというのも発売された頃だ。袋とじでの特典コード配布は紙媒体だからこそ出来た手法だったが、それも2~3年で終わりを告げた。

これらのデータはゲーム攻略本を抜いた市場の話になるため、ここで更にゲーム攻略本の売り上げ規模と、ゲーム攻略サイトのアクセス数の比較図をあわせて見てみよう。1995年にはまだまだ紙の攻略本がほぼ「ゲーム攻略」というジャンルを独占していたのに対し、いつの間にか攻略本市場もネットビジネスに取られていき、既存のゲームメディアはほとんどアプローチが出来ていない状況となっている。平氏も攻略Wikiについては把握しきれていないそうだが、アフィリエイト業者がゲーム攻略に目を付け始め、2015年くらいから本格化しているという。

かくいう佐々木氏もゲーム攻略系サイトがPVを伸ばしてきているのを見て、2012年頃に一度自社タイトルの攻略サイトを自社内でやろうとしたことがあったそうだが、2~3年で撤退せざるを得なかったという。結局、自社でやろうにもお金も労力もかかり、しかも労力に全然見合わなかったのだそう。更新の速度や情報の正確さなど、アフィリエイト系の攻略Wikiには公式ですら敵わなかったのだ。

それについて平氏は、ユーザーにしてみれば情報さえ得られればどこのサイトでも構わないという理由があるため、雑誌の時代と比べて現在のWebサイトは求心力が落ちている、と分析。実際、ユーザーもどこかひとつだけの攻略Wikiを贔屓にしているわけでもなく、見たい情報が見られるサイトにいく、というのが今の時代の情報の探し方になるだろう。

ではネットの発達が、何を変えたのだろうか。平氏が独自にまとめたデータには、現在(※2014年当時)の雑誌の状況とWebメディアの状況が可視化されている。なお当時の実況の主流はニコニコ動画だったものの現在ならYoutubeが優勢であり、ツイッターも今の日本だともっと大きな幅を占めていると思われるが、2014年からこの5年の間で起こった変化については、現在の状況と照らし合わせて自己で補完していただきたい。

右側のコミュニティ系の情報というのが現在では更に増えてきて、ユーザー側は実はSNSしか見ておらず、ツイッターで流れてきた情報をただ追っているだけだったり、Youtubeでコメントされた動画しか見ない、といった風に変わってきているという。つまり、ユーザーは「雑誌を購入する」などといった能動的な行動を取るよりも、受動的に流れてきた情報を受け取ることが増えていると言えるだろう。

そんな今の時代に合わせたゲーム開発者とゲームメディアの理想の関係とは、どういうものなのだろうか。ここからは、平氏と佐々木氏のフリートークのような形でセッションは進行した。

ゲームメディア(ゲーム雑誌)は本来はゲームを売る媒体として力を持っていたのに、環境の変化により最早プライオリティの高い媒体ではなくなってしまい、それを踏まえて、インタビューや業界紙など、メディアが果たすべき役割も変わりつつあるのではないか、と平氏。

強く訴えたいメッセージ性がある時こそ、メディアに頼みたい、という佐々木氏に、平氏は、例えばどのゲームのどういうところがいいのかを完璧に言語化できるユーザーは少なく、そういうユーザーに対して開発者へのインタビュー記事をメディアが出すことによって、「そうそう、自分の言いたかったことはこれだ」というような反応をユーザーから引き出すところまでを含めてが、今のメディアの役割なのではないかと述べた。

実際佐々木氏は、今のユーザーは作り手の想いや、作り手がどういう感情で動いているのかを、意外と見ているものだと実感することが多いそうだ。今はSNSで開発者が個人的に発信することも可能になったからかもしれないが、ひとむかし前はどのゲームも担当の広報が前に立っていたのに対して、今は開発者個人の人格やパーソナリティが見られていて、そういったことも含めて、ゲーム開発側も何を発信するか考えなければならないし、だからと言って個人に発信ばかりだとどうしても視点が偏りがちになる。

だからこそ、ゲームメディアにインタビューをしてもらって、自分の視点からだけではない色々な話を引き出してもらうことが大事だと語った。

最近は様々なゲーム開発現場において、自社内で公式番組などをやり、その中で情報を完結させることも多くなってきたが、そこにゲームメディアという第三者が混ざることで、厳しめの質問などもあえて交えながら、ユーザーに様々な情報を出していくべきでは、と平氏は述べた。また、開発者のインタビュー企画をゲーム会社に打診をしても、「その開発者の新作が発売されるわけでもないから」という理由でNGを出されることもあり、インタビューは新作の発売に限ってやるものでもないのではないかという、ゲーム会社側の理解もほしい、と訴えた。

また、WebはどうしてもPV数という目に見える数字が出てきてしまうことにより、インタビューなど読者の共感を呼ぶ記事に関しては純粋にKPI(※重要業績評価指標)だけでは測りにくいという問題点に、佐々木氏は実際に過去とある動画を作ったところ400万再生という数字を叩き出したものの、そこから作品に誘導できたのはたった100人だけだったという秘話を明かした。そのゲームを知らない人たちにゲームを知ってもらえる機会は作れたものの、そこからゲームのファンになってくれるわけではないのだということを、思い知ったという。

佐々木氏は、だからこそきちんと訴えるべきものを決めておかなければ、再生数だけ伸びようとも無駄になるだけだと力説。動画はゲームをやらない人たちも見に来るが、ゲームメディアは基本的にゲームが好きなユーザーたちが集う場所だからこその強みがあり、ゲーム開発側も自社内だけで完結させようとせずにメディアに頼るべきところは頼ったほうが効果が上がると説いた。

質疑応答では、「宣伝費がなく、ツイッターなどのSNSを使って自社のゲームを宣伝するしかないのだが、なかなかフォロワーが増えない」という質問者に対して、平氏は電ファミニコゲーマーも1年ほどフォロワーがまったく増えなかったという事実を明かした。記事の内容には自信もあったが、何故フォロワーが伸びないのか思い当たらなかったという。そしてツイッターに限らず、Webの世界では、いかにユーザーの背中を押すかが重要だということに気が付いたのだそう。

例えば一番わかりやすい例は「このアカウントをフォローして対象ツイートをRTするとamazonギフト券をプレゼント」といった類のもの。公式アカウントが流す情報をただ増やせばいいわけではなく、直接的に増やす手段が必要だと答えた。一方で佐々木氏は、短期間でフォロワー数を伸ばすならばそれも良いが、強引な手法でフォロワーを増やしてもエンゲージが伸びない可能性を指摘。なので、あとはエンゲージメントが伸びやすいものと伸びにくいものを学習していくことも必要だと語った。

講演の最後に、佐々木氏はDeNAが電ファミニコゲーマーに企業協賛し、共に日本モバイルゲーム産業史という企画を一緒に取り組んでいくことを明かした。

DeNAに協賛してもらった企画だが、決してDeNAだけを持ち上げる企画ではなく、ゲーム業界内外に向けて、日本のモバイルゲームのことを知ろうと思ったら必ずこのサイトに辿り着く、というレベルのものにしようと思っているという平氏。ゲームの黎明期には、これまでにも今だからこそ笑えるような事件などが少なからず存在しており、モバイルゲームにも当然ながらそういう出来事があったという。そういった面白さもあわせて伝えていきたい、と、このセッションを締めくくった。

※画面は開発中のものです。

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