「Caligula -カリギュラ-」シリーズなどで知られるゲームクリエイターの山中拓也氏による、ゲームインタビュー企画「山中拓也のGamer交遊録」。第4回は声優の八代拓さんにお話を聞きました。前編では、これまであまり話したことのないゲーム遍歴や八代さんならではのサッカーゲームの遊び方について語っています。

八代拓さんプロフィール

VIMS所属
誕生日:1月6日
出身:岩手県
主な出演作品:「アイドルマスター SideM」柏木翼役、 「炎炎ノ消防隊」ヴァルカン役、「遊☆戯☆王SEVENS」ルーク役、「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」十王院カケル役など

インタビュー:山中拓也
文・構成:近藤智

ゲーム人生は小学5年生、ゲームボーイアドバンスからスタート

山中:まず、読者の方は僕たちの接点が気になるところだと思うんですけど……もともとは「Caligula -カリギュラ-」関連のイベントの時、楽屋が一緒だったんですよ。「Caligula -カリギュラ-」には八代くんと親交の深い仲村宗悟くんとか、内田雄馬くんが出演してくれていて。そこで「僕も出すといいことがありますよ!」というところから……。

八代:それは少し語弊がありますよ、ほぼほぼそうですけど(笑)。お仕事関係でお世話になっている共通の方がいらっしゃって、その方がご厚意で山中さんを紹介してくれたんです。それで、その時に「Caligula -カリギュラ-」というゲームを手掛けられた方だとか、宗悟や雄馬が出演したことを知って「じゃあ僕も!」と、厚かましいお願いを……!

山中:そんなことがあって、強烈に印象に残っている相手でした。それを機に結構仕事関係なく仲良くさせてもらっていて、顔を合わせる機会は結構あったんですよね。

これまでお呼びした方々は超ゲーム好きな方なんです。1回目の宗悟とか、2回目の田中美海ちゃんとかもTwitterでゲームの話をよくしていますし、アーティストの堀江晶太くんも僕がRPG仲間だと思っている人ですね。でも、八代くんはゲーム自体はもちろん遊ぶだろうけど、いわゆるゲーマーではないよね。

八代:そうですね、ゲーマーではないと思います。

山中:どうしてそんな八代くんを呼んだのかというと、最近スポーツゲーム、とくにサッカーゲームをすごく遊ぶという話を聞きまして。

八代:スポーツゲームはめちゃくちゃしますね!

山中:でも、あまりサッカーゲームの話をする機会ってそんなに多くないじゃないですか。そして後々触れますけど、八代くんのプレイスタイルが僕によく似ているんですよ。

八代:そうなんですよ、共感しかないんです。

山中:なので最初はゲームとの出会いに触れつつ、徐々にその辺りの深い話をしていきましょう。そもそもの話になるけど、八代くんはゲーム結構遊ぶの?

八代:ゲーム自体は好きなんですが、FPSとか色々なジャンルをやり込むタイプではないのでゲーマーというとおこがましいというか……。僕は今27歳で、少し世代はずれますけど小学生の頃は「ポケットモンスター」も流行ってましたし、身近なところにゲームはずっとありました。

山中:じゃあ、物心ついたときにスーパーファミコンとかプレイステーション、NINTENDO64とかがあったんだ。

八代:そうですね。ただ、僕の家は基本的にテレビ禁止だったんですよ。教育番組とかニュース、それもだいたい夕食の時間くらいしかダメで。あとは、父が野球観戦が好きで、僕も野球をやっていたので一緒にプロ野球を見るくらいでした。当然、ゲームなんてもってのほかだったんです。

なので、小学5年生までゲームを遊べる機会は友達の家に遊びにいったときくらいした。そこで「大乱闘スマッシュブラザーズ」とか「クラッシュ・バンディクー」を遊んでたんですが、僕は自分の家にゲームがありません。だから「八代がいれば最下位はないだろう」みたいな扱いで(笑)。だから、ゲームは憧れの存在でしたね。

山中:なるほど、子供時代はそうだったんだ。学生時代はスポーツに打ち込んだ体育会系だという印象があるけど。

八代:はい、外で遊ぶのが大好きでした。

山中:実際に自分でゲーム機やソフトを買ったのはいつ頃だったんですか?

八代:これが今話した小学5年生という部分なんですけど、ある事件が起きたんですよ。僕は1月6日が誕生日なんですが、その時は年始ということで母方の祖父母の家に遊びにいってたんです。そこで父・母・姉は初売りに行って、僕と祖父で誕生日プレゼントを買いに行くという両親の目がないタイミングがありまして。もうここしかないと!

祖父はゲーム禁止とか知りませんし、当時発売されたばかりのゲームボーイアドバンスを買ってもらいました。ソフトも知識がなかったので、恐竜が好きだったので映画の「ジュラシック・パーク」をモチーフにしたゲームを買いました(編注:当時コナミから発売された「ジュラシックパークIII~恐竜にあいにいこう!~」)。それが初めてのソフトだったんですが、小学5年生の僕には難しすぎて……遊び方とか、面白さがちゃんと分かったのはしばらく経ってから遊んだ時でしたが、すごく思い出に残ってます。

山中:シミュレーションは初めて触るソフトとしては、なかなか難しいよね。そこからご両親に許してもらったの?

八代:めちゃくちゃ怒られましたけど、買ったものはしょうがないと。そこから僕のゲーム人生がスタートしました。

山中:では、その小学5年生から始まったゲーム人生ですが、好きなジャンルとかはありますか?

八代:シミュレーションとかシミュレーションRPGとか……例えば「ロックマンエグゼ」はジャンルをどう言っていいのか悩みますね。

山中:あー、ゲームボーイアドバンスといえば……という代表的なソフトだね。それは一言では難しいな。

八代:うーん、たぶんシミュレーションが好きなんでしょうね。

山中:なるほど。反射神経を求められるものとかよりも、頭でじっくり考えるほうが好きなんだ。ここなんですよね、我々がサッカーゲームとかスポーツゲームをあえて「好き」と言わないのは……。ここも後々話すとして、ゲームを買う時に重要視する部分ってありますか?

八代:今考えるとなんですけど、すごくグラフィックのいいゲームを遊びたい時もあるし、ガチガチのシミュレーションやアクション系をやりたい気分の時もあるんですが……振り返ってみると“自分だけの何かが作れる”という部分に惹かれるんじゃないかなと。それは選ぶ上でというより、ハマり度ですね。やってみてハマるのって頑張って敵を倒すとか、スキルを磨くっていうものよりも“このゲームの中に自分だけの世界が広がっている”という状態に没頭できるものなんだなと思います。

山中:完全に同意なんですよね。他人と比べるとか、そういうものに興味がないんですよ。

八代:そうなんですよ、むしろ見られたくないんです。今はゲームといえば、とてもグローバルじゃないですか。そうした時代に逆行しているかもしれませんが、閉鎖的なものが好きなんですよ。思い返してみても、ハマったものってほぼそういうソフトでした。

山中:僕も職業として今のトレンドに反していてあまりよくないんですけど、閉鎖的なほうに惹かれちゃいますね。例えば、仲間内で「Apex Legends」とか「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」とか「Call of Duty」とか一緒に遊ぼうって言われても、プレイが上手いわけじゃないから迷惑かけちゃうし、なんとなく気が引けてしまって、自分だけの楽しみ方を見つけて遊べるものを選んでしまいがちで。

八代:うわー、そう、本当にそう!! もう人生の共通点みたいな感じになってますね。僕の好きなゲーム実況者さんが「PUBG」を遊んでいて、このゲームすごく面白いな、よく考えられてるなと思って声優仲間の石川界人くんとかと一緒にプレイしたんですよ。やっぱりすごく面白いんですけど、気持ちとしては「迷惑かけちゃってゴメン!」とか、そういうのが勝ってしまって……。

「相手も上から目線になってないかなとか、色々考えて困ってるんじゃないか」とか「気を遣わせてるんじゃないかとか」考え出すともう気持ちがめちゃくちゃになっちゃって。面白いゲームであるのは間違いないんですけど、シンプルに自分の性格と合ってないんじゃないかなという気がしています。

山中:じゃあ、最近プレイしたゲームの中で印象に残ってるものってあります?

八代:「FINAL FANTASY VII REMAKE」とか「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」みたいな人気作品もよく遊ぶんですけど、得意なジャンルかと言われたらちょっと違うし……すごく面白いんですけどね。あとは、ずっと遊んでいたのはカイロソフトさんのゲームですね。「ゲーム発展国++」とか「まんが一本道〆」とか「アニメスタジオ物語」とか。

まんが一本道〆 アニメスタジオ物語
https://kairosoft.net/game/

山中:シミュレーションの王道だよね。僕もカイロソフトさんは大好きで「サッカークラブ物語」とか遊んだけど、良質な暇つぶしとして完璧だよね。

八代:暇つぶしのつもりが、どっぷり遊んじゃうんですよ。

山中:タイトルや扱うテーマが変わっても、コツコツ遊ぶっていう向かい方はそう変わらないのについ色々と遊んじゃうよね。

八代:そういう自分で何かを育てるとか、自分だけの世界があるような作品から外れて好きなゲームといえば「逆転裁判」ですね。これもゲームボーイアドバンスで遊びました。

山中:なるほど、最初に買ったハードの思い出も強いんだね。シリーズはどれが好きなんですか?

八代:やっぱり1・2・3ですね。どれも成歩堂龍一が主人公で、ストーリーにもつながりがあって1の謎が3まで続きますし。とくに1のラストは鳥肌が立ちました。

「逆転裁判123 成歩堂セレクション」
http://www.capcom.co.jp/gyakutensaiban/123/

山中:俯瞰で見ても、あの時代って意欲的な作品が多かったよね。

八代:そうですよね。「逆転裁判」にしたって、裁判をゲームにしようなんてなかなか思いつかないですよ。発想がすごい。

山中:「カドゥケウス」シリーズのような医療とか、極道とか、裁判とか、そういった柱を立てた時点で面白くなりそうなゲームが出てくるとワクワクしますね。

八代:ゲームではありませんけど、子供の頃は今ほどインターネットも普及している時代じゃなかったので攻略本もワクワクできて好きでした。漫画もあまり許してもらえていなかったんですが攻略本はグレーで、漫画ではないと。

山中:専門書とか、学術書っぽいからセーフなの……? まあ、文字もいっぱいあるしね。パッと見ごまかせるかも。

八代:図書券で買ってましたよ(笑)。擦り切れるほど読み返してました。

山中:分かるな。僕もゲームを頻繁に買ってもらえるわけじゃなかったから、攻略本だけ読んでゲームを遊んだ気になってとか、そういう妄想を膨らませてました。

八代:面白いですよね。今はそうした文化もずいぶん変わってしまいましたが……。僕は好きですね。

「ウイニングイレブン」「FIFA」から始まるサッカー談義

山中:僕はサッカーゲームの代表格である「ウイニングイレブン」と「FIFA」をどちらも毎年買ってるんだけど、八代くんもそうなの?

八代:そうですね。どちらも好きですけど強みを挙げるとしたら、やっぱり「FIFA」はライセンスでしょうね。ドイツも3部まであるし。

山中:僕はJリーグのサポーターでもあるので、Jリーグが入っているのが嬉しいですね。今コンシューマでJリーグを楽しめるのは「FIFA」だけなので。

八代:好きなクラブは人それぞれ違いますから、それが収録されているかどうかはモチベーションに関わりますよね。

山中:僕もユークスという会社にいたときは、アメリカの総合格闘技団体「UFC」を題材にしたゲームに携わっていたんです。これもやっぱり、どの選手を収録するかというのはポイントになりました。誰がいるかによってユーザーの反応も変わりますからね。リアルをモチーフにすると、どこまでリアルに近づくかというのはとても重要ですから、そういう意味でライセンスという「FIFA」の強みはすごいと思います。

八代:好みで言えば、顔のグラフィックは「ウイニングイレブン」がすごいなって思うんですよ。

山中:質感が違うよね。「FIFA」はやや生っぽい感じがあって、「ウイニングイレブン」はパキっと写実的な感じで。

八代:もう、このグラフィックのままRPGとか作れるんじゃないかって思いますよ。

山中:1回シリーズを空けてプレイすると「こんなに変わってるんだ!」ってびっくりしますね。スライディングしたら芝の緑がユニフォームに付いて汚れるし。

八代:雪や雨とか、芝の長さが少し変わるだけでもボールの走りも変わりますし、かなり忠実ですよね。

山中:サッカーというテーマへの愛とこだわりを感じますよね。

八代:あとは、人の感性によると思うので断定はできない話なんですが「ウイニングイレブン」のほうがゲーム的かなと。「FIFA」のほうが現実味を感じるんですよね。

山中:僕もいちプレイヤーとしての感覚なんですが、「FIFA」のほうがシミュレーター寄りのようなイメージですね。「ウイニングイレブン」はゲームとしてキャッチーな演出をつけてくれている。「こう導いてくれてるのかな」とか、面白くしようとしてくれてるんだなと思う瞬間があって。

八代:どっちもシーズンが変わると仕様がガラっと変わるので、そこも面白いんですよね。今までの操作が通用しないとか、そうしたゲーム性がより強いのは「ウイニングイレブン」かなって思います。

山中:どっちも遊んでいると「ウイニングイレブン」がやりたい気分の時と、「FIFA」がやりたい気分の時がありますね。

八代:「ウイニングイレブン」と「FIFA」は両方遊んでいる人も多そうですね。

山中:でも僕の交友関係で、こんなふうにスポーツゲームが好きで盛り上がれる人が本当に少なくて……。

八代:僕も「ウイニングイレブン」とかの話ができるのは、声優仲間では濱野大輝さんとか安元洋貴さんくらいですかね。

山中:僕のTwitterをフォローしてくれている方も海外サッカーとかはあまり興味がないかなと思って、あまり話さないようにしてます。ちょっとらしくない趣味かなと思って……。

八代:見たらハマると思いますけどね。

山中:そんな中で、八代くんはチャンピオンズリーグ(※欧州サッカー連盟「UEFA」が主催する大会)が行われてる深夜4時に連絡を入れても、すぐに返事をくれる唯一の相手です。

八代:僕にとってもそうですよ。この前、山中さんの贔屓と僕の贔屓が対戦しましたしね。

山中:僕の好きなドイツの「ライプツィヒ」というチームと、八代くんの好きなイングランドの「マンチェスター・ユナイテッド」ですね。僕が応援しているチームはボコボコにやられてしまいました……。

ライプツィヒは飲料メーカーの「レッドブル」がスポンサーなんですけど、元々は5部リーグにいたようなチームだったんですけど。それがレッドブルによる買収で強い選手が集まって、すごい勢いで1部まで駆け上がったんですが……その分、ドイツでは反発も大きいようで。そういう憎まれ役なところがグッときますね。

八代:やっぱり、ほかのチームのサポーターからすれば面白くはないから最初は仕方ないですよ。どのリーグもオーナーがクラブを買収して、資金力を得て強くなるという流れは活性化に繋がるのでいいことだと思います。

山中:このライプツィヒというチームの方針が、若手をとにかく獲得しているんですよ。僕は若手オタクなので、すごく選手の好みが合うんです。

八代:第2の「ボルシア・ドルトムント」のような。監督がすごく面白くて、いいサッカーをしていますよね。

山中:僕はそんなライプツィヒが好きなんですが、八代くんが思うマンチェスター・ユナイテッドの魅力はどこ?

八代:間違いなく圧倒的な歴史ですよ。歴代のスター選手を挙げだしたらきりがない。世界でも1、2位を争うブランド力のあるチームですから、世界中にファンがいますよね。

山中:ライプツィヒとはある意味、対極ですよね。

八代:僕がハマったのは中学2~3年くらいのサッカーを見始めた頃で、誰もが知っているクリスティアーノ・ロナウド選手がまだ24、5歳くらい。ウェイン・ルーニー選手とカルロス・テベス選手という3トップがいて、そこにディミタール・ベルバトフ選手がいる。アレックス・ファーガソン監督がまだ指揮を取っていて、ライアン・ギグス選手やギャリー・ネビル選手、ポール・スコールズ選手、リオ・ファーディナンド選手、ネマニャ・ヴィディッチ選手、パトリス・エヴラ選手も含めて、ベテラン勢がいる中に前3人がフレッシュ。ロマンしかありません!

山中:僕らは基本的に若手が好きなんですよね。

八代:そうですね。その時でいうと、ロナウド選手と同じ道をたどったナニ選手が出てきていて、フェデリコ・マケダ選手がまだ17~8歳の頃にアストン・ビラ戦で決勝ゴールを決めて一躍ニュージェネレーションのスターが出てきたかと思ったら、なかなか周囲の期待通りにはいかないことあり。若い選手って、これからどうなっていくんだろうという可能性がありますね。

山中:今のマンチェスター・ユナイテッドだと、やっぱりマーカス・ラッシュフォード選手とかに期待しているんですか?

八代:ラッシュフォード選手はまだ23歳ですけど、すでにエースなので……まだ十分若いんですけど、ちょっと若手という枠では違うかな。マンチェスター・ユナイテッドはプレミアリーグ(※イングランドのリーグ)でも、かなり平均年齢が若いんですよ。今は若さでいうと、18歳くらいのメイソン・グリーンウッド選手ですね。

山中:アプリの「eFootball ウイニングイレブン 2021」でも、相当ポテンシャルが高い設定だったよね。

モバイル版「eFootball ウイニングイレブン 2021」
https://www.konami.com/wepes/mobile/ja/

八代:彼は珍しいタイプなんですよね。若い選手といえば、やはりずっと走れるくらいスタミナがあって、スピードがある選手が多いんですよ。その中で、メイソン・グリーンウッド選手はシュートが上手いんですよ。それにプレイに落ち着きもあって、安心して見ていられるんですよ。アプリでも使ってますね。ムバッペ(キリアン・エムバペ)選手のようなタイプとはまったく違う……ファン・ベルシー選手とかのようになっていくのか、楽しみですね。

山中:僕らの話が合うのは、サッカーの見方が似てるのも大きいよね。若手が好きで、将来この選手はどうなっていくんだろうと。さらに共通するのが、サッカー選手を“萌え”で見ているんですよね。例えば、若いのに落ち着いていてパスワークが上手で、もう人生何周目なんだみたいな二次元キャラクターがいたらカッコイイと思うんですけど、そういう人間が現実にいるんですよ。ほかにも俺様で、すさまじい活躍をしていたけどもうさすがにキャリアが終わったかな……と思ったらまだ活躍するイブラ(ズラタン・イブラヒモビッチ)選手のような人もいますしね。

八代:イブラ選手の名言、残しておきましょうか。リポーターにワールドカップでどの国が勝つのかと聞かれて「神のみぞ知る」と答える。そこにリポーターが「じゃあ知るのは難しそうですね」と言うんですけど、イブラ選手が「何故?目の前に神がいるじゃないか」みたいなことを返したんですよ。

ちょっと面白いのが、イブラ選手がインタビューを受けると、何故か俺様口調に和訳されてるんですよね。そうしたくなってしまう、個性の強いキャラクターなんですよ。来年にも彼を題材にした映画が公開されるらしいですしね。

山中:こんなゲームの登場人物みたいな人間が、本当に現実にいるんですよね。現実なんだけど、出てくるエピソードを聞いているとキャラクターのような感覚になる。若手にしても、今いる絶対的な選手をどの若手が超えていくのか。どのポジションを奪うのか。そうした部分も漫画・アニメ的というか。次の話数でどうなるんだろう、次のシーズンでこの背番号を誰が引き継ぐんだろうとか、自分の中でドラマを付けて見ているんですよね。

そうした、自分の好みでチームを作り上げられるのが「ウイニングイレブン」シリーズのマスターリーグだったり、「FIFA」シリーズのキャリアモードだったりする。僕らが考える「サッカードラマとはこうあるべき」を勝手に自分で作って「ムフフ……」と楽しめる。

八代:この「ムフフ」に集約されてますね。本当にそうなんですよ。

“萌え”目線でも楽しめるサッカーゲームの奥深さ

山中:ものすごく極端な話になりますけど、僕らは別にサッカーゲームで誰かと戦いたいと思ってませんから。何なら1年目で優勝しそうだったら「それはちょっと違うな」って手を抜いて負けるとか、CPU戦もスキップすることもあります。

八代:それは極端すぎでは(笑)。僕はそうならないために、自分でプレイするんですよ。プレイすると偶発的な出来事が起きるので。トップレベルでやれば負けることもありますから。20代前半で入団してきて、まだそんなに能力が高くない選手たちを忍耐強く使っていると、数年後にクラブを背負って立つような選手になるとか……その感動ったらないですからね。

山中:まあ、そうなるよう自分でやってるんですけどね。でも何となく「この選手はエース候補にしよう」みたいな感じで伸び盛りの人を連れてくるとか、オーナー気分になれるロールプレイが楽しいんですよ。

八代:背番号もこだわりませんか?

山中:こだわります。背番号萌えもしてます。

八代:いやー、分かる! 背番号ってめちゃくちゃ熱いですよね。

山中:7番がゲームメイカーというのは当然で。9番はストライカーとか。ディフェンダーの2・3.4の並びにカッコよさを感じているんですが、誰が2で誰が4なのか……。

八代:分かります、好みが分かれますよね。僕は4番にキャプテンを置くことが多いです。ディフェンスリーダーとして。サイドバック(※主に守備を担当するが、場合により攻撃も行うポジション)は2桁が好きなんですよね、12~13番とか。

山中:ああー、13番は交代で入ってきてほしい気持ちがある。切り札のような。

八代:番号に想いを込めますよね。僕はマンチェスター・ユナイテッドをベースチームに使うので、7番は重いですよ。普通、7番といえばゲームメイカー、10番といえばエースナンバーですけど、このチームは7番を背負っている選手がエースという歴史がある。クリスティアーノ・ロナウド選手とか、ジョージ・ベスト選手、エリック・カントナ選手、デヴィッド・ベッカム選手……こうした「お前がウチのエースだ!」という選手が7番を背負ってきていますから。そういう子に7番を背負ってほしい。

山中:7番はもちろんだけど、期待してる子には17番を背負わせるとかね。

八代:めっちゃ分かる!! 人によっては18番とか、20番とかもあると思うんですよ。攻撃的に期待している選手は20番とか。マンチェスター・ユナイテッドでいえば、18番はポール・スコールズ選手なのでやすやすとは与えられませんね。

山中:僕は「ガンバ大阪」が好きなんですけど、特に好きだった時代のガンバの安田・加地(安田理大選手/加地亮選手)が13番と21番だったんですよ。だからサイドバックはその番号を背負わせたい。そういう自分の中のストーリーを遵守していくんですよね。誰にも理解されない遊びなんですけど。

八代:それは誰かに理解してもらうものじゃないですからね。自分にとっての「ムフフ」ですよね。

山中:前にも話したことがあるんだけど、僕は最初から強いチームだと燃えないので、始める時にまず23歳以上を全員解雇するんです。それから、各地から「これは伸びるぞ」と思う選手を集めて、そのチームの10年後に思いを馳せるんです。(編注:第3回の堀江晶太さんとの対談でも語っています)

八代:現実でやったら大暴動が起きますね(笑)。僕も同じようなことをやってましたよ。23~4歳以上は全部放出して、若い選手をかき集めて。中学生くらいから「ウイニングイレブン」シリーズを遊んでるんですけど、最近は若手だけというのもドラマが限られてくるので、そこに30代のベテランを各ポジションへ置くのにハマってます。これいいですよ!

山中:わかる。その選手から若手に継承されていくものがある……!

八代:より現実味を持たせようとしたら、アンダー23以下のチームって現実的ではないじゃないですか。一方、ベテラン選手がゲームの仕様上、どんどん能力は下がっていって、若手はどんどん上がっていく。そうした中で「ウイニングイレブン」には、ベテランがいるとその選手の影響で若手の伸びがよくなる素晴らしい機能が追加されたんですよ。このシステムがすごくいいなと思って。現実問題、若手だけでやるのって難しいじゃないですか。

山中:現実でもそうなんですよね。フィールドにはサッカーを知っている人間が必要なんですよね。

八代:そうなんですよ。もちろんゲームにそうした描写はありませんけど、ゲームを落ち着かせるとか、チームで毎日トレーニングをしていると考えたときにリーダーシップを取れる選手がいるとか、そう考えるだけで「ムフフ」になるじゃないですか。システム的にも伸びがよくなるし、ヤンチャした若手がベテランに怒られてるんだろうとか……ゲーム内ではそんなことあるわけないんですけど、僕の中では絶対そうなんですよ。ベテランのおかげでチームが締まってるという妄想を繰り広げると、気分が上がるんですよ。

山中:ゲームというだけでなく、妄想を広げてくれるツールですよね。この選手からこのポジションを奪おうと躍起になってるのかなと思って、じゃあこの試合でチャンスを与えようと若手を起用して「ここで活躍できるかは自分次第だぞ」って。

八代:全部、操作してるのは自分なんですけどね(笑)。

山中:それはそうなんですけど、そういうドラマを毎試合で考えるんですよ。

八代:分かりますよ、得点王にしてあげたいとか。

山中:その選手に得点をあげたくて、パスを回しすぎて全然うまくいかないとか。

八代:あるあるですよね。「ウイニングイレブン」でいえば「覚醒」というシステムがあって、能力が大幅に上がるんですよ。この瞬間が訪れると「頑張ったね~~!!」ってなっちゃって。

山中:僕僕はそこに面倒な部分があって、例えば19歳なのに強すぎるとかになると急に冷めますね。「いや、こんな早くこの選手からポジション奪えたらダメじゃないか?」って考えてしまって。

八代:そういう時は一過性のものだと思い込むんですよ。たまに「なんだこの選手?!」っていう若手ブーストって、現実でもあるじゃないですか。現実では一気に上がった時って絶対下がるか維持になるので、現実に置き換えて「よし、怪我に気を付けろよ」って全然疲れていないのに途中で交代させるとか……。

あと総合値を見ないといったら嘘になりますけど、僕は基本的に、選手は好みと年齢で決めるんですよ。だから、最強のドリームチームにはならないんですよね。

山中:分かるなあ。僕が遊んでいた頃の「ウイニングイレブン」の話になるんだけど、成長曲線に「早熟」「普通」「晩成」とかがあって、どこで伸びるのかが設定されていたんです。それと、引退した選手が16歳という若手になって再びマスターリーグに登場する、いわゆる「転生」と呼ぶシステムもある。ベテラン選手だともう落ち切ったあとの状態で出会うことになるんですけど、転生すると早熟だった天才選手たちの伸びを見れるんですよね。そこに夢を感じます。究極、もう数値が伸びている様が好きなんですよ。

八代:そうだと思いますよ。「ウイニングイレブン」に限らず、数値が上がっていればいいんですよね。優勝とかそういうのじゃなく、選手の数値が上がっていっているという実感が好きなんですよ。何かが伸びていく成長が楽しい。こういうものをゲームに求めてるんだと思います。

山中:「信長の野望」とか「三国志」みたいな、シミュレーションはみんな一緒だよね。数値が上がればいいんです。数値が上がる様に興奮を覚えるんです。ちなみに、マスターリーグで絶対獲得する選手はいます?

八代:元サッカーフランス代表で「マルセイユ」「アーセナル」「マンチェスター・シティ」などで活躍したサミル・ナスリ選手ですね。天才と謳われて輝く瞬間もありましたけど、気性が荒いところもあって花が開ききっていないというか……まだ現役の選手ですから、これからどうなるか分かりませんけど。

なので、これで「お前はこんなもんじゃないだろ!」って、転生したナスリ選手の第2の人生を自分で育てるというのにハマってます。転生すると能力は下がるんですけど、現実の選手と同じくらい伸びしろがあるという状態なので。

それと、好きな選手であればあるほど特性が分かるので、ゲーム上こう攻めるほうがいいという瞬間があっても、その選手がしないようなことは極力やらないようにしています。ナスリ選手の場合はすごいシュートを打つとか、ドリブルで抜くようなタイプではないので、どれだけ能力が高くなっても渋いパスを入れて、たまにドリブルでスルスルと抜いていくようなナスリ選手らしさは意識します。好きな選手が「もし、現実とは少し違った活躍していたら?」というような、自分が夢みる選手像をゲーム内で考えるんですよ。山中さんは絶対獲得する選手っているんですか?

山中:僕は「ACミラン」のハカン・チャルハノール選手。もう若手ではないんだけど、雰囲気が好きすぎる。中東系の選手が好きで、若手でいえばサルダール・アズムン選手とか、そういう選手が海外で活躍してる姿ってめちゃくちゃカッコイイでしょ。エジプトのモハメド・サラー選手などのように「あの国にはあの人がいる!」みたいなものが琴線に触れるというか。

八代:チャルハノール選手は、本田圭佑選手の後にACミランの10番を背負ってますからね。

山中:あとは、特定の選手というよりは左利きでフリーキックが蹴れるセンターバックが好き。日本だと「北海道コンサドーレ札幌」の福森晃斗選手とか。センターバックでフリーキック蹴るのが超カッコイイ!

八代:ディフェンダーでそういうことができる選手っていうと、代表的なのはセルヒオ・ラモス選手とかですかね。

山中:もちろんほかのスポーツゲームもそうなんでしょうけど「ウイニングイレブン」とか「FIFA」は、作っている方たちが本物をとことん研究してるじゃないですか。ゲーム中で伸びる選手って、現実でも注目されてる選手ですよね。「この選手、強いな!!」ってゲームから知って、現実の選手を追いかけることもあるので。新しい楽しみ方を生み出しているような気がします。

八代:「ウイニングイレブン」とか「FIFA」からサッカーを好きになった人も多いんじゃないですかね。選手だけのゴールセレブレーション(※ゴール後に選手が行うパフォーマンス)とか、ドリブルのモーションなども緻密に研究されていて、どんどんレベルが上がっていますもんね。

山中:「FIFA」の公式サイトには選手のデータベースがあるから、時間がある時は23歳以下でソートして上から順に眺めるっていう時間が何より楽しかったり。

「FIFA 21」公式サイト内レーティングデータベース
https://www.ea.com/ja-jp/games/fifa/fifa-21/ratings/ratings-database

八代:分かります。最近、ついにずっと手を出していなかった「ウイニングイレブン」のマイクラブを始めて。これも面白いですね。数値も伸びますし、現実で調子のいい選手はちゃんと同じように調子がいい。アップデートってすごいですね。

山中:おそらく最適解のドリームチームでマンネリにならないよう、色々な選手に触れるきっかけとして入れているんでしょうね。

八代:今週調子のいい選手、活躍した選手がちゃんと反映されるのは、サッカーファンとして嬉しいですよね。

後編は12月26日に公開予定!

山中 拓也

ゲームの企画、脚本、プロデュース、ディレクションなどで活動中。代表作はアニメ化も果たした「Caligula -カリギュラ-」シリーズで、直近の仕事はアプリ「アイドリッシュセブン」内イベントストーリー『ダンスマカブル』シナリオ。元カウンセラー志望で心理士資格を取得している。

山中拓也のGamer交遊録

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