2021年2月25日に発売された「Empire of Sin エンパイア・オブ・シン」を直感赴くままに10時間プレイしてみましたので、その状況をゆるく正直に正確に、そして、なんとなくモヤっと伝えていきます。

目次
  1. ゴールディ・ガノーになり2時間禁酒##point1
  2. メイベル・ライリーとして6時間禁酒##point2
  3. アル・カポネになりきれず7時間禁酒##point3
  4. サラザール・レイナにて10時間禁酒##point4
  5. そして、まとまらないまとめ##point5
  6. プロフィール

今から大体100年くらい前に当たる1920年代から1930年代にかけてのアメリカには、「禁酒法」という法律がありました。ゲームコレクター・酒缶としては「酒」を禁止されてしまうと非常に都合が悪いのですが、アメリカの話ゆえに「酒」という漢字を使っても特に問題なさそうで、一安心というところでしょうか。

1980年代に公開された映画「アンタッチャブル」は、1930年代のシカゴが舞台で、禁酒法関連の取り締まりを行う特別調査官と犯罪組織の激しい攻防が繰り広げられました。この映画は、特別調査官側の視点がメインのつくりで、「アンタッチャブル」とはお笑いコンビのことではなく、調査官たちのチームの名前です。リーダーをケビン・コスナーが演じ、ショーン・コネリーやアンディ・ガルシアが脇を固める一方、犯罪組織のボスと言えば、ロバート・デニーロ演ずるアル・カポネで、大変個性的なキャラクターとして登場していました。

映画であれば、正義感に燃える調査官側の方が感情移入しやすいのですが、禁酒法時代のアメリカでは悪がいかにしてのし上がって行ったのかも気になってしまいます。その点、「Empire of Sin エンパイア・オブ・シン」は、1920年代のシカゴが舞台で、しかも「14人のボス」から1人を選んで暗黒街を支配するのが目的のゲームなので、このゲームの中でのし上がって行けば、きっと彼らの気持ちがわかることでしょう。

ということで、禁酒法時代のボスになりきる「酒缶が如く」の開幕です。

1.ゴールディ・ガノーで2時間禁酒
2.メイベル・ライリーとして6時間禁酒
3.アル・カポネになりきれず7時間禁酒
4.サラザール・レイナにて10時間禁酒
5.そして、まとまらないまとめ

ゴールディ・ガノーになり2時間禁酒

ゲームを起動すると、メーカーロゴと共にジャズが鳴り響き、1920年代のシカゴの街並みが現れました。実のところ、1920年代のシカゴのイメージはあまりよくわからないのですが、電飾看板や車の形を見るに、映画でよく見た古き良きアメリカを感じることができます。いや、暗黒街だから「悪しき」だったかな。

タイトルメニューにはずらりと6つの項目が表示されるため、ひとまず、「オンラインマニュアル」をチェック! と思ったら、巨大なQRコードが現れました。

マニュアルを見ながらゲームをプレイしたい人は、スマホでQRコードを読み取って、マニュアルをチェックしながらゲームを楽しめます。いや、別にPCで見てもいいんですけど。操作方法の把握だけなら、「設定」の「操作」で操作方法を一通り把握できます。

「ニューゲーム」を選ぶと、「セーブスロット選択」画面になり、スロットを選ぶとゲームが始まります。

プレイヤーが演じるのは、暗黒街のボスなのですが、候補となる14人のボスがとにかく個性的。

ボスごとに「ボスアビリティ」「組織ボーナス」「外交ボーナス」がそれぞれ異なるため、ゲームを有利に進めるためにはそれらの項目をチェックすべきなのですが、ビジュアル的に一番気になってしまったのが「ゴールディ・ガノー」でした。

「ゴールディ・ガノー」を選ぶと、「地域」「敵派閥」「難易度」を設定することになり、少しでも緩く遊びたいのですが、まずは初期状態で認識することが大事なので、「地域」を「10」、「敵派閥」を「10」、「難易度」を「幹部」にしてゲームを始めましょう。ちなみに「地域」はゲームの舞台となる地域の数、「敵派閥」は登場する敵派閥の数、「難易度」は、一番簡単な難易度から順に「準構成員」「構成員」「幹部」「アンダーボス」「ボス」の5段階になっています。

何となく派手な服装な人だな、くらいの個人の感想で「ゴールディ・ガノー」を選んだのですが、「ゴールディ・ガノー」はエンターテイナーとギャングのボスというかなり変則的な2足の草鞋系の人物ということで、どうやらすごい人を選んでしまっていたようです。

タクシーの中ではいくつかの選択肢を選んで会話を進めていくのですが……。

日常会話ではなかなか出てこないような発言がちらほらとみられます。

そして、タクシーを降りると暗黒街の戦いが始まるのですが、タクシーの運転手「サル」はその後もチュートリアルとしてちょいちょい登場してきます。

シカゴの街では、カーソルで移動する場所を指定すると、キャラクターがその場所まで移動します。何となくマウス操作のようで面倒に感じなくもないのですが、左スティックで直接キャラクターを動かすような操作方法も実は採用されています。

むしろ、カーソルを指定して移動する方法は、ワールドマップを使った移動の時の方が適しているように感じました。

ギャングを雇うことができ、それぞれユニット化して単体移動ができるのですが、グループ化してしまえば、1人を動かすことで全員を引き連れて移動することもできます。

街を歩いていると、突然バトルになることがあります。こんな時には、グループ化しておけば、多人数で戦うことができます。バトルは、シミュレーション形式で、1ユニット当たりAPが2ずつ与えられていて、順番になったユニットにAP分の行動を実行できるようになっています。白枠内の移動の場合にはAPを1消費し、その外側まで行くと黄枠の範囲内の移動にAPを2消費します。

攻撃ではAP1もしくは2を消費します。敵がたくさんいる場合には、壁やテーブルなどの遮蔽物があってしっかりとカバーできるようなポジションを取っていないと、次のターンまでの間にボコボコにされてしまうので、慎重な行動が求められます。

チュートリアルの流れの中で、自然とロニー・オニールのシマを荒らしていたようで、ロニー・オニールに呼び出されてしまいました。

ロニー・オニールと対話をするも、話は平行線のまま。

そして、バトルに発展。

ロニー・オニールを倒すと、そのままロニー・オニールのセーフハウスを奪ったことになり、このセーフハウスが「ゴールディ・ガノー」の拠点になります。

続いて、「放棄された建物」に攻撃を仕掛けました。ここで勝てば、その建物を乗っ取ることができます。

建物のサイズによって、行える商売は異なります。禁酒法時代ゆえに「醸造所」や「もぐり酒場」は当然として、「下宿」「カジノ」「ホテル」といった商売を行うこともできるようになっています。

調子に乗って、「放棄された建物」を見つけるたびに攻め込んでいたら敵がたくさんいる建物で、がむしゃらに戦った結果、残念な結果になってしまい2時間が経過していました。

メイベル・ライリーとして6時間禁酒

2回目のプレイでは、女性活躍推進を根差したプレイを、ということで、比較的普通に見える女性「メイベル・ライリー」を選択。

普通と思って「メイベル・ライリー」を選んだのですが、どうやら彼女は極道の妻系の人物だったようで……。

ギャングのボスとして君臨する以外に、旦那を殺した犯人の追及も目的として存在しているようでした。

ボスのバックグラウンドは異なっても、序盤のプレイ体験は同じなので、最初はまたもロニー・オニールを倒してセーフハウスを拠点にして、足場を固めることになります。

前回は何も考えずに「放棄された建物」に乗り込んで殺されてしまったため、今回のプレイでは難易度が「1/5」の建物に限定して乗り込むことにして無難に勢力を拡大していきます。

ぼーっとしていても、移動をしていても、ポーズをかけなければ常に時間は経過していきます。選んでおけば時間の経過で勝手にマスターしてくれるスキルについては、どんどん選んでどんどんマスターしていきましょう。

「放棄された建物」を積極的に攻めるのも手なのですが、その一方でミッションをこなすことでバトルになるような場面もあります。

バトルが終わった後、時間が経過すると自然と体力が回復すると思いこんで無理して戦わせた結果、ダメージが大きいと戦闘不能のペナルティーが与えられてしまうことが確認できました。

部下を増やして戦力を強化。

周辺の敵組織とは常に戦いの連続。

常に武闘派のノリで戦い続けていると、高揚感を得ることができ、ちまちまとながらも悪名も増していきます。

しかし、資金がショートして、毎月の支払いが厳しくなってしまい、お金稼ぎのためのバトルを繰り返していくじり貧生活が厳しくなったため、そろそろ「メイベル・ライリー」としての生活に足を洗おうとしたところ、6時間が経過していました。

アル・カポネになりきれず7時間禁酒

過去2回のプレイ体験を踏まえ、今度は王道の「アル・カポネ」を選んでみました。

しかも、「地域」と「敵派閥」の数を減らし、「難易度」も一番低い「準構成員」にして、余裕のプレイを心がけます。

映画「アンタッチャブル」では、大ボスだった「アル・カポネ」も、プレイ開始の時点ではまだ数あるギャングの一人にすぎません。ほかのボスと同様にタクシーでシカゴの街に入ります。

今回のロニー・オニールは部下の「ヒュー・ミラー」に任せてみると、かなり悲惨な結末に。

難易度を落としてのプレイだし、敵の派閥の数も少ないので、余裕のプレイができるかと思って、いつもよりも部下の数を増やして調子に乗って戦っていると、ロニー・オニールの呪いがあったのか、部下の「ヒュー・ミラー」があっさりと死亡。

「ヒュー・ミラー」の死によって「マリア・ロドリゲス」の「一触即発」が発動し、すさまじい攻撃を目撃するも、

バトル後に「マリア・ロドリゲス」も戦闘不能になってしまい、大幅な戦力ダウン。

「敵派閥」が少ないからといって、常にケンカを売っているようでは、気力が続かず、

早々と「アル・カポネ」としての人生を放棄するころには7時間が経過していました。

サラザール・レイナにて10時間禁酒

過去3回のプレイを踏まえて、今度は慎重に事を構えようと、過去のプレイの対話から無口な男の印象が強かったボス「サラザール・レイナ」に白羽の矢を立てました。

思った通り、「サラザール・レイナ」は無口な男でした。

しかし、それはプレイヤーがそういう選択肢を選んだ時だけで、プレイしているとかなり流ちょうに話すキャラクターで、決して慎重なキャラクターではないことが確認できます。

いつものやられ役のロニー・オニールは慎重に殺しつつも、

彼の行動が慎重かどうかはプレイヤー次第なので、全ての「敵派閥」に対して「対話」で対応。

「対話」のたびに、対話をする場に向かいつつも、合間に難易度「1/5」の「放置された建物」に限定して攻め入り、街を歩き回って暴漢を撃退するという、慎重に慎重を期したプレイに徹します。

ビジネス協定の話があれば、快く受託します。

取引の話が来たら、とにかく取引を成立させて関係性を保ちます。

いつの間にか不義理を働いてしまっていたようなので、ここは取引成立してしまいましょう。

八方美人の戦略を取り、全てを丸く収めようとしても、最終目的がこの地域の制圧であればいつまでもうまくいくわけがありません。こちらが全ての「敵派閥」と仲良くしようとしても、その「敵派閥」同士が戦い始めれば、どちらについても、どちらにもつかなくても、常にすべての関係性に変化をもたらしてしまいます。気が付けば、街のあちこちで襲撃を受ける状況になってしまいました。

そして、セーフハウスがアル・カポネに攻め入られ、どうにか撤退させるに至るも、なかなかバランスのいい戦略をとれないなぁ、と心の中でつぶやいたところで、10時間が経過していました。

そして、まとまらないまとめ

ゲームの要旨としては、バトルで建物を乗っ取りつつ、いろいろな事業を展開してお金を稼ぎ、敵派閥との駆け引きをしつつ、勢力を広め、のちには暗黒街を完全支配、という流れなのは理解しつつも、今回のプレイはバトルに終始してしまいました。なぜこうなったかというと、店をオープンするには建物が必要で、容易に建物を手に入れる方法が乗っ取りで、その乗っ取りできる建物が離れ離れになっているため、乗っ取りをするたびにその周辺の敵派閥との関係性を考えないといけない状況に陥ってしまったからでした。

なので、堅実にプレイをするのであれば、小さい地域で足場を固めつつ、小さい範囲での関係性から始めるべきだったのかもしれません。この辺りの作りは極めて経営シミュレーション的なので、じっくりと考えながらプレイする必要がありそうですね。

当然ながら、禁酒法時代なので、お酒を扱う店に対する対応にもう少し力点を置いてプレイをすれば、もっといい結果が得られたのかもしれません。

ちなみに、特定のお店の中にギャングを配置したままで、プレイヤーだけが思考状態に入って長居をしてしまうと、部下の特性が変化してしまうため注意が必要です。

しかし、バトルに明け暮れるようなプレイが無駄だったかというとそうではありません。長く仲間でいれば信頼関係が築けますし、部下同士もいろいろと関係性を深めているようで……。

いずれにしても、各ボスのバックボーンを理解しつつ、自分のプレイスタイルに合ったアビリティのボスを見つけるには10時間くらいの検討時間も必要ということなのでしょう。簡単に支配なんてさせてもらえるわけなんてありません。ストラテジー系のゲームは試行錯誤によってプレイ体験が変わっていき、前回のプレイ体験をその後のプレイに反映させることができるのが魅力です。

「Empire of Sin エンパイア・オブ・シン」は、長いおうち時間を共にするゲームになることは間違いありません。

プロフィール

酒缶(さけかん)/ゲームコレクター

15000種類以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。「東京エンカウント弐」にゲームアドバイザーとして協力。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」「謎解きメイズからの脱出」など多数。価格コムでは、ゲームソフトのプロフェッショナルレビュアーを担当している。

■公式サイト「酒缶のゲーム通信」
http://www.sakekan.com/
■twitterアカウント
http://twitter.com/sakekangame
■ブログ「パッケージゲームを死ぬまで遊ぶログ(略称:パケログ)」
https://sakekan.themedia.jp/
■YouTubeチャンネル「SAKEKAN GAME Re:COLLECTION」
https://www.youtube.com/user/sakekangame/
■電子書籍『格好悪いあつめ方 大事なことはいつだってあつめて初めて気がついた』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08TR31CL7/
■電子書籍『ゲームコレクター・酒缶のファミコン質戯応答 スーパーマリオブラザーズからドラゴンクエストまで』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08KTGX69Z/
■電子書籍『ゲームコレクター・酒缶のアンコンプリート 3DO』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08C9SGRSK/

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー