バンダイナムコエンターテインメントが10月14日に発売を予定しているPS4/PC(Steam)用ソフト「アイドルマスター スターリットシーズン」。東京ゲームショウ2021 オンラインの開催に併せて、プロデューサーにインタビューする機会を得た。
「アイドルマスター スターリットシーズン」は、「アイドルマスター」シリーズ4ブランド合同のユニットが登場し、新たな大型アイドルイベント「スターリットシーズン」に臨むアイドルプロジェクトプロデュースゲーム。
いよいよ発売を間近に迎えた本作の魅力や開発のこだわりを、「アイドルマスター」総合プロデューサーの坂上陽三氏、「アイドルマスター スターリットシーズン」プロデューサーの久多良木勇人氏に伺った。
新たに登場する心白と亜夜は、対比を意識したアイドルに
――まずは発売を間近に控えての心境をお聞かせください。
久多良木氏:本当に長期の開発プロジェクトではありましたが、関わっている開発の方々、宣伝・営業・各種展開に携わった方々に、本当に感謝を申し上げたいと思っております。率直に言うとマスターアップも先日終わってとても安堵しておりまして、自分も発売を楽しみにしているという状況です。
坂上氏:みなさんをお待たせした分、良い作品になっていますので、ぜひ楽しんで遊んでいただきたいと思います。
――PS4向けでリリースした過去2作を経て、どのような点を強化して取り組んでいるのでしょうか?
久多良木氏:過去2作とはコンセプトが大きく異なるゲームとなっております。アイドルが765プロオールスターズだけでなく、「シンデレラガールズ」「ミリオンライブ!」「シャイニーカラーズ」という3つのブランドのアイドルたちも登場し、29名をプロデュースするアイドルプロジェクトプロデュースゲームという立て付けになっています。
今回、ゲーム内の約一年をを一日一日ずつプロデュースしてもらうというゲームになっていまして、そこで数多くのアイドルに触れ合ってもらうことになります。過去作は1対1でアイドルと向き合うというものだったのですが、今作では多人数のプロジェクトをプロデュースするというゲーム性を主としています。
ライブの部分は直近の「プラチナスターズ」「ステラステージ」とはゲーム性を変えていまして、評価の良かった「アイドルマスター ワンフォーオール」という過去作のプロデュースゲームのシステムを継承・進化させることを目指してやってきました。
――ブランドの垣根を越えたアイドルたちが登場するということで、なかなか異なるブランドのアイドルのやり取りが想像しづらいところもあると思うのですが、描き方として意識している点はありますか?
久多良木氏:そういう意味で言うと、事務所をまたぐアイドル同士の掛け合いをなるべくたくさん入れようと思って開発を進めてきました。今までゲームとしては見ることの出来なかった、「シンデレラガールズ」の子が「シャイニーカラーズ」の子に呼びかけるといったようなやりとりが多くなるよう意識して入れています。
人数が多いので、なかなか一人ひとりにスポットが当たらないかともしかしたら心配になる方もいるかと思いますが、今回はコミュと呼ばれるシナリオのボリュームを膨大に収録していますのでそんなことは無く、開発チーム全体がアイドル一人ひとりとしっかり向き合って開発を進めてきたということはお伝えしておきたいです。
――その上で、今回は新たに奥空心白(おくぞらこはく)と亜夜(あや)が登場しますが、どういった立ち位置のアイドルになるのでしょうか?
久多良木氏:各ブランドから集まる本格的なプロデュースゲームというだけでプロデューサーさんにはインパクトのある内容としてお届けできるかとは考えていたのですが、今回新アイドルを登場させるというのは坂上とも話して決めていきました。
心白は天才肌の子で、見たものは何でもすぐにできるというところがあり、亜夜は実力はあるものの、努力派の秀才というタイプの子になっています。性格や見た目なども含めて、対比を意識して設定を作り上げました。
亜夜は過去作に登場した961プロの玲音(れおん)・詩花(しいか)とともにユニット「ディアマント」を組むことになりますが、ライバルユニットが3人になるのは熱い!というという話の発端から、発展して今のかたちになっていきました。
坂上氏:あとは今回がグループプロデュースということで、各ブランドから集まってきた中でキーマンとなるのが心白で、物語においても重要な役割を担ってきます。ある意味、「アイドルマスター」の中で初めて出てくるキャラクターで、周りの子たちをまるで知らない子というポジションなので、「アイドルマスター」を全く遊んでいないという方にとっては心白の目線は重要なものになるのではないかと考えています。
――亜夜を発表する際、ディアマントでの「オーバーマスター」のMVが流れて盛り上がった方も多いのではないかと思うのですが、そういった反応を見ての感想はいかがでしたか?
坂上氏:もう感慨深いですよね(笑)。やはりここは「オーバーマスター」でないと、というのはありました。まさにライバルとして登場した時に、改めて961プロがライバルだということをまじまじと感じてもらうという意味でも、プロデューサーのみなさんに伝わったのが嬉しかったです。
より臨場感を感じられるライブシーンやプロデュースの風景
――ライブシーンの表現に関して、グラフィックのポイントをお聞かせください。
久多良木氏:今作ではゲームのエンジンにUnreal Engineを採用していて、そこに各ブランドが登場する際にどのようなビジュアルの方向性であればいいだろうというところを模索した結果、今に至ります。
方向性としては劇場アニメのようなものが一つありましたが、キャラクターに関してはセルルックのアニメ調のものをより突き詰めていって、背景に関してはより光や空気感を表現していき、その二つを組み合わせたような表現にすることで、アイドルの情感あふれるパフォーマンスをお伝えできたら良いなと思って作っていきました。
――実際の映像を見ると本当にキラキラしている感じで、ライティングが素晴らしいなと思いました。あとはアイドルたちの動きがより自然な感じになっている印象を受けたのですが、このあたりの表現はいかがでしょうか?
久多良木氏:動きに関しては、アイドルたちがたくさんいる中で今回初めて3Dになる子もいるので、開発メンバーのほうで設定を研究して、新たにモーションを撮影して動きをつけていったというところはあります。
今回は各ブランドを代表する曲も楽しめますし、あとは新曲では振り付けも新たに用意しているので、そういったところでもし新鮮さを感じていただけたら嬉しく思います。
ステージに関してはカメラワークを大きく変えていて、今まではアイドルのかわいい顔が常に映るようなものだったのですが、今回はアイドルのミュージックビデオのようにいろいろなカットを試しています。足や腰だけ、後ろからといったカットの切り替えも開発チームのほうでこだわっています。
――システムとしてはプロデュースの過程もポイントになってくるとは思いますが、遊ぶ側にとってどういったサイクルで楽しめるのか、どういう点に注力したかについてお聞かせください。
久多良木氏:冒頭でもお話した通り、今回は1対1ではなく大人数のアイドルを一度にプロデュースするというところが一番のポイントになりますので、1日1日進めていってより多くのアイドルを同時にプロデュースするということに対して頭を使っていく、そういった新しいプロデュースの遊びを提供できたらいいなと思っています。
でも1対1のふれあいが無いかと言うと別にそんなことはなく、そこも「アイドルマスター」には必要だろうということで、主ではないもののきちんと入れることにしました。
――体験版や配信番組でのプレイでもアイドル間のやり取りを見ることができましたが、その位置取りとかも含めてまさに事務所にいるかのような、プロデュースの風景として描かれている印象を受けました。
久多良木氏:今回はメインストーリーをプレイする時間が長いこともあり、まずはシナリオありきで開発メンバーがそのシーンをベストに表現できるアイドルの配置や演技付けをしてくれている感じです。
坂上氏:臨場感を考えて、演出をしっかりと組み立てた上で入れていったというのが大きいかもしれないですね。プロデューサーがその場にいる感覚は今までも考えてはいたのですが、今回はお話が前提としてある中で各シチュエーションが突き詰められていると思います。
「スターリットシーズン」はシリーズの今後に向けたひとつの試金石に
――プロデューサーの方々からは、各ブランドの登場していないアイドルを見たいという声はあるとは思いますが、今後もこういうかたちでいろんなアイドルたちを3Dで表現することにチャレンジしたいという展望はありますか?
坂上氏:久多良木も発表の場でよく伝えているのですが、今回はあくまで「スターリットシーズン」という設定の中で今作のメンバーが選抜されています。そういう意味ではまた違うユニットみたいなものを作った時に、どういうメンバーでやったら面白いんだろうというのは考えるので、そういう可能性は当然未来としてあると思います。
――開発期間が長期化していく中で、一番苦労された点はありますか?
久多良木氏:ユーザー様にきちんと良い品質のものを届けようということが近年は特に弊社内で大きな方針としてよく話されており、坂上にも重要なポイントで何度も判断したり相談させてもらいました。関係者も巻き込んでクオリティアップのために取り組んできたということが結果的にお待たせしてしまった原因になります。
昨今の情勢もあって開発体制を円滑に進めるのにも難航した部分もあり、何よりもプレイしていただけたら分かると思うのですが、今回は各アイドルをアイドルたらしめるシナリオに関わる部分がものすごいボリュームになってしまいました。しかもアイドルはフルボイスということで、そういう一つ一つをより良くしようと取り組んでいった結果でもあります。
ゲーム性のところも決して作業感があったり難易度がいたずらに高すぎるという風にはゲーム本編ではしないように気をつけていて、本当に程よいバランスで幅広いプロデューサーさんが楽しんでいただけるゲームにはなっているかと思います。
――ちなみにプレイ時間はどのぐらいになるのでしょうか?
久多良木氏:今回は1周プレイするのに70時間、やりこみ要素も含めると100時間を超えるのではないかと思います。
坂上氏:29人のアイドルがいて物語があり、その上で久多良木が話している通り、物語が中心になった結果としてアイドル1人ずつが物語の犠牲になっているわけではありません。1人ずつのプロデュース体験をプロデューサーの方々が感じられるようにした結果、膨大な量が必要になってきました。
――なるほど。70時間のインパクトに驚かされました(笑)。
坂上氏:そういう意味では、今回はお話の中に起承転結が入っているので、RPGみたいな感じでイメージしていただくと良いのかもしれません。アニメで言うと1話、2話、3話……みたいな展開で物語が進んでいくことを意識している感じです。
――シリーズにとって、本作はどういう意味合いを持つタイトルになっているのでしょうか?
坂上氏:「アイドルマスター」が15周年を迎えて、今年が16周年目ということで、今後「アイドルマスター」が次の20周年、そしてその先にと考えた時に、ひとつの試金石になるタイトルのつもりで作っています。
今までの「アイドルマスター」は育成シミュレーションのかたちをとっていましたが、本作ではきっちりと物語の体制としてやっています。それがプロデューサーのみなさんに遊んでいただいてどう思うのかを含めて、今後続くであろう「アイドルマスター」のゲームに対するひとつのスタートになっていくと思っています。
久多良木氏:坂上が話したことを前提として、周年であるか否かではなく、「アイドルマスター」の家庭用ゲームの新作としてどういうかたちであるべきかを考えて作ってきましたし、「アイドルマスター」って765プロ以外にも素敵なアイドルたちがたくさんいるので、このゲームで触れていただいた方がいたら、ぜひこのゲームを機にほかのブランドにも興味を持ってもらって、色々遊んでもらえれば嬉しいなと思います。
――最後に、プロデューサーの方々に向けてメッセージをお願いします。
久多良木氏:本当に大変長らくお待たせしました。ようやく皆様にゲームをプレイしていただけるということでぜひお楽しみください。このゲームはほかのブランドタイトルを遊んでいる方、「アイドルマスター」に初めて触れる方にも楽しんでいただきたいと思って作ってきましたので、多くのアイドルたちの魅力を感じていただいて、楽しんでいただけたら何よりです。引き続きプロデュースよろしくお願いします。
坂上氏:大変お待たせしましたが、それだけに良い作品になったと思います。ぜひ「スターリットシーズン」を楽しんでいただいて、これからの「アイドルマスター」を盛り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
――ありがとうございました。
(C)窪岡俊之 (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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