LINE Gamesからリリースされたマルチプレイヤーアクション「SMASH LEGENDS:スマッシュレジェンド」をレビュー。相手をふっとばす爽快なアクションと立ち回りの戦略性という本作の魅力を紹介する。
「SMASH LEGENDS:スマッシュレジェンド」(以下、スマッシュレジェンド)は5minlabが開発し、LINE Gamesより配信されたマルチプレイイヤーアクションゲーム。連続攻撃やスキル攻撃を駆使して敵をふっとばし勝利を目指す、爽快な作品だ。アクションは仮想パッド+4ボタンというシンプルな操作システムにまとめられており、誰でも気軽に楽しめる。その一方、マルチプレイによって立ち回りに奥深さが踏まれていることが魅力といえるだろう。
条件の異なる複数のルールが存在!
本作には「アリーナ」という形で、条件の異なる複数のバトルルールが用意されている。たとえば最初からプレイできる「占領」は3対3で競うアリーナ。マップ上にある「占領地域」からプレイヤーを退け占領し、一定時間経過することポイントを獲得。一定ポイントを獲得すると勝利できるというルール。
また、「バトルロイヤル」はその名の通り全員的プレイヤーというソロプレイのアリーナ。参加プレイヤー8人のうち、ラスト一人の生き残りになれば勝利できるというルールだ。時間経過とともに行動範囲が狭まるため、逃げ続けることはできない。
このほかにもアリーナは存在しており、メダルを獲得することで徐々に増えていく。メダルは、アリーナでの戦績に応じてアンロック可能。好きなアリーナを選んでプレイするという形なので、、一度アンロックしてしまえば、あとは好きなアリーナでだけプレイする…ということもできる。アリーナのマップは一日の時間帯によって変わるので、同じアリーナを続けてプレイしたとしても、変化を味わえる仕組みだ。
シンプルにまとめられたアクションと爽快なふっ飛ばし!
ルールを見て、FPSのように感じた人もいるだろう。実際「占領」「バトルロイヤル」以外にも、相手数プレイヤーの妥当数をチームで競う「チームデスマッチ」など、アリーナのルールはFPS的なルールをベースとしている。だが、もちろん本作はFPSではない。軽快なアクションゲームを操作システムが本作に独自のおもしろさを生み出している。
本作の操作システムは、移動に基本攻撃、スキル攻撃、究極技、ジャンプというアクションを組み合わせたもの。移動は仮想パッドで、それ以外の4つのアクションはボタンタップによって行う。
基本攻撃はその名の通り基本的なアクションだ。いつでも出すことができ、ボタンを連続タップすると連続技になる。要するに通常攻撃なのだが、キャラクターによっては連続技を最後まで当てた時のダメージがスキル攻撃の攻撃力に匹敵するため、なかなか侮れない。
スキル攻撃は、一度使うとクールダウンが発生するアクション。使うタイミングを考えなければならないが、その分ダメージが大きかったり、判定が強かったり…と、基本攻撃より強力だ。スキル攻撃はキャラクターによって性質が異なっている。言ってみれば、格闘ゲームにおける必殺技のようなものといえるだろう。
究極技は、ゲージを貯めることで発動できるアクション。ゲージの貯まりは遅く、一試合で何度も発動できない。ここぞというタイミングで切り札的に使用することになる。その分、与えるダメージは非常に大きい。また、キャラクターによっては姿を隠すなどの特殊な効果を持つ場合もある。格闘ゲームにおける超必殺技のようなものといえるだろう。
最後にジャンプ。マップに存在する段差を飛び越えるほか、敵の攻撃を回避するのにも使える。さらに、ジャンプ時に放つと攻撃アクションが変化。概ね敵に与えるダメージが減少する傾向にあるが、攻撃のモーションが変化することで敵にヒットさせやすくなる。立ち回りが重要なゲームなので、攻撃と同じぐらい重要なアクションといえるだろう。
また、アクションのポイントになっているのが、「ふっ飛ばし」。スキル攻撃や究極技などの強力な攻撃は、クリーンヒットさせることで、敵をふっ飛ばすことができる。吹っ飛ばすのは単純に爽快だが、それだけではない。占領地域から相手チームのプレイヤーを排除したり、「バトルロイヤル」で相手プレイヤーをダメージゾーンに突っ込ませたりと、戦略に絡めることが可能だ。
実際、プレイしてみると、基本攻撃、スキル攻撃、究極技という3種類の技が明確に差別化されており、どんな時に使うべきかが明確。これ以上シンプルにしようがないくらい、非常にシンプルにまとまっていて、プレイしやすい印象だ。
レジェンドの特性を踏まえて立ち回りを考える奥深さ
本作のシンプルな操作から、アクションをガンガン繰り出して気軽に爽快感を味わう作品のように思えるかもしれない。しかし、いざ勝つことを目指すと、奥深い戦略性が顔を覗かせる。本作に戦略性を与えているのが、多彩なキャラクターとマルチプレイによる立ち回りの妙だ。
本作のキャラクターは「レジェンド」と呼ばれる。ゲーム開始時に使用可能なレジェンドは、剣を使う接近攻撃型の「ピーター」一人。ただ、「アリーナ」のアンロックと同様メダルを集めることで新たなレジェンドがアンロックされていく。
アクションの説明で触れた通り、レジェンドによって基本攻撃やスキル攻撃、究極技の内容は異なっている。それだけではなく、HPや移動速度、射程範囲などあらゆる要素が違う。たとえばまた、同じ接近戦型でもレッドはピーターより移動速度が速く、その分射程範囲が短い。また、レッドの攻撃は向いている方向に対して繰り出されるためサイドや後方の敵に対してはダメージを当てられないが、ピーターの攻撃は弧を描くため、周囲を巻き込むことができる。こうしたレジェンドごとの特性を踏まえた上でどう立ち回るか?これが本作の深い部分だ。
ちなみに、格闘ゲームやMOBAなど、キャラクター毎に特性が異なるゲームでは基本的にキャラクターの性能は同等になるよう調整される。しかし、現実的には、キャラクター毎に強い/弱いという差が生まれてしまう。これはキャラクター毎に変化をつける以上、致し方ない部分だ。完全に同じバランスを実現するのであれば、全キャラクターを同じ性能にせざるを得ない。なので、本作にも強いレジェンドと弱いレジェンドの差が存在している。遠距離攻撃が使えるフックや、圧倒的な移動速度に加えて姿を消すという究極技を持つレッドなどは強キャラといっていいだろう。ただ、では本作のバランスが悪いかというと、筆者はそんなことはないように思う。
というのも、本作は立ち回りの影響する部分も大きいからだ。たとえば「占領」であれば、基本的には敵を占領地域から排除し続けなければならない。そのためには敵を倒せる強さが必要だが、一方で敵を倒そうと攻め続けていればHPを失い、倒されてしまう。「占領」では一度倒されると、復活まで一定時間何もできなくなってしまう。そうなると、その間味方は人数が少ない状態で戦うことになり、占領地域を失うことになったり、場合によっては全滅したりといった事態が発生する。なので、占領地域をどう守るか?だとか、死なないためにどう立ち回るか?だとかいった立ち回りも重要。そうすると、ピーターのように周囲の敵をまとめて攻撃できるようなレジェンドも必要…ということになってくるわけだ。
一方、自分以外は全員敵、という「バトルロイヤル」では、レッドやフックのような強キャラが活躍しやすい。ただ、「バトルロイヤル」は他プレイヤー同士がつぶし合うという状況が次々発生する。こうした状況を上手く活用すれば、強キャラじゃなくとも勝利を掴むことは可能だ。また、「バトルロイヤル」にはキャンディという要素がある。キャンディはマップ上のボックスを破壊してゲットすることで、レジェンドの能力が底上げされるというアイテム。獲得すればするほど強くなるので、他の相手プレイヤーを減らす前にまずキャンディ奪取を狙うという立ち回りも考えられる。つまり、レジェンドの特性と状況を活かしてどう立ち回るかが重要。戦略を考える奥深さがあるということだ。
レジェンドの特性を踏まえて立ち回りを考える奥深さ
また、レジェンドを育成することでレジェンドごとの性能差を埋めることもできる。獲得したボックスやショップなどからレジェンドの「パズルのかけら」をゲット、蓄積することでアップグレードが可能。アップグレードすることで、レジェンドの能力をアップできる。しばらくプレイしてお気に入りのレジェンドができたら、アップグレードで強化しつつ、そのレジェンドの立ち回りを研究することで勝率がアップできるだろう。
今回のプレイを通じて、本作は対戦ゲームとしてよくできた作品だと感じた。ふっ飛ばしアクションの爽快感を気軽に楽しむもよし、レジェンドのごとの立ち回りを研究し、勝利を追求するもよし。対戦ゲームが好きなら、一度はプレイする価値のある作品といえるだろう。ただ、プレイヤースキルが影響する対戦ゲームである以上、立ち回りのしっかりしているプレイヤーはやはり強い。なので気軽に楽しむのであれば、強いレジェンドを使うのがオススメ。とりわけ筆者のオススメは遠距離攻撃が使えるフックだ。遠距離から攻撃できるため、回避を意識せずともそこそこ戦うことができるぞ。