2022年8月7日に開催された“中野駅前大盆踊り大会”より、「いとうかなこ feat.アノニマス・コード」のステージをレポートする。
中野駅前大盆踊り大会、通称“なかぼん”は毎年2万人以上の参加者で賑わう中野のお祭り。2020年と2021年はコロナ禍の影響により、入場者数を限定して中野セントラルパーク地下1階からインターネット配信を行う形で開催されたが、10回目となる今回は3年ぶりの地上開催。中野セントラルパークパークアベニューで実施された。
なお、入り口での検温や消毒のほか、会場ではソーシャルディスタンスやマスクの着用の呼びかけなど、感染予防も徹底されていた。
「ANONYMOUS;CODE」は中野を舞台にしている作品で、中野駅前大盆踊り大会の会場である中野セントラルパークパークアベニューもゲームのなかに登場している。そう、サイバーフォースドールの3人がライブを繰り広げた場所だ。筆者は会場で盆踊りの主催スタッフの方々と雑談させてもらったが、ゲームをプレイしないような世代の人たちもゲームにこの場所が出てくることに興味津々だった。「ANONYMOUS;CODE」がきっかけで中野のイベントがというが盛り上がってくれるのはファンとしてもうれしい。
そんな聖地・中野に、科学アドベンチャーシリーズに多数の作品に参加してきた歌手・いとうかなこさんが登場。この記念すべき現場をひと目見ようと多くのファンが駆けつけていた。
ライブは映画「チェリーボーイズ」の劇中歌として使われ、オンリーシリーズライブのテーマソングでもある“はじまりの歌”からスタート。バラードの曲だが、このご時世で減ってしまった野外ライブが無事に開催されたこと、多くのシリーズファンが駆けつけてくれたことのよろこびを噛みしめるかのように、より情緒的に歌い上げていた。
次の曲はアニメ「シュタインズ・ゲート」オープニング主題歌の“Hacking to the Gate”。科学ADVシリーズのなかでも、とくに人気の「シュタインズ・ゲート」の曲であることからもファンは一気に盛り上がった。また、アニメの曲であることから聴き馴染みのあった人も多かったのだろう。ステージのほうを振り向く人もチラホラといた印象だ。
3曲目は夏らしい曲ということで“追想のディスペア”がセレクトされた。こちらは大ヒットゲーム「ひぐらしのなく頃に」のDS版「ひぐらしのなく頃に絆 第一巻・祟」の主題歌だ。タイトルからも表されているとおり、夏を舞台にした作品なのでこの季節にはピッタリだ。「ひぐらしのなく頃に」はホラー要素のある作品だが、“追想のディスペア”は曲調も早いのでこういったライブでも盛り上がる曲だ。作詞・作曲は志倉千代丸さんが手掛けているので、科学ADVシリーズの曲にも通じるものがある。そのため、2曲目“Hacking to the Gate”から3曲目“追想のディスペア”の繋がりも自然で素晴らしかった。
そして4曲目にして、いよいよ「ANONYMOUS;CODE」のオープニング主題歌である“GAME OVER”へ! 前日のお台場で行われたライブや発売記念特番でも披露されているが、ゲームの舞台である中野で歌うのは初であり、ゲームをクリアして中野に思い入れができた筆者としても感慨深いものがった。“GAME OVER”は歌詞に“世界線”という単語が登場するなど、「シュタインズ・ゲート」との繋がりも感じられる曲。そのため、“Hacking to the Gate”のあとに“GAME OVER”を歌うのもニクい演出だ。また、弊紙のインタビューで「サビ部分が『GAME OVER』という言葉で終わるんですけど、その部分はすごく怖くしてやろうと意識して歌っています」と語っていたが、このライブでも一呼吸溜めてからの迫力ある「GAME OVER」の言葉を聴くことができた。
また、8月24日より中野マルイで「アノニマス・コード」の催事が開催されることは発表されているが、同時期に中野駅周辺をめぐるデジタルスタンプラリーがスタートすることも明かされた。すべてのスタンプを集めると記念グッズがもらえるとのこと。詳細は後日発表されるとのことなので、科学ADV公式Twitterをフォローして待とう。
最後の曲はアニメ「ロボティクス・ノーツ」の2ndエンディング主題歌“トポロジー”。「いつだってその道はこの場所につながってる」という歌詞があるが、このコロナ禍でもちゃんと自分たちはつながっているという想いを伝えるためにセレクトしたという。
筆者は中野の「GAME OVER」が聴けることがいちばんの楽しみであったが、夏を舞台にした「ひぐらしのなく頃に」の曲があったり、エールを込めた“トポロジー”があったりとセットリストもしっかり練られていて大満足であった。
いとうかなこさんはライブの終わりに「コロナなんかに負けない」と伝えたが、その言葉には勇気をもらえた。今なお世界は予断を許さない状況であるが、アーティストは表現の場が減り、ファンが活力をもらえる場も減ってしまっている。筆者自身、今回のライブを取材して、またリアルの現場に行き、熱気を伝えていきたいと思ったため、ゲームやライブといった文化は人間にとって本当に大事なことであると改めて気付かされた。さらに大きな会場でソーシャルディスタンスを気にせず、多くのファンがライブを楽しめる日が来ることを願う。