Yostarが配信を開始したタワーディフェンスゲーム「アークナイツ」をレビュー。3年もの歳月を費やし練り上げたというシナリオ、足止めを意識したユニット運用といった魅力を紹介する。
「アークナイツ」はYostarが配信を開始したタワーディフェンスゲーム。その特徴は、3年もの歳月を費やし、綿密に練り上げたという世界観。また、美しいイラストと豪華声優陣によるキャラクターたちも魅力とされている。開発陣の気合が伝わってくる作品だが、その仕上がりはどうだったのか。本記事で詳しくお伝えしたい。
ロドスVSレユニオン!感染者たちの戦い
まずは、本作の目玉といえる「世界観」から紹介しよう。本作の世界観のキーとなっているのが「感染者」と呼ばれる存在。彼らは、天災がもたらした謎多き鉱石「オリジニウム」の影響によって生まれた存在で、超常的な能力を使うことができる特異体質者だ。
一方で「感染者」は、病人でもある。その病の名は「鉱石病(オリパシー)」。超常的な能力が使える代わりに、命を蝕まれることになるという病気だ。
また、「感染」という言葉が示す通り「鉱石病」は伝染性。このため、健常者にとって「感染者」は差別の対象となっている。差別は健常者と感染者の間に対立を生み、本作の世界に戦いを生み出す原因となっているのだ。
しかし、本作のメインバトルにおける対立構造は「健常者VS感染者」ではない。「感染者VS感染者」だ。感染者の中には、超常的な力を、社会に対する反抗手段として使う集団がいる。「レユニオン」と呼ばれる集団だ。これに対抗する集団が、主人公=プレイヤーの所属する「ロドス」。「鉱石病」の治療方法を研究するとともに、感染者が引き起こす問題の解決に当たっている集団だ。
差別というテーマに向き合うストーリー
本作は、ただダークな異能バトルものとして描くこともできる作品だ。しかし、本作の開発スタッフは、あえて「差別」という社会的なテーマと絡めた。テーマの描き方によって奥深さが作り出せる反面、描き方次第で非常に薄っぺらな作品になってしまう挑戦的な行為だと思う。ただ、序盤の展開を見る限りは、このテーマをしっかり正面から描こうとしているのだなと感じた。
「鉱石病」を巡るスタンスには大きく分けて健常者と感染者に分かれる。ただ、感染者が「ロドス」と「レユニオン」に分かれるように、健常者もひとくくりにはできない。「ロドス」が助けされたにも拘わらず怯える一般人。「レユニオン」と同じ感染者であってもひとくくりにせず、「ロドス」に対して冷静な対応をする軍人。人によって感染者への態度は異なっている。
また、感染者も「ロドス」と「レユニオン」の2つにキレイさっぱり分かれるわけではない。感染者であることを隠して、ただただ病と差別に怯えるだけの者もいる。
申し訳ないが最後までプレイしたわけではないため、テーマをどう収束させるのかはわからない。しかし、少なくとも序盤の展開からは、それぞれの人間の立場・価値観の違いを通して差別について浮き彫りにしようとしていることが伝わってきた。「3年もの歳月を費やした」という触れ込みは、伊達ではなさそうだ。
足止めを意識したユニット運用!本作ならではの戦術性
さて、続いて本作のゲームシステムについて触れたい。タワーディフェンスゲームと名乗っている通り、本作は見た目的にも、非常にスタンダードなタワーディフェンスゲームに見える。しかし本作は、一般的なタワーディフェンスゲームのシステムに留まるような作品ではない。独自の戦術性をしっかり持った作品だ。
本作ならではの戦術性…と書いたものの、基本的なルールは一般的なタワーディフェンスとほとんど一緒。ルートに従って進んでくる敵を迎え撃つため、時間経過とともに蓄積するコストを消費してユニットを召喚。敵を全滅させればステージクリア。一方、自軍拠点に一定数の敵が到達すると、敗北となる。
こうしたルールのタワーディフェンスでは普通、効率的に敵を倒すためのユニット配置が攻略のカギとなる。そのために重要になってくるのがユニットの配置。基本的には、ユニットがなるべくルートへ接触するよう配置する。たとえば、ルートがコの字型になっている場所の中心にユニットを配置し、上、右、下の3方向の敵を攻撃する…といった形だ。つまり、ルートに合わせたユニット配置が重要になってくる。
一方、本作の戦術で重要なのは何かというと、足止め。もちろん、本作もルートに合わせたユニット配置は重要だ。しかし、それ以上に、ユニットを使ってどう敵を足止めするかが重要になってくる。
なんと本作のユニットは、敵の侵攻ルートを阻むように配置することができる。なので、こちらの拠点の直前に通せんぼする形で配置することも可能。…なんだけど、ユニット毎に敵を足止め可能な数が設定されている。このキャパシティ以上の数の敵が押し寄せてくると、敵はユニットを素通りしてしまうわけだ。
そこで、接近型ユニットが足止めするポイントに遠距離型ユニットの攻撃範囲を多数重ね、火力をアップすることになる。鉄壁の防衛ラインを目指すわけだ。しかし、遠距離ユニットには飛行ユニットの処理という役目もある。飛行ユニットは接近型ユニットで足止めできないため、もっぱら遠距離ユニットに任せることになるのだ。
なので、敵をどう足止めするかが非常に悩ましい。だからこそおもしろい。どう火力を集中するか?いや、一定数の敵が素通りしてしまうことを見越して二段階の防衛ラインを引くか?自軍ユニットの特性を活かして適切な防衛ラインを組み上げるこの感覚は、想像以上に戦闘を指揮している感覚を与えてくれた。
時間をかけてプレイする価値のある骨太な戦略ゲーム
本作は、プロモーションに使われている画像を見ると、美少女キャラクターが多い。しかし、決して美少女キャラの魅力に頼るだけの作品ではない。既に書いた通り、差別という社会的なテーマを扱った世界観・ストーリーは、「3年の歳月を費やした」という言葉にも納得できる内容だ。
また、タワーディフェンスゲームというとカジュアルな印象があるかもしれないが、本作の持つ足止めを意識したユニット運用は、非常に奥深い。戦略・戦術の楽しさを堪能させてくれる。なので、骨太な戦略ゲームをじっくり楽しみたいという人は一度手に取ってほしい。時間をかけてプレイする価値のある作品だ。
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