「これぞ!」という女性向けコンテンツについて語っていく連載企画「おとめげ!」。第19回ではNintendo Switch用ソフト「遙かなる時空の中で7」についてお届けします!

目次
  1. 「遙かなる時空の中で7」ここがポイント!
  2. 「遙かなる時空(とき)の中で」とは?
  3. 戦国の歴史を感じる重厚なストーリーを体験
  4. 譲れない信念を抱えた8人をチェック!

「おとめげ!」は、イケメンと可愛い女の子をこよなく愛するライターが、さまざまな乙女コンテンツをご紹介する連載企画です。今回はコーエーテクモゲームスから2020年6月18日に発売された「遙かなる時空の中で7」についてお届けします!

「遙かなる時空の中で7」ここがポイント!

  • シリーズに連綿と受け継がれてきた壮大な歴史ファンタジー
  • 戦いに身を投じた武将たちの生き様を、真正面から真摯に描いた展開
  • じっくり丁寧に紡がれていく主人公とキャラクターの心の触れ合い

「遙かなる時空(とき)の中で」とは?

「アンジェリーク」「金色のコルダ」「ネオ アンジェリーク」「下天の華」など、コーエーテクモゲームスが手掛ける女性向け恋愛ゲーム「ネオロマンス」シリーズの1つ。「龍神の神子」に選ばれた主人公が「八葉」と呼ばれる男性たちと力を合わせ、平和のために戦う和風恋愛ファンタジーとなる。

ネオロマンス25周年記念作品第1弾として登場した「遙かなる時空の中で7」は「戦国時代」をベースとし、主要キャストは寺島拓篤さん(真田幸村役)、鈴村健一さん(天野五月役)、阿部 敦さん(宮本武蔵役)、岡本信彦さん(佐々木大和役)、立花慎之介さん(黒田長政役)、竹本英史さん(直江兼続役)、四反田マイケルさん(阿国役)、安元洋貴さん(柳生宗矩役)が前作に引き続き担当。各タイトルはそれぞれで独立したストーリーを描いているので、シリーズファンはもちろん、これまでプレイしたことがなくても楽しめる。

戦国の歴史を感じる重厚なストーリーを体験

本作の主人公は、神社の娘として育った現代の女子高生。しかしある日、帰り道に怨霊が現れ、時を同じくして真田幸村と名乗る青年と出会います。さらに次々と現れる甲冑姿の男性たちが戦国時代によく似た異世界の存在であることが分かり、怨霊を封印する力に目覚めた主人公は事態を解決すべく異世界へと旅立ちます。

辿り着いた先は1599年、豊臣秀吉が亡くなった翌年というタイミングでした。現代の歴史では、ここから豊臣の政権下で力を持っていた五大老のひとり、徳川家康が秀吉の遺言を反故にするような行動を取り、秀吉に取り立てられていた石田三成が襲撃される事件、五大老である上杉景勝の家老・直江兼続が家康を激怒させたという「直江状」などを経て巻き起こった天下を二分する戦い「関ヶ原の戦い」へと繋がっていきます。この時点では怨霊の脅威こそあれ表向きでは平穏が保たれているものの、いずれ戦いは避けられない空気がひしひしと伝わってきます。

怨霊を払う力を持つ主人公は穢れを浄化し、異世界の人々を救う存在だと期待されていきます。さらに主人公はそもそも異世界の生まれで、“織田信長の娘”という衝撃の事実も判明。かつて主人公に何が起きたのか、異世界で何が起こっているのか……さまざまな事実を受け止めつつ、怨霊にまつわるさまざまな事件を解決していきます。

そんな主人公を助けてくれるのが、神子を守護する「八葉」と呼ばれる8人。本来は助け合うべき仲間のはずですが、それぞれに事情があるため怨霊を倒して人々を守るという点ではお互いに協力するものの、意見や立場の食い違いからバラバラに行動することもしばしば。誰の、どのような行動に同意するかによって選べる道が変化していきます。一見複雑そうですが、どのタイミングで誰のイベントが起きるのかは事前にチェックできるので、こまめなセーブと合わせれば思い通りのキャラクターとやりとりを楽しめる親切な設計ですよ。

個人的にオススメするストーリーのポイントは、史実をベースとしながら「ここぞ!」という場面で挟まれるオリジナルの展開です。主人公たちの活躍で最悪の事態が避けられたと安堵することもあれば、色々と手を回したのに結果として史実どおりとなってしまうこともあって、歴史を知っていても「こうきたか!」という驚きがあります。

そうした変化球だけでなく史実の出来事を真正面からしっかりと描いていて、彼らの生き様に涙で前が見えない場面も。「これぞ歴史ファンタジーの真骨頂!」といった感動を、とことん味わえます。主人公はそれほど歴史に詳しいタイプではありませんが、同じように現代から異世界へ向かった仲間や、その時々の状況に詳しい仲間が解説してくれるので構えずに遊べますよ。

また、本作では「龍穴」と呼ばれる場所を通じて異世界と現代を行ったり来たりするのも特徴です。主人公の家の近くのみとなりますが、異世界の武人たちが現代の文化に触れる場面も描かれます。彼らが現代の生活様式にどんな反応を見せるのか……ストーリーを進める上での楽しみの一つとなりました。さらに現代のアイテムをプレゼントして好感度を上げたり、戦の心配のない現代で八葉と会話を楽しんだりもできます。

そして、ストーリーを進める上で欠かせないのが怨霊との戦闘です。薙刀の心得がある主人公ももちろん戦闘に参加し、仲間の気力を回復する、術の発動に必要な集中力を付与する、敵の属性に合わせて仲間の配置を変更する……とやり応えもばっちり。さらに、戦闘中には八葉がセリフ付きで身を挺してかばってくれるシチュエーションも。

難易度はいつでも変更できますし、仲間が自動で術を使うおまかせ機能を使ったり、怨霊から身を隠す・呼び寄せることも可能なので、難しい操作が苦手でも安心です。主人公が倒れるとゲームオーバーになってしまうので、安全に進めたいなら仲間と主人公の気力を回復する術を持つ天野五月をメンバーにいれておきましょう。

譲れない信念を抱えた8人をチェック!

それでは、気になる各キャラクターについて紹介していきます。主人公・天野七緒(CV:高橋美佳子/名前のみ変更可/デフォルトの場合名前呼びボイスあり)は薙刀の心得があり、突然出会った怨霊にも果敢に挑む肝の据わった現代の女子高生。彼女の住む神社の近くで異世界の武人たちに出会い、やがて織田の姫としての過去や異世界について知っていくことに。怨霊との戦い、さまざまな思惑の絡む駆け引き、天下を分ける争いなど過酷な運命に巻き込まれていきますが、しっかりと立ち向かう芯の強さを備えています。

そんな彼女の可愛らしい一面を見られるのは、神子に使える「星の一族」の筒見屋つばき(CV:山村響)・あやめ(CV:佐倉薫)姉妹とのやりとり。一緒にお化粧を楽しんだり、恋の話に花を咲かせたりする場面はこちらもめちゃくちゃ笑顔になってしまいました。つばきさんは裏方のような立ち位置でとことんサポートしてくれますし、あやめちゃんは心の底から主人公を慕ってくれるので、2人との会話には本当に癒されました。

真田幸村(CV:寺島拓篤)は、史実で“日の本一の兵(つわもの)”と称賛された人物ですが、本作でもまさにヒーローと呼べる存在です。穏やかで礼儀正しく、怨霊との戦いでも獅子奮迅の働きで主人公を助けてくれます。幼い頃は人質として各地を転々とした過去があり、そんな中で出会った三成や兼続との友情、離れて暮らすことになった父や兄たち家族との絆を大切にしています。一方、家康には複雑な感情があり……。

出会った当初から怨霊を封印する力を持つ主人公に対し、とても真っ直ぐな敬意や期待をぶつけてくれる幸村。しかし、心が通じ合ってもそれで終わりとはいきません。主人公には主人公のやるべき使命があり、幸村にもたとえ誰が相手でも戦わなければいけない理由があります。幸村の個別ルートは史実を交えつつ本作ならではの「真田幸村」という人物を真摯に見つめ、とことん掘り下げた壮絶な展開に涙が止まりませんでした。個人的には8人のうち一番最後に見てほしいキャラクターです。

主人公と同じく現代の高校生・天野五月(CV:鈴村健一)は、主人公の兄としてこれまで共に生きてきました。高い霊力があり、神子に仕える星の一族でもある彼は、主人公の保護者として異世界へと旅立ちます。もともと歴史好きで戦国時代に造詣が深いものの、あまり積極的に歴史へ介入するそぶりは見せませんが、その才が開花する場面もしっかりあるのでお楽しみに!

主人公のことを大切に想っていますが、かつて家族に負い目を感じる出来事があり、それゆえ自身を卑下するような言動が時折飛び出します。五月と行動を共にする中で、彼らしい優しさや思慮深さを感じている分もどかしくなりますが、そこからどう主人公と五月の心が動いていくのかが見所。個人的には早めの攻略、とくに兼続ルートよりも前をオススメします。

宮本武蔵(CV:阿部 敦)といえば、現代では二刀流の最強剣士といったイメージが強くありますね。本作の武蔵は長政の近習(きんじゅ)を務め、彼に付き従いながら日の本一の剣豪を目指して修業を重ねています。8人の中では少し幼い印象がありますが、その分成長速度もかなりのもので、未来への期待が高まります。

主人公にもまっすぐな信頼や敬意を寄せていて、その明るさには何度も救われました。しかし彼と接するうちに、武蔵を取り巻く厳しい状況が見えてきます。心が折れてしまわないか心配になるところですが、ここで彼の本当の強さを感じられました。剣が得意な大和とは何かと絡みも多く、かみ合わないけどかみ合っている友達のような空気にもついニコニコしてしまいます。

主人公と五月の幼馴染である佐々木大和(CV:岡本信彦)は、強い霊力を持つゆえに周囲から孤立。その力をきっかけに主人公たちと知り合ったという経緯があり、2人が行くならと異世界にも同行します。現代では何かに熱中することはありませんでしたが、怨霊と戦う中で剣を手にし、そこから少しずつ世界への向き合い方が変わっていきます。

剣に対しては優れた才覚を発揮し、怨霊との戦いには非常に頼りになる大和。とはいえ、いかに技術が優れていても心がそれに付いていっていないため危うい場面も。これまで目を逸らし、関わろうとしなかった部分といかに向き合うか……大和の覚悟を見届けるようなストーリーには胸が熱くなりました。個人的には兼続ルートよりも前に進めておいたほうが、後々スッキリできると思います。

黒田如水の息子である黒田長政(CV:立花慎之介)は、一国一城の主に相応しい風格を備えた人物です。すでに多くのものを背負い、乱世の戦況を冷静に見極めているため主人公がいくら神子とはいえ簡単に付き従ってはくれません。彼に認めてもらうには、神子としての覚悟をしっかりと示す必要があります。

家康を信頼して行動しているため、三成の友人である幸村や、とくに兼続とのやり取りにはピリピリと緊張感が漂うことも。かなり皮肉屋で手厳しいように思えますが、接していくうちに長政なりの苦労や周囲を想う気持ちが見えてきます。もう何をしていても様になり、徹頭徹尾カッコイイためひたすら「カッコイイ!!」としか言えないのが困りもの。兼続ルートと前後でプレイすると、より面白さが際立つかもしれません。

長政とは違う意味で曲者の直江兼続(CV:竹本英史)は、上杉家に仕える家老です。非常にキレ者で教養も深く、弁も立つのでなかなか本心を探らせてもらえません。当初は上杉家に忠誠を誓っているため、八葉の役目については様子見といった態度を取ります。

そんな兼続に対しては、まず自分の存在価値を認めてもらうところからアプローチが始まります。彼の夢の後押しとなるものをプレゼントしたり、ピンチを切り抜ける手助けをしたりするうちに、主人公が兼続にとって必要不可欠な存在に。しかし、幸せを手に入れるにはそこから多くの試練に打ち勝たなくてはなりません。あまりのことに言葉を失う場面もありますが、最後まで見届けましょう。個人的には、ある程度ほかのキャラクターとのエンディングを迎えた後のプレイがいいと思います。

舞の名手で各地を旅する阿国(CV:四反田マイケル)は、気さくでさっぱりとした麗人です。主人公を年相応の女の子として扱ってくれますし、何かと巻き込まれがちな状況で「その一言が嬉しい!」という細やかな気遣いや優しさに胸が温かくなりました。一方、八葉に選ばれた際も辞退しようとするほど戦いにはかなり消極的。そこには阿国の過去が深く関係しています。

時間をかけて交流を重ねていくと、少しずつ阿国の抱えているものが見えてきます。容易に立ち入れる問題ではありませんが、秘密が紐解かれていくたびに支えてあげたい、力になりたいと思わずにはいられません。終盤からエンディグへ向けての展開はとても阿国らしいなと思えたので、安心して迎えられますよ。個人的には兼続ルートよりも先のクリアをオススメします。

柳生宗矩(CV:安元洋貴)は、没落した一族を復興させるため家康に仕える密偵。剣の腕前はかなりのもので、怨霊との戦いでは頼りになる一人です。寡黙で淡々と任務をこなすクールな印象ですが、無自覚に殺し文句を言ってのける一面も。ぱっと見からは想像しにくいですが意外とセクシーなシーンが多く、色々な意味でドキドキさせられました。

あまり多くを語らない宗矩ですが、一族にまつわる過去の出来事を抱えています。主人公もその因縁に否応なく関わることになり、宗矩の不器用な優しさに触れていきます。彼の選択や行動が間違っていたとは思えませんが、その結果を思うと苦しい部分もありました。大和のルートの前にプレイしておくと、後々気持ちが楽になるような気がします。

自分の好きなようにプレイするのが1番ですが、総括すると個人的なオススメ順は五月または武蔵→宗矩→大和→阿国→長政→兼続→幸村です。とくにクライマックスには攻略対象以外のキャラクターのセリフに意味の深いものが多くありますので、そのキャラクターをクリア済みかそうでないかで味わいがずいぶん変わるのが主な理由です。繰り返しになりますが、幸村は最後を強く推奨します。

このほか、幸村や兼続の友人で豊臣側の勢力の中心となる石田三成(CV:平川大輔)、織田家の当主で主人公の甥にあたる織田秀信(CV:下野 紘)をはじめ、本作を盛り上げる多彩なキャラクターが登場します。彼らの生き様も、丁寧にストーリーへ織り込まれていますよ。ニンテンドーeショップでは二章までたっぷり楽しめる体験版も配信中なので、気になったらまずこちらから楽しんでください!

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