ジーンからリリースされた「この悪い子猫ちゃんめ!」をレビュー。ビジュアルとサウンドのシンクロ演出が特徴のアクションシューティング。リズムゲームにも似た本作ならではの魅力を紹介する。
「この悪い子猫ちゃんめ!」は、ジーンからリリースされたスマートフォン向けアクションシューティング。プレイヤーは「アクトレス」と呼ばれる美少女キャラクター3名を選んでパーティーを編成、ステージマスターとしてフェスに挑む。この説明を見ると、アクションシューティングというよりむしろリズムゲーム…いわゆる「音ゲー」のように感じるかもしれない。その感覚は間違いではなく、確かに本作はアクションシューティングなのだが、ビジュアルとサウンドによって演出された「音ゲー」のような高揚感が魅力となっている。
プレイヤーはリストからプレイする楽曲を選ぶことでバトルステージに挑戦。バトルステージの評価としてゲットした星が貯まると、新たな楽曲がアンロックされるという仕組みだ。ゲームの構成もアクションシューティングというよりリズムゲームに近い。
また、楽曲ごとにノーマル、ハード、エキスパートと3段階の難易度が設定されている。こちらも、低い難易度のステージをクリアすることで高難易度がアンロックされていくという仕組みだ。
プレイヤーはバトルステージに挑戦する以外に「アクトレス」のコーディネートが可能。お気に入りのキャラクターに自分好みの衣装を着せることができる。もちろんただ外見が変わるだけでなく、バトルステージでの能力にも影響。攻略が難しい楽曲に遭遇したら、コーディネートを見直すことで難易度を軽減することが可能だ。
本作のメインである「バトルステージ」は、完全なアクションシューティングだ。サイドビューで、ボスキャラクターを倒すことが目的。ザコとの戦いはなく、ステージがはじまるといきなりボスとの戦いがスタートする。
バトルステージの内容をゲームシステム的にみると、「回避」に主眼が置かれている。弾幕シューティング的な弾幕の回避と、アクションゲーム的な緊急回避を融合させた点が特徴的だ。
弾幕ということはつまり、大量の弾が出現するということ。なので、弾と弾の隙間を縫うように繊細に回避していくことが重要となる。このため、慎重な移動操作が重要。本作では、スワイプによる360°移動が担う部分だ。
一方、スピーディーで大胆な、緊急回避的移動が重要になる攻撃も用意されている。アクションゲームのボス戦などで見られる、ボスが事前に攻撃範囲の予告をしてくるというタイプの攻撃だ。こうした攻撃に対しては、フリック操作によるダッシュ移動が対策となる。
ボスの攻撃を見て、慎重な移動と緊急回避のどちらが必要か瞬時に判断、操作テクニックよって攻撃を回避する。このメリハリの利いたスリルが本作の「バトルステージ」ひとつめの魅力だろう。ちなみに、ショットはオートなのでプレイヤーは回避だけに集中できる。
実は本作をプレイする前、筆者は本作が美少女キャラクターもののゲームということで、誰でもプレイ可能なよう難易度ひかえめかな…などと考えていた。しかし、全然そんなことはなかった。本作の「バトルステージ」は骨太なアクションシューティングとして作られており、キャラクター抜きにしてこのゲーム性だけでも十分におもしろく、熱くなれると感じた。
本作の「バトルステージ」について骨太なゲーム性と書いたが、実はそれだけではない。さらに、ビジュアルとサウンドがシンクロした演出が、本作独特の魅力に拍車をかけている。
本作の「バトルステージ」はバトルである前に、「フェスという場でのアクトレスたちのステージ」という位置づけだ。だからこそ、「バトルステージ」に挑戦前にプレイヤーは楽曲を選択する。そしてもちろん、「バトルステージ」内でかかるのは選択した楽曲。「タンタカタンタンタンタンメン」「KING」「ファッとして桃源郷」など有名クリエイターによる楽曲を取り揃えており、いずれもポップかつアップテンポ。BGMとして聴いているだけでも十分高揚感がある。でもそれだけではない。
本作では、単純にサウンドが流れるのではない。アイドルのライブのようにサウンドがビジュアルとシンクロするのだ。もちろん、これ自体は、ゲーム性に影響を与えるものではない。しかし、プレイ感には強い影響を与えている。リズムゲームのように、プレイしながら音やビジュアルと一体になったような感覚が味わえるのだ。そう、これはノッているという感覚。
ノリノリでノッてプレイしているのに、リズムゲームではない。弾幕や告知攻撃を回避するスリルでハラハラしているのに、体はノリノリ。筆者はリズムゲームも弾幕シューティングも、アクションゲームもすべてプレイする人間だが、どのジャンルのゲームとも違う不思議なプレイ感。この不思議なプレイ感こそ、本作最大の魅力だろう。本作でしか味わえない気持ちよさだ。
アクションやシューティングゲームというゲームジャンルは、プレイヤースキルが要求されるためある程度人を選ぶゲームジャンルだと思う。なので、美少女キャラクターは好きだけど、アクションやシューティングは苦手という人もいるだろう。また逆に、アクションやシューティングといったゲーム性重視のゲームが好きだとキャラクターに興味がないという人も少なくないのではないかと思う。ただ、仮に苦手な要素があったとしても、本作はプレイする価値があると感じた。それくらい、本作のこのプレイ感は気持ちいいのだ。もちろん、アクションもシューティングも美少女キャラクターも全部好きというのであれば何も問題はない。ぜひプレイしてほしい。
一点だけ難点は、端末が熱くなりやすいこと。プレイをしているとかなり背面が熱くなる。ただこれはこれは筆者の使用しているiPhone 11 Pro固有の問題かもしれない。最新の端末であれば、性能的に問題ない可能性がある。ただ幸いなことに本作はビジュアルクオリティの設定を変えられるので、筆者と同様にプレイ中端末が熱くなるという人は、ビジュアルクオリティの設定を下げるなどした方がいいだろう。