暁月を前に漆黒を振り返る―「FFXIVファンフェス2021」THE PRIMALSスペシャルライブレポート

5月15・16日の2日間にわたり実施された「ファイナルファンタジーXIV」のオンラインイベント「デジタルファンフェスティバル 2021」。5月16日最後のプログラムを飾った「THE PRIMALS」のライブレポートをお届けする。

2日間に渡り開催された「デジタルファンフェスティバル 2021」のフィナーレを飾ったのが、「ファイナルファンタジーXIV（以下、「FFXIV」」のオフィシャルバンド「THE PRIMALS」のスペシャルライブだ。

これまでゲームのオフィシャルバンドの枠に収まらない活躍を続けてきた「THE PRIMALS」。2020年4月14日・15日には豊洲PITにて「THE PRIMALS Live in Tokyo - Bringers of Shadow」の公演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止。無観客でのオンライン開催ではあるが、2019年のファンフェス以来、実に2年ぶりのステージとなった。

「THE PRIMALS」のライブではお馴染みとなったコンテンツファインダーのマッチング画面からライブはスタート。ステージにはメンバーの祖堅正慶氏（Gt.&Vo.）、GUNN氏（Gt.）、イワイエイキチ氏（Ba.）、そしてサポートドラマーとして城戸紘志氏が登場。城戸氏は2014年に実施された北米・欧州のファンフェスにも出演しており、7年ぶりの参加となった。

前回のライブは「漆黒のヴィランズ」リリース前ということもあり、今回のライブでは新曲が多数お披露目。「漆黒のヴィランズ」初のバンドアレンジアルバム「THE PRIMALS - Out of the Shadows」より、「貪欲」。そして多くの光の戦士の心に残り続けているだろうウォーリア・オブ・ライト討滅戦の「To the Edge」が演奏される。

続く形で披露されたのは「THE PRIMALS」の楽曲の中でも特に人気の高い「リヴァイアサン」。こちらは、「希望の園エデン：覚醒編」3層で戦うことになる疑似水神バージョンの「輝ける蒼」となっており、ここからは祖堅氏がメインボーカルを務めた。

MCでは、バンドバージョンの「To the Edge」誕生秘話も。祖堅氏がGUNN氏へアレンジの依頼をしていたそうなのだが、アレンジ作業中に休憩がてら「FFXIV」をプレイしていたというGUNN氏。「そしたら、ちょうど（ウォーリア・オブ・ライト討滅戦の）進入地点にきちゃって、『パラスパッ、パラスパッ♪』って聞こえてきて、これ俺が今アレンジしているところじゃんって（笑）。すぐ作業に戻りました」とエピソードを明かした。

続いて、GUNN氏によるボーカルの「女神～女神ソフィア討滅戦～」、今日一不安だという男性ボーカルによる「目覚めの御使い～ティターニア討滅戦～」、そしてマイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏（Vo.）も登場しての「究極幻想」。「究極幻想」は、ルビーウェポン破壊作戦のアレンジバージョンとして演奏され、会場をさらに盛り上げる。

一旦暗転した後、続いてステージに現れたのは室内俊夫氏ら「FFXIV」開発メンバー。一体何が始まるのか、視聴者が固唾を飲んで見守る中始まったのは「ロングフォール～異界遺構シルクス・ツイニング～」。こちらの曲は海外のダンスミーム動画が一時期話題になったのだが、このダンスを開発メンバーがステージ上で披露し、まさかの公式逆輸入による驚きのパフォーマンスとなった。

次に演奏されたのは、こちらも「THE PRIMALS」の人気曲「過重圧殺！～蛮神タイタン討滅戦～」。お馴染みのコールアンドレスポンスも各種ストリーミング上のコメントで行われ、リアルのライブと何ら変わらない盛り上がりをみせる。さらに曲の後半では、「FFXIV」のプロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹氏も参戦。マイケル氏とバチバチに熱いマイクパフォーマンスを繰り広げボルテージを上げる。

ライブもいよいよ終盤に差し掛かり、ラストは「メタル：ブルートジャスティスモード～機工城アレキサンダー：律動編～」、「ライズ～機工城アレキサンダー：天動編～」、「ローカス～機工城アレキサンダー：起動編～」と人気のアレキ楽曲が立て続けに披露。

「ライズ」では、プレイヤーの間でお馴染みの時間停止ギミックが動画のコメント欄でも再現。あまりのコメントの多さによるラグで完璧なギミック処理とまではいかなかったが、それでも光の戦士たちの底力が垣間見えた。

コメント欄がアンコールで埋め尽くされる中、スクリーンに映し出されるアルバート。セリフは、このライブのための撮りおろしのものとなっており、ストーリーの“あのシーン”を再現した演出の後に演奏されるのは「漆黒のヴィランズ」のメインテーマ「Shadowbringers」だ。

スクリーンにはこれまで光の戦士が歩んできたパッチ5.Xシリーズの旅路が映し出され、「漆黒のヴィランズ」が終わり行く寂しさ、そして「暁月のフィナーレ」へと進みだす期待感と共にライブは幕を閉じた。

今回のライブは、初めてのオンラインによる開催となったが、動画配信サイトのコメントを使った演出など様々な工夫によって、無観客ではあるものの視聴者の一体感を高める仕組みが随所に見られた。また、ストリーミング配信という形だからこそ拘ったのではないかと思われる、迫力のあるカメラワークなどは今回のライブの大きな特徴だったように思える。これもデジタルファンフェスティバルという形式がもたらしたメリットの一つと言えそうだ。

本ライブを含む「デジタルファンフェスティバル 2021」の模様は、アーカイブを無料で視聴することが可能だ。もし見逃していたという人がいればぜひこちらを確認してほしい。

【#FF14デジタルファンフェス】

2日間のステージプログラムは
各ストリーミングチャンネルで
アーカイブをご覧いただけます

 https://t.co/FG8yurcXRS #FF14 #FFXIVFanFest pic.twitter.com/GQug8ioyrt
— FINAL FANTASY XIV／FF14 (@FF_XIV_JP) May 16, 2021

また最後に、ライブを終えた「THE PRIMALS」のマイケル氏、GUNN氏、祖堅氏からのコメントも掲載。ライブを視聴後、こちらもあわせてチェックしよう。

「THE PRIMALS」メンバーコメント

マイケル・クリストファー・コージ・フォックス（Vocals）

THE PRIMALSがファンフェスに参加するのは、これで13回目になるんですけど、もうグルーヴ感がすごいんですよね。みんなステージの上を自由に動いてるんですけど、みんながそれぞれ、客席から見たときのバランスを自然と取りながら動くようになっていて。何も考えずにそういうことができるようになってきたから、なんか、ベテランバンドってこんな感じなのかなあって（笑）。

ライブ自体はすごくやりやすかったです。会場に入ったときは、こんな大きな場所で、満員のお客さんの前でやれていたら、どれだけ最高の気分になれたのかなと思って、少ししょぼんとしてたんですよ。だけど、みなさんのコメントの数もすごいし、客席にいたスタッフのひとりが100人分ぐらい頑張ってペンライトを振ってくれていて、すごく楽しくやれました。

なので、今日のライブは自分が登場するときに、ローブを脱ぐのをちょっと失敗しちゃったところ以外は大成功ですね！　ありがとうございました！

GUNN（Guitar / Vocals）

やっぱり、いざ本番でステージに立つと、“あ、帰ってきた！”って思いましたね。はたしてプレイ的にどうだったのか？っていうところは、正直いっぱいあるんだけど、“いいじゃん！　それがライブじゃん！”っていう、今までのTHE PRIMALSの感じに持っていけたかなと思います。ライブが終わった後に、各スタッフの方々とも、イエーイ！って分かち合えたし、すごくよかったですね。

ライブが終わったばかりなので、どんなライブだったのか、観ていた人たちの感想がどうだったのかはちょっとよくわかっていないんですけど（苦笑）、届いていたら嬉しいなと思ってます。いいライブでした。ありがとうございました！

祖堅正慶（Guitar / Vocals）

やっぱりお客さんがいないと、こんなに雰囲気が違うんだな。やっぱりライブって一方通行じゃないんだなというのを、改めて噛み締めましたね。決してやりづらかったわけではないんだけど、なんか、やっぱりちょっとさみしいなって（笑）。心にぽっかり穴があいた感じは、若干あったかな。

もちろん、今回は配信オンリーの方向に振り切ったからこそ、配信ならではのものを作るにはどうしたらいいのか考えたことで、いろんな案も生まれたし、うまくいったと思うんですよね。チーム全体が、画面の向こう側にいる「FFXIV」プレイヤーのことを考えてやれたと思います。

そもそもTHE PRIMALSって、普通のアーティストと違って、俺たちバンドメンバーが主役じゃないんですよ。“プレイヤーのゲーム体験そのもの”が主役であって、俺たちはそれを持ち上げるジャッキみたいなものだから。なので、演奏中にゲーム画面を出すと、ただ音楽を聴いているだけじゃなくて、自分のゲーム体験が自然と蘇ってくるし、喜怒哀楽も生まれてくる。そういったTHE PRIMALSの特徴を、今回のライブはうまく出せたんじゃないかなと思います。

パンデミックが落ち着いたら、改めて早くみんなの前でライブがやりたいです！