2021年7月9日にカプコンより発売予定のNintendo Switch/PC用ソフト「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」。一足先に本作をプレイする機会を得たので、そのプレイインプレッションをお届けする。

目次
  1. 舞台とキャラクターはほぼ一新され、「2」からでも楽しめる
  2. バトルは爽快感抜群に。ランダム要素が減り、プレイヤーが一方的に勝ち続けることも可能な3すくみ
  3. フィールドはより広大に。「MH」らしさはそのまま、「ストーリーズ」ならではの楽しみも

舞台とキャラクターはほぼ一新され、「2」からでも楽しめる

「モンスターハンターストーリーズ」は、人気ハンティングアクション「モンスターハンター」シリーズ(以下、MH)のRPG。「ハンター」ではなく、モンスターと共存する「ライダー」に焦点が置かれているのが特徴のシリーズだ。歴代シリーズに登場した多数の人気モンスターたちを「オトモン」として仲間に加えつつ、共にバトルに挑めることが人気の要因となっている。「2」においても、ライダーやオトモンといった要素は引き継がれている。

「2」の物語はライダーたちが暮らすマハナ村から始まる。ハンター達を招いて行われた祭りの最中、怪しげな赤い光が発されたかと思うと、村はずれに住む護りレウスの様子が一変。護りレウスを生け捕りにしようとするハンター達を一掃し、タマゴを残して飛び去ってしまう。さらに同じ頃、共存していたはずのモンスターが縄張り争いを始めるなど、異変が起き始める。

かつて、護りレウスのパートナーだったレドを祖父にもつ見習いのライダーである主人公は、護りレウスから不思議なタマゴを託された謎の少女・エナ、「世界を救ったアイルー」を自称するナビルーと共に、護りレウスの行方を調査するため旅に出ることになる。

ハードスペックの向上により、ストーリーの表現力も劇的に向上。
カットシーンのクオリティは、歴代「MH」シリーズの中でも最高峰に近いと感じた。

ナビルーを除いて主要キャラクターや舞台が一新されているので、ストーリーを理解するのに前作の知識はほぼ必要ない。前作のキャラクターが再登場するなどのファンサービスはあるものの、「2」で「ストーリーズ」を初めて遊ぶという場合もまったく問題ない内容となっている。

ふとしたところで出会うことにある、旅の仲間ナビルー。
かつてライダーと共に旅をし、世界を救った経験があると話しており、
前作で主人公のパートナーとなったナビルーと同じ存在だと思われる。
ゲーム開始時には、本編シリーズと同様に最初に自身の分身となるライダーを作成する。スタイルの選択も可能だ。

バトルは爽快感抜群に。ランダム要素が減り、プレイヤーが一方的に勝ち続けることも可能な3すくみ

バトルシステムは、前作「ストーリーズ」と同様に、ハンターとオトモンが共に戦うコマンドバトルが採用されている。バトルの基本システムも前作のものを踏襲しつつ、様々な改良が加えられており、かなり違った印象を受けた。

まず攻撃には、パワー・スピード・テクニックの3種類の基本タイプが存在しており、パワーはテクニックに、テクニックはスピードに、スピードはパワーに強いという3すくみの関係にある(どのタイプにも属さない特殊な攻撃も中にはある)。

相手モンスターとライダー、もしくはオトモンがお互いを狙い攻撃しあった際には、「真っ向勝負」が発生し、それぞれの攻撃タイプの相性が参照される。勝利した側は自身のダメージを軽減しつつ、相手には大きなダメージを与えられる。ドスファンゴならパワー、ドスランポスならスピードといったように、モンスターの行う攻撃には明確な傾向が定められており、相手がどのタイプで攻撃してくるかを予想し、その有利タイプを選択して、相手に攻撃をさせないように戦うのがバトルの肝となっている。

こうした3すくみの仕組みは、前作と同様。ただ、前作はモンスターの傾向を把握して予想を立てても、モンスターがさほど確率が高くない行動を選択した際には、真っ向勝負で負けてしまうことも少なくなかったが本作では改善されている。

一方本作では、モンスターがスキルなど特殊な行動を使用してきた場合を除けば、攻撃タイプはほぼ固定されており、飛行を始めたり、怒り状態になるなど、状態に変化が生じたタイミングのみ攻撃パターンが変更されるという仕組みになっている。そのため、「通常時はスピードだが、怒り状態になるとパワーになる」といったモンスターの特徴を覚えていれば、モンスターの攻撃タイプの予想を8~9割ほど的中させ、相手の行動を封殺しながら戦うことも可能。この手のじゃんけん的なシステムにありがちな、ランダム要素に振り回されて負けてストレスが溜まることがほぼなくなっている。

ただしオトモンの攻撃には前作同様に直接指示を出すことはできないのだが、スキルを使わせることでタイプを変更したり、有利タイプを基本攻撃とするオトモンに入れ替えることで、真っ向勝負に勝ち続けることもできる。オトモンとライダーが同じ3すくみ攻撃で狙ってくるモンスターを攻撃し、どちらかが真っ向勝負に勝利していれば、より強力なダメージを与えられる「ダブルアタック」も発生する。

真っ向勝負に勝利すると、ライダーとオトモンの間で絆ゲージが溜まっていく。この絆ゲージは、スキルの使用時に必要になる他、ゲージが最大になると、オトモンの上にライダーが乗って戦う「ライドオン」状態となる。ライドオン中は攻撃・防御力が上昇、ライダーとオトモンのHPが回復し、強力な必殺技である「絆技」も使えるようになるなど、メリットが多い。真っ向勝負に勝ちながら絆ゲージをためて、ライドオンを行って受けたダメージを回復しつつ、絆技で大ダメージを与えていくというのが、主なバトルの流れとなっている。

また本作では、新たに共闘パートナーと呼ばれるNPCが、オトモンと共にバトルに参加してくれる。共闘パートナーは、こちらから指示を出すことはできず、完全にオートで参加する。今回プレイした序盤では、共闘パートナーは素のステータスが非常に高く、HPが減ったら回復を自動で行ってくれることもあり、バトルではなかなか頼れる存在となっていた。

その一方で、共闘パートナーとそのオトモンにモンスターの攻撃が向いた場合、共闘パートナーたちには指示が行えないため、モンスターの攻撃パターンをプレイヤーが把握していても、パートナー側は真っ向勝負で負けてしまうことも少なくない。ただ、共闘パートナーと自身のオトモン、自身と共闘パートナーのオトモンの間でもダブルアタックは成立するので、パートナー側のコマンドも確認してから自分やオトモンの動きを決めるのが重要になってくる。

共闘パートナーも絆ゲージが溜まるとライドオンを行い、絆技を発動する。同じターンにプレイヤー側も絆技を発動すると、「ダブル絆技」による全体攻撃を行える。ダブル絆技の演出は超ド派手で性能も強力だ。

また共闘パートナーやオトモンに攻撃が向いた際は、3すくみの相性を考えなくてもいいタイミングでもあるので、回復やバフ系のスキル・アイテムを使用するのにも最適。共闘パートナーの存在は、3すくみでプレイヤーが圧倒的に有利になりすぎる点への揺らぎを作っているのと同時に、攻撃系以外のスキルやアイテムの活用の幅も広げている。指示を出せないもどかしさはあるものの、それを前提とした絶妙なバランスが成立しており、他のRPGにはないバトルシステムの要素として効果的に働いていると感じられた。

共闘パートナーと主人公は、それぞれライフポイントを3所持している。バトル中、オトモンかライダーのどちらかのHPが0になると、ライフポイントが減少し、プレイヤーのライフポイントが0になると敗北となる。

またライダーの攻撃タイプには、パワー・スピード・テクニックだけではなく、斬・打・突の3種類が存在しており、モンスターの肉質に応じて有効な攻撃タイプが異なってくる。本作では、バトル中に武器を持ち替えることが可能になっている(行動回数も消費しない)ため、狙うモンスターの肉質にあわせて武器を切り替え、常に有効な武器で攻撃することも重要。

大型のモンスターは、本編シリーズと同様に部位が存在していることもあり、部位のHPを0にすることで部位破壊が成立する。部位破壊には、相手の特殊なアクションを封じたり、バトル終了後に獲得できる報酬が増える、ダウン状態になる(ダウン中はすべてのダメージがクリティカル化)などメリットが非常に多い。尻尾には斬タイプが有効だったりと、部位ごとに肉質のタイプが異なることもあり、「MH」本編シリーズの部位破壊にも通じる要素になっている。

一度ダメージを与えれば、その肉質にどの武器タイプが有効かが攻撃前にひと目で確認できるようになる。
常に肉質に有効な武器に切り替えながら戦うのが基本だ。
バトルは最大で3倍速まで速度を変更可能で、途中の演出もカットできるので、コマンドバトルとしてのテンポも良好なのも嬉しい要素。途中に連打などの特殊な入力を行う、モンスター同士の「力比べ」などが発生することもある。

フィールドはより広大に。「MH」らしさはそのまま、「ストーリーズ」ならではの楽しみも

「MH」シリーズ恒例の、広大なフィールドから様々なアイテムや装備の素材を集めるという楽しみは本作でも健在。前作と比較すると、ハードスペックの向上もありフィールドの描写が美しく、さらにその規模も大きくなっており、探索のしがいがある。

解放したネコタクスタンドに瞬時に移動できるファストトラベル機能である「ネコタク」も、ネコタクチケットが廃止されたことでファストトラベルに制限がなくなり、前作以上に使いやすく、快適に冒険を楽しめるようになった。(本作はクエストの報告やオトモンをふ化するために拠点に戻ることも多いので、この機能はかなりありがたい)

「ストーリーズ」ならではの要素として、フィールドでオトモンにライドすることもできる。ライド中は移動速度が上がるのに加えて、ドスランポスならジャンプ、ロアルドロスなら水上移動、ババコンガならツタ登りといったように、オトモンの種族に応じた様々なライドアクションを行えるようになっている。フィールドの中には、ライドアクションを使わなければいけないエリアが多数あり、仲間にしたオトモンが増えるにつれ行けるエリアもどんどん広がっていき、探索の楽しみも増していく。

フィールドの中には、「モンスターの巣」と呼ばれる小規模なダンジョンのようなものもあり、巣の中ではモンスターのタマゴを入手できる。基本的にモンスターの巣はランダムでフィールド上に出現するが、フィールド上のモンスターを討伐すると、一定確率で帰巣状態となる。帰巣状態になると、すぐ近くにそのモンスターの巣が出現するので、タマゴが欲しいモンスターがいる場合は、ある程度なら狙って入手することも可能だ。ペイントボールを使用すると、モンスターが帰巣状態になりやすくなるが、3ターンしか効果がないため使用タイミングは慎重に図る必要がある。

フィールドには、ランダムではなく固定で配置されている「古代巣」も存在し、モンスターのタマゴや、ビンの王冠を入手できる。ビンの王冠は、メラルー商会で珍しいアイテムと交換可能だ。

モンスターのタマゴを入手したら、拠点にある厩舎でタマゴをふ化させ、自分のオトモンに加えることができる。オトモンはそれぞれ絆遺伝子というものを所持しており、能力や使用できるスキルが異なる。ある程度の傾向はあるものの、同じ種別のモンスター同士でも絆遺伝子は異なるため、強い絆遺伝子を求めてタマゴを探す、ハクスラ的な楽しみにも繋がっている。

絆遺伝子は、ある程度ゲームを進めると解禁される「伝承の儀」によって、別のオトモンに引き継がせることもできる(引き継がせたオトモンはいなくなる)ので、初期に仲間にした思い入れのあるオトモンと、ずっと戦い続けることもできるのが嬉しい。

「2」ではすべての穴に任意の絆遺伝子を入れ替れられるようになり、自由度が大幅に上がっている。

拠点にある武具屋では、モンスターやフィールドで得た素材を使って様々な武器や防具を作ることができる。アクションゲームである本編シリーズでは、プレイヤーの腕で補うこともできたが、RPGとなっている本作では装備の更新は非常に重要。武器防具共にしっかりとキャラクターの見た目にも反映されるので、見た目と性能のバランスを考えながら装備を考える、シリーズ恒例の楽しさも健在だ。

また、シリーズ本編のようにクエストボードも存在しており、サブクエストにあたる様々な依頼を受けることができる。このあたりからも、「MH」シリーズらしい雰囲気を味わえるようになっている。

クエストボードとは別に、町の住人から直接クエストを依頼されることもあり、RPGらしさも体験できる。

筆者にとって最も印象的だったのが、「MH」シリーズの楽しさを、実にRPGらしく落とし込んでいるということ。「MH」シリーズ本編では、モンスターの攻撃モーションやリーチを覚えることは攻略上かなり重要な要素で、一種の覚えゲーとしての側面を持っていた。

本作のバトルシステムも、「プレイヤー自身がモンスターの特徴を覚えることで、どんどん戦闘が楽になっていく」という経験を、非常にうまくコマンドバトルへと落としこむことに成功している。アクションとコマンドという全く異なる体験をプレイヤーに提供しながらも、プレイヤー自身のゲームへの理解力が、攻略に直結していくというゲームの本質は変わっていない。

シリーズ経験者であれば、ある程度モンスターへの知識を備えた状態でプレイできるので、かなり爽快感のあるバトルを楽しめるようになっている。

またRPGになったことで、クエストの時間制限を気にせず、自分のペースで冒険を楽しむことができたり、新しい土地をめぐる冒険のワクワク感や、様々な仲間との出会い、物語の鍵を握る、「破滅レウス」をめぐるボリューム満点のストーリーなど、「MH」シリーズ本編にない楽しさも満載。今回のプレイでは体験できなかったものの、オンライン要素も前作以上に充実しており、最大4人での対戦や他のプレイヤーと共闘クエストを楽しめるモードも用意されている。

アクションが苦手でこれまで「MH」シリーズをプレイできていなかった人はもちろん、「MH」シリーズのファンなら間違いなく楽しめる作品となっているので、是非ともプレイしてみて欲しい。

※画面は開発中のものです。

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