2021年6月1日~6日にかけて開催された、「オリオリワールド」を先行プレイできるデジタルイベント。このイベントに参加して分かった、本作の魅力や過去作との違いについて紹介する。
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「オリオリワールド」はRoll7が開発し、Private Divisionが販売を行うスケートボードを題材にした横スクロールアクションゲーム。PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S、Xbox One、PC向けに、今年の冬のリリースを目指して開発が進んでいる。
2014年にリリースされた「OlliOlli」、2015年にリリースされた「OlliOlli2: Welcome to OLLIWOOD」に続き、6年ぶりに登場するシリーズ3作目だ。
過去2作では簡素な2Dのグラフィックながら、チャレンジし甲斐のあるストイックなゲームプレイでアクションゲーマーを魅了してきた当シリーズ。「オリオリワールド」では新たにキュートで味のある3Dグラフィックを採用。コアのシステムのおもしろさはそのままに、3Dを活かしたギミックの数々がより幅広い楽しさを提供し、各要素のバランスの見直しによって攻略ハードルの高さを緩和。間口もグッと広くなっている印象を受けた。
なお今回の先行プレイはPC(Steam)英語版で行われたが、製品版はすべてのバージョンにおいて日本語に対応する予定となっている。
過去作よりも“楽しみながらテクニックを習得できる”構成を徹底
ゲームの舞台は“ラッドランド”と呼ばれる島。プレイヤーが操るスケボー少年は、スケボー仲間からゲームの基礎となる操作方法を学んでいきながら、この島にあるスケボー用のコースを巡っていく。
最初のコースで学ぶのは基礎中の基礎である「プッシュ」という技術。地面を蹴って、走るスピードを上げるというアレだ。筆者が使用していたXbox 360用コントローラーではAボタンを押すことで繰り出せた。
続くふたつ目のコースで学ぶのは「トリック」。Lスティックをいずれかの方向に倒しっぱなしにしてから、別の方向に入力することで「オーリー」や「バックショーブ」といった、入力の仕方に対応したトリックが繰り出せる。
トリックを繰り出したあと、地面に着地するときにタイミングよくAボタンを押せばスマートな着地となり、スピードを落とさずに走り続けられるのはシリーズ過去作と変わらない。ただし、過去作ではこれをしっかりやらないと着地でバランスを崩し、大きく失速していたが、本作ではやらなくても大きなペナルティは発生しないようになっている。
その後も、オーリーなどで空中に跳んだあと、Lスティックを任意の方向に倒すことで板の部分でレールの上を滑走する「グラインド」などを学んでいると、時折これまでに覚えたノウハウをすべて試されるようなコースも登場。これによって筆者は自然と各種テクニックを習得し、上達していくことができた。
何度もミスをしながらコツを掴み、イメージ通りの滑りをノーミスでキメたときの気持ちよさは格別だ。
気持ちよさといえば、このシリーズ全作を通した魅力として効果音がある。トリックをキメたときのボードを叩くような音。グラインドでの「ガーッ!」という擦れるような音。これらが実に気持ちよく、自在にボードを操っているときの手応えを高めてくれる。
なお、コースの途中には要所要所でチェックポイントも用意されており、ミスした場合もここから即座にやり直すことが可能。苦手な箇所を集中してプレイできるのも嬉しい。
過去作以上に「楽しみながら覚える」ための工夫が凝らされている本作。アクションゲームが得意でないプレイヤーも含め、あらゆる人に門戸が開かれている印象だ。
「チェンジレーン」や「ウォールライド」、ゲームプレイを豊かにする新要素
さらにプレイを続けていくと、本作で初めて導入された3つの新たな要素も体験することができた。
ひとつは「チェンジレーン」と呼ばれるギミック。これはルートが二股に分かれているコースで、Xボタンを押すことでどちらのルートを進むか切り替えられるというもの。これはグラフィックが3Dになり、コースに奥行きが加わったことで生まれたギミックと言えるだろう。ルートの切り替えが可能な場所では地面に△マークが並んでいるので、すぐに分かる。
過去作でも上下に分かれているルートでどちらを進むか選べる局面はあったが、これはトリックの組み立て方に左右されるものだった。チェンジレーンではそうした要因に左右されず、自由な選択が可能なのが特徴だ。
本作は各コースを何度も繰り返しプレイすることで、トリックのコンボを繋いでスコアを更新したり、スケボー仲間の名前と取った「Mike's Challenges(マイクのチャレンジ)」と呼ばれる特殊な条件を満たす滑りに挑戦するといったやり込み要素が楽しめる。
Mike's Challengesにはコースの途中にある“動物の形をした風船(らしきもの)”を一定数割る、もしくは1つも割らない、といった条件のものもあり、これを達成するためにはチェンジレーンによるルート選択が非常に重要となっている。
もちろん、ハイスコアを追求するときもどんなルートを選ぶかは重要だ。より安全なルートを選んでミスのリスクを減らすか、それとも高い技術が求められるルートでより多くのスコアを稼ぐか、といった判断が常に求められ、最適な選択はその時点でのプレイヤーの腕前によっても変わってくるだろう。
ふたつ目は、反り返った地形をジャンプしてから、進行方向を切り返して進んでいくというギミック(これを指すスケボーの専門用語があるかもしれないが、ちょっと調べた限りでは分からなかった……)。ここでのジャンプ中はLT/RTトリガーを使って空中でスピンすることができ、これもトリックとしてスコアに加算される。そこまで大きな変化を生むギミックではないが、ずっと画面右側に進み続けるのみだった過去作と比べるとコースの構造のバリエーションが増えており、それが単純に楽しい。
3つ目は「ウォールライド」と呼ばれる、壁を滑るテクニック。基本操作は「Lスティックを任意の方向に倒す」というグラインドとほぼ変わらないものなのだが、うっかり途中でスティックから手を離したり、走り終えたあとのジャンプの飛距離が足りないと奈落の底に落ちてしまう局面が多く、緊張させられる。同時に、これを成功させて道なき道を走破する快感は大きかった。
いずれの新要素も3Dグラフィックだからこそ表現しやすくなったものと言える。また、ゲームプレイのバリエーションが豊かになった一方で、既存システムから操作面で覚えることがそこまで増えているわけではないので、煩雑な印象はなかった。このあたりのさじ加減も絶妙だ。
未経験者にもおすすめだが、シビアなテクニックを追求できる奥深さも健在
ここまでに紹介した操作方法やギミックをひと通り覚え、これらのテクニックをすべて求められるコースをクリアしたところで、今回の先行プレイで巡ることができる範囲はすべてとなっていた。
製品版ではこれ以降に覚えることになる新たなテクニックやギミックがあるかもしれないが、ここまでプレイした感じとしては、シリーズ経験者にも未経験にも、大手を振っておすすめできる作品だと言って問題ないだろう。
初心者が楽しみながらテクニックを磨ける工夫が凝らされているし、操作精度が甘いときのペナルティは過去作より少なくなっている。その上で、ハイスコアを目指して、より高度なトリックを、より多くコンボとして繋ごうと思ったら――どこまでもシビアなテクニックを追求できる、底なし沼のような奥深さも健在だ。
それから、一新されたグラフィックやキャラクター造形もとても魅力的だった。今回は英語版だったため雰囲気くらいしか分からなかったスケボー仲間たちとの会話の内容も、製品版をプレイするときはしっかり堪能したいと思った。
また、これから出会うキャラクターも多数存在するとのこと。衣装やスタイルを変更するアンロック要素もあるようで、こうしたまだ見ぬ要素の数々も、楽しみだ。
どちらかといえばストイックでニッチなゲームだった過去作から大きな変化を遂げ、しかし変わらぬ魅力も併せ持つ「オリオリワールド」。製品版で、さらにたくさんのコースに挑戦できる日が待ち遠しい。