ブシロードミュージックは、10月10日に開催した「BanG Dream!(バンドリ!)」発のボーイズバンドプロジェクトのライブ「ARGOANVIS AAside ライブ・ロワイヤル・フェス2020」の模様をオフィシャルフォトと共に公開した。
ARGONAVIS AAside ライブ・ロワイヤル・フェス2020オフィシャルレポート
「ARGONAVIS AAside ライブ・ロワイヤル・フェス2020」が10月10日(土)に東京ガーデンシアターで有観客&有料配信にて開催された。
Argonavis・GYROAXIA・Fantôme Iris・風神RIZING!・εpsilonΦの5バンドが初集結したライブは、計22曲という大ボリュームで会場にいる人だけでなく配信視聴者も虜にした。本稿ではその模様をレポートする。
このライブは感染症対策のため、声出しはNGで、ライト類と拍手のみでの応援となる。やや寂しいが、無事にライブを続けていくためには大切なことだろう。もちろん入場前の検温と消毒、事前の問診票の回答も必須だ。
しかしそれでも昨今の情勢でライブは2度延期となっており、有観客での実施は2019年12月以来となる。さらに台風の接近により実施が危ぶまれたが、進路が逸れたため無事開催することができた。
まるで台風のために「Destiny Rock festival」1日目が中止となったTVアニメの展開のようだ。祈るような気持ちで当日に臨んだファンも多いだろう。
タイトルである「ライブ・ロワイヤル・フェス」とは、2021年初春リリース予定のアプリゲーム「アルゴナビス from BanG Dream! AAside」内にて開催されるフェスのこと。
全国から選ばれた5つのアマチュアバンドが競い合い、優勝したバンドには世界進出も約束される。しかしこれに挑戦できるのはたった一度きり。二度はない。本公演はそれをリアルライブとして行うものになる。
最初に登場したのは、函館の大学生たちによる青春系ロックバンド「Argonavis(アルゴナビス)」。衣装はアプリゲームのキービジュアルそのままで、東京という新たなステージで航海をはじめる、Argonavisらしい装いだ。
一曲目は彼らの諦めない心を表したような「ゴールライン」。ここがスタートライン、と奏でる彼らの全身から「ようやくライブができた!」という喜びが伝わってくる。前田と橋本の弾ける笑顔にはこちらまで顔が綻ぶ。森嶋や日向のコーラスの声には涙さえ滲み、深い感慨が窺えた。
2曲目は「AGAIN」。全員の伸びやかなコーラスに、青く染まった会場は拍手で応えた。曲間では、メンバーはそれぞれが演じるキャラクターとして挨拶した。
結人(CV:日向大輔)「トップバッターとして盛り上げていくからな!」
航海(CV:前田誠二)「素敵な時間になるように今日は頑張ります」
凛生(CV:森嶋秀太)「俺たちにとって初めての大きなステージだ。Argonavisの音楽を最高の形で届けよう」
万浬(CV:橋本祥平)「みんなにとっても特別な夜になるように、精一杯盛り上げていくからね!」
蓮(CV:伊藤昌弘)「ライブ・ロワイヤル・フェスの熱を皆さんに届けられるよう、精一杯歌います!」
3曲目は「Starry Line」。星々の連なりのような華やかな楽曲と、圧巻のロングトーンで魅せる。間断なく続く「雨上がりの坂道」では、伊藤は八幡坂の向こうに想いを馳せるように手を伸ばした。会場のライティングも虹色に輝き、雨上がりの景色に色を添えた。
5曲目はしっとりとした森嶋のピアノ伴奏から始まる「Pray」。「早く戻ってこい」とTVアニメで万浬を想いメンバーが作った楽曲を、切ない声で歌い上げる。最後に万浬役の橋本が立ち上がり「ただいま!」と言うように仲間たちを見て、強く頷くのだった。
ステージの伊藤は「また皆さんにお会いできることを楽しみに待っています。その日は必ず一緒に歌いましょう」と未来への希望を語り、最後の演奏はTVアニメの主題歌である「星がはじまる」。
伊藤が森嶋や橋本に近づくと、彼らも笑顔を返す。日向と前田は共にお立ち台に立ち、力強いプレイを魅せた。そして伊藤は「諦める運命じゃないよね」ときっと訪れる明るい未来を歌い上げるのだった。
次に登場したのは、長崎からやってきたスカバンド「風神RIZING!(ふうじんらいじんぐ)」。元気いっぱいの神ノ島風太を演じる中島ヨシキはステージ中央に堂々と立ち「ランガンラン」からスタート。拳を振り上げ会場を鼓舞しながら、力強い歌声を響かせた。
リアルライブには初登場ながら、風太がそこにいるような迫力だ。一息ついて「すごか雨やったとね~。じゃあ次の曲行くたい!」と中島が語ると、世話焼きのツンデレ・若草あおいを演じる酒井広大がステージに駆けだしてくる。
ここで出てくる「段取り」だったという。フウライの仲の良さで会場を笑わせ、次の楽曲は「ダチフレンド」。幼馴染二人が掛け合いながらステージ上を縦横無尽に走り回る。彼らが腕を振るのに合わせ、会場もペンライトを振って応えた。
酒井は「今日はみんなの分まで声を出して盛り上げてきたけど、いつか一緒にみんなで大騒ぎできるライブを楽しみに頑張っていきます!」と語り、ラストは「バンザイRIZING!!!」。
バンザイ! のコールで盛り上がる本楽曲は、フウライの楽しさをめいっぱい楽しむことができる。背後モニターに映るMVと掛け声で、ステージにはいないメンバーもそこにいるかのように感じられるステージとなった。
次に登場したのは全員が社会人で構成されているヴィジュアル系バンド「Fantôme Iris(ファントムイリス)」だ。吸血鬼を統べる王・FELIXを演じるランズベリー・アーサーがステージに現れる。
豪奢なライブ衣装にふさわしい耽美な佇まいで、キャラクターがそのまま現実に現れたかのようだ。さらにシルバーブロンドに染められた髪は、このライブのために伸ばしたものだというから驚かされる。
仮面を纏ったバックバンドも登場し、「histoire」からスタート。腕を左右に広く伸ばしながらの切々たる美声により、一気に幽玄な世界に引き込まれた。「ようこそ、新たに盟約を交わし我が眷属となった者たちよ。この絢爛たる宴に、その赤き血の盃を掲げよ!」との宣言から、続けて「ザクロ」の歌唱。
一転して過激な曲調の中、苛烈な夜の女王・HARUはお立ち台に足をかけ脚線美を魅せ、残虐非道の申し子・ZACKもステージで暴れまわった。
「声は聞こえずとも、皆の想いはしかと聞こえている。我らFantôme Irisの旅はまだ終わらない」とランズベリー演じるFELIXは語り、ラストは「銀の百合」へ。黙する聖職者・Dは力強くドラムを叩き、怜悧な王の右腕・LIGHTは涼やかな佇まいでギターを奏でる。
ランズベリーは百合に彩られたマイクを手に力強い歌声を響かせ、キャラクターが乗り移ったかのようなライブで観衆を魅了した。
次に登場したのは、京都の中高生によるテクノポップバンド「εpsilonΦ(イプシロンファイ)」。悪魔的な天才中学生ボーカル・宇治川紫夕を演じる榊原優希は、ステージで手を掲げながら、ポップなダンスミュージック「Sake it LOVE!」を披露。
男性離れしたハイトーンで歌い上げ、可愛らしい振付けと共にピンク色の和柄扇子を振って会場を翻弄した。「なんや大層な名前のイベントやね。一緒に出てるおにーさんたちのこともよう知らんのやけど……有名な人なん? あんまりそうは見えへんね。まぁええわ。全員僕が遊んであげる」と挑発的に語り、二曲目は「Play With You」。
毒をたっぷりと含んだ楽曲を「まだまだもっと遊んで欲しい。君に飽きるまで」と歌いあげる。そしてArgonavisのボーカル・蓮のパペットを取り出してしばらく弄ぶと、やがて飽きたようにポイッと投げ捨てたのだった。「最後の最後まで、ちゃーんと僕を楽しませてや?」と語り、ラストは「光の悪魔」。
榊原は、紫夕の残酷さと壊れてしまいそうな危うさを歌い上げたのだった。楽曲中降り注いだショッキングパープルのレーザー光線はSOL(サウンドオンリーライブ)と同一のもので、あっと思った人も多いだろう。二次元と三次元が交差する、このコンテンツならでは演出となった。
そして最後に狂ったように甲高い笑い声をあげながらステージの上にくずれ落ち、闇の中に消えていった。
次に登場したのは、実力主義の絶対的王者「GYROAXIA(ジャイロアクシア)」。派手な爆発音と共に「MANIFESTO」からスタートし、一気に会場の空気は彼らのものに。
旭那由多を演じる小笠原仁は、世界を奪いに行くという台詞にふさわしい圧倒的な歌唱で会場を引き込んだ。自由に動き回り、カメラをBanG!とベースで撃ち抜く秋谷や、小笠原の傍らで役割を果たす橋本など、それぞれのプレイスタイルにも彼らが演じるキャラクターの個性が生きている。
続く二曲目は「REVOLUTION」。小笠原は縦横無尽にステージを歩き回り、会場に手を伸ばす。楽器隊も笑顔を消して真剣な音を奏でた。曲間ではリーダー里塚賢汰役の橋本がマイクを取った。
賢汰(CV:橋本真一)「何者にも侵されないGYROAXIAの音楽を存分に楽しんで欲しい」
礼音(CV:真野拓実)「このステージに立つことができて光栄です。俺たちの演奏、見逃さないでくれよな!」
涼(CV:秋谷啓斗)「客席がキラキラ光って星みたいだね。みんなが幸せになってくれたらオレは罪を償うことができる」
深幸(CV:宮内告典)「みんな楽しんでる? カッコいいとこ見せるから、俺に惚れてもいいんだぜ?」
那由多(CV:小笠原仁)「どこへ行こうとやることやることは変わらねぇ。GYROAXIAの音楽を叩きつける」
そしてダンスミュージック「GETTING HIGH」へ。縦揺れでリズムに乗る会場に、メンバーもまたダンスサウンドに身を任せる。秋谷はヘドバンのように身体を折りながら、シンセサイザーを奏でるという離れ業を見せた。
熱を帯びた小笠原はレザージャケットを脱ぎ、会場に挑みかかるように歌いかける。続く楽曲は「LIAR」。リズミカルなラップを真野も口ずさみ、秋谷は宮内のドラムに近づき笑顔を交わした。小さく飛び跳ねながら自由に動き回るところは、まるで涼そのものだ。
会場が闇に包まれる中、突如白い閃光と音圧が貫き「SCATTER」へ。世界に挑む那由多の感情を乗せ、「運命なんて握り潰してく」と小笠原は歌い上げる。連続歌唱によってやや息を荒げつつ「俺は先へ行く」と小笠原は宣言し、最後は「IGNITION」。
その伸びやかな歌声を、ギター隊が支える。橋本は正確なリードギターで、真野は安定したリズムギターで。ライブ・ロワイヤル・フェスという大舞台に確かな火の灯る一曲となった。
アンコールでは、再び全員が登場した。改めて各人の自己紹介と、久しぶりの開催となった本ライブへの想いを語った。
伊藤(七星蓮役)「このステージに一人の役者として立たせていただいたこと、感謝しています。最高のメンバーとスタッフ、ナビの皆さんと新しい未来を作っていきたいです」
日向(五稜結人役)「演奏できる幸せを噛み締めながらステージに立ちました。それを当たり前だと思わず、これからも一生懸命想いを届けていきます」
前田(的場航海役)「プロジェクトの仲間も増えてきて、皆さんのお力を感じます。このメンバーならどんな困難も乗り越えていけると思います」
森嶋(桔梗凛生役)「一曲目のゴールラインでは、皆さんの声が聞こえた気がして泣きそうになりました。そのお陰で限界を突破できました」
橋本祥平(白石万浬役)「皆さんの応援の幻聴が聞こるぐらいの最高のライブができました」
小笠原(旭那由多役)「仲のいいメンバーとライブができたことが光栄です。皆様にお会いできて嬉しかったし、頑張ろうという気持ちを頂けました」
橋本真一(里塚賢汰役)「久しぶりにお客さんがいるステージに立って、役者としての幸せを感じています」
真野(美園礼音役)「5バンドが集結して、有観客と配信でライブが行えたこと本当に嬉しいです!」
秋谷(曙 涼役)「今日が楽しみでなかなか眠れなかったんですが、5バンド揃ってライブができたこと本当に嬉しいです!」
宮内(界川深幸役)「僕たちもすごく楽しませてもらいました! ジャイロ、音楽ドーン!」
ランズベリー・アーサー(FELIX役)「一人の人間を作り上げることや、Fantôme Irisのフェスへの意気込みへのプレッシャーもありましたが、バックバンドの仲間がいたので乗り越えることができました」
中島(神ノ島風太役)「声は出せなくても力強く応援してもらえてありがたかった。長崎弁のアドリブはドキドキしました」
酒井(若草あおい役)「久しぶりに歌を披露してめちゃくちゃ緊張しましたが、一観客としてもライブを楽しむことができました」
榊原(宇治川紫夕役)「本当に楽しくライブをさせていただきました。もっともっと頑張ります!」
ラストは、アプリゲームの主題歌となる「AAside」を14人全員で熱演した。5人のボーカルによる歌唱はこれが初披露だ。それぞれのキャラクターに合わせた歌い分けとなっている。
伊藤の歌唱では爽やかに、小笠原の歌唱では激しく、ランズベリーの歌唱では妖艶に、中島の歌唱では元気に、榊原の歌唱では可愛らしく、と異なる魅力を堪能することができた。楽器隊もあまりに見どころの多い演奏で全力を出し尽くし、見事にひとつの曲を作り上げたのだった。
無事にライブを開催できたとは言え、声を出して応援できないなど本来の姿とは違っている。けれど確かに未来への希望を感じられるライブステージとなった。
本公演ではRAISE A SUILEN・GYROAXIA・燐舞曲が出演する「BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2021」の開催や、Fantôme Iris・風神RIZING!・εpsilonΦによるオムニバスアルバムのリリースなど新情報も続々解禁された。本公演のアーカイブ配信は10月13日(火)23:59までとなっている。