2022年2月4日に発売予定のPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用ソフト「ダイイングライト2 ステイ ヒューマン」の先行プレイレポートをお届けする。

目次
  1. 大幅に進化したパルクールアクションで、ゾンビうごめく街を疾走!
  2. 夜間の探索は前作と違い、メリットも多いものに
  3. 対立する3つの勢力との関係が変わると、ストーリー・ゲームプレイも大きく変化!
  4. あらゆる「選択」とそれに伴う「結果」が、世界の変化に大きく影響を及ぼす

「ダイイングライト2 ステイ ヒューマン」は、前作「ダイイングライト」の20年後を舞台とした、主観視点のオープンワールドアクションRPG。パンデミックで多くの人々がゾンビと化した直後だった前作からはさまざまな状況が変化しており、主人公は地域の自治を巡って対立する3つの勢力と協力、あるいは対立しながら、サバイバルしていくことになる。

今回はローカライズと、PS5/PS4版の国内販売を担当するスパイク・チュンソフトにて行われた体験会に参加。開発中のゲームで、序盤に訪れる2つの街でのゲームプレイを、約4時間にわたって体験することができた。主にプレイしたのはPC版だがPS4版もプレイでき、両者のプレイフィールを比較することも可能となっていた。

なお、筆者は前作をプレイしていない。しかし、作品世界は地続きであるものの、前作を知らなくても問題ないストーリーとなっていたこともあり、本作を予想以上に楽しんでプレイすることができた。

そのゲームプレイは、実に刺激的なものだった。この刺激の根源にあったのは、あらゆる「選択と結果」がその後のゲームプレイや作品世界に及ぼす影響の大きさにあり、それが何を指しているのかは、この文章を読み進めていくことで、分かっていただけるのではないかと思う。オープンワールドのゲームが好きで、ゾンビに抵抗がなければ、ぜひ気に留めておいてほしい作品と言えるだろう。本作の魅力の一端が、多くのゲーマーに伝われば幸いだ。

大幅に進化したパルクールアクションで、ゾンビうごめく街を疾走!

主人公は生き別れになった妹を探す男性・エイデン。ゾンビと化してしまうウイルスが蔓延する中、その感染度を示すバイオマーカーを持たないエイデンは危険因子として殺されかけたところを助けられ、人々の信用を得るために行動していくことになる。世界には大量のゾンビが跋扈しており、人々を律する法もなくなっているため、無法者や、敵対する者に危害を加えようとする人間と戦う必要が生じることも。

満足な装備が残っていないこの世界において、戦う手段は主に近接攻撃となる。この近接攻撃による戦闘は手応え抜群。主観視点による臨場感も相まって、敵を刃物で切り裂き、鈍器で殴って息の根を止めることによる残虐な喜びが湧き上がってくる(ちなみにゾンビ、人間ともに四肢や首といった部位の切断・欠損は海外版と同様の形で表現されており、CERO Zとして発売が確定している)。

特殊な進化を遂げたゾンビや賢い人間を相手にする場合は、ガードやサイドステップも有効。戦闘のシステムとプレイフィールだけを取っても、アクションゲームとしてかなりハイレベルだ。

とはいえゾンビたちはあまりに数が多く、多勢に無勢。武器には耐久値が設けられているため、すべてを倒そうと思ったら、手持ちの武器はひとつ残らず壊れてしまうだろう。あくまで戦闘行為は、目的を遂行するための手段のひとつと考えるべきだ。

ストーリーの要請に応じて目的地へと向かい、自分自身や肩入れする勢力がよりよく生きてゆくための、さまざまなミッションに挑戦。そこでの結果に応じて、また新たなミッションに挑戦することとなる――というのが、このゲームの基本的な流れとなっている。

このように書くと、多くのオープンワールド作品と代わり映えのしない仕様のように感じられるかもしれないが、ユニークなのはここからだ。本作はプレイヤーの主体的な「選択」に対し、相応の「結果」がもたらされるというゲームデザインが、大小さまざまなレイヤーで徹底されている。同じゲームをプレイしていても、過程も、それに伴う結果も、プレイヤーによって大きく異なってくる可能性が高いのだ。

たとえば目的地への到達方法ひとつ取っても、いくつもの「選択」が待っている。昼間ならば街中をさまよっているゾンビたちはさほどの脅威ではないので、彼らの間を潜り抜けて最短距離で行動することもできる。より安全な方法を取りたいなら、ゾンビたちがほとんどいない建物の屋根から屋根へと渡り歩けば、少し遠回りになってもより安全に行動できるはずだ。

高所や入り組んだ地形をスムーズに移動するために導入されている“パルクールアクション”は前作より大幅にパワーアップ。アニメーションの数は前作が200種類程度だったものが、数千種類になっているという。最初のうちはジャンプできる飛距離を見誤り、地上に落ちてダメージを受けることもあったが、コツを掴んで上達する楽しさは大きく、移動可能なルートを見つけ出し、道なき道を突き進めるようになったときの爽快感は、やみつきになるほどのものだった。

夜間の探索は前作と違い、メリットも多いものに

夜はゾンビたちの行動が活発化する時間帯。前作では夜に動き回るのは大きな困難と恐怖を伴う行為だったようだが、本作ではデメリットと同時にメリットも多いものとなっている。昼間は空き家の中に閉じこもっているゾンビたちが、夜間は外を徘徊するようになる――これによって、建物の中はほとんどもぬけの殻となり、探索が容易になるのだ。目的地への移動だけなら昼間のほうが難易度は下がる。だが、ゾンビの住処となっている建物の内部を探索する必要があるならば、行動するのは夜間を狙ったほうがいいだろう。

加えて夜間は主人公のウイルス感染の進行を食い止めるため、ときどき紫外線を含む特殊なライトを浴びる必要がある。人間のテリトリーならばこのライトはいろいろな場所に設置されているが、ゾンビのテリトリーはこれがほとんどないので、そういった意味でも夜間はいっそう迅速な行動が求められる。昼夜は、拠点のベッドで眠ることで、いつでも入れ替えることができた。

探索の中で手に入れたものは、素材として回復アイテムや投げナイフなど使い捨て武器の生成に使えたり、衣類が手に入れば、いま着ている服から着替えることもできる。お金が手に入ったら、勢力の拠点にいるベンダーが持っているアイテムとの交換も可能だ。ミッションをくり返すことで増えていくポイントを消費すれば、戦闘・探索それぞれで役立つスキルを新たに覚えることもできる。これらによって危険に備えることができるあたりが、本作が純粋なアクションではなくアクションRPGたる所以だろう。

昼夜の行動時間の選択に、それに応じた事前準備。パルクールアクションを駆使したルート選択や、思わぬ敵と遭遇したときに取り得る戦略。プレイヤーは常に多くの選択肢の中から、自分のプレイスタイルを選び取ることを求められる。パンデミック後の、「何をするにも危険と隣り合わせ」の世界だからこそ伴う「選択の重さ」が、「ゲームならではの手応え」に繋がっていると言えるだろう。

対立する3つの勢力との関係が変わると、ストーリー・ゲームプレイも大きく変化!

選択の結果はストーリーにも影響を及ぼし、これがフィードバックされることで、ゲームプレイのバリエーションはさらに幅の広いものになっていく。

ストーリーの中で、プレイヤーはふたつの勢力、“サバイバー”と“ピースキーパー”のいずれに協力的に振る舞うかの選択を迫られる。彼らとの会話では時折選択肢が表示され、返答次第では協力的/非協力的の判断を下されることになり、彼らの主人公への態度も変わっていくようだ。そうした選択を積み重ねる中で、ストーリーも分岐。そして街の重要な施設を開放したときは、どちらの勢力に明け渡すかの選択を迫られることになる。

施設を明け渡す勢力によって、地域全体の勢力図が変化。これによって街の景観も変わっていき、ゲームプレイにさらなる選択肢をもたらすギミックが、街中のいたるところに配置されるようになるのだ。今回のプレイでは街のいたるところにトランポリンが設置され、パルクールによる移動がより楽しくて快適なものに変わった。““サバイバー”に協力すれば移動・パルクールに関わるギミックが、“ピースキーパー”に協力すれば戦闘に関わるギミックが増えていくようだ。もちろん、ふたつの勢力の均衡をある程度保ちつつ、ゲームを進めることも可能となっている。

いずれの勢力も、とくに中心人物たちには個性的な人格が設定されており、会話の中ではそれぞれのバックボーンが垣間見えることもある。彼らを結果的に裏切ることになる局面もあるため、ゲームとしてのメリット/デメリットでは割り切れない判断を迫られることもあった。その葛藤は苦しくも、自分がこの作品世界で生きているのだという深い実感にも繋がっていた。

体験会の後半でプレイしたふたつ目の街では、新たにパラグライダーの操作を体験することもできた。これにより、人間の身体能力では飛び移ることの不可能な、距離の離れた建物から建物へと移動することが可能に。上昇気流が吹いている場所の上を通れば、パラグライダーは大きく飛び上がり、より長い距離を滑空することもできた。これ以降のゲームプレイは、さらに爽快で、ダイナミックなものになっていくのだろう。

協力する勢力によって変化するフィールドのギミックに、新たに入手する移動手段。これらに加えて、新たな武器を入手する機会もあるだろうし、スキルの習得もある。「ダイイングライト2」のゲームプレイはストーリーが進展するたびに、より多様なものになっていくのだということが分かった。

そしてますます増えるゲームプレイにおける選択肢は、ストーリー上の次なる分岐点で、どんな選択を下すべきかという判断にも繋がってくる。そうした大小さまざまな「選択」は最終的に、どちらかの勢力との修復しようのない決裂や、ひょっとしたら親しくしていた人物の死にさえも繋がるかもしれない。

あらゆる「選択」とそれに伴う「結果」が、世界の変化に大きく影響を及ぼす

ゲームをプレイしたあとに行われた、リモートによる開発者とのQ&Aで挙がったトピックも交え、ここまでに書いていなかった要素についても付け加えておこう。

まずPS4版についてだが、推奨スペックのPCでプレイしたバージョンと比べ、グラフィック、フレームレート共に見劣りはするものの、アクションの気持ちいい手触りに関してはなんら遜色なかった。残虐表現についても同様だ。PS5、Xbox Series X|Sといった次世代機版での映像表現にも、期待がかかる。

2~4人での協力プレイでは、ホストとなったプレイヤーの世界に入り込み、その世界でのストーリーの攻略を手伝う形になるとのこと。ここでのプレイが、ホスト以外のプレイヤーの世界へと反映されることはないものの、「自分が選ばなかった選択」を経て変化していった世界を知れるのは、好奇心を刺激してくれそうだ。

オープンワールドのマップサイズは前作のおよそ2倍となっているうえに、高低による階層が大幅に増加。よりいっそう探索しがいのある世界になっているという。

全体的に前作と比べてホラー色は薄まり、その代わりにアクション面、ストーリー面共に、多彩な表情を見せる方向へと進化を遂げているという「ダイイングライト2 ステイ ヒューマン」。あらゆる「選択」とそれに伴う「結果」が世界の変化に大きく影響を及ぼし、それが次なるゲームプレイの変化にも繋がるというゲームデザインは、能動的に作品世界へと介入できるゲームを好むコアなゲーマーほど、やりがいを感じられるのではないかと思う。本作に心惹かれた方は、2022年2月4日の発売を、楽しみに待っていてほしい。

※画面は開発中のものです。

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