2021年3月26日にカプコンより発売予定のNintendo Switch用ソフト「モンスターハンターライズ」。今回はその体験版を一足先にプレイすることができたので、そのレポートをお届けする。
目次
「翔蟲」を使ったスピード感抜群の新アクション
体験版でプレイ可能なチュートリアルでは本作のアクションを一通り体験できる。ダッシュやガード、攻撃などの基本的なアクションは従来の「モンスターハンター」シリーズを踏襲しており、アイテムなどのショートカットは「モンスターハンター:ワールド」での仕様がそのまま採用されていたこともあり、すんなりと馴染むことができた。
一方、アクション面でもっとも大きな新要素となるのが「翔蟲」だ。翔蟲は、ハンターの移動を補助してくれるアクションで、基本となるのが「疾翔け」と呼ばれる、エイムをあわせた位置や上方・前方などに向かって素早く移動する動き。ダッシュの代わりに使用したり、モンスターとの距離を調整するのにも使えるほか、空中に飛び上がることも可能。また空中にいる際は、翔蟲にぶら下がって滞空し、そこから再度翔蟲を使って移動したり、ジャンプ攻撃を出したりといった様々な使い方ができるようになっている。
ハンターの移動を補助するワイヤーアクションという意味では、「モンスターハンターワールド:アイスボーン」におけるクラッチクローにも近いが、クラッチクローが主に大型モンスターに張り付くために使用していたのに対し、翔蟲は移動を主目的としたアクション。また、クラッチクローがモンスターや特定のオブジェクトが存在している時のみ使用できたのに対し、翔蟲はどんな場所でも使用が可能であるため、アクションの自由度が非常に高い。
また翔蟲が面白いのは、ZLボタンを押しながらスティックで狙いをつけてZRボタンで移動を開始する基本の操作だけではなく、ZLボタン+Xボタンで上、ZLボタン+Aボタンで正面方向に翔蟲を飛ばし、素早く移動するという、エイムを伴わない使い方もできること。これによって、狩りの最中でも咄嗟に前や上方向への移動が可能となっており、様々なアクションと組み合わせて使うことができるようになっている。
この動きは非常に使い勝手がいいため、どちらかというと、エイムで狙いをつけるよりも上か正面方向の動きを使い分けるのが基本の動きになるのではないかと感じた。そのためスティックを使っての細かいエイムが苦手という人も安心して利用できるアクションとなっている。
また翔蟲を活用することで、あらゆる崖を走って登ることが可能になる。本作では、「ワールド」の時に近い、フィールド内でロードをはさまずシームレスな狩りを行うことになるが、これによって目的の場所に向かう際の移動ルートの選択肢が大幅に増えている。
ただ、崖を昇る最中にはスタミナを大きく消費し続ける仕様となっており、考えなしに登ろうとしても途中でスタミナが尽きてしまうことが多い。高い崖を登る際には、崖から落下する前に疾翔けを再使用して登りきる、途中に足場にできる場所を探す、環境生物を利用してスタミナの消費を軽減するなど、様々な工夫が必要になってきそうだ。
翔蟲ゲージを消費して繰り出す新アクション「鉄蟲糸技(てっちゅうしぎ)」
翔蟲は移動だけではなく、抜刀状態でのみ発動可能で、武器ごとに使用できる特殊な攻撃「鉄蟲糸技」にも活用できる。今回のプレイでは、14の武器種すべてを選べるようになっており、筆者は「双剣」と「スラッシュアックス」を選択した。
双剣の鉄蟲糸技は、モンスターにクナイを打ち込む「鉄蟲斬糸」と、カウンター判定を発生させながら大きく前方に飛ぶ「朧翔け」。鉄蟲斬糸は、打ち込んだクナイに攻撃をヒットさせると追加ダメージが発生し、火力を底上げしてくれる。攻撃自体のリーチは非常に短いので、当てるにはモンスターに密着する必要があるが、ダメージを伸ばす意味でも、隙に対して積極的に活用したいアクションだ。
カウンター技でもある「朧翔け」はやや癖があり、カウンターを狙う場合はモンスターの攻撃タイミングにあわせて突っ込んでいく必要があり、タイミングがズレるとダメージを受けてしまうため、狙って当てるのはなかなか難しく、使いこなすにはやりこみが必要だと感じた。
ただ、移動距離そのものが大きく、攻撃からキャンセルで出せる強みもあるので、純粋な回避手段として活用できる。ガードができず、防御面に不安がある双剣にとって、抜刀状態でも咄嗟に大きく移動可能になるのは大きく、生存力を大幅に高めてくれそうだ。
一方のスラッシュアックスは、一種のスーパーアーマーをまといながら前進して攻撃を行う「金剛連斧」と、移動しながら瞬時にスラッシュゲージを回復できる「スラッシュチャージャー」と2つのアクションを使用できた。どちらも移動を伴うアクションとなっているので、攻撃が大ぶりなスラッシュアックスでの攻撃が外れた時のフォローや、距離を調整したい際などにも活躍し、いざ攻撃したい時にスラッシュゲージがない……といった状況を回避するのにも使用できた。
ただクラッチクローで張り付いての属性解放突きが使えなくなっている分、「アイスボーン」とはかなり立ち回りが変わってくる。
また、モンスターの攻撃でふっとばされたりダウンしそうになった際には、「翔蟲受け身」で即座に復帰も可能。連続攻撃で倒されそうになったり、マップの端に追い込まれて起き攻めをされそうな際などの緊急脱出手段としても活用できそうだ。
そんな様々な使い方ができる翔蟲だが、無制限で使用できるというわけではない。2本ある翔蟲ゲージを消費することで使用が可能で、疾翔けや鉄蟲糸技など、翔蟲を用いたアクションを使用すると、翔蟲ゲージが減少する。
減少した翔蟲ゲージは時間経過によって回復するが、疾翔けは、ゲージを1本消費しゲージ回復速度も早めで連続使用しやすいのに対し、鉄蟲糸技は技によってゲージ使用本数が異なり、全体的にゲージ回復速度が遅めに設定されている。今回のプレイではまだゲージの管理に慣れていないこともあり、いざ鉄蟲糸技を使おうとして、ゲージが足りない……という事態に陥りやすかった。
そんなプレイヤーにありがたいのが、フィールドの各所に配置されている野生の翔蟲。ハンターが使用可能な翔蟲ゲージは基本的には2本分だが、フィールドの翔蟲を拾うと一定時間の間ゲージが1本追加される。鉄蟲糸技を連続で使用して後述する操竜を狙いやすくなるなど、1本分のゲージ追加の影響は大きく、ゲージ管理がかなり楽になる。強力なモンスターを狩る前には、まずフィールドで翔蟲を1匹捕まえるのが基本の流れになるのではないかと感じたほどだ。
「操竜」システムで、モンスターの操作が可能に!新たなオトモ「ガルク」も登場
さらに新たな新要素として登場するのが、「操竜」と呼ばれる従来の「乗り」を発展させたような、鉄蟲糸でモンスターを操れるシステム。
モンスターに鉄蟲糸技や、環境生物の「クグツチグモ」が吐き出す糸をヒットさせると、操竜待機状態を狙える。この状態で近づいて攻撃を当てるか、納刀中にAボタンで一定時間モンスターをプレイヤーが操作できるようになる。
操竜状態は、モンスターを任意の方向に移動させたり、他のモンスターを直接攻撃させたりできるほか、「突進離脱」で壁やモンスターにぶつけることで、ダウン状態に追い込むことも可能。ダウン状態になると操竜状態は解除されるが、翔蟲ゲージを使用したダウン回避で再度「突進離脱」を狙える。上手く誘導すれば連続でぶつけてダメージを与えらることも可能だ。
また操竜状態の時に攻撃を当てるなどで溜められる操竜ゲージが最大になると、強力な「操竜大技」を使用できる。操竜ゲージを溜めるには周囲に他のモンスターの存在が必要になるため、いない場合は他のモンスターがいる場所まで操竜中に移動するのも良いだろう。操竜大技によるダメージはかなり大きく、命中させた時のリターンは十分だ。
また本作でも「ワールド」と同様にモンスター同士の縄張り争いが発生することがあるのだが、その結果モンスターが操竜待機状態になることもあるようで、大型のモンスター同士が近いエリアに存在している時のメリットがさらに増えている。あえて他のモンスターがいる位置まで誘導するという立ち回りも考えられるかもしれない。
また狩りに同行してくれる新たなオトモ「オトモガルク」も登場。ガルクはハンターの移動を補助してくれるのが特徴のオトモで、ガルクの上に乗ってフィールド内を自由に移動することができる。
ガルクに搭乗している間は、翔蟲こそ使用できないものの、移動スピードが大幅に上昇する。「MHW:アイスボーン」」に存在したモンスターライドが自由に操作できるようになったイメージに近く、研石や回復薬を使用しながら移動できるため、討伐対象のモンスターが逃げた際などにすぐに後を追うことができるのが大きなメリットとなる。
ガルクは、新たに追加された「アクションスライダー」によって、いつでも呼び出すことができる。アクションスライダーは、ガルク呼び出しの他にも、マルチプレイ時の他のプレイヤーへの挨拶などのジェスチャーも登録できるようになっている。アイテムスライダー、アクションスライダー、カスタムショートカットの3つの枠を使い分けられるようになったことで、より臨機応変な対応がしやすくなった。
また従来のシリーズでのオトモは、マルチプレイ時に人数が足りない場合のみ同行する仕様となっていたが、今回は4人でのマルチプレイ時も1匹ずつオトモを連れていけるようになった。(シングルプレイ時は2匹まで)ガルクは攻撃、アイルーは補助と、それぞれに異なる強みをもっているので、周囲のハンターや武器との相性も考えながら、どちらを連れていくか決めることができる。
上級者向けクエスト・タマミツネ討伐に挑戦
今回の体験版では、オサイズチまたはタマミツネが登場する2つの討伐クエストに挑戦することもできた。
とくに手強いと感じたのがタマミツネで、シャボン玉のような泡でこちらの移動を制限し、泡状態も付与してくる。泡での攻撃の他にも、口からブレスで薙ぎ払うタイプの攻撃を繰り出してくる。この薙ぎ払い、従来のモンスターハンターでは攻撃のタイミングにあわせて緊急回避の無敵時間を活かしてやりすごすという回避方法が一般的だったのだが、タイミングをミスって倒されてしまう……という経験をしたハンターは多いはず。その点本作では、翔蟲を使って素早く射程の外に逃げたり、上方に退避したりできるようになったので、この手の薙ぎ払い系攻撃の対処がやりやすくなったと感じた。
タマミツネは上級者向けのクエストということもありかなり手強く、回復アイテムも限られており、初回の挑戦は失敗に終わってしまったのだが、その後に4人でのマルチプレイでタマミツネに再挑戦。ハンターの一人が狩猟笛で回復を行ってくれたのに加えて、翔蟲を使った操作に少しずつ慣れてきていたこともあり、時間はかかったものの無事クリアすることができた。
最初は翔蟲の操作に四苦八苦していたのだが、1、2時間程度のプレイでも、最終的には急接近からの攻撃や、モンスターの射程外に翔蟲で逃れるという動きも覚えて、かなり爽快にプレイできるようになった。翔蟲はこれまでのシリーズにはなかったタイプのアクションなので、最初こそとっつきにくさを覚えるかもしれないが、ある程度なら使いこなせるようになるまでさほどの時間はかからないはずだ。
また、フィールドを回るメリットが非常に分かりやすくなったのも印象的な点として挙げられる。今回のフィールド内には、回収するとそのクエスト間、ハンターの様々なステータスをアップさせる「ヒトダマドリ」が配置されている。「ワールド」のフィールドの各所で回収できたスリンガーの弾はやや玄人向けの要素となっていたが、ヒトダマドリは回収するだけであらゆるハンターが恩恵を受けられる。
「大翔蟲」という、通常では届かない高さまで飛ぶことができる特殊な翔蟲を設置できる場所も。移動した先には、複数のヒトダマドリが配置されていたり、フィールド探索するメリットが用意されていることが多かった。ヒトダマドリ以外にも、アイテムとして使用可能な猟具生物が存在し、ただ討伐対象のモンスターを目指すのではなく、それまでに翔蟲やヒトダマドリをできるだけ回収しながら進む、フィールドごとにベストの狩りルートを発見する楽しみも生まれるかもしれない。
様々な新要素により、狩りの形を大きく変えた「モンスターハンターライズ」。攻撃や回避時のかけ声だけではなく、ハンターの台詞のバリエーションが増えていたり、従来の「モンスターハンター」シリーズから変化を感じられる点は多く、従来のタイトルを遊び尽くしたというファンも、新鮮な気持ちで楽しめることは間違いない。まずは体験版をプレイして、新たなスタイルの狩りを実感してみて欲しい。