現在はパッチ6.11まで公開中の「ファイナルファンタジーXIV」のアップデート内容について、プロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹氏に振り返ってもらった。
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パッチ6.1「新たなる冒険」では、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」リリース以降、新たな展開が注目されているメインクエストや、アライアンスレイド「ミソロジー・オブ・エオルゼア」の第1弾「輝ける神域 アグライア」、少人数PVP「クリスタルコンフリクト」をはじめとする数々の新コンテンツが登場。
さらに、「新生エオルゼア編」のメインクエストに登場するインスタンスダンジョンや討伐・討滅戦がより遊びやすく調整されたほか、NPCとパーティを編成してインスタンスダンジョンを攻略できる「コンテンツサポーター」が実装。“ひとり”でも“みんな”でも遊べるRPGへと進化した。
現在はパッチ6.11まで公開中の本作について、アップデートの振り返りを「ファイナルファンタジーXIV(以下、『FFXIV』)」のプロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹氏に伺った。
なお、記事ではパッチ6.1のネタバレに関わる内容も取り扱っているため、ぜひパッチ6.1をクリアしてから読み進めてもらえると幸いだ。
※インタビューは2022年5月16日に実施。
ヤ・シュトラの“あの”シーンは限界ギリギリ!?メインクエストを振り返る
――4月12日に公開されたパッチ6.1「新たなる冒険」では、本当に幅広いアップデートが行われました。これまでのパッチと比較しても、最大級のボリュームと言っても過言ではないと思いますが、改めてパッチ6.1を振り返っていかがでしょうか?
吉田氏:ハウジングの土地抽選に関連する大きな不具合があったので、僕の中ではイメージがそこに寄ってしまっていますが、そうか、4月12日リリースか……と感じるくらい前のことのように思えます。確かにメジャーアップデートとしては過去最大級の内容だったと思いますが、逆に過去最大の不具合も出てしまったので、そこはまず大きな反省点として受け止めています。それ以外にも「絶竜詩戦争」のワールドファーストレース中に、一部で外部ツールの話題が再燃したりと、全体で見れば限定的なのですが個人的にはそれらに追われた一ヶ月でした。
ただ、それぞれのコンテンツについては、皆さんにめちゃくちゃ楽しんでいただけており、そのお声ももちろん拝見しています。開発の次に向かうモチベーションにもなっていますし、その点は良かったのではないかと思っています。
――今回はパッチ2.0の範囲が遊びやすくアップデートされ“ひとり”でも“みんな”でも遊べるRPGへの一歩を踏み出した「FFXIV」ですが、新規プレイヤーの増加や評価といったところはいかがでしょうか?
吉田氏:このタイミングで新たに冒険をスタートされる新規プレイヤーの方も増えていて、特に日本ではMMORPGというジャンルに躊躇していた方や、触れてこなかった方が入ってきてくださっている印象なので、日本はまだまだ可能性のある市場だなと改めて思っています。それを受けて、「想像していたより遥かに気軽だし楽しい」と言ってくださる声が凄く多いのも嬉しいですね。今回はコンテンツサポーターの実装だけではなく、後半部分のシナリオに関わるIDや演出、ボス戦などにも調整を入れたことによって、新生編自体を楽しまれている方が多く、これまでとはイメージも変わってきているのかなと思います。
ベテランの方になればなるほど、「新生編は我慢して進めるもの」ということをおっしゃる方も見受けられるのですが、昔から遊ばれている方や、MMORPGに慣れている方と、今から遊び始めた方で受ける印象も違ってきているのかな、と思いながら見ていたりします。現状で完璧とは思っていませんが、継続して新生編にも手を入れ続けてきたことの成果も出ているのかな、と感じています。
※コンテンツサポーターは、パッチ2.1~4.5までのコンテンツも今後のパッチで順次対応予定。
――それではパッチ6.1のメインストーリーについてお伺いしていきます。パッチ6.1では終末という危機を退けた光の戦士が、また一介の冒険者に戻り、新たな冒険を繰り広げました。パッチ6.0までで物語に求められるハードルも上がっている中、非常にワクワクさせられるストーリーが楽しめて、正直かなり驚きましたが、メインストーリーを作る上で気を付けたポイントなどがあれば教えてください。
吉田氏:取り立ててコレということは無いのですが、「できるだけポジティブなセリフを使うように」というのは意図的に調整しました。例えばですが、ヤ・シュトラが合流するときに、皮肉っぽく「あら、またこんなにすぐにアナタたちの顔を見ることになるなんてね」みたいな台詞があったとしたら、ヤ・シュトラらしい照れ隠しであったとしても、今のタイミングでは僕はネガティブな表現だな、と感じるのです。「そうだよなあ、またすぐに再会かぁ……」と、プレイヤーの感情もそちらへ引っ張られてしまうわけです。
「暁月のフィナーレ」があれほど綺麗に完結して、キャラクターはそれぞれの道に分かれましたが、それが4ヶ月後のパッチですぐに再会したときに、プレイヤーの気持ちとキャラクターの気持ちは、同調し易くなるだろうなと考えたのです。前述の例であればヤ・シュトラは、「アナタたちとまた一緒に、ワクワクできる謎に向かっていけるなんて嬉しいわね」と、ポジティブな方向にしてくれ、というフィードバックになるわけです。これはスタッフにも伝えましたし、チェックの段階でも特に気を付けました。真っ直ぐポジティブに冒険に行けるということを皆で楽しめる空気を作ろう、という部分は凄く意識しました。
――そのせいもあってか、また新しい気持ちで冒険を楽しむことができましたし、暁の皆にすぐに再会できたのも嬉しく感じられました。
吉田氏:あとは暁月までの旅をみんなで一緒にしてきたからこそ、描けるキャラクター同士の関係性があると思っています。例えばエスティニアンが地図を購入するというエピソードでは、これまでシナリオをキチンと追いかけてきてくださった人たちにとっては、「あ~、またエスティニアン騙されるんだろうな」と予想されるシーンだったと思います。
でもそうではなく、エスティニアンもこれが小遣い稼ぎの詐欺まがいのものだっていうのは分かった上で、孤児たちがそれで救われるのであれば安いものだし、万が一本物の地図ならめっけもんだと言えるあたりが、これまで旅をしてきてエスティニアンというキャラクターが成長しているからこそ感じられるニヤニヤ感になっているのかなと。
そこを描けるようになったのは「暁月のフィナーレ」までの旅があったからこそです。そこまでの物語の積み重ねがなかったら、単なる1エピソードにしかならないと思います。その辺は、テクニックというほど大袈裟ではありませんが、意図的に作っているポイントではありますし、それこそがこれから始まる新しい冒険の面白いところだと思っています。
――今回は切迫した場面でもなかったので、より彼らのパーソナルな部分が垣間見えたと感じるのですが、メインストーリーの中で吉田さんの中で注目してほしいメンバーは誰でしょうか?
吉田氏:ナブディーンを皆忘れていないかなと、ちょっと不安だったくらいです(笑)。パッチ6.1の物語のラストシーンで登場し、ヴリトラに対して良いことを言うわけです。「お前もその恰好だからお前でいいよな」「家族だろうよ」と。その時に、「あれ、お前誰だっけ?」ってならないかなというのは少し心配していました(笑)。
暁月はフィナーレだったとはいえ、事前にお伝えしていた通り、パッチ6.1以降はそこから地続きの物語なので、ああいうところと、新しいワクワクがミックスされているメインストーリーにしていきたいと考えていました。幸い、プレイした皆さんからは、「6.1がここまでボリュームがあると思っていなかったし、物語のテンションは下がるんだろうと構えていたら次なる冒険や謎がどんどん出てきてテンションが上がった」という感想を多く拝見して、これは凄く良かったと思いますし、正直に言うとホッとしています。
――コミュニティの間では、やはり“あの”シーンのインパクトもあってか、ヤ・シュトラの人気がまた上がっていると感じますが、開発秘話などがあれば教えてください。
吉田氏:迷ったんですよねぇ……あのシーン。僕は悪乗りが過ぎるんじゃないかと感じていた部分も結構あって。ヤ・シュトラをなんでもネタにしない、というのは気を付けるべき点ですね。確かにコミュニティ内でも、ママと呼ばれたりだとか、皆さんにピックアップしていただける機会が多いのですが、そこに甘えるのも違うと思っています。
本来であればヤ・シュトラというキャラクターをちゃんと描くべきであって、その中での1エピソードでしかない部分を引っ張り続けるのはあまり好きじゃないんです。なので、やって良いのはここが限界点だよ、というところはあります。ちなみに、茅野さん(ヤ・シュトラのCVを担当する茅野愛衣さん)も相当なパターン数を演じて下さったと聞いています。
――なるほど、個人的には過去のヤ・シュトラが垣間見えて嬉しかったです。演出などもかなりこだわられていましたよね。
吉田氏:あれは間の取り方とか音のタイミングとか、エスティニアンの「ゴクリ……」みたいなやつとか定番お約束パターンなんです。ただ、テンポを外してしまうと本当にお寒いシーンになってしまうので、ギリギリ限界です。あれ以上キャラクターを崩すのはやめようと考えています。今回は、ヤ・シュトラにも可愛さを自覚した魔法少女時代があったんだなという所で済ませました(苦笑)。
――ウリエンジェサイドではレポリットたちと何やら楽し気な試みがされているそうですが、こちらについてはいかがでしょうか?
吉田氏:これはちょっとメタ的ですが、トレジャーハントのアップデートを考えていて、あのエピソードが何らかの形で次のトレハンに反映されるんだろうと認識してもらえるといいのかなと思います。次回のアップデートでは、これまでの流れを汲んだもので考えていますが、将来的にはトレハンダンジョンには、また違った遊びも増やしていきたいと思っています。
――新たなる脅威の存在も明らかになり、今後の焦点は第十三世界に当たっていくのかなと予想されます。パッチ5.Xシリーズのロールクエストではヴォイドに関する物語が展開されましたが、今後メインストーリーに関係してくる部分などもあるのでしょうか?
吉田氏:パッチ5.0からのロールクエスト群は、全部のロールクエストコンプがメインクエストとして強制になっていないところにあるお話です。ですので、遊んでいないとメインクエストが進まない、ということにはするつもりはありません。最初からそこは決めた上でメインストーリーを作っています。とはいえ、第十三世界に関わったキャラクターたちが第一世界にいたりしますので、あのあたりの話を聞いておいた方が、ロア好きとしてはより繋がりを感じられると思います。遊んでおいてもらえるとよりメインストーリーが楽しめるので、興味がある人は時間があるときにでもぜひプレイしてみてください。
――第十三世界側の物語で登場した「黒鎧の騎士」は、ゴルベーザがモチーフなのではと思うのですが、彼ら側の思惑について現状何か言える範囲でコメントをいただけますか?
吉田氏:黒い鎧の騎士と4つの元素みたいな四天王がいると嫌でも思い浮かびますよね(笑)。加えて、「暁月のフィナーレ」は「ファイナルファンタジーIV」オマージュが……というお話も以前からしていますから、確度は高いと思うのですがどうでしょうか……。期待を裏切らないのが「FFXIV」ではあるので、期待させたからにはきちんとしたものをお見せしたいと思います。「FFXIV」ならではの、という部分は念頭に置きつつ見ていただけると面白いのではないかなと思います。
――これは個人的なことなのですが、メインストーリーでタタルさんからもらえるウェイファーラー装備がめちゃくちゃ気に入っていて、クエスト中はもちろんミラプリのメインにもなってしまいました。
吉田氏:ありがとうございます! でも、なかなか作る機会の無い系統のデザインなんです。制作コストが決まっているので、装備はどうしてもロールに寄ったデザインになりがちですし、お洒落衣装は現代風のものやファンタジー感のあるもののリクエストが多いこともあって。
だからこそジョブではなく、新しい冒険に向かう冒険者“すっぴん”として着られて、でも駆け出しではない、というコンセプトで発注をしました。あの装備は僕も結構こだわっていてデザインから参加し、ぜひタタルから渡して欲しいとお願いして作られています。
ナルザルの人気は吉田氏も予想外?難産の末に完成した「輝ける神域 アグライア」
――アライアンスレイド「ミソロジー・オブ・エオルゼア」の第一弾コンテンツ「輝ける神域 アグライア」については、プレイヤーの間でもかなり評価が高いと感じています。エオルゼア十二神は予想の数倍キャラが濃くて一気に好きになってしまいましたが、キャラクターの性格付けなどはどのように行っていったのでしょうか?
吉田氏:十二神に関しては、ちょっとホッとしたところもあって……。というのも結構な難産だったのです。繋いでみたら凸凹していたと言いますか。今回のシナリオは、パッチ5.Xシリーズでイシュガルド復興の一連のクエストなどを書いてきた子が※、いよいよもう一歩ステップアップしてライティングに挑戦して、よく書ききってくれたと思います。石川(「FFXIV」リードストーリーデザイナーの石川夏子氏)と僕で色々と調整案を作って、それに食らいついてきてもらって、まとめ上げました。
十二神のキャラクターが立っているというのはライターの特徴で、分かりやすいキャラ付けになっていると思うんです。まずはあまりクドクド設定を語らずにキャラ押しにしているので、その辺がウケた要因かなと思っています。これは次の世代を担っていくスタッフたちの持ち味なので、そこにベテランの調整が入ることで相乗効果が得られたのかなと。
※2022/6/3 18:18 友好部族クエストと表記しておりましたが、正しくはイシュガルド復興となります。訂正してお詫び申し上げます。
――まだ未登場の十二神にも早く会いたいのですが、特にノフィカは双蛇党のポスターに描かれていたイラストが人気で楽しみにしている人も多いかと思います。
吉田氏:十二神に関してはファンアートもたくさん拝見させていただきまして、予想以上に皆さん思い入れを持たれているのだなと。これまで設定だけはたくさんあったので、僕たちが思っている以上に皆さんのバックグラウンドに根差しているということが改めて感じられました。逆にハードルが上がったなと思っている部分もあるのですが、ご期待に添えられるように頑張ります。
ノフィカのあのイラストに関しては……。でもほら、当時の人が想像でノフィカがこうだったらいいのになって描いた絵が定着している可能性も大いにあるわけなので。実際に登場すると、「おい、性別すら違うぞ!」という可能性も無きにしも非ずですから(笑)。
――そこは、どんなものが飛び出してくるのか、ぜひ楽しみにしています(笑)。ちなみに新NPCとして登場したデリックも良いキャラクターでしたよね。プレイヤーサイドとは対照的なスタンスなどが印象的でした。
吉田氏:メインストーリーは新キャラクターばっかりで取っ散らからないようにというオーダーをしていたのですが、「ミソロジー・オブ・エオルゼア」は久しぶりのオリジナルアライアンスレイドということで、こちらに新キャラ枠を用意して生まれたキャラクターです。まだレイド第一弾なのでそれほど多くの素性は明らかになっていませんが、彼もしっかりと作り込まれているので、ぜひこの後の展開を楽しみにしていてください。
――バトルコンテンツとしてはいかがでしょうか?
吉田氏:バトルも幾つか調整に苦労したところはありました。新世代の蛮神を作るスタッフたちが今回開発を担当したのですが、新しいギミックを考案したいということと、十二神のキャラクター性に沿ったバトルを作りたいということで、かなり気合が入っています。その分だけ、やはり最初のテストの時にはギミックの分かりづらさが目立ってしまっていました。調整は、担当者たちもめちゃくちゃ頑張りましたし、それをまとめてくれたリーダーの働きも素晴らしかったです。最終的にチーム総掛かりで作り上げた結果だったのでポジティブな評価をいただけて物凄くホッとしています。
でも、アーゼマはともかく、まさかナルザルがあんなに人気になるとはまったく思っていなくて(笑)。天秤のギミックなんかは、最初はかなりシビアでどこを落としどころにしようかとか、履行演出が長すぎるとか、とにかく調整が大変でした。
――「輝ける神域アグライア」のBGMは、旧版も含めたBGMのアレンジとのことですが、この曲の制作にまつわるエピソードなどがあれば教えてください。
吉田氏:実は僕は関わっていないんです。急に「出来ました!」って言われたのですが、曲をかけている時にバトルの調整真っ最中で、それどころじゃなかったんです(笑)。室内(「FFXIV」グローバルコミュニティプロデューサーの室内俊夫氏)もテストプレイに参加していたんですけど……曲を聴いてる余裕なんかなかったよね?
室内氏:それどころじゃなかったですね……。
――手掛けているのは祖堅さん(「FFXIV」サウンドディレクターの祖堅正慶氏)なのでしょうか?
吉田氏:はい、祖堅です。さすがの捻りだしというか、ストーリーや世界観、設定の解釈や落とし込みがやっぱりすごいですよね。
「クリスタルコンフリクト」や「絶竜詩戦争」の開発経緯などを深掘り!
――パッチ6.1では新たな少人数PvP「クリスタルコンフリクト」が実装されました。「FFXIV」のバトルシステムでカジュアルな少人数PvPはかなり難しいのでは、と思っていたのですが非常に間口の広いPvPが楽しめて驚いています。これまでの少人数PvPのどのような点が課題だと感じ、開発を行っていったのでしょうか?
吉田氏:実際、企画だけでも一年近くの時間をかけています。PvPの企画担当者は業務としてPvPだけをやっているわけではなく、色々なバトルコンテンツを作ったりジョブを作ったりもしているので、一年を通して企画だけを行っていたわけではありませんが、それでもかなりの時間をかけています。
改めて少人数PvPにチャレンジするという時に、「ロール縛りを無くそう」というのが最初の方針としてありました。「ファイナルファンタジー」というコンシューマーの文化で育ったファンが多い「FFXIV」のプレイヤー層だと、PvPに対してそもそも触れてきた機会が少なく、かつ、PvPでのロールの責任の重さを面白さに感じられる人が少ないと。そもそも他人を攻撃するということに対する怯えや怖さを無くしていかないと、「FFXIV」でPvPは流行らない、というのが長年やってきたからこその結論としてありました。
そうであれば、全ジョブに自己回復能力を持たせて、特性はジョブ固有のものにして、というのがスタート地点です。ですので、それ以降、最初は色々なアイディアがありました。例えば“すっぴんバトル”だったり、“青魔道士だけのPvP”だったり。青魔道士に関しては、PvPコンテンツにするならもっと大きいエリアでバトルグラウンド系のゲームの方が面白いんじゃないかという案もありました。
――昨今人気のバトロワ系ですね。
吉田氏:そうです、だんだんと狭まっていくエリア内で、武器を拾う代わりにラーニングをして戦っていくという形式です。青魔道士でやるなら多分そっちの方が面白いよねということで、その案は一旦別で考えようということになったのですが。
そういった経緯もあり、使えるジョブも絞って8ジョブくらいにしてしまおうという案まであったくらいです。ただ、担当者が、「プレイヤーは自分のメインジョブを気に入って遊んでくれているので、全ジョブを揃えたい」と粘ってくれて。じゃあ、PvPなりのジョブを徹底的に作り込もうということで、今の形になりました。だからこそ、各ジョブのリミットブレイクは結構な壊れ性能に敢えてしていて、今回の試合決着がキルを取る/取られるじゃないからこそ、使っていて楽しいというところに重きを置いて各ジョブを尖らせています。
例えば、竜騎士がジャンプをしたら降りてくるまでは完全無敵になってほしいという意見についても、PvEでは強すぎて作れない。でもPvPのリミットブレイクであればいいかな、とか。今まで「ファイナルファンタジー」シリーズにあったけど、なかなかMMORPGでは実現できなかったことも実現しているので、そのキャッチ―さも目を引いてくれた要因かなと思っています。
――ジョブバランスについては、現状どのジョブも一芸を持っており、ジョブの特性を活かしたバトルスタイルは、これまでのPvPはもちろん、PvEでも味わえない魅力があると感じました。そのうえでレンジ3職に関しては扱いが少々難しいこともあるので、使いやすくなると嬉しいなと感じているのですが、いかがでしょうか?
吉田氏:この後もまたパッチでの調整を予定しているのですが、一方で「フロントライン」の方にご迷惑をおかけしていることも認識しています。「フロントライン」はカジュアルに楽しんでいる方が多い上、ジョブ変更が自由である分だけ、強いジョブがあると偏りが大きくなりますし、現状のPvPジョブ能力では、あまりにも大味になってしまっています。「フロントライン」についてももちろん手を入れていくつもりですし、「フロントライン」にしか反映されない調整などもやりたいと思っています。パッチ6.15までにクリスタルコンフリクトの調整を落ちつけつつ、パッチ6.18やパッチ6.2で段階を踏んで調整を行っていきます。申し訳ありませんが、もう少々お待ちいただけると助かります。
そしてクリスタルコンフリクトのレンジジョブのバランスに関してですが、もちろんレンジだけではなく僕たちは、同ジョブ対戦を除く全プレイヤーの勝率を見ながらバランス調整を行っています。特に黒魔道士の全体勝率は最も低く、強化対象になっています。ただ、吟遊詩人は使いこなせている方たちが勝率を上げていることもあって、皆さんが体感しているほど勝率は悪くないです。この辺りはPvPというものや競技というものに慣れていないけど遊んでいるという方が多いからこその結果だと思うので、それ自体はとても良い事だと思っています。手ごたえも感じていますので、放送等も含め色々盛り上げていけたらと考えています。
※上記のバランス調整は5月24日に実施済み。6月7日には再調整も予定されている。
――吉田さんも3DCでクリスタルを目指して遊ばれているそうですが、進捗はいかがでしょうか?
吉田氏:皆さんのおかげで達成できました。一昨日(5/14)の時点でマナDCがクリスタルになり、昨日のお昼過ぎくらいにはガイアDC、その後夕方頃にはエレメンタルDCでクリスタルになりました。
――吉田さんと一戦交えるために「クリスタルコンフリクト」を遊び始めたという人もいると聞いていますが、過去に配信されていたPvPに特化した番組「アドレナリンラッシュTV」のような企画を実施する予定などはありますか?
吉田氏:そこまで特化してやれるかはまだ分かりませんが、スポットでPvPの楽しみ方などは伝えていきたいと思います。やはり勝てるようになることが一番楽しいと思いますので、報酬も含めて多くの方に遊んで貰えるような施策を考えていきたいと思っています。
――パッチ6.11では、絶シリーズ第4弾「絶竜詩戦争」が実装されました。挑戦中の光の戦士たちからは、過去最高の難易度との声も多くあるようですが、実装から約一週間ほどでワールドファースト報告がありました。こちらの進捗は吉田さんから見ていかがですか?
吉田氏:挑戦されている方の配信なども見ていましたが、プレイヤーの皆さんの練度の高まりやメカニクスの理解度、考察とそれを実践するまでの速度が本当に凄いなと思いました。難易度としては「絶バハムート討滅戦」より全然上なんです。ジョブアクションの使いこなしの数も違いますし、見なければいけないところも断然多い。クリアまで後、1~2日間くらいはかかるかなと思っていたんですが……いや~、凄かったですね。ですので、次の絶はどうしようかなと思っていて、あのレベルの人たちに合わせて作ると、毎回この難易度で作るのは我々もツラいんです。
――確かにこれ以上の難易度となると想像も付かないですね……。ちなみに今回は難易度もさることながら、オルシュファンを救うギミックや、フレースヴェルグの「不殺の誓い」のギミックなど、ストーリー性も強いですよね。制作にあたり、開発初期のコンセプトや開発中の裏話などがあれば教えてください。
吉田氏:今回開発を担当した“Mr.オズマ”こと中川(「FFXIV」リードバトルコンテンツデザイナーの中川誠貴氏)が、全体を扱うのであれば竜詩戦争そのものをコンテンツに組み込みたいということで、最初からその構想があったみたいです。そこで、史実がひっくり返った時にどうなるか? という部分に挑戦しました。
ただ、次の絶やその先の絶についてのアイディアも既にあるのですが、ストーリーに寄り過ぎると作りづらくなるので、一旦落ち着けていこうかという話し合いをしています。色々な系統の絶を出していかないと期待される方向が狭くなってしまうので。次がどうかはまだ断言できませんが、また長い目で見てチャレンジをしていきたいなと思っています。
――パッチ6.1は盛りだくさんというお話を冒頭でもさせていただきましたが、この後のパッチ6.15以降も様々なコンテンツの追加が予定されています。今後の見どころを教えてください。
吉田氏:パッチ6.15では新たな「友好部族クエスト」や「ヒルディブランド」のクエストなどが追加されるので、楽しみにされている方もきっと多いかと思います。ヒルディは三ヶ月前くらいに完成しているので、遠い過去のように感じますが……(笑)。僕も参加してこだわっているので、彼らの帰還を目に焼き付けてもらえればと思います。
――最後にプレイヤーの方へメッセージをお願いします。
吉田氏:パッチ6.1をリリースして、まだ一ヶ月かという感じではあるのですが、過去最大級のパッチで様々な挑戦についても好意的に受け取っていただけて大変ありがたいと感じています。それと同時に「FFXIV」始まって以来の大きな不具合も出してしまい、安全に修正するためとは言え、長い時間をいただいたことに関しては、再発防止も含めて徹底していきたいと思います。
とはいえ、パッチ6.1から始まる新しい冒険や、新しい可能性を十二分に感じてもらえるパッチになったのではないかと。例えば今回実装したポートレート機能についても、より良くしていきたいですし、皆さんの体験を阻害しない形で、まずは4人用IDで表示できるようなシステムの実験なども行っています。ますます面白いゲームに進化していく「FFXIV」を、これからも楽しみにプレイを続けてもらえると嬉しいです。
また、新規で始めてくださっている方たちの間でも非常に盛り上がっていますし、新しく始めるにも一番良いタイミングです。「FFXIV」は新生してから9年経つタイトルですが、まだまだ最新のゲームとして突っ走っていきますので、興味が沸いたらフリートライアルからで構いませんので、ぜひプレイをしてみてください!
――ありがとうございました。
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