日本ファルコムより2026年9月17日に発売となるPS5/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「空の軌跡 the 2nd」。発売を間近に控え、本作のプロデューサーである近藤季洋氏へのインタビューをお届けする。
「空の軌跡 the 1st(以下、the 1st)」の発売から1年を経てリリースされる「空の軌跡 the 2nd(以下、the 2nd)」。オリジナル版のプレイヤーならご存知の通り、この2作はストーリーとしても地続きになっており、この2作を通してエステルとヨシュアの物語が描かれていく。
「軌跡シリーズ」全体を見ても続編が控える中、1年というオリジナル版よりも短い間隔で本作をリリースすることになった経緯、そして「the 2nd」ならではの要素などを、本作のプロデューサーでもある日本ファルコム 代表取締役社長の近藤季洋氏に伺った。

インタビュー・編集:TOKEN
文:SIGH
「the 1st」発売時点では「the 2nd」のリリースは決まっていなかったものの…?
――(インタビュー公開時には)「the 1st」の発売からおよそ1年になります。発売前にはさまざまな不安もあったと思いますが、発売当時やNintendo Switch Online「いっせいトライアル」配信など、節目ごとの盛り上がりも含めた反響についてお聞かせください。
近藤:ゲームの仕上がり自体は、これまでに培ってきたスタッフのセンスや技術を活用して、「空の軌跡」を「界の軌跡」の延長線上にあるシステムとして、より初心者にも分かりやすい内容になりました。
どう受け取られるかについては、決して悪いものではないだろうと思っていたのですが、予想以上に皆さんに喜んでいただいた印象があります。発売当時は「まあまあ、こんなものかな」と思っていたのですが、その後も口コミやゲーム内容の評判を聞いて手に取っていただく方が多く、他の弊社タイトルと比べてもリピートが長く続いています。オリジナル版(「英雄伝説 空の軌跡 FC」)と同じような売れ方をしていますね。
――ゲームとしての出来という意味でも、ユーザーの目線から見て納得感のあるヒットだと思います。リピートが続いている状況も含め、ヒットのハードルが高い今の時代に「the 1st」がロングランできている要因を、どのようにお考えですか。
近藤:皆さんの反応を見ていると、リメイクではあるのですが、ほぼ新作のような作り方をしていて、なおかつオリジナルのイメージを崩していない点を支持していただいている気がします。新規の方にとっては初見なので関係ないかもしれませんが、新作と変わらない規模のリソースで制作していますので、初めて手に取っていただいた方にも楽しんでいただけたのかなと。
長年続いてきたシリーズなので、タイトルは聞いたことがあって、なんとなく気になっていたけれど、「もう何作目なの」と、なかなか途中から手を出せずにいた方たちも参加できる。そうした方々をコアターゲットにして、少しずつ広がっている手応えがあります。

――オリジナルを遊んできた長年の「軌跡」ファンからしても、JRPGとして入りやすい作品だと思います。
近藤:JRPGが少しずつ元気を無くしてきたこともあり、最初からNintendo Switch対応を考えていたので、初めてRPGを手に取るような方でも遊べるようにという点は気を遣っています。僕が口酸っぱく言ったのは、難易度と最初のチュートリアルだけなんです。オリジナルは僕が作ったんですが、テキスト量が多すぎるんですよね。とにかくシンプルに分かりやすくしてくれと。作った本人が言うのもなんですけれど、原作は分かりにくかったので(笑)。
――「the 1st」発売の1年後に「the 2nd」をリリースというビジョンは、当初からあったのでしょうか? 開発面と「the 1st」のヒットという土台を販売面でどう活かすかという意識についてもお聞かせください。
近藤:「the 1st」をリリースした時点では、次に「the 2nd」を持ってこようとは決めていませんでした。ファルコムは1年後まできちんと決めているわけではなく、流れや空気を見て判断する会社なんです。
正直なところ、「界の軌跡」の続編も並行して作っていて、「the 2nd」とどちらを先にリリースするかの判断は難しかったです。「界の軌跡」についてはお待たせしすぎていますし、一方で「the 1st」で良い流れができているので、この機会を失いたくないという方針もありました。
また、「the 1st」はリリースの数ヶ月前にマスターアップしてスタッフの手が空き始めたのですが、「the 2nd」をやりたいと言って、スタッフたちが自主的に作業を始めていたんです。
――リリースするかは決まっていなかったけれど、スタッフたちは取り組んでいたと……。
近藤:「やるでしょ」という感じで動き始めていたんですね。「the 2nd」から登場するキャラクターのモデリングを始めたり、「the 2nd」で実装予定の機能を「the 1st」のパッチに入れたり。本当に難しい判断でしたが、良い流れがあったので、そのまま「the 2nd」をやろうと決めました。オリジナルの時にお客さんをFCからSCまで待たせてしまったこともありますし……。
ただ、今度は「界の軌跡」を待たせてしまうので、非常に後ろめたさはありました。それでも、どちらかを選ばないといけなかったので、最終的な選択として「the 2nd」を先に進め、一方で「界の軌跡」の続編を確実にリリースできるよう、水面下では準備を引き続き行う二正面作戦で進めています。

前作で気づきを得た演出表現は「the 2nd」でも
――ここからは主にゲーム内容についてお聞きします。オリジナル版である「SC」でも1作目から2作目でのシステムの改修や追加が印象的でしたが、「the 2nd」ではオリジナル版の追加要素のエッセンスと、リメイク作としての前作からのバージョンアップのバランスをどのように考えられましたか?
近藤:基本的に、ストーリーなど評価の高い部分はいじらず、ゲームプレイで煩雑だったりストレスになったりする部分は徹底的に直すのが基本方針です。そのため、戦闘や移動は大きく見直していて、むしろオリジナルとは違うものにしています。逆にストーリーはほとんどいじらず、どちらかというと「足りなかったのではないか」という箇所を補強する形にしています。
演出面は若手が頑張ってくれていまして、僕は口出しをしていないんです。「界の軌跡」までに培ってきたカットシーンや、戦闘のさまざまなカットイン、クラフト演出といった要素は、担当者レベルで「好きにやっていいよ」と任せていて、いかんなく力を発揮してくれました。
――「the 1st」から「the 2nd」の間だけでも、新しいクラフトなどが追加されましたが、カットインの入り方や演出のさせ方などもスタイリッシュになっていました。それは自由にやっていいという方針が活きているのでしょうか?
近藤:「the 1st」の時点で自由にやっていいと言っていましたし、オリジナルのスタッフにはなるべく口出しをするなとも言いました。これがいい方向に出るか悪い方向に出るかは僕も分からなかったのですが、とにかく動いてもらって見守ろうと思っていました。
社内を歩いていると開発中の画面がちらちらと目に入るんですが、かなり力が入っているなと感じました。エステルのモデルが先に上がってきた時点ですでに手応えがありましたし、最初にロレントの街をサンプルとして作り、エステルがその中を歩けるモックも作ったんです。この時点で期待できるものになっていると感じていました。
ぱっと見た時に「懐かしいけれど新しい」という印象があって、その時に感じたものが、そのまま「the 1st」全体のコンセプトになったと思います。今回は本当にデザイナーたちが頑張ってくれましたよね。
――その流れは、「the 2nd」でも続いていると。
近藤:そうですね。あとは若いスタッフが「空の軌跡」をやりたかったという社内の雰囲気があって、「そこまでやるんだ」と思うぐらいの熱気で、各自動いてくれていました。「空の軌跡」の原作はドットのキャラクターだったので、「アニメになっていたらこうなる」というものが若手から自然に上がってきたんです。
演出も今までの「軌跡」と比べるとコミカルで、少しギャグっぽいタッチで描かれていますが、最初に「どこまでやっていいですか」と質問されたんです。ギャグはアリかナシかという話になって、「大いにアリでいい」と僕はそれしか言っていないんです。そしたらエステルが結構表情豊かな感じで描かれて、マンガっぽい表現もありますが、逆に「界の軌跡」が大人っぽいイメージだったのに対して、いいメリハリになったんじゃないかと思います。

――そうした作り方だったからかは分かりませんが、結果的にJRPGとしての差別化にもなっていると感じます。カットの入れ方やマンガチックな演出、今回でいえば攻撃料理のような演出などは、海外のRPGとはアプローチが違いますよね。昔のJRPGにあった少しふざける感覚のエッセンスとうまくブレンドされている印象があります。
近藤:「ファイナルファンタジー」も昔はコミカルだったじゃないですか。あれを自分たちなりにやるとこうなる、と。スクウェア・エニックスさんはしっかりとした厚みのあるビジュアルに向かいましましたが、僕らはなんとなくそうじゃないだろうという感覚がありまして。実写に近いようなものは非常にコストが高いので、僕らが太刀打ちできる分野ではないんです。それに対して僕らは何で戦うのかとなった時に、僕らのセンスの根底にあるのがマンガだったりアニメだったりしますので、思いつきやすいし実行しやすいんです。
エステルのデザイン一つ取っても、今だともっとスタイリッシュなものが最初から出てくると思うんですけれど、20年前のザ・ファンタジーのJRPGという原作デザインを等身のポリゴンで描くことは、僕らもこれまでやっていなかったので「懐かしいけれど新鮮」という感覚にたどり着いたんですよね。なんとなくそうなるだろうと思いつつも、やってみたら思った以上の仕上がりだと自分たちでも思った瞬間がありました。実際にお客さんに届くまでは、ずっと不安でしたけれどね。
Nintendo Directで発表された際にも、実際の画面を見て「技術が向上している」と言われたんです。ただ、使っている技術は「界の軌跡」までの技術とほぼ変わっていなくて、ともすればキャラクターはSwitchに合わせてポリゴン数を落としているんです。どちらかというとスペックダウンしているのに、そういうふうに受け取られた。僕らの見せ方が間違っていたとは言いませんが、違うやり方もあったんじゃないかという手応えがありました。ゲームエンジンが変わったのではないかとも思われたのですが、「界の軌跡」までの技術をスライドさせて出来上がっているので、それは僕らとしてもちょっとした発見というか、「the 1st」を作ってよかった理由の一つになっています。

開発チームのノーマルは“アドバンスド”、アーツや料理の活用にも重点
――今回のバトルの新規要素として、「ブレイブラッシュ」と「レギオンブースト」が実装されましたが、どういう流れで実装されたのでしょうか。
近藤:「the 1st」は基本的に、エステルとヨシュアのコンビネーションをコマンドに落とし込んでいます。状況によってはシェラザードが入ってきたり、オリビエが入ったりしますが、物語が進むと入れ替わって、メイン二人だけの時間が長いゲームだったんです。それに対して「the 2nd」は最初からフルメンバーが揃っていて、集団で戦っていくゲームです。その変化に合わせてキャラクターをうまく使っていく上で、「ブレイブラッシュ」のような全体攻撃があるといいよね、という点から着想を得て実装されています。

一方で敵についても、「the 1st」よりさまざまなことをやりたいという意見がチームから出ていました。フィールド上のアクションも、「界の軌跡」ではさまざまな要素を取り入れてきたので、「the 2nd」では「the 1st」を経たからこそ、もう少し複雑にしてもいいのではないかと考えました。「the 1st」は初心者の方を意識してシンプルにするために、多くの要素を省きましたが、今回は少し戻しています。
また、「the 2nd」から結社《身喰らう蛇》という敵が本格的に登場しますが、彼らの強さをどう伝えるかはオリジナル版でも苦労して、当時は「レーヴェが弱い」と言われたんです。シナリオ上ではあれだけ強敵として描いているのに、こんなに弱いわけがないだろうと。そこで後からレーヴェを強化するパッチを出したのですが、当時は“剣帝パッチ”と呼ばれていました。そういった経緯があったので、今回は最初から執行者たちの強さが伝わるシステムがあった方がいいよね、ということで「レギオンブースト」を実装しました。

――今回も「the 1st」と同じく分かりやすい一方、しっかり歯応えがありました。
近藤:難易度については、実は現状よりもっと難しく仕上がっていたので、チームと喧嘩をしました(笑)。ノーマルモードの難易度の付け方が、特定のアーツを組んでいるだけで格差が出てしまうもので、人によっては理不尽に感じるぐらいの難易度だったんです。チーム側としては、ハードには挑まないけれどノーマルに挑んで「簡単すぎる」と言っている人たちに対抗したかったみたいで、ギリギリまで揉めました。
結果としてノーマルとハードの間にできた“アドバンスド”が開発チームが元々主張していたノーマルなんです。ただ、「the 1st」から始めた初心者の方や、「軌跡」シリーズの初心者の方が「the 2nd」に移行して、スムーズに遊べるのは「the 2nd」のノーマルです。1週間後に体験版を作らなければいけないギリギリまで揉めていたのですが、そこで話し合った結果、レーヴェのクラフトが増えるなどの恩恵もありました。

――歯応えのある難易度を楽しみたい人は、アドバンスドから始めるのが良いのでしょうか。
近藤:「軌跡」シリーズ経験者で、「the 1st」のノーマルでは物足りないけれど、ハードをやるほど度胸がない方はアドバンスドを選んでいただければと思います。「the 2nd」でアドバンスド以上をプレイする際にはアーツが明暗を分けるので、アーツをきちんと組めるようなオーブメントのセッティングをしてほしいと伝えたいです。
――バトルとして前作もスピード感のあるバトルでしたが、今回はクイックバトルをプレイしている時も、攻撃が単調にならず一気にさまざまな攻撃を繰り出せて、よりスピード感を感じました。テンポやスピードのバランスは、どのようなやり取りを経て今の形になったのでしょうか。
近藤:「the 1st」でも、普段「軌跡」で課題になる戦闘のスピーディーさはクリアできていたと思いますが、スタッフがずっとプレイしていると、フィールド上のクイックバトルが単純に見えてくるんです。それなら長時間プレイするプレイヤーも似たような印象を受ける人がいるだろうと、クイックバトルで敵が複雑な攻撃をしてくると良いのではないかと考えました。そこで、クイックバトルでもクラフト的なものを敵が使ってきたり、ものすごいスピードで縦横無尽に画面を走り回るような敵がいたりと、敵の行動パターンを増やしています。
――エステルとヨシュア以外のキャラクターも、クイックバトルで2種類のクラフトを使えるようになっていますよね。
近藤:「界の軌跡」ではフィールド上のバトルでアーツが撃てるのですが、「the 1st」にはそれがありませんでした。アーツを撃てない仕様も、初心者向けということを意識した結果です。言わば「the 2nd」のバトルは、「界の軌跡」と「the 1st」の中間ぐらいになると思います。

――個人的に、今まで自分が使わなすぎただけかもしれませんが、料理を活用する選択肢を取りやすくなったと感じました。攻撃料理も威力が高く、積極的に使った方がいいと感じるレベルですね。
近藤:「the 2nd」は、料理とアーツをある程度使うことを前提としたバトルバランスになっています。もちろんノーマル程度の難易度であれば、ゲームに慣れている方ならそのまま進められるのですが、料理とアーツを使うことで、より楽しめるバトルになっています。これまでは、そうした要素を使わなくてもサクサク遊べる形にしていましたが、今回はチームがこだわって調整しています。
――今までは、レシピを手に入れて、材料を集めて、調理できるようになるというサイクルは分かっていても、アチーブメント的な作業として行っていました。今回は恩恵も大きく、料理の比重が高い印象です。
近藤:料理ごとにさまざまなビジュアルが用意されていることも理由かもしれません。今回、チームのメンバーがデバッグしている時に言っていたのが、「戦闘を飛ばせるのに、つい見ちゃう」ということだったんです。攻撃料理もキャラクターに使用させると凝った演出が展開されるので、料理へのモチベーションになると思います。

釣りやビューワーモード実装のコンセプトや経緯
――釣りはオリジナルの「空の軌跡 FC」から「空の軌跡 SC」に移行する際に実装された要素の一つだと思います。やり込み要素である一方、難しさや手間を感じる部分でもあります。そうしたバランスを取るうえで、仕様や実装についてどのようなコンセプトや議論がありましたか。
近藤:ほぼチームに任せていましたが、今回はリベール王国を何度も巡るので、釣りは相性がいいと思っています。同じ場所を何度も巡ることになるので、収集要素やマッピングのモチベーションにつながればいいなと。釣り自体はあまり複雑にしない方がいいと思っていたら、チームも同じ考えだったようで、比較的シンプルなものになっています。「界の軌跡」はゲーム性の高い釣りになっていますが、今回はリベールを後半にかけて巡っていくゲームです。その過程で「ついでにちょっと釣っておくか」と気軽にできるものになっていたので、特に議論することもなく「これでいいんじゃない」という形でした。
――どの餌で何が釣れるかも分かりやすくなっていますね。餌もさまざまな場所を巡って手に入れる仕組みで、購入するシステムではなくなっています。
近藤:ストーリーに必要なことだけを追っていると餌が全然ないんです。「どこへ行けば手に入るんだ」と思ったら、別の地方だったり、今いる場所とは違う場所だったりします。オリジナルの「空の軌跡 SC」では本当に歩かないといけなかったので大変でしたが、今回はマップジャンプがありますので(笑)。

――あとはビューワー機能についてもお聞きしたいです。実装に至った経緯があれば教えてください。
近藤:元々、いろいろな場所に配置してキャラクターのモーションをチェックするデバッグモードがあり、それをみんなに楽しんでもらうという流れだったと思います。「the 1st」を作った時は完成させるだけで精一杯だったので、そこまで考えが及びませんでしたが、「the 2nd」で追加要素が欲しいとなった時に、チームから出てきたアイデアです。実際にやってみると、気が付けば1時間、2時間とずっといじってしまうんです。ゲームの進行に合わせて使えるキャラクターやマップも増えていきますし、メインのパーティーキャラクターだけでなく、NPCや敵のモンスターも配置できます。これまでのファルコムのゲームには、多分なかったものだと思います。
――発売されたらニーズがありそうですよね。公式で「スクリーンショットを撮ってください」と呼びかけたら面白そうです。
近藤:イベント性もありますよね。ユーザーがSNSで自慢したりするものがあったら良いのですが、僕らはオンラインゲームをあまり作らないですし、ソロゲームなので、ゲーム本編の内容をなかなか共有できませんから。
――皆さん自由に遊ばれると思うので楽しみです。
近藤:多分、僕らが思いつかないようなことをやってくれて、力作や面白い作品が出てくるんじゃないかと思います。今までもビューワー機能の案はあったのですが、実装しなかった理由は、元々デバッグモードなのでバグが出やすく、バグをなくしてきちんとした形に仕上げるのが大変だったからです。

“暗視ゴーグル”がアタッチメントになるなど細かなギミックも健在
――先ほどストーリーは基本的にオリジナルの形で、あまり変えないというお話をされましたが、意図的に表現を変える部分もあると思います。例えばオープニング映像はオリジナルをフィーチャーしながら、より作品全体の流れに合わせた作りになっています。ネタバレにならない程度で、仕掛けとして意図的に変化を狙っている部分があればお聞きしたいです。
近藤:古く、コンプライアンス的に難しい部分にはある程度メスを入れていますし、当時はドットによる演技だったため、ユーザーの想像に委ねていた部分が大きかったですよね。例えば(「the 1st」で)エステルとヨシュアが初めて出会った時、エステルが怪我をしているヨシュアにドロップキックを入れるシーンがありますが、「空の軌跡 FC」ではエステルがぴょんぴょん飛び跳ねてヨシュアを踏みつけ、元の位置に戻るという動きをループで繰り返す演出でした。
あの場面も実際にはそこまでしていないとユーザーも作り手も分かっていますし、3Dで表現すると残酷なシーンになってしまいます。そこでどこまで3Dの画面やアニメーションに落とし込みながら、オリジナルのコミカルさや面白さ、ユーザーが想像で補っていた部分を損なわずに映像として見せられるかに気を遣って、アニメーションチームが一生懸命取り組んでくれました。あとは「the 2nd」体験版の範囲に入っているハーメルも、元々原作では墓の部分しか描かれておらず、手前のエリアはレイアウトを切っていましたね。

――シリーズが長く続いてきたからこそ、後の作品で描かれた内容を踏まえて補完できる部分もありますよね。
近藤:映像だけではなく、シナリオにも同じことが言えますね。後半ではパーティーメンバーの編成によって執行者たちのセリフが変わります。原作にはなかったディテールもありますし、追加されたセリフには、最新のシリーズまで追っていると「あの時に言っていたことかな」と気付けるものもあります。
――メンバーを吟味して臨みたくなりますね。
近藤:《執行者》たちも、僕らがオリジナル版を作った時にはあのメンバーが全てでしたが、その後さまざまなキャラクターが登場し、関係性も複雑になっていますので、今回はそうした変化もある程度反映した会話になっています。
――体験版で触れられる範囲では、ストーリーで使用する暗視ゴーグルがアタッチメントになっていました。原作はアクセサリー枠を使って装備する仕様だったので、今回はどうなるのかなと思っていましたが、結果的にすごく面白かったです。
近藤:僕はオミットするのかなと思っていたのですが、現場のアイデアでアタッチメントとして実装されました。明るい場所に出るとちゃんとゴーグルを上げているので、細かいですよね。
――自分はそのまま先まで進んでしまって、イベントの場面でもずっと付けていました(笑)。
近藤:「the 1st」の時もそうでしたが、「そういえば、ああいう要素があったけどどうするんだろう」と思うものは、結構そのままだと思ってもらって間違いないかなと思います。

――改めてプレイしてみると、「空の軌跡」はギミックが細かいなと思います。
近藤:そうなんですよね。昔のRPGはバリアやダメージ床など、フィールド上にいろいろなギミックがあったじゃないですか。最近はそういうものも少なくなりましたけど、「空の軌跡 SC」にあったものは残しつつ、形を変えて今風にしています。僕らも「こういうことをしていたのに忘れていたよね」というものがありました。
「the 3rd」のリメイクの可能性や「界の軌跡」の続編の制作状況は?
――言えることはあまりないかもしれませんが、「the 2nd」までリメイクしたら「the 3rd」は……と考えてしまいます。リメイクでタイトルを「the 1st」「the 2nd」にした以上、「空の軌跡 the 3rd」のタイトルをどうするのかという話もありますが、続編については考えていますか?
近藤:「空の軌跡 the 3rd」のリメイク名はどうするの? というのは、リメイクシリーズが始まった時から言われています。ガンホー・オンライン・エンターテイメントアメリカさんは、それを考慮して最初から「Trails in the Sky 1st Chapter」というタイトルにしていますし(笑)。
やはり「the 3rd」に期待していただいているのは嬉しいですし、「the 1st」からシリーズに入ってくださったお客様も多いので、新作としてお応えしたいという気持ちはあります。リメイクは放っておくとスタッフが動き始めてしまいますが、「ちょっと待って」と言っています。ただ、先ほども言ったように「界の軌跡」を一回止めてしまっているので、両方やらないといけないのが悩みではあるんですけれど、両方やれるといいですよね。
そもそもなぜ「空の軌跡」のリメイクを始めたのかという理由の一つとして、「界の軌跡」はシリーズのクライマックスの一部に当たるわけなんですけれど、そこを経て最終的な完結に向かっていくことは既定路線なんです。そこでシリーズが気になる方や卒業したユーザーの方たちが、シリーズに参戦できるきっかけが少しでも欲しいよね、ということで「空の軌跡」のリメイクを挟みました。一方で「界の軌跡」はラストで、「空の軌跡 FC」みたいな終わり方をしているので、僕らも早めにきちんとけりを付けないといけないと思っています。
――「界の軌跡」の続編は、今どういった状況ですか。
近藤:もう結末までストーリーは全部決まっており、すでにシナリオも上がっています。「界の軌跡」続編と「空の軌跡 the 3rd」のリメイクをどちらを先にするかは、社内でも結構意見が割れているんですけれど、もう自分の中ではどうするか決めているので、近いうちに発表させていただきます。やはりユーザーのことを考えると、一回「界の軌跡」をきちんと終わらせてから次に行こうとは思っています。実は「空の軌跡 FC」から「空の軌跡 SC」までの期間より空いてしまっていますので。

――最後にゲームをプレイされる皆さんに向けてメッセージをいただければと思います。
近藤:「the 1st」を経てお客さんからの意見もいただいて、スタッフがモチベーションの高い状態で、「the 2nd」をお届けすることができそうです。内容的にはかなりのボリュームになっており、普通にプレイするとオリジナルより時間がかかる内容にはなっているんですが、特に物語の後半部分やバトルなど、盛り上がりを見せる場面が多いのでぜひプレイしていただいて最後までクリアしていただければ、きっと満足いただける内容になっているんじゃないかなと思います。
「the 1st」を手に取っていただいた方には、ぜひ本当に最後までプレイしてほしいですし、興味を持っていただいたけれどまだ「the 1st」をやっていないという方は、ぜひ「the 1st」から遊んでほしいです。これに関してはプレイしていただければ今からでも全然追いつけますし、むしろ続けてプレイするとオリジナルの発売時と違って、もやもやしないで済みます。なので「軌跡」シリーズに興味がある方、「軌跡」シリーズをずっと追ってきてくださった皆さん、ぜひ「the 2nd」をプレイしていただいて、最後、エステルたちの結末を見届けていただければなと思います。
――ありがとうございます。
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※画面は開発中のものです。
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