Donutsが、2020年3月31日に発売するSteam向けVR用ステルスアクションFPS「XENOCIDERS -捕食者の星-」。リリースに先駆けて、メディア向けの体験会が実施された。本稿では、そのプレイインプレッションをお届けする。
「XENOCIDERS -捕食者の星-」は、スペースシャトルの故障で不時着した惑星イカサで、唯一生き残ったプレイヤーが、星からの脱出を目指す……というのが目的のゲームだ。しかし、ジャングルのような未開の土地であるこの惑星には、凶暴な恐竜型エイリアンが生息している。ときには身をひそめて彼らから隠れ、ときには武器で戦っていきながら生き延びていくことになるのだ。
先ほども少し触れたが、本作はVR専用の作品である。今回の体験会では、VRゴーグルのOculus Rift Sを装着してプレイすることができた。ゴーグルを装着し、両手にコントローラーを握った状態でゲームは開始する。
基本的な操作方法だが、左スティックで移動し、右スティックで視点を45度単位で切り替えていくことができるようになっている。
スタート地点の近くには、ゲームの基本的な情報が学べるようにインフォメーションが書かれたボードがいくつか表示されていた。そこから少し先に進むと武器がふたつ用意されており、それらを拾ってから冒険に出かけていくことになるのだ。
ちなみに筆者はいきなりやらかしてしまったのだが、本作では武器はしっかり握った状態にするか装備位置にしまっておく必要がある。そのことを知らずにうっかりと手を離した状態でマップ上を移動していたため、いつの間にか武器を無くしてしまっていた。
素手ではなにもできないため、仕方なくスタート地点に戻り再び武器を入手するところから始めることになってしまったのだ。敵と遭遇したときも、ゲームに慣れないうちはいつのまにか手を離して武器をなくしてしまうことがある。そうしたちょっとした凡ミスが、生死を分けることになるのだ。
チームワークでプレイヤーに襲いかかってくる恐竜たち
今回の体験会で筆者が出会ったのは、ゼノサウルスと呼ばれる小型の恐竜だ。本作では恐竜たちのAIにも力が入れられており、彼らはチームワークでプレイヤーに襲いかかってくる。イメージとしては、映画「ジュラシック・パーク」に登場するラプトルに近いと言えばわかりやすいだろうか。
このゼノサウルスに何度かやられてしまったのだが、彼らはこの星の中ではいわば雑魚のような部類にあたる。さらに強力な種類や、Tレックスのような凶暴な敵とも出会うことになるという。
恐竜と出会ったときは、必ずしも銃で戦うというのは賢い選択とは言えない。理由は、弾丸の数には限りがあるからだ。右スティックを押し込むと、ステルスモードに切り替えることができるので、そちらで恐竜たちをやり過ごしながら先に進んだり、最悪見つかった場合は左スティックを押し込んでダッシュで逃げたほうがいいのである。
左手側には、体力とスタミナを表すメーターが表示されている。ダッシュで走っているとどんどんスタミナ減っていくが、どれぐらい残っているか確認できるようになっている。スタミナ自体は、止まることで回復することが可能だ。
恐竜たちを見つけたときは、マーキングをしておくことで彼らの場所が常に把握できるようになる。見失って急に襲われることがないように、細心の注意を払うようにしたい。
施設では新たな武器も入手可能に
手のあたりにはコンパスのようなものが表示されているが、そちらを人差し指で押し込むことでマップが表示できるようになっている。マップ上には、現在位置のほか昔の住人が作った基地など施設の場所が表示されている。まずはそれらのうちの好きな場所を選んで、向かうことになる。
マップを表示しているときに、人差し指でポイントを押すことで地図上にマーカーを付けておくことができる。どこかに移動する場合は、まずは向かう方向を見失わないようにチェックしておくようにするといいだろう。
プレイヤーが制圧していない基地には、タレットが設置されている。タレットからはレーザーが出ており、そちらに触れると攻撃されてしまうのだ。こうした施設のどこかには、解除用のスイッチが用意されている。スイッチはレバー式になっており、掴んで下げることで解除ができるという仕組みになっているのだ。
制圧後はタレットから攻撃されず、近づいてきた恐竜だけを攻撃してくれるようになる。これを活用して、敵をおびき出してタレットに攻撃させるという使い方もできる。しかし、場所によっては恐竜の体力も増えタレットも突破してくるようになるので過信してしまうのは危険だ。
基地の中には、自動販売機が設置されている。あちらこちらに映えている植物を銃で撃ったり、あるいは恐竜を倒したりすると素材を入手することができ、これらをポイントとして貯めていくことで、それに応じて新たな武器をこの自動販売機で購入できるという仕組みだ。
購入できるアイテムは20種類あり、ポイントが足りない場合でもナイフだけは無料で手に入れることが可能だ。購入した武器は、3Dプリンターでその場で生成され、入手することができる。
基地内には、ほかにも体力を回復する機能も用意されている。また、制圧した施設はマップを表示してクリックすることでファストトラベルすることもできる。本作はオートセーブとなっているのだが、どこかで死んでしまったときは、こうした基地で復活することができるのだ。
まずは各地に点在しているこうした施設を制圧していきながら、最終的に軌道エレベーターから脱出することを目指していくのである。
Unreal Engineのエキスパートがわずか半年で開発
Donutsとしては、本作は3作目のVRコンテンツとなる。これまではパズルゲームのような作品をリリースしてきたが、マーケティングとこれまでの知見を活用することで、このようなVRステルスアクションFPSを制作することになったそうだ。
通常、こうしたゲームの開発には2~3年掛かるといわれているが、本作はわずか半年間で開発されている。それを実現したのが、Unreal Engineだ。
開発メンバーのひとりであるダネールス・セドリック氏は、Unreal Engineのエキスパートでもある。以前、Unrealのプログラムコンテストで賞を取ったほか、プレイヤーとしても活動していたことがあった。そうした経験が、本作の開発にも活かされているのである。
ゲーム内では24分で1日が経過する。時間の経過に合わせて朝から昼に、そして星空が見える夜になっていくほか、天候も刻一刻と変わっていく。当然のことながら夜は当たりも見えにくくなるため、よりサバイバル感も増すのだ。夜空に浮かぶ大量の星に思わず見とれてしまったのだが、こうした美しい風景が表現できるところもUnreal Engineの採用した理由だという。
VRゲームというと、どうしてもつきものになるのが「VR酔い」の問題だ。本作では、酔いやすい人のために、設定で視野角を90度に狭めることができるようにしている。どうしても目の外側の映像が流れて見えると、それが原因でVR酔いを起こしてしまうことがあるからだ。
どちらかというと、VRゲーム初心者よりもコアなユーザー向けに作られているそうだが、ある程度の配慮はされている形だ。ちなみに開発で難しかった部分は、90FPSが出せるように調整するところだったという。通常のゲームではあまり問題にならないかもしれないが、VRではFPSが低いとどうしても酔いやすくなってしまうからだ。
以前、本作をフェイスブックに見せにいったところ、背景の描画の滑らかさにかなり驚かれたそうだ。たしかに通常のオープンワールドのゲームのように滑らかにあたりを見渡すことができ、プレイ前に心配したVR酔いもまったく感じることがなかったぐらいに快適であった。
ハードコアよりだがドキドキ感は最高!
武器は片手だけではなく、両手に持つこともできる。たとえば、左手側にスタンガンを持ち、もう片方で銃やナイフを装備することも可能だ。スタンガンを恐竜に撃ち込むと動けなくなるので、その間にもう片方の手で攻撃を加えて倒すということもできるそうだが……これが、慣れないうちはなかなか難しい。
弾丸が切れてしまったときは自動ではリロードされず、お腹のあたりにある弾丸を取り出して銃に装着。銃の左側に付けられたレバーを引いて行うという、一連の動作が必要になる。こうした凝ったギミックもそうだが、銃をぶっ放す爽快感よりも、どちらかというとリアルなハードコアよりのゲーム性に重点をおかれて作られているのだ。
そのため、ゲームのキャッチコピーに「喰われに来い。」という文言が書かれているが、プレイヤーが恐竜を狩りに行くというよりも、逆に狩られてしまうこともある。そのドキドキ感が絶妙なバランスとなっているのだ。
VRゲームで、こうした本格的なサバイバル系のゲームはあまり見かけないため、もし自宅にVRなどの環境が揃っているならばぜひ体験してみて欲しい作品である。