クトゥルフ神話を世界観とするスマートフォン向けRPG「クトゥルフと夢の階段TRPG」について紹介。高い中毒性を生んでいるハクスラ的楽しさとデッキ構築のおもしろさについて紹介する。
目次
「クトゥルフと夢の階段TRPG」は、ひとりTRPG製作所から配信されたスマートフォン向けRPG。インディーズゲームではあるが、リリース直後に頻繁なアップグレードを行いバランス向上や不具合修正をしており、高い評価を得ている。タイトルの通り本作は「クトゥルフ神話」が世界観。これはホラー好きな筆者としては見逃せない。早速プレイしてみたので、その内容を詳しくお届けしたい。
超シンプルなハクスラ!狂気に満ちたイベントを乗り越え育成
本作のゲームの流れを一言でいえば、極限までシンプルにしたハクスラ(ハック&スラッシュ)RPG。ゲームの舞台となるのは、タイトルにもある「夢の階段」。夢のようなおぼろげな空間に、下り階段がひとつ。クトゥルフ神話に出てくるドリームランドの入口だ。この階段を下りていくと、店があったり、ベッドがあったり、はたまた敵が出てきたり…と様々なイベントに遭遇する。要するに、一本道のダンジョンRPGだ。
ゲームを続ける上で重要なのが、パラメーター。最も重要なのが、HPと「クトゥルフ神話」でお馴染みの正気度(SAN値)。いずれもゼロになるとゲームオーバーになってしまうので、極力この2つのパラメーターを減らさないようにしなければならない。
HPと正気度の他に、攻撃力、知力、敏捷性、体力、精神力、金…といったRPGでお馴染みのパラメーターがあり、戦闘やイベントに関わってくる。
戦闘以外のイベントは、概ね選択肢を選ぶ形式。選んだ選択肢によってカードや装備、お金といったものがゲットできたり、パラメーターが上下したりする。単純に何かが手に入るという選択肢であれば苦労せずに選べるが、多くの場合、宝箱を敵が守っていてゲットするには戦闘をしなければならない…といった、トレードオフ形式になっているので悩ましい。
ちなみに、選択肢によっては選ぶのに一定以上のパラメーターが必要だったり、ルーレットへの挑戦が求められたリといったことが発生。また、イベントによってはいきなり有無を言わさず能力値が減る(増える)なんてものもある。
自分の残りのパラメーターとにらめっこしながら選択肢を選び、イベントを通じてキャラクターを強くしていく過程は、シンプルではあるがハクスラの楽しさを堪能させてくれる。また、イベントの内容が狂気に満ちているのも特徴だろう。
イベントの内容には、ストレートに狂気や不安、恐怖を描いたいかにも「クトゥルフ神話」的なものもあるが、「マスクを売る転売ヤーにどう対処するか?」とか、「清潔」OR「不潔」ルートのどちらを選ぶか?とか、いらすとやさんのキャラの名前を思い出す…とかいった、ギャグ的なものも登場。どストレートに「クトゥルフ神話」の世界観を楽しみたいという人からすると、ちょっと微妙に思えるかもしれないが、筆者的には「ストレートなホラーもギャグも混在する理不尽さこそ狂気!だからクトゥルフとしてアリ!」と感じた。そもそも我々が夜見る夢の内容も、相当理不尽だよね。
戦闘はデッキ構築型カードゲームのおもしろさ!
イベントで選択肢によってはカードが手に入ると書いたが、本作の戦闘はこのカードを使って行う。自分のデッキから毎ターン手札を引き、手札の中から使用するカードを決める。カードにはコストが設定されており、使用するにはコスト分のENEパラメーターが必要だ。
トレーディングカードゲーム(TCG)と同様の戦闘システムなので、もちろんカード同士の連携が重要だ。しかしそれ以上に重要なのがデッキ構築。本作では、所有カードがそのままデッキになるというシステム。なので、イベント時にどんなカードを選ぶか?という選択がそのままデッキ構築になっている。
これは、アナログゲーム「ドミニオン」をはじめとするデッキ構築型カードゲームのシステムに近い。ハクスラ的に戦闘とアイテムゲットを繰り返す楽しさに加え、デッキを作り上げるおもしろさを味わうことができるのだ。
中毒性を生み出す!「紅の宝石」による育成
また、強い中毒性を生み出しているのが周回プレイによる育成だろう。ゲームオーバーになるとタイトル画面に戻り、再び最上階から階段を下りることになるのだが、この時イベントで手に入る「紅の宝石」を使うことで、キャラクターの育成ができる。
「紅の宝石」を使った育成はキャラクターのパラメーターを直接アップするのではなく、キャラクター作成時の出目を良くするというもの。本作では再挑戦の際も、毎回キャラクターを作成するのだが、この時パラメーターはダイスの出目によって決まる。「紅の宝石」は、この出目の最小値と最大値をアップしてくれるのだ。
「紅の宝石」と併せて、再挑戦時には前回手に入れたカードを1枚持ち込むことが可能になるため、周回を重ねるごとにキャラクターは強くなっていく。到達階の記録も目に見えてアップしていくので、止め時を失ってしまう。本作のハマりどころだ。
中毒性の高い時間泥棒!ダンジョンRPG系ハクスラファンにオススメ
本作はインディーズゲームだけあって、ド派手な演出や美麗なカード…といった点は弱い。しかし、ハクスラRPGとしてのおもしろさは本物。気が付くとあっという間に時間が経っている時間泥棒系ゲームだ。ビジュアルやストーリー的なリッチさといった方向ではなく、ハクスラやデッキ構築といったメカニズムの部分に魅力を感じる人は、是非プレイしてみてほしい。ダンジョンRPG系のハクスラファン、クトゥルフ神話ファンはプレイする価値のあるゲームだと思う。
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