KONAMIから2022年に配信予定のNintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「GetsuFumaDen: Undying Moon」。5月14日よりSteam上で公開される早期アクセスに併せたレビューをお届けする。
1987年にファミリーコンピュータ向けに発売された「月風魔伝」の世界観をベースに、グラフィックやキャラクター、ステージを一新した本作だが、まず筆者が心を奪われたのはグラフィックだ。
本作のグラフィックは日本画をモチーフにしたものになっており、まるで絵画のなかを冒険しているかのような気分になってくる。作り込まれたグラフィックはCGっぽさを感じることはなく、“和”の世界を堪能することができる。
本作では地獄を巡るという設定で、登場する敵も日本の妖怪を彷彿とさせるものが多く、雰囲気はたっぷり。
また、“和”を感じさせる部分だと、音楽についても触れておきたい。BGMは和風に統一されているが、和楽器の繊細な美しさと妖しい雰囲気を併せ持つような曲が揃っており、世界観にのめり込ませてくれる。
サイドビュー探索型マップは毎回が新鮮
もともとの「月風魔伝」はアクションRPGだったが、本作は公式ジャンル名の“ローグヴァニア2Dアクション”からも分かる通り、探索要素のある作品になっている。道中で装備アイテムを拾ったり、キャラクターを強化したりしながらボスに挑むことになるが、ダンジョンはランダム生成。手に入る武器の種類やレア度(段位)はランダムのため、同じ名称のダンジョンに挑んだとしても毎回プレイの感覚は異なる。
たとえば、レア度が高く強いが使い慣れていない武器とレア度が低くて弱いが使い慣れた武器が手に入ったとき、どちらを使うか迷うことになる。武器は主武器と副装備の2つがあり、それぞれ2つずつ所持することができるが、3つめ以降を手に入れたときはひとつを捨てなければいけない。この選択がなかなか悩ましい。
早めに強めの武器が手に入ればいいが、なかなか巡り会えないことも。ただ、アイテム運がなかったときに自分のプレイスキルで生き延びる方法を模索するのも楽しい。
主武器の操作感もかなり異なるが、副装備も悩みどころ。遠距離から攻撃できるため総じて便利な武器であるが、残弾数やクールタイムが設定されており、連続使用できない。威力は弱いが連続で撃てるものか、一撃で敵を葬る威力を持つものを使うか、プレイヤーの好みが分かれそうだ。
探索でなるべく強い武器を揃えてからボスに挑めば安全だと思われるかもしれないが、回復アイテムは貴重で、そういうわけにもいかない。最初から所持している回復アイテムは2つで、道中でもあまり手に入らないのでどこまで粘るのかは悩むところだ。
ヒリヒリしたバトルが楽しめる剣戟アクション!
刀や槍、傘などの多彩な武器で戦いに挑んでいく本作。爽快なアクションというよりは間合いが重要な緊張感あふれるバトルが楽しめる作り。
刀であれば敵の攻撃をかわす「見切」や戦傘であれば「防御」「受流し」、槍であれば「突進攻撃」とそれぞれ異なる固有アクションが存在するので、その特徴を理解することがバトルでは重要となる。
武器によって立ち回りは変わるが、敵の攻撃をかわして出来た隙にダメージを与えていくのが基本。無闇に突っ込むとすぐにやられてしまうので注意しよう。
なお、タイミングは難しいが敵が攻撃を行うタイミングで主武器で攻撃を当てると“閃撃”が発生。ダメージが増加するほか、敵をのけぞらせて隙を作ることができる。これが決まるとなかなか気持ちいい。
また、敵に攻撃を当て続けると、「崩」を起こすことができ、この状態で通常攻撃を当てれば「殺」が発動。雑魚なら即死させることができ、ボスには大ダメージを与えることが可能だ。「閃」や「崩」「殺」の文字が画面に大きく表示される演出はスタイリッシュで、画面的にも派手で楽しい。
さらにダメージを受けずに攻撃を当て続けることで“鬼人化”が発動してプレイヤーがパワーアップするが、これは最大で3段階まで強化されるため、うまく使えるようになればかなり強力だ。
相手に慣れてくると簡単に倒せるようになり、自身の成長を実感できる一方、敵の配置によっては慣れている相手でも苦戦をすることも。ランダムダンジョンならではの緊張感も楽しめる。
強化や能力解放により強さを実感できるシステム
ダンジョンに挑むごとに新しい武器を探すことになるので毎回新鮮な冒険を楽しむことができるが、“武器鋳造”や“技能開放”、“鍛錬”などの成長・育成要素もある。
“武器鋳造”は武具伝書(図面)と素材を使って新しい武器を作るというもので、いちど作ればランダムでダンジョンに登場するようになるというもの。“技能開放”はその武器種の能力を開放するというものになっている。
入手している素材にもよるが、得意な武器を優先して上げていくのがオススメだ。なお、“鈍刀”は冒険の前に必ず手に入るので、上げておいて損はない。
鍛錬に関してはプレイヤー自身の能力を上げるというもの。生命力を上げる“命”や攻撃時のダメージの倍率を上げる“技”などの基本性能を上げることが可能。アクションゲームが苦手でも、ちょっとずつ素材を集めて強化することでステージをクリアできるようになる。
筆者はアクションゲームが得意ではないので、何時間かプレイしたあと「もしかしたら最初のステージすらクリアできないかも……?」と怖じ気付いたものの、武器をワンランク強化しただけでだいぶラクになり、一気に最初のボスを倒すことができた。そのため、素材を使って武器を強化して、その強さを実感する快感は大きい。その達成感を求めて何度もダンジョンに挑んでしまう中毒性がある。
また、ステージが進めばレア度の高い武器がドロップしやすくなり、その部分からもどんどん強さを実感することができる。
ゲームの難度自体は高めで油断しているとすぐに死亡してしまうが「ここでこう立ち回れば倒せたのでは」「次はこちらの武器を試してみよう」という考えが浮かんで、また次の戦いに挑みたくなる。その中毒性が「GetsuFumaDen: Undying Moon」ではないだろうか。「月風魔伝」を知らなかった人も、アクションゲームが好きならぜひ触ってみてほしい。