Forever Entertainmentが2022年4月7日にリリースしたNintendo Switch向けタイトル「THE HOUSE OF THE DEAD: Remake」のプレイインプレッションをお届けする。
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Forever Entertainmentは2022年4月7日、Nintendo Switch向けにガンシューティングゲーム「THE HOUSE OF THE DEAD: Remake」をリリースした。Forever Entertainmentと言えば、同じくセガの名作3Dシューティング「パンツァードラグーン:リメイク」を手掛けたことも記憶に新しい。
本作は1997年にセガからアーケードゲームとして登場した「THE HOUSE OF THE DEAD」(以下、「THOTD」)をフルリメイクしたものだ。ビジュアル、サウンド、操作性が現代基準のクオリティとして生まれ変わった本作だが、果たしていかなるプレイフィールとなっているのか。今回、オリジナル版の初代「THOTD」はもちろん、「2」や「3」といったシリーズ作品を追いかけてきた生粋のファンである筆者が、実際にプレイした感想をお届けしたい。
そもそも「THE HOUSE OF THE DEAD」とは?
リメイク版について語る前に、まずはオリジナル版「THOTD」について解説しよう。先程と少し重複してしまうが、同作は、1997年にセガからリリースされたアーケード向けのガンシューティングゲームだ。後に発売されたセガサターン版も人気をはくし、続編も多数発売されシリーズは人気を確固たるものにする。Wii向けに「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド オーバーキル」といった家庭用オリジナル作品も登場した。細かいところで言えば、「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」といった変わり種のスピンオフまで出現してファンを驚かせた。
さらに2018年には「HOUSE OF THE DEAD ~SCARLET DAWN~」がアーケードでリリースされるなど、現在でも根強い人気をもつシリーズだ。「THE HOUSE OF THE DEAD: Remake」はシリーズの中でも特に人気の高い、第一作目のリメイクとなる。
2018年にリリースされた「HOUSE OF THE DEAD ~SCARLET DAWN~」 ※画像はセガ製品情報サイトより(https://sega.jp/product/hod_scarlet-dawn/) |
エイムがやや気になるところだが、全体的には好感の持てる丁寧なリメイク
では、実際のところ「THE HOUSE OF THE DEAD: Remake」はどのような作品に仕上がっているのだろうか。結論から言うと、往年のファンの筆者から見ても、非常に満足できる作品になっているというのが率直な感想。
初代「THOTD」は「キュリアン邸事件」というエピソードがベースになっており、惨劇の元凶とも言えるdr.キュリアンを追いつめることが目的。リメイクによって生まれ変わったグラフィックでは、そんなおどろおどろしい雰囲気を現代ならではの技術で表現。オリジナル版の世界観を壊すことのない丁重なリメイクが施されている。
ゾンビを始めとするクリーチャーが引っ切り無しに押し寄せてくる怒涛の展開や、それらを蹴散らしていく爽快感こそ「THOTD」の味だが、リメイク版でもそれらの要素はバッチリと再現。息をつくことも許されないスピーディな攻防が楽しめるだろう。
とはいえ、操作性については気になる部分がないわけでもない。「THOTD」は本来ガンタイプの特殊なコントローラーでプレイする作品であり、セガサターンを始めとするコンシューマ移植においては、同ジャンルに特化したコントローラーがリリースされていた。
ただ今回はガンタイプコントローラーの発売はないため、基本的にはSwitch対応のコントローラーでのプレイとなる。すなわちJoy-ConやProコントローラーでの操作だ。
Joy-Conでのジャイロ操作は比較的ガンコントローラーの操作に近く、アーケード版やサターン版に近い感覚でプレイできるだろう。エイムのズレが気にはなるものの、この辺りは設定で調整できる。やや面倒ではあるが、より快適なプレイを求めるのならば必要な作業となってきそうだ。
一方の手動エイムは、FPSをパッド操作している感覚に近いといえば伝わるだろうか。操作スタイルに関しては完全に個人の好みなので、実際に試してみてシックリくるほうを選択してほしい。個人的にはジャイロでの操作が好みだ。
ゾンビシューティングを語る上では外せない作品、当時を知らない世代にもプレイしてほしい!
シューティング部分ばかりにフォーカスされがちだが、「THOTD」と言えば、海外のホラー映画を彷彿させる独特な世界観も見逃せないポイントだ。リメイク版でもその精神は受け継がれており、ゾンビが次々と襲いかかってくるホラー映画さながらの展開などはまさにそれ。
いまでこそゾンビもののシューターは珍しくないが、当時は「バイオハザード」など一部の大ヒット作を除き、ゾンビもので人気を確立している作品はまだまだ少ない状態だった。
そんな中「THOTD」は、当時大ヒットしていた「バーチャコップ」のシステムをベースに、爽快感に振り切ったゲーム性とゾンビものならではのおどろおどろしい世界観をひっさげて登場。その衝撃たるや想像に難しくないだろう。
ちなみに「THOTD」はレールシューターに分類されるジャンルであり、マップを自由に動くことはできない。現在主流のFPSとは似て非なるものだが、とはいえ「THOTD」が後世の作品に与えた影響は決して小さいものではないと筆者は考えている。
そういう意味でも、令和の世に「THOTD」が蘇り、当時を知らない若いユーザーが本作を手に取る可能性を生み出した本作の功績は大きいと言えるのではないだろうか。
ゾンビ系シューティングの歴史を語る上では決して無視できない作品なので、興味のある方はぜひともこの機会に本作をプレイしてみてほしい。