アトラスが2021年11月11日に発売を予定している、Nintendo Switch用ソフト「真・女神転生V」の先行プレイレビューをお届けする。

目次
  1. 「メガテン」とはどういうゲーム?
  2. いきなり魔界化してしまった東京を、ナホビノとして進む
  3. ダッシュやジャンプなど、アクション要素が登場
  4. バトルは、敵の弱点を突いて行動回数を増やすプレスターンバトル
  5. 悪魔との合体や主人公の強化もできる「邪教の世界」
  6. 全体的な手触りは、凄く良い

2021年11月11日に発売される、Nintendo Switch用ソフト「真・女神転生V」(以下、「メガテン5」)。ナンバリングタイトルとしては、前作の「真・女神転生IV」からは約8年、「真・女神転生IV FINAL」からは約5年ぶりに発売される新作とあって、期待しているファンも多いのではないだろうか。本稿では、本作の先行プレイレビューをお届けしよう。

「メガテン」とはどういうゲーム?

「メガテン」シリーズといえば、その多くは荒廃した東京に悪魔が現れ、その悪魔を味方にして戦う「仲魔」システムや、仲魔の悪魔同士を合体させて新たな悪魔を生み出す合体システムなどを主軸にしており、悪魔の育成をしながら物語を楽しんでいくタイトルだ。

同社から出ている人気RPG「ペルソナ」シリーズも「メガテン」からの派生作品だが、「ペルソナ」シリ―ズとの大きな違いは、基本的に戦うのは主人公ひとりで、残りのパーティメンバーは仲魔で構成される点。また、登場する悪魔は、一部を除いて「メガテン」と「ペルソナ」では異なっている場合が多い。

更に、「メガテン」シリーズの多くで、主人公はロウ(秩序)とカオス(混沌)、その中間のニュートラル(中庸)と、自身の在り方を問われ続け、どの属性に偏ったかによって物語が変わるという特性を持つ。本作にて、ロウとカオス、ニュートラルでルートが分岐するのかはまだ明確になっていないが、恐らく同じような分岐が存在すると思われる。

「メガテン」シリーズはほぼプレイしたことがないという人のためにもう少しロウとカオスについて説明すると、ロウは大体は天使側、カオスは悪魔側となることが多い。これだけを聞くと、ロウに寄っておけば平和な物語になりそうな気がするが、「メガテン」シリーズが目指す秩序の世界とは、大抵が“神の意にそぐわない者は排除される”ことでの、唯一神による恒久的な平和。

逆にカオスは悪魔だけではなく、多神教の神々も含まれることが多い(ただしシリーズによって多神教の神々の在り方は異なり、必ずしもカオスに属するわけではない)。悪魔は必ずしも人間を殺したいわけではないが、ただひたすらに“やりたいことをやる”だけの世界だが、つまりは清く正しく生きるのも、犯罪者として生きるのも自由、そしてその自由を何人にも邪魔されることがない、という世界だ。

そして、ニュートラルはロウにもカオスにも属さない立場。唯一の希望のように見えるが、「メガテン」シリーズで言う”中庸”とはそんな甘いものではない。多くの場合、ニュートラルではロウとカオス、どちらとも敵対することになるのだ。だが、ニュートラルルートこそ「メガテン」シリーズの真髄とも言える。

まだ「メガテン5」のストーリーについては深く明かされてはいないが、明確なハッピーエンドというものを迎える作品は少なく、また“自身が望む理想の世界”のために、犠牲を伴い続ける。そんなダークな物語が繰り広げられることが多いのが、「メガテン」シリーズだ。

いきなり魔界化してしまった東京を、ナホビノとして進む

「メガテン5」では、東京で普通の学生として過ごしていた主人公(名前変更可能)が、突如異世界「ダアト」に飛ばされ、世界に何が起こったのかを探っていくことになる。

ダアトで悪魔に襲われた主人公は、謎の存在「アオガミ」と融合して「ナホビノ」と呼ばれる存在へと姿を変えて戦う力を手に入れ、異界と化した東京で、様々な悪魔たちと出会ってゆく。

ゲーム序盤で出会った協力者は、骸の隠れ家の主「ギュスターヴ」や、悪魔合体をしてくれる邪教の世界の主「ソピアー」。どちらも、ゲーム序盤から終盤までお世話になることが予想される。

また、ピクシーを仲魔に勧誘するイベントなども発生する。この時は時間もなかったため、無難に仲魔にできそうな選択肢を選んでしまったが、選択肢次第ではここでピクシーを仲魔にできないこともあるのか、気になるところだ。

過去作品ではことごとく勧誘に失敗し続けて、死のループに入ることもあったのだが……。

ちなみにこのピクシーの勧誘はかなり難易度が低く設定されていると思われるが、これ以降に出会う悪魔はもう何の容赦もなく、会話の流れをミスれば勧誘に失敗する。勧誘に失敗するとそのまま敵に攻撃されてしまうので、注意してほしい。

他にも、現時点ではまだ正体がわからない、和装少女のような悪魔にも遭遇。この時は仲魔にはならなかったが、この先もストーリーで会いそうな雰囲気がある。一瞬のイベントだったが、今後どのように絡んでくるのか楽しみだ。

ダッシュやジャンプなど、アクション要素が登場

「メガテン5」では、3Dマップをダッシュ、ジャンプなどを使って進んでいく。これまでのナンバリング作品よりもアクション性が高くなったように感じるが、ジャンプはマップのちょっとした段差を飛び越えたりする程度。

左下のミニマップに「登はんマーカー」があるところでは、大ジャンプをしてくれる。

操作感として近いのは「ペルソナ5」で、簡単な操作でカッコいいアクションを見せてくれるくらいのものだと思っておけば良さそうだ。

高速ダッシュはZLボタンかZRボタンを押しながらでも可能だが、ZLとZRの同時押しをすると高速ダッシュをキープしてくれる。だが高速ダッシュは小回りが利きにくいので、障害物が多い箇所ではキープ状態を保つよりも随時切り替えたほうが良さそうだ。

シンボルエンカウント方式は、前作と同様。敵のシンボルにただ体当たりすると攻撃ターンの先手を取れるとは限らないが、剣で斬りつけてバトルに入るとほぼ先行を取れる。前作よりも全体的にアクションの要素が強くなったため、先行して斬りつけやすく、また敵に気付かれても戦闘を回避しやすくなった。

坂道では自動で滑り降りてくれたりするなど、全体的にスピード感が上がりつつ、操作性は「RPG」というジャンルから逸脱することなく遊べるので、多くの人が楽しめる手触りだろう。

また、マップには自動販売機など調べられる箇所もあれば、宝箱などがあることも。こういった何かあるポイントは大抵ミニマップに記されているが、オプションでミニマップやUIなどを非表示にすることなども可能なので、探索性を強くしたい場合はあえてミニマップを非表示にして遊んでみるのもオススメだ。

バトルは、敵の弱点を突いて行動回数を増やすプレスターンバトル

戦闘システムは、“自軍に有利な行動をすると行動回数が増え、敵の有利な行動をすると行動回数が減る”という、「プレスターンバトル」を本作でも採用している。とは言っても、プレスターンバトルで行動回数が増えるのは、1キャラクターにつき1回まで。例えば火が弱点の敵に主人公が火属性の「アギ」で攻撃し続けても、攻撃回数は最大2回までとなり、無限に一方的に攻撃できるわけではない。

パーティは最大で主人公と3体の仲魔という4名で行動するため、4名全員が弱点を突ければ、行動回数は最大で1ターンで8回となる。このプレスターンバトルは敵にも適用されるため、敵に弱点属性で攻撃されると敵の行動回数が増えて一気に壊滅してしまうという、緊迫感のあるバトルが交わされる。

有利不利というのは弱点属性に限った話ではなく、例えば敵の攻撃を回避することが出来れば敵の行動回数が減ったりという、様々な行動がプレスターンバトルに影響する。

そのため敵の攻撃を回避しやすくなるように命中率を下げる魔法を使用したり、物理攻撃を反射する魔法など、様々な補助効果も駆使してバトルを進めていくこととなる。弱点はある程度狙って突けるものの、クリティカルの有無や回避など運に左右されるところもあるのが、プレスターンバトルの面白さだ。

主人公は初期状態では衝撃属性と呪殺属性に弱く、
電撃属性が無効、破魔に耐性があるが、この属性は変更可能(※詳細は後述)。

また、回復も非常に重要。本作ではバトル終了後もHP/MPは回復しないため、バトルが終了するごとに必ず回復しておくくらいのつもりでいたほうが良い。通常のマップであればRボタンひとつでオート回復が出来て、現在使用可能な回復手段でHPを回復してくれるので、活用していこう。

また本作に登場する「マガツヒスキル」は、バトル画面右上の「マガツヒゲージ」が貯まった時にだけ出せる特殊な技。今回の試遊で使えたのはターン中全ての攻撃がクリティカルになる効果を付与する技だけだったが、今後様々なものが増えていくと思われる。このマガツヒゲージは、バトル中の行動によって上昇していき、バトル以外にも、フィールドに落ちているマガツヒの結晶を拾うことでも上昇していくようだ。また、敵の悪魔も自軍のマガツヒを溜める行動を取ることがあるので、油断ができない。

マガツヒは「メガテンIII」以来、久しぶりの登場。

バトルの難易度は変更可能で、今回の試遊範囲で選べたのは「Normal」と「Casual」の2つだった。筆者はNormalで遊んでいたが、序盤ですら容赦なく全滅を食らってしまった。回復をおろそかにしていたせいではあったが、Normalの手応えは歴代「メガテン」シリーズとほぼ変わらないようだ。

「メガテン」シリーズのバトル難易度はかなり高めなので、ストーリーをメインに楽しみたい人はCasualにするといいだろう。

「Option」では、様々な項目を設定できる。好みで色々カスタマイズしよう。

オートバトルのオンオフはXボタンでバトル中ほぼいつでも切り替えられるが、オートバトルで出してくれる攻撃は「アタック」のみ。属性攻撃などはオートバトルでは出せないうえに、物理反射の敵が出てきた場合アタックでは反射されてしまい全滅することもあるので、注意してほしい。

序盤で物理反射を持った敵は登場しないことが多いが、だからこそ油断していた頃にくるのが物理反射。

悪魔との合体や主人公の強化もできる「邪教の世界」

悪魔合体を行う場は、「邪教の館」から「邪教の世界」へとリニューアル。ここでは、仲魔の悪魔同士を合体させて新たな悪魔を作ることが出来る。

悪魔合体は、「メガテン」シリーズのなかで一番の楽しみとも言える要素。基本的には悪魔2体を使って1体の悪魔を作ることが多く、合体で生まれる悪魔は合体元の悪魔からスキルを引き継げたり、合体でしか手に入れられない悪魔もいる。また、強力な悪魔を作成できる「特殊合体」は、3体以上の仲魔で作成することが多い。

難易度Casualではある程度手持ちの悪魔でゴリ押しも可能になっていることが多いが、Normal以上の場合はボスの攻撃に耐性がありつつボスの弱点属性で攻撃できる仲魔が必要になることもある。

極端ではあるが、特大威力の万能属性魔法「メギドラオン」持ちのピクシーなども作成可能。

また、現在の仲魔から作成可能な悪魔を逆引きする機能もあり、持っていない悪魔なども一目でわかるようになっている。一度作成した悪魔や勧誘に成功した悪魔は悪魔全書に登録され、マッカで呼び出せることが出来るので、まずは未登録の悪魔を優先的に作成していくといいだろう。

もちろん(?)合体事故もあり、月齢によって合体事故の発生確率も変わる。合体事故を起こしたい場合、起こしたくない場合、どちらも月齢を確認してから合体を行うようにしよう。

他に試遊にて確認できたのは、「御厳(みいつ)」という専用ポイントを使って主人公を強化する「神魔の儀」なる新要素。御厳は各エリアで一定の条件を満たすと入手できる模様で、最初のポイントはチュートリアル的にギュスターヴからの依頼を達成することでもらえたが、全ての御厳ポイントを取得するためには様々な要素を巡らなければならなさそうだ。

御厳を消費して覚えられる「神意(かむい)」は、戦闘中に効果を発揮するものから、フィールドで効果を発揮するもの、主人公の攻撃補正や仲魔に影響をするものまで様々なものがあるので、自身のプレイスタイルに応じてどれから取得していくか決めていくと良いだろう。

さらに本作では、「写せ身」というアイテムを使用しての「写せ身合体」も行える。写せ身とは悪魔の能力を写した素材アイテムで、写せ身を使って主人公や仲魔のスキルを変更することができる。条件を満たせば、主人公の耐性を変更することもできるようだ。

全体的な手触りは、凄く良い

短い試遊時間だったこともあり、序盤のチュートリアル的な要素の部分しか遊べなかったのだが、「メガテン4(F)」は3DSという携帯機ならではの作品だったのに対して、「メガテン5」はスタイリッシュなアクションを取り入れているのが一番新鮮だった。

序盤でも触れたが、操作の感覚は「ペルソナ5」に非常に近く、主人公の移動速度、ジャンプ、敵シンボルを斬りつける気持ち良さは、歴代シリーズ随一だ。特に敵シンボルとの距離感、主人公が振るう剣の長さ、ヒット判定などは、プレイヤーがほぼ想像している通りの動きを見せてくれるだろう。スピード感は上げつつ、アクションが苦手な人も気持ち良く遊べるRPG、というバランス感は素晴らしい。

バトルの難易度は、充分「メガテン」らしいやり応えのあるバトルを序盤から楽しめた。なお、全滅したら直前に戻る……なんていう優しさはない。最後にセーブした時点まで戻されるので、きちんと覚悟をして挑んでほしい。筆者はスライム相手にさっくり全滅したが、それでも最初にほぼ確定でピクシーを仲魔にさせてくれるだけ、本作にはわずかながら優しさを垣間見ることが出来た。

今回は基本的にほぼ全てのシーンで3DCGで描かれたキャラクターがそのまま使用されているため物語に統一感があり、悪魔のスキル演出なども非常に演出が豊かになっている。バトルが中心とも言えるゲームだけに、様々な部分で飽きさせない工夫が凝らされていそうだ。

また、本作でもカッコいいロックがバトルを盛り上げてくれる。異質さを表現しているかのような歪んだ音が印象的なBGMは、思わず聞き入ってしまう。ノーマルバトルの曲ですら、ボスバトルの時のような盛り上がりがある。

この先どのような物語が展開していくのか、発売が待ち遠しい。

※画面は開発中のものです。

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