2026年8月20日に発売のPS5/PS4/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「STEINS;GATE RE:BOOT」のレビューをお届けする。なお、本作のXbox Series X|S版は10月29日16:00より配信予定となっている。

これから「シュタゲ」に触れてみようと思っている人は本作でOK
「STEINS;GATE RE:BOOT」は2009年10月15日にXbox 360で発売され、大ヒットしたアドベンチャーゲーム「STEINS;GATE」を現代仕様でリブートした作品だ。シナリオはブラッシュアップされ、追加ルートを加えられているものの、全体的な流れはオリジナルと同等だ。“有名な「STEINS;GATE」が気になっているけど、作品も多いのでどこから手を付ければいいのか分からない”、あるいは“アニメは見たけれど原作のゲームをプレイしたことがない”という人はこの「STEINS;GATE RE:BOOT」をオススメする。

「STEINS;GATE」は、秋葉原でヘンテコな発明品を作るサークル「未来ガジェット研究所」を主宰する大学1年生の主人公・岡部倫太郎が、偶然にも過去にメールを送る機能を持った機器すなわちタイムマシンを発明したことで、世界的な陰謀に巻き込まれてゆく物語だ。
2011年のアニメ化を経て、「STEINS;GATE」はグラフィックをTVアニメ版の映像に差し替えて、映像表現に合わせてシナリオを調整した「STEINS;GATE ELITE」を2018年に発売している。こちらの作品では、アニメ映像によって文章で説明しなくても良い部分や、序盤に展開する科学のトークがオリジナルに対してテンポがよくなっているなど、新規ファンにもとっつきやすい作りになっていた。本作はこの「STEINS;GATE ELITE」をベースに作られているので、序盤の展開はスピーディー。普段テキストアドベンチャーゲームをプレイしない人にも入りやすい作りだ。

そして、今回の「STEINS;GATE RE:BOOT」はELITEのシナリオのテンポの良さをベースにしつつも、プレイヤーに状況を分かりやすく補足して再調整され、最新版としてアップデートされたシナリオになっている。さらに、グラフィック面では、キャラクターデザインを手掛けるイラストレーターhuke氏自らリファインしたリブート版のキャラクターを元にすべて描き直されている。
オリジナルと同じ展開であるものの、イベントスチルが挿入されるところは原作とまったく同じではない。「このシーンにもイベントスチルが表示されるのか!」とワクワクさせられた。また、オリジナルのイベントスチルがあった場面も多数の差分があったりと、とてもリッチな作りだ。






また、立ち絵に関しても漆原るかやフェイリス・ニャンニャンに私服の衣装が追加され、違う恰好が見られるのも新鮮だった。


ボイスやサウンドはすべて新録。「STEINS;GATE」はオリジナル版の発売からさまざまなメディアで展開しており、その都度、声優陣がキャラクターに命を吹き込んでいるため、今回のボイスもまったく違和感がなかった。主人公・岡部の友人であるダルは関智一さんが演じており、TVアニメを経てキャラクター性がより強く反映されていった。イメージとしてはアニメ版に近い芝居となっていながら、ゲームでは岡部視点であるプレイヤーがじっくりと向き合って会話することもあり、オリジナル同様に落ち着いた面を感じさせながらもユーザーがよく知るイメージのダルになっている。

用語解説の“TIPS”はもちろん搭載されているほか、これまでになかったシステムとして、今回、“OBSERVER”という要素も実装。これはフローチャートのようなもので、現在がどの世界線にいるのか分かりやすくチャートで表示してくれるものだ。「STEINS;GATE」は、Dメールなどのタイムマシンで過去が改変されることにより「世界線」が変動するため、事態が混乱してゆく様子が描かれることになる。岡部の視点でさまざまな世界線へと飛ぶことになるため、岡部と同じくプレイヤーも混乱してしまうことがある。
しかし、この“OBSERVER”を見れば、どの世界線からどの世界線に移動してきたのか、一目瞭然であり、情報を整理しやすい。


本作ではグラフィックがリファインされているだけでなく、キャラクターの立ち絵に次世代アニメーションツール「E-mote」が導入されており、表情の変化や息遣いが再現されている。個人的に好きだったのが桐生萌郁が携帯電話で文字を打つモーション。萌郁は会話が苦手で携帯電話のメールをコミュニケーションの基本として使っている。岡部はその打鍵の速さから彼女に「閃光の指圧師(シャイニングフィンガー)」というあだ名を付けられることになるが、今回はそのスピードを実際にプレイヤーがその目で確認することができる。最初に見たときは「こんなに速いのか」と思わず笑ってしまったが、そのあとすぐに「彼女ならこれぐらい速いだろうな」と納得してしまった。

また、リブート版のいちばんの注目ポイントは、そんな桐生萌郁のルートが追加されたことだろう。事前情報で、γ(ガンマ)世界線を舞台にしていること、岡部倫太郎が桐生萌郁と共に過ごしてきたことなどが明かされており、桐生萌郁の個別ルートが追加されると予想していたが、やはりその予想通りであった。なお、内容はドラマCD「暗黒次元のハイド」を下敷きにしつつ、岡部にとってより危機的な状況になっているので、ドラマCDを知っていても新鮮に楽しめるようになっている。

ゲームの「STEINS;GATE」のストーリーは、主人公の岡部がそれぞれのヒロインたちの望みを汲むような選択をしていくことによってマルチエンディングとなる。岡部視点でプレイヤー自身がその決断をすることになる為、ヒロインたちの思いを感じたうえでその未来を無かったことにする葛藤を体験して、歴史を元に戻して前へと進んでいく展開が醍醐味。それでも歴史を元に戻さずに特定のヒロインとその改変された世界で生きていくことを決断するのが個別ルートのストーリー。それ以外の可能性を切り捨てるので手放しのハッピーエンドというわけではないが、これもまた結末のひとつであり、クリア後に素晴らしい余韻がある。
桐生萌郁に関しては、これまでのゲームやアニメを知らない人には少しばかりネタバレになってしまうが、岡部とは敵対する存在であることが物語の中盤で判明する。そのため個別ルートは存在しなかったが、オリジナル版のゲーム発売後に桐生萌郁のキャラクターを掘り下げてほしいという要望が多かったことが、γ世界線の物語誕生のきっかけになった。
今回の追加ルートはほかのヒロインのルートと同様に岡部にとって重い選択を迫られる内容で、この世界線での岡部の過去もまったく違っているため、ラボの仲間との関係も冷え切ったものになっている。



岡部は唯一の味方である萌郁とどのような決断をするのか。宮野真守さんの芝居も本当に素晴らしかった。筆者は何度も「STEINS;GATE」をプレイしているが、この追加ストーリーを観られただけで大満足だ。なお、オリジナル版の派生作品である「STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」では彼女が仲間になる展開なども追加され、本編では描かれなかった萌郁の内面がより深く掘り下げられている。
また、この萌郁のエンディングが追加されたことで、より、その可能性を捨ててでも大事な人を救う道を選ぶトゥルーエンドを迎えたときの感動が増した。
「STEINS;GATE」をプレイしたことがない人はもちろん、オリジナル版や「STEINS;GATE ELITE」をプレイした人、TVアニメを視聴している人も、新たな発見があると思う。そして「STEINS;GATE」の名前しか知らないがこれから触れてみたいという人にこそ、ぜひともプレイしてもらいたい1本だ。
(C)MAGES./Chiyo St. Inc. (C)MAGES./NITRO PLUS
※画面は開発中のものです。
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