スクウェア・エニックスが、PS4/PC向けにサービス中の「ファイナルファンタジーXIV」。12月14日に実施された「14時間生放送」にて、開発メンバーへメディア合同のインタビューを実施した。
12月14日に実施された「ファイナルファンタジーXIV」の「14時間生放送」。2014年から毎年行われている恒例のイベントで、今回は実に6回目の放送となる。これまでは、8月から9月頃に周年を祝う形で行われてきたが、今年は初めて年末に実施。麻雀大会や“もやし”二人による旅番組があったりと、さながら忘年会のような雰囲気の配信となった。
また、今回の生放送のインターバル中に「ファイナルファンタジーXIV」開発メンバーへ、今年の振り返りと来年の抱負を聞くことができたので紹介していこう。
「FFXIV」プロデューサー兼ディレクター吉田直樹氏&グローバルコミュニティプロデューサー室内俊夫氏
――今年一年の総括と来年の抱負をお聞かせください。
吉田直樹氏:正直色々なことがありましたが、「漆黒のヴィランズ」がセールス的にも評価的にも過去最高の結果となったことが何より嬉しいです。ですが、既にそれは過去のことになってしまっていて、ようやくこの14時間生放送で年内の大きな仕事は一区切りなので、今日は普通に楽しんでいけたらなと思っています。後は本当にスタッフが成長して頑張ってくれているので、今年はそれが嬉しかったですね。
室内俊夫氏:吉田からもあった通り、「漆黒のヴィランズ」がリリースされたのが遥か前に感じるくらい時間の流れが速かったです。イベント事が多かったということもあると思うのですが。楽しく忙しく、やれたかなぁと思います。来年に向けては、前回の“アレ”から2年経つということは大型イベントの年なのかなぁ、ということなので……。
吉田直樹氏:せやねぇ(笑)。
室内俊夫氏:なので、その準備をしなければいけないなぁ、と。そろそろと言いつつ、そろそろ全力で走らなければいけないので準備を進めていきたいなぁと思います。
吉田直樹氏:これまでは勢いで行けたところもあったのですが、最近は「そろそろ、あれの準備しなきゃいけないな」という、“やらなきゃいけない感”が出てきているのは良くないなと思っています。飽きるんですよやっぱり、やっている方も。またちょっと趣向を凝らしていきたいですね。僕たちが楽しそうにやっている方が、結果皆さんも楽しいと思うのです。そこは忘れないようにしながら、定常業務にならないようにしていきたいですね。パッチもかなり先まで計画していますので。
――例年を比べて特別だったことはありましたか?
吉田直樹氏:スタッフの成長が一番大きくて、彼らからの提案は今までより一段レベルが高くなりましたね。僕もある種、MMOの経験やアイディアは「漆黒のヴィランズ」までに詰め込めたかなと思っていて、ここからは新しいステージに向かわなければいけないです。他のMMOがやっていない、もしくは「FFXIV」でしかやれないことを作っていかなければいけない中、自分の引き出しをひっくり返し直したりして、今年は苦しみましたね。それと同時にスタッフから良いアイディアが来るようになったので、それらを組み合わせながら作っていくことができました。
後は、単純にコンテンツボリュームが物凄いことになっていて、定常のアップデートだけでも増員しなければ回らなかったりして、見直す一年になりました。信じられないくらい規模になってきているので、至らぬ点も出始めているのでうまくバランスを取っていきたいです。
室内俊夫氏:色々なことをやってくれるスタッフが増えて充実度が上がっていますね。国内はもちろん海外イベントでは特にそう感じます。そういう意味で層が厚くなった、なっているといいな、という一年でした。
吉田直樹氏:それにしても、よくその格好で「私は何も着ていません」という体で話せるよね(笑)。そこは尊敬するよ。
室内俊夫氏:あまり自認できないですし、仮面もかぶっちゃってますからね。なんなら強気ですよ(笑)。
吉田直樹氏:ジバニャンのときも思ったんだよね。日野さんのあの冷たい目を覚えてる?
室内俊夫氏:この14時間生放送のシリーズで一番怖かったのは日野さんの目です(笑)。「あ……笑っていない」って(笑)。
――ちなみに着心地はいかがですか?
室内俊夫氏:最初に着たときは意外と涼しいなぁって思ってたんですけど、今は凄く熱いです。
吉田直樹氏:毎年gamescomでドイツのケルンに行ってるんですけど、我々の常宿にしているホテルの近くに「こういったモノしか売っていないお店」があって、毎年そこで室内が着る衣装を買っているんですよ。これ3万円以上して結構高いんですけど、なぜか領収書が切れないので毎年ポケットマネーなんですよ。誰か止めてくれればやめられるんですけど(笑)。
室内俊夫氏:まったくです(笑)。
吉田直樹氏:とは言いつつ、なんだったら今年は一緒に行って本人に試着させながら「今年はフォーギヴンだな……」とか言ってましたからね(笑)。
――斎藤さんが、吉田さんと同じパーカーと色違いのものを着られていましたが……。
吉田直樹氏:あれ、僕ひどい目にあったんですよ。前回のパッチノート朗読会の後、会社に一度着てきたんですよ、“吉田直樹着用モデル”を。そしたら喫煙所で「あっ、“吉田直樹着用モデル”ですよね」って言われたんですよ(笑)。そしたら周りも「良く言った」みたいな感じになっちゃって。自分の開発ブースに戻ってきてもみんな“プークスクス”みたいな感じで。恥ずかしくなっちゃって、もう会社には着てこれないですね。斎藤さん絶対何か言ってると思うんだよね(笑)。
「FFXIV」サウンドディレクター祖堅正慶氏
――今年一年の総括と来年の抱負をお聞かせください。
祖堅正慶氏:今年「漆黒のヴィランズ」が発売されましたが、開発とサウンドトラックの制作とオケコンが同時だったので、始まって以来シンドイ前半を迎えました。後半はパッチの制作がいつも通り大変だったんですけど、サウンド面でもコンフィグやフィルターを追加したりして、今までやれてなかったことをやってきたという感じですね。
後はコンサートをやって思ったんですけど新規の方が増えていて、引き続き色々なお友達を誘って、冒険の後に音楽も聴いてもらえると嬉しいですね。来年はノープランですけど、開発は引き続き全力で頑張ります。あとは、そろそろ……やりたいですね!(「THE PRIMALS」のTシャツをアピールしながら)
――今回、「漆黒のヴィランズ」を開発するにあたり、新しいスタッフの方も増えたと思います。
祖堅正慶氏:実はサウンドで新人をとるにあたって、効果音スタッフはずっと募集していたのですが、コンポーザー枠として新人をとることがなかなか出来なかったんですよ。それが今回叶って、色々とアレンジの幅が広がりましたね。彼らも「FFXIV」のクオリティが物凄い高いということが分かってきて悩んでいる時間でもあるのですが、凄く若いので。その若いエキスを「FFXIV」につぎ込んで、新しい風を吹かせて欲しいですね。おじさんばっかりになってもしょうがないんでね(笑)。
――今年は色々なことにチャレンジした年だったとは思いますが、来年チャレンジしたいことはありますか?
祖堅正慶氏:オーケストラコンサートもそうなんですけど、サウンドの形としてパッケージ以外にも何かできればいいなと思っています。パッケージだと物流的に海外のお客さんに届けるのが難しいので、中身をオンデマンドであげたりとか……。色々と模索はしているのですが技術的に難しいので、期待はしてほしくないけど、トライはしています。後は冒頭でも言いましたが、「漆黒のヴィランズ」を作った、インストアイベントもやった、オーケストラコンサートもやった、後は、アレをやらないと! 光の戦士たちはきっと待っていると思うので早く実現したいです!
「FFXIV」リードアーティスト鈴木健夫氏
――今年一年の総括と来年の抱負をお聞かせください。
鈴木健夫氏:今年は「漆黒のヴィランズ」を作るのが大変でした。自分は第一世界の背景やフィールド、キャラクターだと新種族周りを担当していたのですが、すごい時間をかけて作りきる、というのが前半で大変だったことです。自分の予想以上に皆さんに楽しんで貰えたので、今年の後半は嬉しい期間でしたね。カットシーンやシナリオは楽しんでくれた方が多かったので、頑張った甲斐がありました。
この評価を頂けたのは積み重ねの部分が大きかったと思っています。開発スタッフがそれぞれ積み重ねてきたものが評価に繋がっていると感じているので、来年以降も良いものを作っていきたいです。
――「漆黒のヴィランズ」は3本目の拡張となりますが、これまでと比べてどうでしたか?
鈴木健夫氏:一二を争うくらい大変でしたね。開発目線でいくと後になればなるほど、ジョブなどが増えていくので苦しむ量が増えていくんですよね。新しい武器を作るにしても、前回の拡張に比べても2種類ずつ追加されていくので。
後は、それぞれの拡張に特徴を持たせるというのも、苦労するポイントですね。「蒼天のイシュガルド」ではフライングマウント、「紅蓮のリベレーター」では水中アクションが追加され、それぞれに合った画作りが必要になりました。「漆黒のヴィランズ」では、そういう追加は無しということで「じゃあ大丈夫かなぁ」と思っていたんですが、天候が固定でずっと同じ天候を引っ張ったまま画作りしていくのが大変でしたね。天候の変化に頼ることができなかったので。次のフィールドに行っても同じ見た目だと面白くないので、世界を冒険してく画作りは大変でしたね。
「FFXIV」世界設定/メインシナリオライター織田万里氏
――今年一年の総括と来年の抱負をお聞かせください。
織田万里氏:本来であれば「漆黒のヴィランズ」の話をしたいところですが、あまりの忙しさにすでに忘れかけていて……。設定やシナリオはどうしても上流工程になるので、感慨にふけっている場合ではないですね。なので今は仕込みの一年という印象が強くなっています。
来年に向けては、運営が長いタイトルなので作っている側にも慣れが出てきてしまいがちなので、常に新しい挑戦を忘れないことと、ユーザーの方の動向を見守りながら寄り添っていきたいですね。
――ユーザーの方が世界設定で注目したポイントで、織田さんが意外だったことはありますか?
織田万里氏:特に海外の話なんですけど、例えばラケティカ大森林は中南米の神話をモチーフにしたものがやたらと刺さった印象があります。日本人が古代文明をイメージするとインカやアステカはドメジャーなんじゃないの? と、その反応が意外でした。
――世界設定本第三弾の予定はありますか?
織田万里氏:なかなか言いづらいところではありますが、ありがたいことに続編を楽しみにされている方が沢山いることは承知しています。僕は元々、出版業界にいたので本をたくさん作りたいという意思があります。ゲームの仕事に追われると唐突に本を作りたくなる病気を持っているのですが、「絶対に通常業務を遅らせるな」と言われているので、前向きに検討はしているのですが、それが形になるかどうかは未定です。
――昨年はCEDECで講演もされていましたが、来年以降も予定はありますか?
織田万里氏:お声がけいただければというところと、通常業務との兼ね合い次第といったところですね。ただああいう場に出ることは業界的にも大切なことだと思っていますので、よきタイミングがあれば……と思っています。
「FFXIV」メインシナリオライター石川夏子氏&クエストデザイナー髙柳早紀氏
――今年一年の総括と来年の抱負をお聞かせください。
石川夏子氏:とにかく今年は「漆黒のヴィランズ」をリリースできて、気が付いたらキャラがヒートテックを着ていて、駆け足の一年でした(笑)。来年はひとまず2月にパッチ5.2がありますが、パッチと並走しつつこの勢いで続けていけたらと思うので……休めない、ヤバい(笑)。
髙柳早紀氏:私も同じように「漆黒のヴィランズ」で上半期ずっと走り続けていて、親の声より「ラヒッ」を聞きました(笑)。大変だったけれど、ユーザーさんに喜んでもらえたなら、何よりな一年でした。私はパッチ5.1から「YoRHa: Dark Apocalypse」のクエストを担当していて、来年も盛り上げていけたらなと思います。
――「漆黒のヴィランズ」で改めてストーリーの良さを再認識されたと思いますが、その声は届いていますか?
石川夏子氏:それはもう本当にありがたいくらい頂きました。私は元々売り切りのゲームを担当していたので、話題って3週間もすれば無くなってしまうんですよ。それが「漆黒のヴィランズ」では、途切れず聞こえてきていて、MMOの特性が良い方向に働いていると思います。
髙柳早紀氏:メインストーリーの傍ら、サブクエストのプロットから実装までを担当したのですが、サブクエストにまで皆さんからお声を頂き、自信満々で作らせていただいた“闇色シロップ”を拾っていただいて、本当にそれが嬉しかったです。
――これからチャレンジしたいことはありますか?
石川夏子氏:私はずっとエイプリルフール企画の「イシュガルド学園」の漫画原作依頼を待っているんですけど、来ないまま来年のエイプリルフールを迎えようとしているので……。イシュガルド学園じゃなくてもいいので、エイプリルフール企画、お待ちしています(笑)。
髙柳早紀氏:そうだなぁ……来年こそ好みのミッドランダーを特注で実装したいです(笑)。
石川夏子氏:本当にヤバいんですよ。疲れてくると全部イケメンにするから、一時期スリザーバウが超イケメンだらけで(笑)。
髙柳早紀氏:実は5.0で、イベント班に内緒でミッドランダーの顔を新しく作ったりして(笑)。次回はエレゼンでもいいし……私はミッドランダーが大好きだから、ミッドランダーorハイランダーの新しい何かを。キャラ班の方がザワッとするかもしれませんが、キャラ班の方と仲良くして作っていけたらと思います。
石川夏子氏:ルガディン子供を作りたい織田さんと戦って?
髙柳早紀氏:そこは何とかして勝つ! っていう感じでしょうか(笑)。
「FFXIV」リードアーティスト市田真也氏
――今年一年の総括と来年の抱負をお聞かせください。
市田真也氏:無事に5.0を作りきることができて、今は5.2に向かっていますが、チーム全員で進めていくことができてホッとしています。若手もベテランも成長しているので、この力を一つにまとめて、今後も良いものを作っていきたいです。
――来年も含めてというところでしょうか?
市田真也氏:MMOは一つのサイクルを繰り返すことになるので、新しい体験をユーザーの皆様に届けられるよう大事にしていきたいですね。
――同じチームで開発を続けてきた中で、今年ならではの変化はありましたか?
市田真也氏:新しくチームに加わってくれたメンバーが「FFXIV」をプレイしていて、開発に参加したいなという人が増えてきたので、それが大きな風になっていますね。逆にベテランも「FFXIV」の良さを客観的に知る機会になって活気づいていますね。
――5.0の中で印象的だったことはありますか?
市田真也氏:新種族のロスガルは独特な形状をしているので、共通リソースがあまり使えなくて苦労しましたね(笑)。手が大きいので武器のグリップに収まりきらなかったりするんですよね。すいません、急に具体的な話になってしまって。
「FFXIV」リードプロジェクトマネージャー松澤祥一氏
――今年一年の総括と来年の抱負をお聞かせください。
松澤祥一氏:5.0がリリースされて、ビジネス面でもコミュニティ面でも大きな盛り上がりになりました。MMOみたいな長期運営するタイトルだからこそ、開発だけでなくプレイヤーの皆さんと一緒に作っていけている感が、とても印象に残っています。
来年は、ファンフェスなど次の仕込みをしなければならないので、楽しみと同時に色々と心配事もあって頑張らなければ! と思っているところです。
――今年ならではの大きな変化はありましたか?
松澤祥一氏:今いるメンバーがすごく成長してきていて、チームとして仕事が進むようになった感覚が強いですね。プロジェクトとして規模が大きいので一人一人の担当が部分的になってしまうのですが、表に出てきていないメンバーが凄く大勢いた上で成り立っているプロジェクトなんだ、ということは凄く感じました。プレイヤーの方の声をプロジェクト全体に届けたりもしているのですが、プレイヤーの方と一緒に作っていることを実感しつつ、次の一年も頑張っていきたいです。
――今後の展開で松澤さんが気になっていることはありますか?
松澤祥一氏:言いたいことは沢山あるんですけど、言えないことばっかりでして(笑)。ただ、「FFXIV」は国産のMMORPGの中では凄く稀有なポジションにいると思っていまして、他がやっていないことをウチがやるしかないと思っています。ここからも攻めの姿勢を続けていくので、新しいことにも挑戦していきます。何に挑戦するかは言えないのですが、追々、吉田の口から発表されると思うので、楽しみにしていてください。
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