日本ファルコムが2021年9月30日に発売したPS4用ソフト「英雄伝説 黎の軌跡」。2021年12月中旬、本作をクリアした編集・ライターの2人がその魅力を語り合った。
※「黎の軌跡」や「軌跡」シリーズや関するネタバレを多少含んでいるのでご注意ください。
過去の対談シリーズもチェック!
多彩な共和国の街並みや文化を語り尽くす
TOKEN:恒例となってきた「軌跡」シリーズの編集・ライター対談、今回は「黎の軌跡」の対談ですけれど、アサミさんは「創の軌跡」から「黎の軌跡」の間で、「閃の軌跡」4部作を全部プレイしたんですよね。
アサミリナ(以下、アサミ):ふっふっふっ。そうなんです。私は「閃の軌跡」4部作を全部飛ばして「創の軌跡」を遊んだんですが、「創の軌跡」が面白かったこともあって、これはやはり「閃の軌跡」をやらなければならない、と……。
TOKEN:確か半年くらいで4本完走していましたよね?
アサミ:半年かかってないけれど、ほぼ半年、くらいです。「創の軌跡」をプレイし終えたすぐ後くらいから1作目をプレイし始めて……仕事も仕事なので新作ゲームとかも色々間に挟みながら遊んでいましたけれど、それ以外は隙間なく「閃の軌跡」をひたすらやり続けるという(笑)。
TOKEN:「アサミさんすげぇ」という気持ちで眺めてましたもん(笑)。ハイスピードモードとかもあったとは言え、合計のプレイ時間は200時間くらいですか? 僕は特に「閃の軌跡III」と「閃の軌跡IV」は、当時で1本あたり100時間超えたような覚えがあるんですけれど。
アサミ:正確なプレイ時間は覚えていないですけれど、ハイスピードモードでも大体一作品で65~70時間くらいかかっていたと思います。ボイス部分が膨大なので、移動とかがハイスピードになっても結構時間かかりましたね。
TOKEN:それだけのボリュームのゲームを半年で4本全部遊ぶって、本当にすごい(笑)。
アサミ:愛の為せる業ですよ……。1年半前くらいに行った「碧の軌跡改」の対談の頃には「『創の軌跡』で気になったら、覚悟決めて『閃の軌跡』やります~」とか言っていたのが懐かしいレベルですね! 「創の軌跡」とかでかなりネタバレを知っていた割に、それでも驚かされるところも多くて、面白かったです。「那由多の軌跡」も改で遊べたので、これでいよいよ全部の「軌跡」を遊んだって胸を張れます!
TOKEN:「創の軌跡」から「閃の軌跡」を挟んで「黎の軌跡」にいくという人は多分珍しいんじゃないかと思うのですが、システム的にはこの3作品を通してどうでしたか?
アサミ:「創の軌跡」が「閃の軌跡」の延長上というか、「閃の軌跡」の完成形のような形だったので、「閃の軌跡」自体はすごく遊びやすかったです。なので最初は「黎の軌跡」も「閃の軌跡」や「創の軌跡」の延長線上のものだと思っていたんですが、全然違うシステムで驚きました。
TOKEN:今回からエンジンを新しくしていますが、それはどちらかというとグラフィックの向上のほうで、全体的なシステムはアイディアの部分でこれまでとは全く違う観点から作られている感じがしますよね。再構築というよりも、一回立ち止まって最初から組み直したのかなと。
アサミ:バトルとか、まさにそれでした。私今回の一番の推し部分は、バトルなので……。
TOKEN:お、そうなんですか。てっきりアサミさんはキャラクターだとばかり(笑)。ではそれはまた後で改めてゆっくり語ってもらうとして。今回からは新たに共和国が舞台となり、シリーズの中でも初めて描かれる街でしたが……かなりあちこちで特徴がありましたよね。主な舞台となる首都イーディスでも内部がかなり作りこまれていて、首都の機能として色んな公的施設があって人通りがあって、みたいな部分がすごく描かれていたかな、と。
アサミ:本作の街作りの特徴としては、個人的には高低差のところを挙げたいです!
TOKEN:確かに、これまでのシリーズでも全くなかったわけではないですけれど、今回からかなり複雑になりましたよね。
アサミ:そうなんですよ。今回はそれを活かしたマップ作りが出来ていたと感じますし、そこからいい感じに街とかでもリアリティを産み出せていたように思いました。
TOKEN:黒芒街とかは入り組んでいて、かなり迷いました(笑)。
アサミ:黒芒街はマーカーの場所にたどり着けない、あるあるですね。本当に何気ないところですけれど、これまでの「軌跡」シリーズにはない作りで、結構感心した部分だったんですよね。上から目線で、すみませんけれど(笑)。
TOKEN:探索する部分って、ちょっと不便があったほうが楽しいですよね。僕はサルバッドで大きな砂漠のエリアがあった時も、高低差とは違いますけどそういう楽しさを感じました。あそこは意図的に移動制限があって、最初からあの広大なエリアを「さあ、どうぞ」とするんじゃないところとか。
アサミ:私はああいうエリアって、入った時にマップや宝箱を全部埋めたくなるんですよ(笑)。でも、広大なマップをひたすら埋め尽くした後にストーリーでまた来ると、とても損した気持ちになるっていう面倒なタイプなので、ああやって移動制限があると一時的に「行けないのか」と舌打ちはするものの、最終的に“損”の部分を感じずにいられて良かったです。
TOKEN:プレイヤーにとってもいい塩梅だったかな、と。今回、移動の手段が車と地下鉄のほぼ二択なのも、シンプルですが良かったです。ああいうゲームは移動手段はいくらでも作ろうと思えば作れるのにあえてそのふたつに絞ったことで、印象的になったと思いました。
アサミ:車は車で、ヴァンの車好きっていうところに紐づいているのも良かったですね。私、「閃の軌跡」のバイク移動が苦手で……。バイク操作はハイスピードにしているとかえって操作が厳しくなるということになかなか気づかないままやっていて、バイクレースとか吐きそうだったので、今回ああいうのがなくて良かったなぁと(笑)。
TOKEN:マクシムとのレースも、アクションじゃなくて選択肢によって進んでいきますしね。こちらは見ているだけになるんですけど、そういうシステムに注力するよりは世界観や街並みを見てほしいという、1作目ならではの部分もあるかとは思います。
アサミ:私はずっとこのままでいいです! あまり乗り物を自分で操作したい欲求がないので……(笑)。
TOKEN:今回は都市ごとの違いも、これまでのシリーズ中で一番出ていると思いませんでしたか?
アサミ:思いました! どこに行っても景色が違うので、メリハリがありましたね。
TOKEN:共和国の多様性が出ていましたよね。今回は世界観の紹介的な側面が大きかったと思うんですが、東洋の文化とかもすごい盛り込まれていましたし。
アサミ:東洋の風景はクロスベルでチラっと出てきましたけれど、それきりでしたし。ラングポートの風景は、今回一番好きだったかも。
TOKEN:ラングポートは、ビル街と東方人街の混ざり合う街並みが良かったです。共和国ならではの風景だったと感じる場所ですよね。「閃の軌跡」の時は、ノルドとかすごく離れた場所はともかく、帝国の雰囲気にはあまり変化がなかったじゃないですか。だからこそ、ノルドのような大高原が引き立ったのもありますが。
アサミ:「閃の軌跡」は全体的に街並みの統一感がありましたけれど、どこまで行っても帝国、みたいな雰囲気はありましたね。私とノルドの出会いは「創の軌跡」が先だったのでTOKENさんとはちょっと印象が違うとも思いますが。私は「創の軌跡」の中でも、ノルドがすごく好きだったので……。
TOKEN:そうだった(笑)。あと僕は、オラシオンの風景もすごく好きだったんですよね。貴族の影響が色濃く残った街っていうのが解る作りで、街並みから文化が見えてきたなぁと。
アサミ:ラングポートは東洋、オラシオンは西欧で、建築様式とかも全然違いますし。
TOKEN:それを「まとまっていない」と言ってしまうこともできますが、やっぱり共和国の多様性の表現ですよね。そしてそれをまとめる首都イーディスっていう感じで。あ、あと僕は導力映画も好きだったんですよ。
アサミ:導力映画、めっちゃちゃんと出来てましたよね! 観るの忘れちゃったところもあって1周では全部観れなかったんですけれど、そんなに長くもないのに結構ちゃんとオチがあって、普通に楽しんでました。
TOKEN:僕も、1周目では全部は観れませんでした。文化のひとつとしてもう以前のシリーズで導力映画のワードは出ていたようなんですけれど、僕は全然覚えてなくて。
アサミ:「閃の軌跡II」の「賭博師ジャックII」の中で、導力映画のワードが出ています。
TOKEN:そういうのありすぎて、もう覚えていられないんですよね(笑)。これまで映画っていう文化が今までなかったんだなっていうことに、改めて気づきました。
アサミ:娯楽はアルカンシェルの舞台とか、帝都歌劇場のオペラとかでしたから、割とアナログな感じでしたもんね。その割に、街頭モニターとかはずっと前からあったんですけれど(笑)。
アクションとコマンド、どちらを優先するかに性格が出るバトル
TOKEN:では、次にバトルの話をしていきたいんですけれど。
アサミ:きましたね! 私が今回一番好きだった要素!
TOKEN:そんなにツボだったんですね。割と賛否両論出そうなバトルになるかと思っていたんですけれど。
アサミ:細かいところを言うと色々あるのは、解っているんです。「創の軌跡」までは出来ていた必殺技の演出スキップをさせてくれないのは何故……、みたいなところとか。ただ、それよりもあれだけ自然にシームレスでアクションバトルとコマンドバトルを融合させてきたのが本当にすごいと思いますし、まずはそこをもっと褒めたいですし、アピールしたいんです。
TOKEN:遊ぶ側が何を求めているかによって変わるっていうのもあるとは思いますし、旧来のコマンドベースのバトルを意識してる人にとっては、アクションがどうはまるのかっていうのは結構気になるポイントなのかな。ゲームバランスとの調整はまだこれからブラッシュアップしていく部分がたくさんあると思うんですけれど、バランスの良い入り方をしているシステムだなっていうのは、最初に触れてみた時に感じました。
アサミ:アクションとしては攻撃と回避しかないですし、あとはタイミング次第でチャージアタックが使える程度しかないと言えばそうなんですけれど、私は元々「イース」畑なので、あの爽快なアクションが好きなんです。正直、「軌跡」でこんなにフィールド上でサクサク動くアクションバトルが出来るとは思いもしなかったし、それでいてシームレスにコマンドバトルに移行できるのもすごいと思いました。私の中ではコマンドバトルとアクションバトルの融合した最終形態は「ファイナルファンタジーVII リメイク」だろうと思っていましたが、本作ではその上の可能性を感じました。
TOKEN:多分、発想が「ファイナルファンタジーVII リメイク」とは逆なんですよ。「ファイナルファンタジーVII リメイク」はまさに“融合”で、どちらかというとアクションでありつつ思考が問われるバトルでしたが、「黎の軌跡」はきっちりアクション部分とコマンド部分で分けているんですよね。こういうバトルは、今までにあまりなかったかも。コマンドバトルに切り替わる時にロードを挟まないでコマンドバトルになるっていうのは、素晴らしいです。これでロードを挟んだらすごくストレスになるけれど、シームレスに切り替わるのがすごかった。改善の余地はあれど、この発想が生まれたということが、今回得たひとつの大きな財産かな。
アサミ:多分、この発想自体は、他社さんの他のゲームでも同じようなことをやろうとしたことはあると思うんです。でもここまで上手く出来た成功例……というものは、なかなか他の作品にはないのではないかと思うんですよね。
TOKEN:そうでしょうね。「黎の軌跡」のバトルは、アクションバトルとコマンドバトルの融合という発想が、ちゃんとゲームにフィードバックされたんだろうと思える作りでした。
アサミ:ちなみに今回、コマンドバトルとフィールドバトルで難易度を別々に設定できましたが、TOKENさんは難易度を変えていましたか?
TOKEN:僕はそのままでした。
アサミ:私はあえてフィールドバトルの難易度を「EASY」にしていたんです。操作をするのが基本アーロンだったんで、アーロンの攻撃力をクオーツやらホロウコアやらで盛って、そうするとフィールドバトルだけで結構サクっと雑魚を倒せるんですよね。敵によっては、数回はチャージアタックを喰らわせないとならないですけれど……。
TOKEN:僕はほぼコマンドバトルでやっていて、雑魚敵以外ではアクションほとんどやっていないんですよ。アクション部分はチャージアタックでスタンさせてコマンドバトルに入るくらいでしか使っていなくて。ちなみに、アクションでの操作キャラクターとかも敵の弱点に合わせて切り替えるタイプで、アーツが弱点の敵にはきっちりアニエスとかで攻撃を当てるほうです(笑)。
アサミ:性格が出る!(笑) 物理強固な敵はやっぱりフィールドバトルでは削りにくいのでコマンドバトルに入っていましたが……。でもそのどちらの楽しみ方もさせてくれたバトルシステムが、すごく、すごーく、良かったと思っています。ボスは絶対コマンドバトルですからきっちり従来のコマンドバトルが遊べますし、それ以外はアクションでさらっと流せたりっていうあのバランス感が、今回自分との相性が最高に良くて。
TOKEN:戦略性がある中で、プレイの幅を広げるっていう感じですよね。
アサミ:今回、雑魚戦は全部スルーしちゃっても、ボスでほぼ必要レベルの経験値が入手できるようになっているじゃないですか。だから雑魚戦の存在は良くも悪くもプレイヤー次第っていう感じで、そこでアクションを楽しんでもいいし、コマンドバトルを楽しんでもいいし、戦うも戦わないすらも自由、シンボルエンカウントではないので敵に接触したところでバトルに入るストレスもない、みたいなバランス、私は好きなんですよ。バトルってエンカウント多すぎても面倒になるけれど、逆に自分の好きにできるとなった時にじゃあ全部スルーするかというと私の場合はそうでもなくて、自由にできるからこそ自分の温度感でバトルが出来るっていうのが良かったんです。
TOKEN:敵との距離とかの視認性も良かったですよね。ちなみに僕は雑魚を全部倒していくタイプなんですけど(笑)。
アサミ:だからクリアまでに100時間かかるんですよ(笑)。まぁでもそれすらも自由っていうプレイの幅ですよね。TOKENさんみたいにとことんコマンドバトルで倒していく楽しみ方もあれば、私みたいにやりたい時にやりたいようにやるっていう。あれを開発するのに恐ろしく手間と時間がかかっているはずなのにプレイヤーによっては空気にすらなり得るっていうのも、それはそれですごいと思いますが。
TOKEN:今回、シャードスキルとかがまた大分「空の軌跡」の時に近い感じになっていたような気がしませんか? ちなみに僕はシャードスキルを序盤意識していなくて、結構先になってから仕組みに気が付いたんですよね(笑)。
アサミ:え、気づかなかったんですか? シャードスキルちゃんと組まないと宝箱とかミニマップに出ないですよね?
TOKEN:なんかそこらへんは「おすすめ」でたまたま発動していたみたいで(笑)。今回結構シャードスキルでのバフが大事だったなぁと、存在に気が付いてから思ったんですけれど。「おすすめ」を使っていると、全然シャードスキル出ないんですよね。
アサミ:私は「おすすめ」でまずババっと全部はめてから、後は手動で調整していくことが多かったです。
TOKEN:「創の軌跡」の時のようなシステムだと「おすすめ」でほぼ済んでしまうんでしょうけど、今回は「おすすめ」はあまり恩恵なかったかなと感じますね。それに気づくのが遅かった……。
アサミ:私、割とそういうところ見落としがちなゲーマーですけれど、逆に今回は序盤からすぐに気づいたので、結構楽でした。
TOKEN:アーツ自体はクオーツをいじっても発動できなくて、アーツをホロウコアとアーツプラグインで発動させるっていうのは、ここまで完全に分離させたんだなと思いました。あとウェポン専用ラインとかシールド専用ラインみたいなのが結構あって、このラインのことも含めるとかなり考えることも多くて、歴代のシステムの中でもトップクラスで色々考えてクオーツを組みましたよ。
アサミ:私はとにかく「先制シャードアタック時に確率でSTRダウン」とか、「先制シャードアタック時に確率でDEFダウン」あたりのシャードスキルを盛り盛りにしてシャードアタックでスタンさせたまんまボッコボコにする、みたいなことをやっていましたけど、コマンドバトル主体だとまた発動させるシャードスキルも変わってくるでしょうね。
TOKEN:僕はフェイタルランサーでひたすらトドメを刺していましたね(笑)。フェイタルランサーの画面を何度見たかわからないので(笑)。とりあえず1周目ではそういったスキルとかの組み合わせを理解するに至らなかったので、もっとちゃんと見てみたいと思います。今回システムが親切だったのであまりノートを見る機会もなくて、そういったところも見ないまま進めちゃったんですよね。
アサミ:私もあまり見なかったですね……。
TOKEN:今回ToDoリストが便利すぎて、そういうところあまり見なくても進められちゃったのが大きいかも。料理も今回は食べまくるだけっていう感じでしたし(笑)。そういえば、ミラって足りました? 僕は1周目で料理コンプリート出来なかったんですよね。
アサミ:ミラ……は足りていなかったので、常に金策していました。特に料理は、出会った場所でその時買わないと絶対に忘れると解っていたので、出会った時にミラがなければミラを作る、くらいでやっていましたよ。
TOKEN:僕、武器とか毎回全員分全部買うので、ミラ全然足りなくて……。今回、カジノとかみたいにミラを稼げる手段もなかったので、そういうのはほしかったですね。
アサミ:私はミラも足りなかったので、装備はそんなに頻繁には更新していなかったです。新エリアで拾えたりすることもありますし、拾えなかったらその時のスタメン分を最速のタイミングよりもワンテンポ遅く買って更新するとか、あとは1回は見送って次の更新で揃えるとか……。あとはゼラムパウダー売ったり。
TOKEN:僕は、その手のアイテム絶対売れないタイプですね……。
アサミ:あとは奥の手の、DLC金策ですけれど。
TOKEN:え、なにそれ、DLCで金策?(笑)
アサミ:DLCでゼラムカプセルを買って、それを売るんですよ。
TOKEN:うわ、その発想はなかった(笑)。
アサミ:リアルマネーで楽になる要素は、容赦なく使うタイプです(笑)。
TOKEN:ミラ足りなくて足りなくて、本当にやりくりに困っていたのに……(笑)。
アサミ:ちなみに一応弁解しておくと、私も最後の最後までゲーム中で模索はしますよ!(笑) 今回もセピス売ったりしていましたし。
TOKEN:セピス塊じゃなくて?
アサミ:普通の属性セピスです。火のセピスだけ何千個とか持っていると、1000個くらいだけ残しておいて売ったり。それでもどうしても足りない時の奥の手が、DLC金策です(笑)。
TOKEN:思いつきもしなかった……。
アサミ:私は「使えるものはなんでも使う」典型的なプレイヤーで、TOKENさんはなんかもっと素直にゲームを遊ぶタイプですよね(笑)。
TOKEN:エルメスのバイク便ショップとかも、手間賃分高くなるからって絶対使わないで節約していたんですけれど。
アサミ:とりあえずDLC金策はともかく、手持ち分のゼラムパウダーで余っているのは売りましょ(笑)。
TOKEN:なんかもうシステムの話だいぶ進んでしまいましたけれど、クエスト周りの話をもう少ししたいんですよね。今回クエストの選択肢次第でLAW、CHAOS、GRAYと属性値が上がっていくのは面白かったと思うんですが、アサミさんはどうでしたか?
アサミ:私は元々メガテニストですので、ああいう属性値大好きです! ただ、私はああいうのを万遍なく上げていきたいタイプなんですけれど、序盤は何故かCHAOSばっかり上がっちゃって……。もう少しLAWを上げたいと思って選択肢をちゃんとLAW寄りに選んだつもりなのになんでだろう、っていう感じでした……。
TOKEN:僕はむしろLAWばっかり上がってましたけれど(笑)。
アサミ:これが生粋の善人との差ですかね……。
TOKEN:分岐ではどうなりました?
アサミ:その頃には調整に成功していたので、1周目から全勢力選べました!
TOKEN:えっ、1周目でもうそんな状態になったんですか?
アサミ:効率大事なので……(笑)。私は最初の周回から全部の属性値5を超えていたので、どの勢力も選べましたよ。
TOKEN:僕はCHAOSだけ足りなくて選べなかったんですよね。
アサミ:これが生粋の善人との差ですか……(2回目)。
TOKEN:一番最初はどこと手を組みましたか?
アサミ:遊撃士ですね。
TOKEN:そこは普通なんですね(笑)。
アサミ:そこは普通って(笑)。やっぱり最初は、一番王道と思われるルートで進みたいですし。あと、遊撃士選べばエレイン使えると……。
TOKEN:そうそう、なのにまさかのエレインが来ないという(笑)。確かになんだか色々抱えている風だったりはありましたけれど。
アサミ:あそこでエレインが参加しないとなった時、「え?」ってなりました(笑)。
ゲームを通して感じたキャラクターの魅力を語り尽くす
TOKEN:ちょうど良いのでそろそろキャラクターの話に移りたいのですが、発売前と発売後で印象が変わったキャラとか好感度が上がったキャラクターっていますか?
アサミ:ジュディスです!(即答)
TOKEN:意外な答えが。
アサミ:そもそもの前提として、私はやっぱりまず真っ先に男性キャラに目が行くので、事前情報のイラストや概要の段階では女の子にあまり興味がいかないんですよ。で、女の子キャラは毎回プレイしてから「この子、可愛いじゃん……」ってなるんですけれど、今回は女の子全員可愛かったです。アニエスもフェリもリゼットもエレインも姫も……他のキャラもみんな可愛かった中で、ジュディスが一番の爆上がりです。
TOKEN:何か理由はあるんですか?
アサミ:ぶっちゃけていうと、あんなにポンコツだとは思わなかったっていうギャップですかね(笑)。最初から出オチみたいな感じじゃないですか。私は、仕事をするために事前情報を仕入れる必要がある時以外は、あまり詳細な情報を見ないで楽しみたい人なので、ジュディスは見た目と女優ということくらいしか前知識がなかったんですが、諸々で想像を上回るキャラクターで、大好きになりました。
TOKEN:諸々、隠せていませんでしたもんね(笑)。確かに愛されキャラだなぁと思います。
アサミ:私、昔から何故か日笠陽子さんが声を当てるキャラクターを好きになりやすいんですよね……。特に共通点があるっていうわけでもないんですけれど……。
TOKEN:へぇ、そうなんですか。日笠さんは、コメディ的な要素も、シリアスなところも、すごく上手いですよね。ちょっと大人な女性っていうのもハマりますし。今回、キャストのチョイスすごく良くなかったですか? 僕はアニエスが最初からすごく好みだったんですけれど。アサミさんが好きなタイプのアニメやゲームにはあまり出ていないと思うので多分ご存じないと思うんですが、アニエスの声を担当していた伊藤美来さんが、すごくヒロインボイスなんですよね。
アサミ:伊藤さんのボイスはこの作品で聞いたのが初めてだと思いますが、アニエスめちゃくちゃ可愛かったですね! ボイスも、すごくハマっていました。「軌跡」シリーズに出てくる女の子ってバトルものなのでみんな強いんですけれど、アニエスはまた違った意味での強い女の子だったなぁと。お嬢様然としたところがありつつ、ヴァンとアーロンのやんちゃなところに鬼の笑顔で突っ込むところとか……肝が据わっている、と言えばいいんでしょうか?
TOKEN:今回、主人公のヴァンを小野大輔さんが演じて、アニエスは実質二人目の主人公とも呼べる立場でしたが、ヴァンとのバランスも良かったです。ゲームをやる前から想像していた通りのアニエスで、予想通りに大好きなキャラクターでした。特に最後のシーンとかでちゃんと映えるシーンがあって、あそこは第二の主人公感があって良かったですね。
アサミ:今回、かなり多くのキャラクターがすごく丁寧に描かれていますよね。
TOKEN:そうそう、新たなシリーズの最初だからというのもあるんでしょうけど。
アサミ:「閃の軌跡」は登場キャラクターが多くて、みんな色々背負っていたりする割には唐突にさらっと明かされて、「お、おお……そうだったんだ……」みたいな感じで進んでいくのが多かった印象なんですが、今回はひとりひとり丁寧に描いてくれて……逆に今回ここまで描いちゃってほぼ終わっている印象あるけれど「黎の軌跡II」ではどうするつもりなんだ、というキャラクターも多いくらいで。
TOKEN:まだ解っていないキャラクターも一応いますけれど、主人公のヴァンの物語すら実質完結しているような感じがありますよね。……なんか今更主人公について語りだすのかという感じですけれど(笑)。
アサミ:ヴァンは想像した通りのキャラクターだったし、本当に今回ほぼヴァンの物語が終わっちゃっているように思えたので、何から語ればいいのか難しいんですよね(笑)。
TOKEN:「閃の軌跡」ではリィンが少年から青年に向けて成長していくキャラクターでしたが、ヴァンはこれまでの「軌跡」シリーズの中でも大人な主人公でしたね。作中では散々アーロンに「おっさん」と言われていますけれど、背負っている背景からしてもちょうどいい年齢なのかなと。
アサミ:むしろ24歳にしては背負いすぎじゃないです?
TOKEN:最初に背負っている年齢が若すぎるから!(笑) ヴァンって、年齢や物語的なバックボーンとしては、「空の軌跡 the 3rd」のケビンに近くて。
アサミ:あぁ、そうですね。
TOKEN:以前アサミさんと雑談していた時に、僕の「軌跡」シリーズの男性の推しキャラの話はいずれ、とかお話していたの覚えています?
アサミ:覚えていますよ。
TOKEN:あの時出し惜しみしていた男性の推しキャラっていうのが、ケビンなんですよ。描かれ方としては当時色々もったいないなぁと思っていたキャラクターではあるんですが、彼の過去とかその乗り越えていく姿とか、抱えながら生きていく姿が好きなんですよね。ヴァンは、そんなケビンと似た印象のキャラクターだと思いました。重くなるのは嫌でお茶目なところとか、恋のこととか、やたらにスイーツ好きだったり、車ばっかりだったり、あとサウナとか……サウナはほんとおっさんっぽい趣味だったり、そういう突っ込みどころもあって面白かったです。
アサミ:こうして挙げてみると、ヴァンの設定って結構盛り盛りですね(笑)。でも特徴としては趣味人っていう感じでいいんですよ。
TOKEN:クエストを全部クリアすると発生するお疲れ様会のようなクエストって見ました?
アサミ:見ましたよ!
TOKEN:あれとかまさに象徴的ですよね。人に関わらないスタンスを持ちながら、人と関わって、結果的に周囲に人が集まってくるという……。ヴァンの学生時代のエピソードからも、自分から率先してやるタイプだったんじゃないか、っていうのが解りますし。
アサミ:元々そういう性格だったのに、背負っちゃったもののせいで人と距離を置かなきゃいけなくなってしまった、みたいなところがあちこちから垣間見えるのが良かったです。裏解決屋っていうところでドライを気取っていても、結局ヴァン自身は人が大好きなんだっていうのが解っちゃう。
TOKEN:一作の中で主人公のことをここまで見せてくれたのは、今までの「軌跡」と大きく違っていて、そういうところでも満足感の大きいタイトルだったなって思います。さて、それではいよいよアーロンのお話にいきますか。
アサミ:そう区切ります?(笑) いやもう、アーロンは事前情報の段階から転がっていて、ほぼ思った通りのキャラクターでした……。私、エナミさんの描く赤毛のロン毛男性キャラに全部落ちるっていうのがありまして……。
TOKEN:めちゃくちゃ限定的(笑)。
アサミ:エナミさんの描く赤毛の長髪は、「軌跡」シリーズですとランディですけれど……あとはTOKENさんは多分ご存じないと思うんですけれど、「スターオーシャン4」のクロウとか……。なのでアーロンは、見た瞬間に「はい、落ちた!」という感じでした。
ただゲーム中では、登場シーンでヤられましたね。事前情報をあまり見ないって言いました通り、実際のところ事前情報ほぼ見ていなくて、女形っていうのも知らなかったんですが……、今回演舞シーンがこれまでよりすごくパワーアップしているじゃないですか。これまではああいうシーンはやっつけ感が強かったんですけれど、今回動きもとても綺麗になっていましたし、カット割りとかも良かったですし、あのシーンごと引き込まれて、そこに最後アーロンが素顔を見せるお茶目な姿っていうのを全部含めて、息絶えました。
TOKEN:ああ、確かにダンスのシーンすごく良くなっていました。モーションどうしているんだろうって思いましたもん。
アサミ:あとアーロンは、背伸びしたいお年頃なんだろうな、っていうのが見え隠れしていて良かったですね。かっこいいのはヴァンで、可愛いのがアーロンというか。私がおばさんだから、アーロンの背伸びしている姿に可愛いと思うんでしょうけれど(笑)。アーロン本人も、多分ヴァンに悪態ついていてもああいう男がかっこいいのは解っていて、自分がまだそこに至っていないということも解っていると思うんですよ。直接口にするキャラクターじゃないですけれど。
TOKEN:最初は敵対から入って、一緒に行動していくうちに認めていくっていう感じですよね。
アサミ:ただ、アーロンは今回の中で背負わされているものをほぼ全部乗り越えちゃったキャラクターでもあるので、「黎の軌跡II」ではどういう描かれ方をするのか、気になります。
TOKEN:事務所のメンバーはこの先どう動いていくのか、どう関わっていくのかは気になりますね。とりあえず結果的に袂を分かつ、みたいなキャラクターは誰もいなかったのもちょっと面白かったなぁと。「軌跡」シリーズは割とそこらへん、誰かがいなくなったりとかあるので(笑)。
アサミ:そうですよね。あ、あともうひとり推したいのはメルキオルなんですよ。
TOKEN:えっ、メルキオルですか。
アサミ:そんな意外そうな(笑)。とりあえず前提として言いたいのは、メルキオル本人が好きというわけではないんですよ。彼自身はもう何の裏もない純粋な悪役で、非常に残虐ですし、そういうところが推せるとかいうのではないのですけれど、蒼井翔太さんの演技のハマり具合が素晴らしくて……。そこはもう、私が蒼井さんのファンだからとか関係なく、メルキオルは蒼井さんの演技によって完成したキャラクターだな、っていうのをすごく感じたんですよね……。
TOKEN:確かに、蒼井さんの演技によって、メルキオルのなんとも言えない壊れそうな雰囲気っていうのは出ていました。
アサミ:弾けそうな危うさから実際に弾けちゃう、みたいな……(笑)。だからメルキオルは推したいキャラクターなんです。
TOKEN:メルキオルが好き、という人は実際少ないと思いますけれど、いいキャラクターでした。「軌跡」シリーズって意外とあそこまではっきりとした悪役って、あまり出てこないですし。
アサミ:純粋な悪っていうと、ほぼ教団関係者とそこから派生した庭園関係者ですかね。そこで言うとメルキオルとジェラールもそのまんまではあるんですけれど、悪役ながら描かれ方が良かったなぁと思います。
TOKEN:アリオッチとかがそうでしたけれど、あの二人のそういう力に引き込まれるようなキャラクターがいるのも解るっていうね。
アサミ:ちなみにTOKENさんはジェラールの設定、驚かなかったですか?
TOKEN:可能性的に想像の範囲内ではあったんですけれど、あそこまで直接つながるとは思っていなかったです。
アサミ:私はゲームを遊んでいる最中は割と無心でストーリーだけを追ってそういう裏側を考えないほうなので、解りやすい反応をしてしまいました……。
TOKEN:僕はジェラールの背景というよりも、「創の軌跡」で結構しっかり作った庭園の話をここでほぼ全部回収しちゃうほうに、驚きました。実質これで庭園はほぼ壊滅でしょうし。
アサミ:庭園の話はほぼこれで終わりですよね……。もちろん作ろうと思えば、まだまだ後出しで出せる要素ではありますけれど。ああ……あと楽園の話も今回出してきたのは驚きましたね。
TOKEN:以前アサミさんから伺いましたけれど、楽園の話ってPSP版では結構カットされたんですよね?
アサミ:PSP版ではレンの「楽園の少女」の前半部分がほぼごっそりカットされています。なのでカットされたところは、今後ないものとして扱われるんだろうとばかり思っていたんですけれど。
TOKEN:実際、今回でそれがなかったことにはなっていなかったことが解るっていうことですか。そう考えるとまだまだ結構色んなところが教団で繋がりそうではあるんですよね……。そういえば、エレインとか人気がすごい上がったそうですよ。
アサミ:エレインは、男女どちらからも好かれるでしょうね。私も好きでした。「創の軌跡」の時点でも多分好きになるだろうなと思っていて、やっぱり好きだったのは姫とエレインって感じです。
TOKEN:元々男性人気は高かったそうですけれど、発売後に女性票がすごい入ったそうで。先日、アンケートでの人気投票結果を発表していたじゃないですか。あの結果、見ました?
PS4「英雄伝説 黎の軌跡」
— 日本ファルコム (@nihonfalcom) November 19, 2021
公式サイトWEBアンケート(10月)でご回答いただいた「好きなキャラクター」の結果がこちらです!
ファルコム公式サイトではWEBアンケートを受付中です。ご回答いただいた方の中から毎月抽選で景品をプレゼント!https://t.co/QA2I57XGgP#黎の軌跡 pic.twitter.com/hi8nOhRdc5
アサミ:見ました。ですが、さすがに女性ユーザーの枠でエレインが1位になるとは思わなかったですね。
TOKEN:女性人気はもっとヴァンとかアーロンに行きそうだと思っていたので、意外でした。
アサミ:私から見ての話ではありますけれど、エレインって女性から見て共感しやすく、それでいて憧れにもなるっていう、すごく良いキャラクターだったんですよ。すごい美人で遊撃士としての将来をすごく期待されるほど強いっていうのは憧れの部分で、でもまだヴァンへの想いを引きずっている恋する乙女の時の切なそうなセリフとかは共感できますし……ヴァンを引き留めるようなセリフを言うシーンとかありましたけれど、本当に可愛いですよね。あと、作りすぎている感じもしないキャラクターでした。もちろん設定は諸々あれど、中身は等身大の女の子だったのが良かったです。
TOKEN:エレインは、斎藤千和さんの演技も素晴らしかったと思います。改めて今回、本当に声優さんのチョイスと演技が、すごいはまっていました……。
アサミ:だからこそ実現してほしい、フルボイス……。
TOKEN:要望としては昔からありますし、現実的に難しいことは解っていても、できればフルボイスで聞きたいですね。
アサミ:でも今フルボイスじゃなくてこの量ですから、フルボイスになると普通にやっても100時間超えちゃいます……。
TOKEN:掛け合いの部分だけでも、なるといいんですけれど。ただ僕、「零の軌跡 Evolution」のフルボイス化した台本を昔インタビュー(https://www.gamer.ne.jp/news/201210120006/)で見せていただいたんですけれど、その時点でめちゃくちゃ分厚かったんですよ。今、あの頃よりも更に文章量は増えていると思うので、それをフルボイスってなるとやっぱり難しいんだろうなぁと……。
アサミ:ウッ、そうですよね。「零/碧の軌跡:改」ではメインストーリーだけがフルボイスでしたけれど、あの時も「このゲーム、こんなに物量多かったっけ……?」と思いましたもん。
TOKEN:そうですね。なので現実的じゃないのは僕自身解っている上で、それでもこれだけ良質なお芝居を聞けると、もっと聞きたいという気持ちは出てきます。あー、またキャラクターだけでこんなに長くなってしまった……(笑)。しかも大して語り切れていないという。
アサミ:キャラが多すぎるんで、難しいですよ……。
TOKEN:じゃあここまできてようやく、全体的なストーリーの話を……ここからは特にネタバレ多めで。僕は、今回すごく「死」に迫っている感じがしたんですよね。特に「軌跡」シリーズはこれまで全体的に死へのタブー……というほどではないですけれど、少なからずそういうものがあった中で、今回はだいぶ違ったアプローチだったんじゃないかな、と。ある種、後味の悪さが常に付きまとうというか。
アサミ:これまで正義の味方的な主人公だったので、誰かが死ぬ前に救うとか、もしくは自分を庇って死ぬとかがありましたけれど、逆に言うと自分の知らないところで死ぬっていうのが、あまりなかったような……。
TOKEN:「閃の軌跡」の中でも死は描かれていても、今回とはだいぶ違う雰囲気を感じました。今回、ディンゴの話がすごいよかったと思って。
アサミ:あぁ、あれは確かにこれまでの「軌跡」シリーズにはない雰囲気のお話でしたね。
TOKEN:そうそう、なんか「軌跡」シリーズは死を描かないっていうのは、そういうところにもあって……。これまでにも死んだキャラクターはいましたが、ああいう形で振り返ることはあまりなかったかなぁと。今回、ディンゴとのやり取りが印象的だったマリエルとか、公式サイトに名前すら出てこないサブキャラクターたちがとても良かったと思います。
アサミ:あっ、マリエルの名前、公式サイトにない……! しかもよく見たら、シェリド皇太子とかマクシム、ゴッチ監督とかも公式サイトに名前がないんですね……。
TOKEN:まぁなんとなく、エスメレー准教授とマリエルは同じ本渡楓さんなので、エスメレー准教授が公式サイトに載っているからマリエルは載っていないのかな、とも思うんですが(笑)。
アサミ:そんな理由……!?(笑) でもマクシムも、ギリアムGMと同じ成田剣さんだから……? ゴッチ監督はアリオッチと同じ小山剛志さんですし……。でもシェリド皇太子が載っていないのはなんででしょう……。
TOKEN:ちょっと謎なんですよね(笑)。
アサミ:これまでのストーリーラインと繋がりそうなキャラクターを出す、とかですかねぇ。でもエスメレー准教授より、マリエルのほうがゲーム中の印象は強かったですけれど……。
TOKEN:声優さんが同じになっちゃうのはこの規模のゲームだと仕方ないとは思うんですが、ゲーム中の印象だと圧倒的にそうなりますよね。マリエルは終盤まで印象的なキャラクターでした。
アサミ:マクシム、ポーレット、ユメや、シェリドもそうでしたよね。メインではないのにすごくいい働きするキャラクターって感じで。
TOKEN:あとクレイユ村で遊撃士を目指しているラシュカルっていう男の子がいたじゃないですか。
アサミ:メインクエストで猫探しをする男の子ですか?
TOKEN:それです、それです。猫の飼い主の姉弟を含めて、これまでああいうイベントってわざわざキャラクターのモデルを作るよりは結構モブキャラを使いまわすことが多かったと思うんですが、今回そういうキャラクターが少なかったなぁと。
アサミ:「創の軌跡」くらいまでの時は結構同じ顔で名前違って誰だかわからなくなる、みたいなのありましたね。
TOKEN:今回、そういったサブのキャラクターにも色々ドラマが仕込んであるからより一層意識するというのもあったのかもしれませんが、公式サイトに掲載されないようなキャラクターたちもすごく良く出来ていたと思います。クレイユ村の出来事があったときにはショックが大きくて……。ラシュカルの状態が心配で、合間合間で探し回ったりしていましたもん。ファルコムさんのずるいところは、結構そういうのもユーザの反応を織り込み済みで作っているところなんですよね(笑)。
アサミ:あるある、そういうところ~(笑)。
TOKEN:ここの感じ方は個人によって変わる部分だと思いますが、これまでの「軌跡」は降りかかる出来事に対して行動するのに対して、ヴァンは最後の最後になるまでそのシーンがないんですよね。そこに至るまでは、純粋に人のためとか信念に基づく行動だったりするというか……。表現が難しいんですけれど、「閃の軌跡」はリィンがひとつの答えを得るまでの過程を描いていたように思うんですが、ヴァンはその過程は既に通り過ぎていて……。
アサミ:(ルーファスのことを色々考えているものの、あれは純粋な主役枠ではなかったので黙っている)
TOKEN:今回はアルマータっていう強くて大きな存在がいて掻き回されましたけれど、ヴァンは自分の心を見失うことがほぼなくて。最後も別にヴァンは自分の信念そのままというか、状況に対して対応しただけであって、むしろ周囲がそれに対しての覚悟を決めたというか。そういう意味で、今回の物語は全体的に落ち着きがあったように感じます。リィンとかは巻き込まれ型というか……過去の主人公って割と色んな出来事があってそれにへこんで、それでも成長していく、っていう物語だったのに対して、ヴァンは明確な違いがあったように思いますね。
アサミ:物語としてきちんと盛り上がりはあるのに、「閃の軌跡」の時のような心の乱気流はなく楽しめた作品でした。ヴァンの成長は、ある意味でもうゲーム開始時点では終わってしまっているんですよね。逆に、そこに至るまでに何があったのかを知らされる物語だったというか……。これまでは主人公の成長まで含めて「どうなっちゃうの!?」というドキドキ感がありましたけれど、今回ヴァンは既に至っているので、過程が明かされてもそういう意味では安定していました。
次回作「黎の軌跡II -CRIMSON SiN-」への期待も
TOKEN:アサミさんとしては「黎の軌跡」は面白かったですか?
アサミ:面白かったというか……純粋に自分の好みの作品でした。私はキャラクターの内面が丁寧に描かれた作品が結構好きなので、ヴァン以外のほぼパーティメンバー全員、そこから一部のサブキャラ含めてとても丁寧に描いてくれたと思いますし、そういう意味ではパーティの人数も丁度良かったかな、と。「閃の軌跡」は怒涛の展開でドキドキハラハラはしましたけれど、「閃の軌跡I」の時点でエマとか「おまえはなんだったんだ!」みたいな感じで終わってしまって……(笑)。私は一気プレイだったからすぐに「閃の軌跡II」に入れて良かったけれど、リアタイの人たちは終わり方的にも、なかなかしんどかったんじゃないかと思います(笑)。
TOKEN:「閃の軌跡」はやっぱり多いですよね(笑)。パーティの人数としては初代「閃の軌跡」が9人で今回は8人なので、実は1人しか変わらないのですが。
アサミ:いきなり9人いるか、徐々に増えていくかの違いかな。
TOKEN:それはあるかもしれないですね。この人数を出して、プレイ時間も歴代シリーズとほぼ変わらず、ちゃんといい感じに納めていますから、よく出来ているなぁと思います。プレイしながら「長いな」とは思ったんですけれど(笑)。
アサミ:密度の濃いシナリオって2~3時間遊んでもすごく長く感じるので、そういうタイプの長さでした。
TOKEN:僕はオラシオンやサルバッドが長く感じました。実際長かったのかな。
アサミ:全体的にどこも長かったと思いますよ。ラングポートだってバーゼルだって長かったですもん(笑)。行ける街は少な目で、その分そこでのストーリーをみっちり描いてくれたように感じます。
TOKEN:でも街のディティールがそれぞれしっかりしているから、長いとは思っても飽きはしないという。「軌跡」シリーズは、良い意味で細かいところもきちんと描きますから。僕は特に、ベルガルドが入ってからのまとまりが好きなんですよ。
アサミ:ああ、これまでも大人はたくさん出てきますけれど、あれだけ高齢のキャラクターがパーティに入るっていうのは珍しいですよね。事前情報あまり入れていないって何度目かになりますけれど、私ベルガルドはメインにしては珍しいキャラなのもあって、ほぼゲストキャラクターに近いくらいの位置だとばかり思っていました。
TOKEN:これまでって基本的に新しい人間関係をゲーム開始から築いていくとか、もしくはそこから発展させていくという感じでしたけれど、ヴァンとベルガルドは既に人間関係が完成しているっていうか……。そういうキャラクターがメインパーティに入ることで、ストーリーにより安定感を感じました。やっぱり全体的にストーリーの作り方が良かったですね。
アサミ:今回のストーリーの作り方って、ほぼ「イースIX」と同じですよね。
TOKEN:ああ、言われてみれば……そうですね。
アサミ:アニエス、フェリ、アーロンと、ストーリーをある程度動かしやすくするキーマンが揃うまでは割とサクサクと進みますし、それでいて基本的にその章で加入するキャラクターに焦点を絞ったシナリオになっていて。それって「イースIX」の時にまず白猫から始まって次に鷹が……っていう流れと同じだったなぁと。そしてある程度やれることや話を盛り上げられるキャラクターが揃ったところで、色々な話が更にボリュームアップして広がって、っていう……。
TOKEN:シリーズは違えど、社内でそういったノウハウを共有出来ているっていうことなんでしょうね。確かに色んなキャラクターをしっかり深堀りしていましたし、構成は近いですね。
アサミ:深堀り出来ている分、色んなキャラクターの組み合わせが魅力でした。
TOKEN:各キャラクター同士でのドラマが色々ありましたよね。ヴァンは主人公なのでもちろんですけれど、アニエスとフェリのふたりは本当の姉妹のようだし、フェリとアーロンとかも面白かったですし、リゼットとカトルとかは今後どうなっていくのか気になります。
アサミ:そういうキャラクターの関係性とかにも作り手の都合が見えなかったのが、今回すごく好きな作品だなって思った要因なんですよね。こういうストーリーは最後が決まっていて、そこに向かって動いている物語である以上、何かしら作り手の都合で動かされている感じが見えてもおかしくないんですけれど、今回はみんなが自然と色んな人との関係性を作っていってこうなった、という感じがしたんです。
TOKEN:うんうん、それはとてもよく解ります。もちろん、まだ作り手の都合で正体が隠されているであろうキャラクターは色々いますけれど(笑)。
アサミ:解りやすいところでも、数名いますからね……(笑)。ただ最後の結末まで含めて綺麗にまとまっていて、後味も良くて、満足感の高いシナリオだったなぁと。逆にこれだけ収まりがいいと、「黎の軌跡II」でどうするんだっていう気持ちになりますが(笑)。
TOKEN:「黎の軌跡」は確かにすっきり終わっているんですが、物語上で提示されてきた要素……それこそ「創の軌跡」で提示されたエリュシオンの話とかそういった謎は何一つ明かされていない、という……。
アサミ:まとまりが良すぎたので、割とエリュシオンが観測した話のことはすっかり忘れていました! そもそも「創の軌跡」でようやく盟主も出てきたというのに、今回は姿かたちすら見かけていないですし。
TOKEN:結社もちょっと茶々をいれにきただけ、という感じで、結社の話は今回何もされていないに等しいですからね……。
アサミ:「零の軌跡」と「碧の軌跡」の時みたいに、「黎の軌跡II」が一気に結社寄りのお話になるんでしょうか。
TOKEN:「零の軌跡」の時もクロスベルという土地を見せるという感じでしたし、今回も基本はまず共和国という国を見せることに特化させたのではないかと。「黎の軌跡II」については現状、あのビジュアルしか情報がないですが、インタビューで「ヴァンたちが中心になるのは間違いないのでしょうか?」と聞いたら、ちょっと濁されたのだけが気になりますね。
アサミ:公式サイトを見る限り、ヴァンが主人公ではありそうなんですが……。
TOKEN:可能性のレベルで言ったら、ヴァンじゃなくなってもおかしくないとは思っています……。まぁ可能性で言ったらあれもこれも有り得るのでとりあえず置いておいて、「黎の軌跡II」で期待していることってなにかありますか?
アサミ:ハイッ! 《C》の正体です!
TOKEN:予想通りの答えが返ってきた(笑)。
アサミ:とか言わなくても、《C》の正体については絶対判明するでしょうし、その正体がルーファスであるかはともかくとして……とりあえず今回は「創の軌跡」で描かれたあたりが全く触れられなかったので、「黎の軌跡II」ではその辺りが進むといいですね。ただ、「零/碧の軌跡」の時は「碧の軌跡」が登場人物は同じなだけの別のゲームのような唐突感があったので……そこらへんの繋ぎはもう少し良くなるといいなぁと思います。
TOKEN:今回、「創の軌跡」の話は本当に「なんか事件があったようだ」くらいしか触れられていませんでしたからね……。あとそもそも8個目のゲネシス見つかっていないですし。
アサミ:今回あまりに綺麗に終わりすぎていて、8個目のゲネシスのことを割と素で忘れておりました……。
TOKEN:それくらい自然に終わっていますよね(笑)。その見つかっていないということが何を示すのか……。あとそもそもとして唐突な宇宙軍とか、七至宝(セプト=テリオン)のこととかには何も触れられていないという。
アサミ:ゲーム一本の満足感はありますけれど、「軌跡」シリーズとしてはほぼ何も進んでいないに等しいという……。
TOKEN:セプト=テリオンは7個あるうちのまだ4つしか見つかっていないんですよね。シリーズとしては本当にまだ折り返りっていう感じがします。
アサミ:次回で2個くらいセプト=テリオン回収して、一気に残り1個くらいまで進んでくれないかな……。
TOKEN:この後はゼムリア大陸全体の物語になっていくのでは、と思っていますが、それは早くても次々作くらいですかね。宇宙が果たしてどう絡んでくるのかは、まだ謎ですね。伏線ありすぎて、どこでどう絡んでもおかしくないという。
アサミ:そういえば私は「黎の軌跡」の前に「那由多の軌跡:改」もプレイしていますが……結局「那由多の軌跡」が繋がってくるのかすら現状はまだ何もわからないんですよね。ただ、実際にプレイしてみて、思っていた以上に「那由多の軌跡」の話は「軌跡」シリーズにちゃんと食い込んでくるのではないかと思いました。
TOKEN:それも含めて「軌跡」シリーズ全体のお話が進むといいなって感じですよね。
アサミ:とりあえずせっかく「創の軌跡」で盟主出したんですし、そろそろ盟主に動いてほしいなぁと思います。
TOKEN:蛇の使徒も、まだ出てきていない柱がいるんですよねぇ。第一柱と第五柱はまだ姿すら見せていませんし、第七柱のアリアンロードは欠番なので次の新しい誰かが入るはずですし。全体像は何も明かされなかったので、次回は大きく動きますかね。一応折り返してはいるみたいですけれど、その折り返しっていうのがどこらへんのことを指しているかによって今後が全然変わるという……。
アサミ:11作目が本当の“折り返し”なら、下手したら全20作構想とか有り得ますしね……。
TOKEN:今後は一応目指している最後に向けてスピード感が出るのではないのかと思っているんですけれどね。
アサミ:そういえば今回は、久しぶりにオリビエが出てこなかったんですよね。
TOKEN:あっ、そういえばそうでした。
アサミ:シェリドがある意味その役割なんですけれど……。シェリドがオリビエのことを尊敬しているっていう話もありましたし。
TOKEN:この先、各キャラクターがどうなっていくのかは気になりますよね。ただ、もう舞台が広くなりすぎて、だんだん誰がどこで何をしているのかとか把握しきれなくなってきていて……。あとみんな強すぎて、強さでは測れないっていう(笑)。
アサミ:そうですよね、みんな自国の危機救ったりなんだりしているから。
TOKEN:強敵とか言われても、もう実感わかないですよね(笑)。
アサミ:現状だと、最強ってマクバーンなんですかねぇ……。
TOKEN:そういうのも含めて、力関係がちょっと解らないなぁと。今後描かれることがあってほしい部分なのですが。あとは「黎の軌跡II」を楽しみに待ちたいところですね。本作はすごくまとまりが良かったので、1年後を楽しみに待てる感じですね。
アサミ:続きは気になりますが、今回は心穏やかに待てる感じですね! 個人的には「黎の軌跡」からシリーズに入ってくるのも充分アリな内容だと思いますので、興味を持っていただいた方は、ぜひ! ありがとうございました!
TOKEN:ありがとうございました。