スクウェア・エニックスが2019年12月5日に配信を予定している、PS4/Nintendo Switch向けタイトル「スターオーシャン1 -First Departure R-」(以下、「SO1FDR」)。エナミカツミさん描き下ろしの新しいイラストで描かれる本作だが、iOS/Android向けゲーム「スターオーシャン:アナムネシス」から「SO」シリーズの世界に触れた新規ファンのためにも、主に基本的なシステムについても解説していこう。
※本稿のスクリーンショットの内容は、PS4版に準じています。
エナミカツミさんによる新規キャラクターイラストは必見!
本作でまず真っ先に挙げたいのは、イラストレーターのエナミカツミさんによるキャラクター新規描き下ろしだ。なんとプレイヤーキャラクターだけでなく、NPCも全て新規描き下ろしになっている。
今回の試遊で仲間にできたキャラクターは、ラティ、ミリー、ロニキス、イリア、シウス、フィア、ヨシュアまでだったが、これらのキャラクターのさまざまなゲーム中での表情を楽しんでほしい。
ラティ
本作の主人公。未開惑星「ローク」に住むフェルプール。村の自警団のリーダーで、幼馴染の「ミリー」「ドーン」とともに村を守っている。剣術に長けており、類稀な才能を秘めている。
ミリー
フェルプールの見習い法術師。ラティクスの幼馴染で、同じく自警団に所属している。父親から法術の指導を受けており、回復の呪文を使いこなす。
ドーン
フェルプールの剣士。ラティクスやミリーとは自警団の同僚かつ幼馴染。快活なムードメーカーだが、鋭い観察眼と強い信念を持つ。
ロニキス
地球連邦軍の大佐で、ローク調査団のリーダー。常に冷静沈着、大局的なものの見方をするが理性派の軍人だが、意外と情に脆い。
イリア
ロニキスの副官を務める女性士官。若くして博士号を取得し、さらに格闘術にも長けるという才女。
シウス
ハイランダーと呼ばれる種族の若者。強さを求めて大陸を放浪している。
フィア
アストラル王国の騎士団所属する騎士長。シウスの幼馴染でもあり、彼のことを慕っている。
ヨシュア
有翼人フェザーフォルクの紋章術師。幼い頃に家族を惨殺されており、その際に生き別れになった妹を探して世界各地を旅している。
ペリシー
レッサーフェルプールと呼ばれる半獣人の少女。子猫に変身する能力を持っている。
なお、上記イラストは2007年に発売されたPSP版(FD版)と、今回新たに描き下ろされた「SO1FDR」版で切り替えが可能。ボイスもFD版と、FDR版のために新規収録された元祖SFC版のボイスとの切り替えが出来る。例えばラティクスはSFC版では優希比呂さんが、FD版では宮野真守さんが演じているが、ボイスを宮野真守さんに、イラストはエナミカツミさんのものにする、といった自由なカスタマイズができる(ボイスは英語を選択することも可能)。
今回は新規要素を楽しみたいという点でエナミカツミさんのイラストおよびFDR版のボイスでプレイをしたが、SFC版の声優でフルボイスにて新規収録を行っているため、懐かしさを感じつつも新鮮さがあるという驚きがあった。
「SO1FDR」のゲームの内容は?
まだ「SO1」に触れたことがないユーザー向けに、ゲームの紹介をしよう。「スターオーシャン」シリーズは、そのタイトルの通り宇宙を舞台に描かれるSFファンタジー……ではなかったりする。もちろん、SFファンタジーは間違いではないのだが、実際のゲームは宇宙よりも大抵は「未開惑星」と呼ばれる文明の発展していない惑星が舞台だ。
「未開惑星」とは、「地球連邦(後に銀河連邦に改称)」から見て、まだ文明が発達していない惑星のことで、「スターオーシャン」シリーズでは大抵地球の15~17世紀前後の文明レベルとされる惑星が舞台になることが多い。
「SO1」では、未開惑星ロークが冒険の主な舞台。ロークの田舎の町クラトスで自警団をしているラティクス、ミリー、ドーンの3人から物語がスタートする。クラトスの隣町で体が石化するという正体不明の奇病が発生し、この地に伝わる治癒魔法(スターオーシャンの世界観では、魔法は「紋章術」と呼ばれている)では治せないこの石化病に、仲間のドーンも感染してしまう。
術が効かなくても薬草があれば治ると信じ、ラティとミリーは薬草を取りに来るが、そこでラティとミリーは転送装置で現れたロニキスとイリアの2人に出会い、空の先にもっと広い世界が広がっていることを知るのだった。
ロニキスが口にする「未開惑星保護条約」は、全シリーズを通して頻繁に登場する重要な用語。高レベルの文明の接触は、その星の歴史に大きく干渉してしまう。地球連邦に所属している人物および勢力は民間人であろうと全員、生命の危機に瀕した場合を除いては、この条約を守ることが義務付けられている。 |
ロニキスたちの宇宙船に招かれ、ドーンを地球連邦の最新の医療で分析してもらい、ロークに何が起こっているのかを知るラティとミリー。そしてドーンや既に石化してしまった人たちを助けるためには、300年前のロークに行かなければならないことがわかる。
とはいえど、どんなに文明が発達しようと、時間旅行だけはまだ未知のテクノロジーだ。そこでロニキスは「タイムゲートを使って過去のロークに行く」と言う。
一行はタイムゲートに300年前の惑星ロークに行きたいと告げる。するとタイムゲートはそれに応え、一行を300年前の惑星ロークへと飛ばしてくれるのだった。
無事に300年後のロークへとたどり着いた一行だが、ロニキスとミリー、ラティとイリアはそれぞれ別々の場所の飛ばされてしまう。情報を集めがてらロニキスとミリーとの合流を果たすべく、ラティとイリアの旅が始まった。
……と、ここまでがストーリーの序盤部分だ。この先も冒険の大半は、300年前の惑星ロークを中心に進む。なので、「スターオーシャン」は意外と名前の印象から受けるよりもSF寄りな内容ではなく、王道RPGらしいファンタジー要素が大きく占める冒険となっている。そこに「既に宇宙に進出した地球連邦及びその反勢力」が絡んでくるという、スケールの大きな物語が展開されるのが最大の魅力なのだ。
また、「スターオーシャン」シリーズは、やりこみ要素の多さも魅力。実は上記で紹介した300年前のロークで仲間になるシウスだが、恐らく最初に遊んだプレイヤーはほぼ間違いなく、流れ的にシウスを仲間にするだろう。物語としてもそのように進むように作られている。しかし、シウスを仲間にしてしまうとアシュレイというキャラクターは仲間にできなくなるという罠がある。
他にも条件を満たすことによって仲間になるキャラクター、誰かを仲間にすることによって加入フラグが消滅するキャラクターなどがいるため、1周目で全員を仲間にすることは絶対に不可能となっている(2周目でもアシュレイを仲間にするとシウスを仲間にできないので、どちらにしても登場人物の全てを仲間にすることは出来ない)。そして誰を仲間にしているかで、イベントに変化が起こることも。
これはシウスを仲間にしたときのフィアのイベント。なお、シウスもアシュレイも仲間にしていないと、更に別パターンのイベントが進むため、このイベントでは全部で3通りのルートがある。それによってフィアが仲間になる時期や、覚える技まで変わってくる。 |
こういった物語面でのやり込みの多さも魅力のひとつだが、歴代「スターオーシャン」シリーズには「プライベートアクション(PA)」と呼ばれる特殊イベントがある。
このPAについてはゲーム中で説明がないため非常にわかりにくいのだが、PAモードを発動させると仲間たちと一時的に別行動をし、PAモード時固有の会話を交わせるのが特徴。「スターオーシャン」は各キャラクターとの個別エンディングが用意されており、仲間同士の感情値、ラティへの感情値次第でエンディングが変わるのだが、PAでの選択肢なども感情値の変化に影響する。「スターオーシャン」は物語部分だけでも、相当のやりこみ要素があるのだ。
バトルやその他の要素も充実!
「スターオーシャン」シリーズで特徴的なのは、アクション性の強いバトルだ。スキルを使いつつ、ド派手な技で敵をなぎ倒していくのは、爽快そのもの。操作キャラクターはバトル中いつでもリアルタイムで切り替えることが出来る。基本はラティを操作することが多いと思うが、その他の仲間はオートで作戦の通りに動く。なお、バトルシステムはFD版のときに大幅にリファインされ、今作では更に難易度の調整が入れられているとのことで、より熱いバトルを楽しむことができる。
とはいえど、作戦を全員「全力で攻撃」にしておくと、MPは早々に枯渇してしまう。特に物語の序盤は回復役がいないため、手動で回復アイテムを使用しなければ死んでしまう場面もしばしば。今回の試遊ではシウスを仲間にいれていたため、序盤で行くダンジョンも比較的楽に進めたものの、シウスを仲間にしていない場合、相当の難易度になることは想像に難くない。だが、「スターオーシャン」ならではの歯応え感のあるバトルが楽しめるので、アクション要素が強いバトルが好きな人ならば、一度は「スターオーシャン」のバトルに触れてほしい。
そしてもうひとつの特徴は、「アイテムクリエーション(IC)」。スキルポイントを自由に割り振って、各キャラの特徴に合わせてスキルを伸ばし、アイテムを作成したり、武器をカスタマイズしたり、これが数時間軽く吹っ飛ぶくらいに楽しいのだ。
ICを使ってのお金稼ぎは、一度やり出すと止まらなくなってしまう。お金稼ぎはストーリーのある程度後半に差し掛からないとできないが、後半ほどICでかかるお金もかかるため、IC代をICで稼ぐという技が必要になってくる。ICはクリアするだけならば必須の要素ではないが、ぜひ「スターオーシャン」を隅々まで楽しむためにも触れてほしい。
ゲーム中でしばしば手に入る「?」マークのついたアイテムは、ICの一つ「鑑定」でアイテム名を判別させないと使用することができない。とりあえず誰かひとりだけでも鑑定の特技レベルを上げて、「?」アイテムを鑑定できるようにしたい。 |
また、「SO1FDR」ではフィールド移動時に倍速モードが追加されており、これによって大分移動が楽になった。倍速モードはR2ボタンを押している間だけ有効なので、ダンジョンや街などの細かい移動調整が必要な場所では、ボタンを離せば通常の移動速度になってくれる。
そして物語は、その先へと続いていく
「スターオーシャン」シリーズは、それぞれが独立した物語ながら、歴代のシリーズが全てどこかで繋がっている、という特徴がある。ロニキスが口にした「未開惑星保護条約」については「SO4」でその詳細が判明し、そして「タイムゲート」の真相は「SO3」で判明する。「スターオーシャン:アナムネシス(以下、「SOA」)でも、シリーズ共通の世界観はずっと続いており、チラリと話題が出てくるだけのものもあれば、チラリを通り越して本筋で「!?」と驚く展開になることも……!
「SO4」は実質「SOゼロ」とも呼べるストーリー。「SO1」をプレイしてから遊ぶと感動度が300%はアップするので、「SO1」をプレイしたらぜひ「SO4」もプレイしてほしい。逆に「SO4」を遊んだけれど「SO1」はやっていないという人は、「SO1」を遊ぶと「こういうことだったのか……」と色々納得するはずだ。 |
「SO3」は、地球生まれのフェイトが脱出ポッドで未開惑星に漂着し、そこで謎の先進惑星の人物クリフと出会うところから始まる。何度も宇宙と未開惑星を行き来することになるが、その中でやがてフェイトたちは世界の真相に迫る。 |
「SOA」でも、Episode.2では地球の文明で16~17世紀ほどの未開惑星である惑星ダフティーネを中心に物語が展開していく。艦長一行は、ダフティーネの文明レベルでは到底存在し得ないハイテクノロジーな武器を使う少年と出会う。 |
もしもこれらのシリーズを未プレイの人は、「SO1FDR」をきっかけにぜひシリーズタイトルを遊んでみてほしい。PS4ではこれから発売する「SO1FDR」を含めると全シリーズタイトルが配信されることになる。「SO5」はPS4でパッケージ版も発売されており、「SOA」はiOS/Android端末で遊ぶことが可能だ。より一層理解が深まることで、「スターオーシャン」シリーズへの愛も深まることは間違いない。
もちろん、シリーズにずっと興味があったけれど触る機会がなかった、という人にもオススメの「SO1FDR」。自宅のテレビでじっくり遊べるPS4版を買うもよし、通勤通学など、手軽に持ち運んで遊べるSwitch版を買うもよし。全ての始まりの物語だけに、ぜひ壮大なスペースオペラの世界に飛び込んでみてほしい。