2021年5月20日にマーベラスから発売されたNintendo Switch用ファンタジー生活ゲーム「ルーンファクトリー5」のレビューをお届けする。

「ルーンファクトリー4」から約9年ぶりとなる、シリーズのナンバリングタイトルである「ルーンファクトリー5」。基本的に2Dのグラフィックが採用されていた過去作と異なり、初のフル3D化された世界で、気ままなファンタジー生活を楽しめるのが、最大の特徴となっている。

「ルーンファクトリー」シリーズは1作目が「ルーンファクトリー ー新牧場物語ー」と銘打たれていることからも分かるように、「牧場物語」シリーズから派生して生まれたシリーズだ。本家「牧場物語」と同様に重要な要素として、畑で作物を育て、出荷してお金を稼ぐ“農作業シミュレーション”要素が存在している。村人との交流を経て、恋愛に発展。最終的には結婚生活が描かれる点も、両作の共通点だ。

一方で本家との違いとして、「ルーンファクトリー」シリーズはモンスターや亜人種などが登場するファンタジー色の強い世界観となっている。これに伴いモンスターとの戦闘や、そのための武器や防具の作成要素、魔法の概念などがあり、アクションRPGとしての側面も大きい。

「ルーンファクトリー3」からシリーズをプレイし、久々の完全新作である「ルーンファクトリー5」をとても楽しみにしていた筆者。開発をいまはなきネバーランドカンパニーからHAKAMAが引き継いだことへの一抹の不安もあったが、この想いを払拭する、“正統続編”と呼ぶに相応しいゲームになっていた。

のどかな町“リグバース”での、新たな生活がはじまる

「ルーンファクトリー5」の舞台となるのは、“リグバース”と呼ばれる町と、その周囲に広がるフィールド、そしてフィールドの先に待ち受けるいくつものダンジョンだ。記憶喪失となっていた主人公は、この町の住人たちに助けられ、ここで新しい生活をスタートさせることになる。

なお、ゲーム開始時に主人公の性別を男の子/女の子から選択でき、これに伴って結婚相手候補は、主人公とは異なる性別の6名のキャラクターとなる。男の子でプレイした場合は、女性キャラクター6名、女の子でプレイした場合は、男性キャラクター6名の、計12名が本作における結婚相手候補というわけだ(改めて後述するが、同性間ではいくら好感度を上げても結婚することはできない)。

素質を見込まれて警備組織“Seed(シード)”の一員になることが決まった主人公は、“Seedリグバース署”の2階を借り、ここで寝泊まりしながら、リグバースの周囲で巻き起こる騒動を調査したり、住民からの頼みごとを引き受けたりしつつ、日々を生きていく。

ゲームのコンセプトからも察せる通り、本作は覚えることがなかなか多く、シリーズ初プレイのプレイヤーは尻込みするかもしれない。しかし住民からの頼みごとが「段階的なチュートリアル」も兼ねており、これを通して「自然とやれることが増えていく」ので、混乱することはあまりないだろう。ひとまずリグバース署に併設された畑で作物を育て、出荷してお金に変える方法を覚えれば、ほかのことはそのうちなんとでもなる。気付けば各種要素がどのように関わり合っているかも理解し、自分なりにファンタジー生活を楽しめるようになっているはずだ。

ほぼすべての要素に関わってくるのが、HPゲージの下にある「RP(ルーンポイント)」と呼ばれるゲージ。これはほかのゲームで言うところのスタミナゲージとMP(マジックポイント)を兼ねたもので、農作業や伐採、採掘など、あらゆる作業で減っていく。戦闘では通常攻撃や回避行動といった基本的な行為では消費せず、「ルーンアビリティ」という魔法や特殊攻撃でのみ消費することになる。RPがゼロの状態でRPを消費する行動を取ると、今度はHPを消費して、最終的には倒れてしまうので、“食事”や旅館に併設された温泉への“入浴”、1日の終わりに自室のベッドで行える“睡眠”などでの回復が必要だ。

また、本作には「農耕スキル」、「伐採スキル」、「料理スキル」、「鍛冶スキル」、「お風呂スキル」といった具合に、あらゆる行動に「スキルレベル」が設けられており、これらは対応する行動をたくさん取るほど上がっていく。スキルレベルを上げる恩恵の中には「消費RPを抑える」というものもあるため、行動すればするほど消耗しづらくなり、ひいては1日でこなせる作業量が増えるというわけだ。この「どんな行動も継続すれば効率化に繋がる」システムが、本作をコツコツと作業を続けていくことが成果に繋がる、やり甲斐のあるゲームだと感じさせてくれる。

一方で、鍛冶でより高性能な農具をつくり、一度に複数のマスを耕せるようにしたり、捕獲したモンスターに農作業を手伝ってもらうなど、さらにプレイを効率化する方法も無数にある。各種システムを検証して試行錯誤で効率を追求しても、コツコツと自らの手を動かして作業することに喜びを見出してもいい。

ゲームはリアルタイムで進行し、30日周期でやがて季節も変わっていく(育ちやすい作物が変わったり、季節限定のイベントなどが開催される)が、物語に制限時間のようなものは存在しないので、“効率を重視しない自由”もある。こうしたあらゆるプレイスタイルを許容する適度な“緩さ”もまた、シリーズが愛され続けている理由のひとつだろう。

ぶっ飛んだ個性を持った住人たちとの交流は、楽しさがいっぱい

シリーズに共通する魅力といえば、交流することになる個性豊かな町の住民たちも挙げられる。この点も、本作はシリーズファンの期待を裏切らない。

キャラクターたちの性格は、リアルな人間味を感じるというよりは、フィクション度の高い、強烈な個性を伴ったものがほとんど(いつも仕事をサボりたがっているレストランの店主や、幼い女の子のようなSeedの署長などなど)。けれど、いわゆるテンプレートなキャラ設定からはズラしが加えられていたりと、交流を続けることで意外な一面を見つけられることも多いため、彼らとのコミュニケーションは非常に楽しい。

また、彼らはみな、雑貨屋、鍛冶屋、建築家に探偵、町長兼医者など、それぞれの職業があり、どれも主人公の生活に欠かせない役割を担っている。ゲームのいろいろな要素を楽しもうと思ったら、自然と多くのキャラクターと関わるはずだ。物語に関わる一部のキャラクターを除いて、みな根が善人の“優しい世界”でもあり、プレイを続けていればきっとすべての住人のことを好きになれるだろう。キャラクターたちの3Dモデルも、イラストの可愛らしさ、カッコよさを上手く再現している。

本作で個人的にグッと来たキャラクターは、堅物かつ融通の効かない性格で、同じSeed隊員なため物語上の接点も多い女の子・スカーレットと、身の危険を感じるピンチなどのギリギリの状態に快感を覚えるサキュバスの女の子・ルドミラのふたり。

彼ら登場人物たちの主人公への好感度は、コミュニケーションを取ったり、畑で採れた作物や、これを材料にしてつくった手料理、鉱物を材料につくったアクセサリーなどをプレゼント(キャラクターごとに異なる好みが設定されている)したり、いっしょにダンジョンを攻略するなどの行動で、上昇していく。攻略を進めていくことで、彼らとの関係も進展していくのだ。

スケール感がアップした3Dのフィールドで、ファンタジー世界への没入感アップ

ここまで書いてきたのは、過去作とも共通している魅力でもある。お次はフル3Dとなったフィールドが、本作のプレイフィールにどのような影響をもたらしているかについて書いていこう。

まず過去作と異なり広大なフィールドを遠くまで見渡せるようになり、その広い空間を駆け回れるようになったことで、作品世界のスケール感はグッとアップした。軽快なアクションでモンスターたちをバッタバッタと倒していくのは実に爽快だ。ロケーションもなかなかに豊富だし、リグバースの町の中は四季に対応して景観が変化。こうした部分でも、「ファンタジー世界での生活」としての没入感は増しているように感じる。

本作はひとつの町での生活が描かれるため、同じ場所を何度も往復することになる。世界がリアル寄りなスケールになったことで、移動を煩わしく感じるかもしれないと不安に思っている人もいるかもしれない。しかし本作はいわゆる“ファストトラベル”の使い勝手が良い。ダンジョンの探索中でも制限なく一瞬でリグバースに戻れるし、逆にダンジョンへのファストトラベルも、一度到達したフロアになら瞬時に戻れ、すぐさま探索を再会することができる。リグバース内のファストトラベル可能なポイントも複数あり、利用頻度の高い施設の前に配置されているなど、この点での快適さへのこだわりは、なかなかのものだ。

前述したキャラクターのモデルを含め、本作のグラフィックは、同様にアニメ調のルックを採用したタイトルと比較しても、最先端とは言えない。また野外の空間、特にキャラクターを数多く表示する際のフレームレート(1秒間で描画されるコマ数)が目に見えて低下してカクカクする、対象をロックオンする際の挙動がいまいち悪いなどの、3Dを採用したからこその問題も生じている。ファストトラベルが快適だと書いたが、背中が畑になっている竜・ファームドラゴンを複数匹利用できるようになってくると、その往復でファストトラベルの使用頻度は高まり、そのたびに挟まるロード時間が気になることもあった。

けれど、ファンタジー世界の住人としての“第二の生活”に没入し、快適に楽しむための及第点には達しているように思う。事実、多少の煩わしさを気にしている暇もなくなるくらい、この世界での毎日は、やることが尽きない、大変に楽しいものになっていたのだ。

“あるべきものがすべてあった”完成度の高い逸品。次回作にも大いに期待

ストーリーについても、ネタバレにならない程度に言及しておこう。

本作は中盤以降の展開にヒネりが加えられており、日々の生活を描くゲームながら、メインストーリーも先が気になるものになっている。そこで描かれるテーマも、「正義のためならば、後ろ暗いことをしても許されるのか?」といった、簡単には答えの出ないものを表現しており、作中でのとあるキャラクターの考え方について、振り返って考えてみたくなる人もいるだろう。

3D化に伴う技術的な問題は見られるものの、あらゆる要素が高水準。それらの要素が絶妙に影響し合っているから、自然といろいろな挑戦がしたくなり、それに見合った恩恵がちゃんとある。作成できる料理や武器、装備などの種類が増えると、それらの材料を求めて、農作業や探索にもよりいっそう精が出るだろう。「今日はこれがしたい」、「明日はあれをしてみよう」と、やりたいことは尽きないし、エンディング後のやりこみ要素も満載だ。

シリーズの最新作として“あるべきものがすべてあった”、「ルーンファクトリー5」。前作にあった、町や施設を発展させたり、お祭りを開催できる「オーダー」というシステムを受け継いだ「メイキング」など、詳しく書き切れなかったものを見渡しても、過去作で好評だった要素のほとんどが詰め込まれながらも、すべてが破綻なく作品の魅力になっているのは素晴らしいことだ。

反面、3Dになった以外の目新しさは特にない、かなり保守的な続編であったあたりには、個人的に少々物足りなさも感じている。

とりわけ本家「牧場物語」シリーズの近作では「大親友の儀」という形で実装されている、同性間での結婚ができなかったのには、落胆があった。「より多くのプレイヤーが自分の意思に素直な選択ができる」ゲームになっていたら、疑いようもなく、本作はもっと素晴らしいゲームになっていただろう。12人の結婚相手候補それぞれに、異性間でも、同性間でも違和感のない恋愛描写にまつわるテキストを用意するのは、かなりの苦労を要することだったのかもしれず、そうした事情で見送った可能性も想像するが、それでも期待せずにはいられなかった部分だ。

とはいえ、約9年ぶりの完全新作である上に、開発会社を引き継いで制作され、さらに初のフル3D化という命題もあった本作。これらを乗り越えた上で、高い完成度で仕上げてくれただけでも、ファンとしては感謝で胸がいっぱいの作品であったことには、改めて言及しておこう。そしてならばこそ、より万全を期して制作されるであろう次回作では、完成度に革新性を兼ね備えた「最高のルーンファクトリー」を目にできるのではないか、という期待もまた、抱かずにはいられない。

筆者にとって、「ルーンファクトリー5」の最も喜ばしかった点。それは「より良い未来」を想像させてくれたことだったのかもしれない。

ルーンファクトリー5

マーベラス

Switchパッケージ

  • 発売日:2021年5月20日
  • 価格:6,980円(税別)
  • 12歳以上対象
ルーンファクトリー5

ルーンファクトリー5 プレミアムボックス

マーベラス

Switchパッケージ

  • 発売日:2021年5月20日
  • 価格:9,980円(税別)
  • 12歳以上対象
ルーンファクトリー5 プレミアムボックス

ルーンファクトリー5

マーベラス

Switchダウンロード

  • 発売日:2021年5月20日
  • 価格:6,980円(税別)
  • 12歳以上対象

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