「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわり絶望と歓喜が入り混じる戦いから現実の京都へ。五感をハックする泥臭い剣戟の快感と、開発陣の狂気的な熱量に感涙

プレイレビュー
0コメント アサミリナ

2026年9月2日にカプコンから発売されるPS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/ PC(Steam)用ソフト「鬼武者 Way of the Sword」(以下、「鬼武者WS」)。本稿では試遊プレイ&京都ツアーをお届けする。

今回、本作を約2時間にわたって試遊プレイする幸運に恵まれた。筆者はアクションゲームというジャンルをこよなく愛しているが、悲しいかな、プレイヤーとしての腕前は決して高くない。いわゆる「下手の横好き」というやつである。

そのため、今回の試遊においては、純粋にストーリーや世界観を堪能したいプレイヤーに向けた難易度「活劇」を選択してプレイに臨んだ。

本稿では、約2時間の濃密な試遊で見えてきたことや、本作がいかにしてプレイヤーの五感を強烈に刺激し、感情を揺さぶるのかを、ひとりのゲーマーとしてのむき出しのプレイスルー体験とともにお届けしたい。クリエイターたちの並々ならぬ熱量が込められた本作の魅力を、余すところなく紐解いていこう。

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さらに、「鬼武者WS」の濃密な世界観の一端を垣間見るべく、ゲームの舞台となった京都を実際に自らの足で歩く、メディア向け京都ツアーに参加してきた。訪れたのは、清水寺、安井金比羅宮、六道珍皇寺、建仁寺の4箇所である。

ゲーマーにとって、これは単なる京都観光ではない。

記事の後半では、ゲーム内で描かれた風景と現実世界がどのようにリンクしているのかを確かめる、胸が高鳴る聖地巡礼の模様をお届けするので、最後まで目を通してもらえれば幸いだ。

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血の匂いと静寂。日常が怪異に侵食される「鬼武者WS」流・京都の歩き方

ゲームを開始し、武蔵を操作して洛中の地を踏みしめた瞬間、筆者の全身の毛穴が粟立った。約1年前のgamescom2025で出展された体験版をプレイした際にもそのグラフィックの美しさには息を呑んだが、今回のビルドではさらに画面全体の湿度が増しているように感じられたのだ。

足元の土の感触、古びた木造建築から漂う埃っぽさ、そして路地裏にこびりついたような血の匂い。画面越しであるにもかかわらず、そこにはむせ返るような京都の空気が充満していた。

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本作のマップは、単なる現実の京都を箱庭にしたわけではない。コントローラーを握るプレイヤーの没入感を一切途切れさせないよう、移動のテンポを阻害する無駄な距離は極限まで削ぎ落とされている。

しかし、ふと見上げる清水寺などのシンボリックな建造物のスケール感は、現実のそれを凌駕するほどのすさまじい威圧感を持って眼前に迫ってくる。

画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より

そして、本作の京都探索において最も筆者の背筋を凍らせたのが、安井金比羅宮の描写である。現実世界でも縁切り・縁結びの神社として全国的に名高い場所だが、本作ではその伝承をゲームのダークな世界観へと見事に落とし込んでいる。

たとえば、「嫌いな上司と縁を切りたい」と願えば、なんとその上司が事故で亡くなってしまうという、伝承の裏側に潜む恐ろしいエピソードが、すべて幻魔の仕業として描かれているのだ。

作中では、「足が痛い」と嘆く老人に対して、ならば痛む足を切断してしまえば良いと物理的に足を切断してしまったり、「人と容姿を見比べては落ち込む」という女性の目を潰してしまったりといった、極端な願いの叶え方が展開される。

神聖なはずの場所が、得体の知れない怪異によって歪められている。この、日常と非日常の境界線が曖昧になる感覚は、筆者が過去にサバイバルホラーの傑作をプレイした際に味わった、あのじわじわと迫り来る絶望感に極めて近い。

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また、道中に現れた安井金比羅宮の中にある八大力尊社の表現も、ゲームファンとしてはたまらないものがあった。

現実の八大力尊社には8体の石像が整然と並んでいるのだが、ゲーム内のマップでは、なぜかそのうちの3体が、盗まれてしまっている。これは完全に本作オリジナルの設定だ。そしてその8体の石像にはそれぞれ性格付けもされ、しかも喋ってしまうというのが、いかにもゲームならではである。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
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もちろん、「鬼武者」シリーズのDNAである謎解き要素もしっかりと用意されている。血みどろのアクションが続く中で、ふと立ち止まって周囲のオブジェクトを観察し、隠されたアイテムを見つけ出したり、古びた仕掛けを解き明かしたりするプロセス。

次にどこへ行けばいいのか迷う瞬間もあったが、少し頭を捻れば必ず「あっ、ここか!」と閃く快感が用意されている。この適度な知的探索が、張り詰めた神経を一度クールダウンさせ、次の死闘へと向かうための完璧なスパイスとして機能していた。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
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「推し」の引力。妖艶なる宿敵・佐々木巌流の毒に溺れる

アクションの爽快感や世界観の凄まじさもさることながら、筆者をここまで本作に熱狂させている最大の要因は、間違いなくキャラクターたちの存在感、もっと言えば、武蔵の宿敵である佐々木巌流の存在である。

世界的名優・三船敏郎氏をモデルにした宮本武蔵は、これまでのゲーム史に類を見ないほど人間臭い。天下無双という大仰な野望を掲げながらも、「嫌なものは嫌だ」と悪態をつき、面倒くさそうに刀を抜く。

綺麗事だけではない、泥臭くも力強い主人公像がそこには確立されていた。

画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より

だが、筆者の心を狂わせ、視線を釘付けにして離さなかったのは、体験版で最後のボスとして立ちはだかる佐々木巌流である。

野蛮で無頼漢な武蔵が「青」ならば、天才肌で常に余裕をかます巌流は「赤」。

彼が画面に現れた瞬間、空気が一変した。ただ歩く姿、わずかに首を傾げる仕草、その一挙手一投足に至るまでが、異常なまでの毒のある色気を放っているのだ。彼を見ているだけで、得体の知れない背徳感と高揚感が入り混じり、コントローラーを握る手がわずかに震えた。

画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より

そして、声優・岡本信彦氏の演技である。狂気と正気が入り混じり、相手を嘲笑うかのようなあの艶やかな声色。彼が発する言葉の端々に、これから彼が歩むであろう凄惨な運命の気配が滲み出ており、聞く者の心をかき乱す。

画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より

今回の試遊が体験版の佐々木巌流戦が終わった直後から始まったため、武蔵に負けた巌流の姿も僅かながら見ることができたのだが、ほんの数分のシーンながらますます巌流の持つ狂気に引き込まれてしまった。

バトルにおいても、流麗でありながら相手を徹底的に手玉に取るフェイントを交えた動きをしてくる。それは単なる敵の攻撃モーションではなく、彼というキャラクターの歪んだ性格を表現した暴力的な芸術作品のようである。

彼を取り巻くすべての要素が魅力的すぎて、敵であるにもかかわらず「もっと彼の姿を見たい、もっとその狂気の淵を覗き込みたい」と、すっかり彼に魅了されてしまったのである。

次なる巌流との再戦を待ちわびて早く会いたいがために、先へ先へと急ぎたくなる。これほどの引力を持ったキャラクターには、そうそう出会えるものではない。

画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より

「羅掌願」との死闘が教える、絶望と歓喜のジレンマ

そんな巌流への熱狂を胸に秘めつつ、筆者は試遊の核心であるいくつかのボス戦へと挑んだ。難易度「活劇」のおかげもあり、道中の雑魚戦は受け流しと一閃を駆使して爽快に突破。

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最初のボスである大唾拉も、これまでに培ったアクションの応用で1回目の挑戦でさっくりと討伐することに成功した。

「なんだ、私でもいけるじゃないか」「鬼武者、上達したかも」。そんな慢心は、次の瞬間、完膚なきまでにへし折られることとなる。

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2体目のボスである羅掌願が、筆者の前に途方もなく高い壁として立ちはだかったのである。

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戦いの舞台は、極楽浄土を思わせる一面の美しい花畑。そこへ、それとは完全に対極にあるおぞましい異形の姿をした羅掌願が這い出てくる。美しい風景の中で血みどろの死闘が繰り広げられるという視覚的なミスマッチ感。そして、静と動が激しく交錯するBGMの旋律が、狂気的なコントラストを生み出していた。

見とれている余裕は一秒たりともなかった。結果から言えば、筆者はこの羅掌願相手に、難易度「活劇」であるにもかかわらず、5回連続でゲームオーバーの憂き目に遭った。

とくに絶望させられたのが、羅掌願の掴み攻撃である。この掴みは、敵の予備動作を見てから慌てて回避ボタンを押したのでは絶対に間に合わない。「えっ、今避けたよね!?」と何度画面に向かって呻き声を上げたことか。一度でもペースを乱されると、あっという間に体力を削り切られてしまう。何度も地に伏せ、無慈悲なリトライ画面を見つめながら、筆者は本作のアクション設計の真髄に気づかされた。

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本作は、決して理不尽な初見殺しゲームではない。しかし、ボタンを適当に連打していれば勝てるような甘いゲームでもない。

「あともう少し早く反応していれば避けられたのに!」「次こそは絶対にいける!」とプレイヤーに強く思わせる、ギリギリのライン。この、いけそうでいけないという絶妙なジレンマこそが、プレイヤーを虜にする本作の麻薬的な魅力なのだ。

そこからは、頭を切り替えた。敵のモーションを見てから反応するのではなく、敵の動きの予兆を感じ取り、かなり早めの入力で回避行動を置いておく。むやみに攻撃を欲張るのをやめて、ガードと回避を焦らず冷静に使い分ける。

負けるたびに、敵の動きのタイミングを身体に叩き込んでいく。

やがて、最初は全く手も足も出なかった羅掌願の凶悪な攻撃が、ピンと直感的に見え始める瞬間が訪れた。自分のプレイヤースキルが、この短いプレイ時間の中で、確実に一段階上へと引き上げられていることを実感した。

指先がコントローラーと一体化し、脳の思考を通さずに反射で受け流しが決まる。「ヤバい、今回こそいける!」と確信した瞬間にやはり掴まれて投げ飛ばされてしまうというオチも交えつつ、それでも順調にボスの体力ゲージを削っていくことができるようになった。

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そして迎えた数回目のチャレンジ。ついに羅掌願の体力を削り切り、トドメの一撃を深々と叩き込んだ瞬間、筆者はカプコンの試遊会場のど真ん中であることも忘れ、思わず「やったあっ!」とガッツポーズと共に歓喜してしまっていた。

周囲のスタッフや他メディアの方々から生温かい視線を向けられたかもしれないが、そんな羞恥心は、全身を駆け巡る圧倒的な達成感の前には塵芥に等しかった。

プレイヤー自身の確かな成長と直結した、本物のゲーム体験がそこにはあった。これが「簡単でもない。高難易度でもない」という、新しい「鬼武者」が目指したアクションなのだとしみじみ感じ入ったのである。

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ちなみに一応補足しておくが、筆者はいわゆる「高難易度」に分類される死にゲーの数々も下手ながらにクリアをしてきている。ひとつのボスを倒すのに、5時間、6時間、或いは24時間を費やすようなゲームたちのことだ。

「鬼武者WS」はそういうゲームに比べたら確かに「簡単」という部類には入るのだろうと思う。だが、一見で即倒せてしまうような難易度ではない。例えば今回詰まった羅掌願戦は大体30分ほどを費やしたのだが、この30分という時間が「アクションが苦手でもコントローラーを投げてしまわない、絶妙な難易度」だったと感じられる。

もちろん、アクションが得意な人は難易度「剣戟」でも、もっと時間をかけずに倒すことはできると思うのだが、それはいわゆる「高難易度」ゲームでも同様である。

重要なのは、高難易度ゲームと呼ばれるもので得られる興奮と心地よい疲労感、手のひらにじっとりと残る汗を、筆者がこの羅掌願戦でも間違いなく味わったという事実だ。ゲームの熱量は、決して設定された難易度の枠組みだけで測れるものではない。その確かな手応えが本作にはあるということだけは、声を大にして伝えておきたい。

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五感をハックする「音」の暴力と、キャラクターの魂を描き出す音楽

本作のプレイ体験を語る上で、カプコンのサウンドチームが執念で作り上げた音響と音楽の存在を無視することは絶対にできない。

筆者はこれまで数多くのゲーム音楽のインタビューに触れ、サウンドがゲーム体験に与える影響の大きさを身をもって知ってきたつもりだが、本作の音作りは控えめに言って常軌を逸している。

まず、環境音と効果音が織りなす空間の支配力だ。どこからともなく聞こえるカラスの鳴き声や、風に揺れる木々のざわめき。それらが単なるBGMのトラックとしてではなく、明確な位置を持ってプレイヤーの周囲を取り囲んでいる。

斜め上の屋根瓦が軋む音が聞こえれば、無意識のうちにカメラをそちらへ向けてしまう。視覚よりも先に聴覚が危険を察知し、身体が反応するのだ。

そして、いざ幻魔と刃を交えた瞬間に手元にフィードバックされる、あの重厚でダーティーな剣戟の音。決して澄んだ綺麗な音ではない。鉄と鉄が暴力的にぶつかり合い、削れ、火花を散らす「ガギィッ!」という生々しい響きが、コントローラーの鋭い振動とともに骨の髄まで響き渡る。

受け流しが決まった瞬間の圧倒的な音の快感は、言葉では到底表現しきれないほどだ。

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さらに特筆すべきは、キャラクターの魂を浮き彫りにするBGMのアプローチである。和楽器とオーケストラが融合した楽曲群は、ただ激しいだけではない。

激闘の最中であっても、メロディーの裏側にどこか物悲しい旋律が流れ、登場人物たち(あるいは幻魔や巌流といった敵たち)の背景にある悲哀や狂気を、見事なアレンジメントでプレイヤーの感情に直接訴えかけてくる。

音楽が単なる戦闘のBGMではなく、キャラクターそのものを雄弁に語る声として機能しているのだ。このサウンドディレクションの妙には、ただただ平伏するほかない。

自宅に7.1.4chのホームシアターのような設備を兼ね備えている人は少ないと思うので、ここはぜひとも立体音響技術を搭載したヘッドフォンなどの使用を推奨したいところである。

挑戦する者に極上のカタルシスを約束する、新たなアクションの金字塔

約2時間の試遊を終えて断言できる。「鬼武者WS」は、単なる過去のシリーズの踏襲などではない。

極限まで磨き上げられたグラフィック、空間を完全に支配する音響、そして泥臭くも圧倒的なリアリティを生み出す剣戟と音楽が、見事なシンフォニーを奏でている、新たな金字塔である。

アクションが苦手なプレイヤーであっても、諦めずに観察し、挑戦すれば必ず乗り越えられるよう綿密に計算された手応えが、本作には確かに宿っている。

人間臭い武蔵と、筆者の心を狂わせた妖艶な宿敵・佐々木巌流の対比が織りなす濃厚な人間ドラマ。そして、現実と幻魔が交錯する京都の裏側に潜む恐ろしい幻魔たち。泥臭い剣戟の重たい振動の余韻と、羅掌願を打ち倒したときの興奮が、試遊を終えた今でも両手に色濃く残っている。

現世と幻魔が交錯する京都を舞台に、一体どのような死闘が我々を待ち受けているのか。アクションゲームの歴史を塗り替えるであろう本作の発売日を、今はただ心待ちにしたいと思う。

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「鬼武者WS」聖地巡礼・京都ツアーレポート:現実と幻魔の境界線を往く!

心地よい疲労感と、圧倒的なカタルシス。画面の中に広がる恐ろしくも美しい京都の景色が、強敵を打ち倒した興奮とともに、筆者の心に深く、そして鮮烈に刻み込まれた約2時間の試遊体験であった。

だが、今回の「鬼武者WS」の熱狂は、試遊のコントローラーを置いた時点では終わらなかったのである。

洛中の闇にすっかり心も体も(そして佐々木巌流への強烈な推し心も)染まりきった翌日。筆者はなんと、現実の京都の地を踏みしめていた。

開発陣が異常なまでの情熱を注ぎ込み、幻魔の怪異と交差させたこの「京都」という舞台。その裏側に隠されたディテールとこだわりの数々を、現実世界での答え合わせとして紐解いていくメディア向けの「京都ツアー」に参加してきたのだ。

ここからは、ひとりのゲーマーとして血が騒ぐ、フィクションと現実の境界線を往く聖地巡礼の模様をお届けしよう。あの血生臭い剣戟の記憶を胸に、いざ、現実の洛中へ!

激しく余談であるが、この日の最高気温は38℃ほどだった。察してほしい。
激しく余談であるが、この日の最高気温は38℃ほどだった。察してほしい。

清水寺――床板の数まで完全再現!徹底したリアリズムと、スタッフの遊び心

聖地巡礼の幕開けは、京都の象徴とも言える名刹「清水寺」である。門をくぐり、本堂へと続く坂道を歩きながら、周囲の豊かな自然と高くそびえる建造物を見上げる。実際に自分の足で歩いてみて驚かされたのは、ゲームと現実のスケール感の同期である。

ゲーム内では広大な京都をプレイヤーが探索しやすくするために、道なりの距離感などは体感に合わせて絶妙に圧縮・デフォルメされている。しかし、いざ建造物を目の前にすると、その巨大さや威圧感は現実のそれと全く同じベクトルで迫ってくるのだ。

それもそのはず、開発陣の異常なまでのこだわりにより、清水の舞台を支える巨大な柱の本数や、我々が踏みしめる足元の床板の数に至るまで、その構造はほぼ完璧に実物を再現してモデリングされているという。

清水寺の舞台を下から見上げたところ。基本的には柱の数なども再現されているが、段差などはあえてデフォルメしていたりもするそうだ。
清水寺の舞台を下から見上げたところ。基本的には柱の数なども再現されているが、段差などはあえてデフォルメしていたりもするそうだ。

移動のテンポという、ゲームとしての遊びやすさのために必要に応じて空間をデフォルメしつつも、プレイヤーの記憶に残る建造物のディテールは狂気的なまでのリアリズムで作り込む。この見事な取捨選択こそが、ゲーム内で感じたあの足がすくむような高低差と、圧倒的な没入感の正体であった。

また、本堂では「鬼武者WS」のヒット祈願のご祈祷も執り行われた。厳かな読経と重厚な鐘の音が堂内に響き渡る中、本作が世界中のアクションゲーマーに届くことを真剣に祈る。歴史と伝統が息づく国宝の中で手を合わせたこの特別な時間は、本作が持つ世界観の大きさを改めて実感するに十分な体験であった。

ちなみに、体験版のデモシーンにおいて、この清水の舞台から生きた人間が簀巻きにされて容赦無く投げ落とされる衝撃的な場面があるのだが、実はあの簀巻きにされていたNPCの顔は、カプコンの開発スタッフのものだったことが今回のツアーで判明した。

画像は「鬼武者WS 体験版」より
画像は「鬼武者WS 体験版」より
上シーンのモデルとなったカプコンのスタッフ
上シーンのモデルとなったカプコンのスタッフ

現地では、舞台から落ちるふりをして和やかに笑い合うスタッフの姿や、「鬼武者」のロゴが入った扇子を片手にポーズを決めるディレクターの二瓶賢氏とプロデューサーの門脇章人氏の姿も見られ、血生臭いゲーム本編とは打って変わった、和気あいあいとした開発現場の温かい雰囲気が垣間見えた。

左から、二瓶賢氏、門脇章人氏
左から、二瓶賢氏、門脇章人氏

安井金比羅宮――這いつくばって穴をくぐる情念と、境内に潜む八大力尊社

次に向かったのは、今回の聖地巡礼において最も強烈な磁場を放っていた「安井金比羅宮」である。現実世界でもあらゆる悪縁を切り、良縁を結ぶ神社として全国にその名を知られている。

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境内に足を踏み入れると、高さ約1.5メートル、幅約3メートルの「縁切り縁結び碑」が異様な存在感を放っていた。参拝者の切実な願いが書かれた真っ白な形代でびっしりと覆い尽くされたその巨石からは、人々の生々しい情念が立ち上っているかのようだ。

さらにこの場所が特異なのは、形代を持った参拝者が這いつくばって碑の中央の穴をくぐり抜けるという、極めて肉体的な儀式を伴う点である。

表から裏へくぐって悪縁を切り、裏から表へくぐって良縁を結ぶ。地面を這い、呪文のように願いを念じながら穴を抜ける人々の姿には、人間の業の深さがむき出しになっていた。

縁切り縁結び碑
縁切り縁結び碑
「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像

さらに境内を深く探索すると、古くなった櫛や簪を供養する「久志塚」や、びっしりと文字が書き込まれた絵馬のトンネルに加え、「八大力尊社」という見逃せないスポットが存在する。

ゲーム内のマップでは、この社に安置されている石像のうち「3体」が欠損してなくなっているという本作オリジナルのミステリアスな設定が加えられており、この石像を探すために歩き回ることになるのだが、今回のツアーで実際に訪れた際は、もちろん8体すべての石像が整然と揃って安置されていた。

こうした現実とフィクションの絶妙な差異を発見できるのも聖地巡礼ならではの醍醐味である。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像

ゲーム内において、この神社の伝承は極めてダークな怪異として描かれている。現実の伝承の裏側に潜む「嫌いな相手との縁を切りたい」というような強い願いが、もしも幻魔の力によって最悪の形で歪められてしまったら……。

這いつくばって穴をくぐる参拝者たちの生々しい姿と境内の重たい空気を感じた今ならわかる。人間の深い業や情念が渦巻くこの場所は、幻魔という存在を現実世界に顕現させるための、最も説得力のある舞台装置なのである。

ゲーム中には登場しないが、安井金比羅宮のなかには久志塚という櫛を供養する場も。美容師や理髪業など、美容関係の仕事に就く人々からの信仰を広く集めているそうだ。
ゲーム中には登場しないが、安井金比羅宮のなかには久志塚という櫛を供養する場も。美容師や理髪業など、美容関係の仕事に就く人々からの信仰を広く集めているそうだ。

六道珍皇寺――「迎え鐘」を鳴らして稽古場へ!

現世と地獄の境界線を往く安井金比羅宮の余韻も冷めやらぬまま、一行は「六道珍皇寺」へと足を運んだ。

平安時代から、この寺が位置する「六道の辻」は現世と冥界(地獄)の境界線とされてきた特別な場所である。本堂の裏手にひっそりと佇む「冥土通いの井戸」は、平安時代の役人・小野篁が夜な夜な地獄へ降り、閻魔大王の補佐をするために通ったとされる不気味な伝説の舞台だ。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像

ここで体験できたのが、お盆に精霊を冥界から呼び寄せるために撞かれる「迎え鐘」である。驚くべきことに、「鬼武者WS」のゲーム内においては、主人公である武蔵が己の腕を磨くための稽古場へと向かう際、この六道珍皇寺の鐘を鳴らすというギミックが存在しているのだ。

ゲーム中で六道珍皇寺の鐘を鳴らす武蔵
ゲーム中で六道珍皇寺の鐘を鳴らす武蔵

ツアーでは、実際にこの迎え鐘の綱を引かせていただくことができた。綱を引き、堂内に隠された鐘がゴォーン……と腹の底に響くような重低音を響かせた瞬間、自らの手で現世と異界を繋ぐ扉を開いてしまったかのような、背筋がゾクゾクとする錯覚を覚えた。

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さらに境内では「水くじ」という雅な体験も用意されていた。一見すると何も書かれていない真っ白な紙なのだが、境内の手水鉢の水にそっと浮かべると、じわじわと文字が滲み出てきて吉凶を告げるという、風流かつ神秘的なおみくじである。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像

冥界の入り口というダークな側面を持ち合わせながらも、こうした水を使った清らかな文化が共存しているのが京都という街の奥深さだ。日常のすぐ足元に得体の知れない地獄が口を開けているという世界観は、まさに幻魔が跳梁跋扈するゲームの根幹と完璧にリンクしていた。

小野篁が夜な夜な地獄へ行くために飛び込んでいたとされる井戸。本堂の裏庭にひっそりと佇んでおり、覗き込むと底知れぬ暗闇が広がっている。普段は見ることができないのだが、今回は特別に井戸の見学をさせてもらうことができた。
小野篁が夜な夜な地獄へ行くために飛び込んでいたとされる井戸。本堂の裏庭にひっそりと佇んでおり、覗き込むと底知れぬ暗闇が広がっている。普段は見ることができないのだが、今回は特別に井戸の見学をさせてもらうことができた。
小野篁が地獄から現世へ帰るために使った出口の井戸。こちらも普段は見ることができないのだが、今回は特別に見学をさせてもらうことができた。
小野篁が地獄から現世へ帰るために使った出口の井戸。こちらも普段は見ることができないのだが、今回は特別に見学をさせてもらうことができた。
現世と冥界の境にあたる場所、という意味だそう。
現世と冥界の境にあたる場所、という意味だそう。
閻魔大王像。こちらも今回は特別に見学・写真撮影をさせてもらうことができた。
閻魔大王像。こちらも今回は特別に見学・写真撮影をさせてもらうことができた。
小野篁像。こちらも今回は特別に見学・写真撮影をさせてもらうことができた。普段は見られないとのことなので注意してほしい。
小野篁像。こちらも今回は特別に見学・写真撮影をさせてもらうことができた。普段は見られないとのことなので注意してほしい。

建仁寺――時代を超えてプレイヤーの魂を揺さぶる「双龍図」の魔法

聖地巡礼の最後を締めくくったのは、京都最古の禅寺「建仁寺」である。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像

繁華街である祇園のすぐそばにありながら、一歩足を踏み入れれば広大で静謐な空間が広がっている。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像

ここで絶対に見逃せないのが、法堂の天井に描かれた巨大な「双龍図」である。108畳にも及ぶ壮大なスケールで描かれた2体の龍は、今にも天井から抜け出してきそうな凄まじい眼光と迫力で我々を見下ろしていた。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像

実はこの双龍図、史実においては江戸時代初期にはまだ存在していないものである。しかし、ゲームをプレイした後にこうして現実の京都を訪れ、法堂の天井を見上げたときの「あっ、ゲームの中と同じ景色がある!」という胸のすくような感動を現実世界での極上の体験として生み出すために、開発陣はあえて時代考証を越えて、この双龍図をゲーム内に配置しているのだという。

首が痛くなるほど天井の双龍図を見上げながら、筆者はこの粋な計らいに心の中で全力の拍手を送っていた。史実の正確さよりも、プレイヤーの感情とエンターテインメントとしての体験を最優先する。ゲームという枠を飛び出し、プレイヤーが現実世界で聖地巡礼をしたときの感動までをもデザインするこの二匹の龍は、作り手の並々ならぬ情熱の証明であった。

なお、ツアーの最中に門脇氏に伺ったところ、この建仁寺はゲーム中何度か戦いの場面として登場するらしい。今回の試遊では建仁寺での戦闘は発生しなかったので、それ以上具体的なことはわからないが、何度か戦いの場になるということは六道珍皇寺での稽古場と同じような役割を果たす場所なのか、はたまた物語上重要な場所となるのか……気になるところである。

建仁寺は、双龍図以外にも屏風や石庭など見どころもたくさんある非常に大きなお寺なので、お参りを検討している人は時間にたっぷり余裕をもって向かおう。

「鬼武者WS」試遊レビュー&京都聖地巡礼レポ!絶妙な手応えの死闘と、現実と幻魔が交錯する洛中へのこだわりの画像
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フィクションと現実の境界線が溶け合う、極上のエンターテインメント

床板の数まで再現された清水寺の舞台、安井金比羅宮に渦巻く情念の闇、六道珍皇寺の鐘の音と水くじの神秘、そして建仁寺の時代を超えた双龍図。

この聖地巡礼を通して得た最大の収穫は、「鬼武者WS」が単なる京都を模したアクションゲームではなく、京都という土地が持つ歴史、伝承、そして人間の業そのものを、極上のエンターテインメントとして再構築した作品であると身をもって体感できたことだ。

現地を歩けば歩くほど、フィクションと現実の境界線が溶け合い、ゲーム世界への解像度が何倍にも跳ね上がっていくのを感じた。

あの血生臭い幻魔たちも、妖艶な佐々木巌流も、もしかしたらこの京都の路地裏に本当に潜んでいるのではないか。そんな錯覚すら覚えてしまう。

全国のアクションゲーマー諸氏も、本作をプレイした暁には、ぜひ自らの足でこの聖地を巡ってみてほしい。ゲーム体験が現実世界へと拡張していく、最高の感動がそこには待っているはずだ。

清水の舞台
清水の舞台

人生のうちの40年以上をゲームと共に生きる、人生の大半をゲームに捧げた、北の大地に住むライター。JRPGが主食。スクウェア・エニックス、トライエース、フロム・ソフトウェア、カプコン、アトラス、任天堂、ファルコム、タイプムーンあたりに目がない、ソシャゲも山のように嗜む雑食ゲーマー。ゲーム音楽やコラボカフェ、2.5次元なども大好物。北の大地に移り住む前は数多くのイベントに通い詰めた、イベント大好き人間です。 note:https://note.com/rinaasami/n/nb31a2e54c31f

※画面は開発中のものです。

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