スマートフォン/PC向けオープンワールドRPG「タワーオブファンタジー」をレビュー。圧倒的な美しさを誇るビジュアルや思わず引き込まれるシナリオなど、本作の魅力について紹介する。

目次
  1. 未知のエネルギーをめぐるSFストーリーと自由度の高いアクション
  2. SFならではの秀逸な設定!アバターを付け替えて戦うバトル
  3. 「オムニアム」を巡り引き起こされる事件!引き込まれるシナリオ

「タワーオブファンタジー」はLevel Infiniteからリリースされたスマートフォン向けのオープンワールドRPG。この記事に掲載されたスクリーンショットをご覧いただければ一目瞭然、本作の魅力のひとつはその圧倒的なビジュアルだ。だが後ほど詳しく紹介するが、ただ美しいだけではない。この美しさは、ゲーム的な機能も果たしている。なお、岩や水など自然を感じさせるビジュアルからファンタジーもののように思えるかもしれないが本作はれっきとしたSF作品。この点も本作の魅力といえるだろう。

未知のエネルギーをめぐるSFストーリーと自由度の高いアクション

本作の舞台は地球ではなく、「アイダ星」と呼ばれる惑星だ。人類は星間移民計画によって「アイダ星」へと移住。ここで「マーラ」という彗星から未知のエネルギー「オムニアム」を発見する。

「オムニアム」は効率的なエネルギーという絶大な恩恵をもたらす一方で、「放射線」というリスクもはらんでいた。事実、「オムニアム放射線」と時空の断裂から「大厄災」と呼ばれる事態が発生。「アイダ星」で築き上げた人類文明はほとんど壊滅してしまう。

本作のビジュアルがファンタジーのように見えるのはこの「大厄災」のためだ。「アイダ星」には一度文明が作り上げられたものの、崩壊したことで文明を感じさせない風景となっている。…ただ、よく見るとSF的な意匠がチラホラ。これは、文明が完全に途絶えたわけではないため。「大厄災」をなんとか生き残ったエリート科学者たちは、「ハガード」という組織を結成。放射線を抑制しつつ「オムニアム」のエネルギーを利用するための道具「サプレッサー」の開発に成功する。つまり、崩壊後の人類であっても、ある程度は「オムニアム」を使うことができるわけだ。

実際冒頭からプレイヤーは「サプレッサー」を装備しており、武器や道具など「オムニアム」の恩恵を受けることができる。中でもとりわけ魅力的に感じたのが、空を飛ぶことができるジェットパック。そう、本作はほとんどチュートリアルという冒頭の段階から自由に空を飛ぶことができる。

オープンワールドRPGといえば、やはり一番の魅力は「自由度」だろう。この点で本作は、冒頭から自由度が高い。川は泳げるし、壁にしがみついてよじのぼることもできるし、ジェットパックで空だって飛べる。

…とはいえ、いくら多彩なアクションが用意されていてもプレイヤーが「あそこに行ってみたい!」と思わなければ意味がない。この点で、重要な機能を果たしているのが「美しさ」だ。この記事の冒頭で本作の美しさはゲーム的な機能を果たしていると書いたのがこの点。本作のビジュアルは、ただ見てくれとして美しいだけでなく「あそこに行ってみたい!」と思わせる力を持っている。だからこそ、多彩なアクションが活きてくるのだ。

そしてこの自由度を活かすかのように、シナリオの強制力も弱い。序盤のチュートリアル的な展開の中でも様々な場所に行くことが許されている。本作のゲーム的な流れは一般的なMMORPGに近く、クエストを受注して目的地へ移動して達成する…という繰り返しだ。ただスマートフォン向けMMORPGによくあるシナリオオート実行機能などは用意しておらず、プレイヤーが自分でキャラクターを動かさなければならない。これが楽しい。多彩なアクションをあれこれ試すのがまず楽しく、さらにいろいろ動かしている内に発見がある。たとえば、隠された宝箱などだ。こうなると、シナリオそっちのけであれこれ探索したくなる。これはまさにオープンワールドの醍醐味だ。

SFならではの秀逸な設定!アバターを付け替えて戦うバトル

移動中に敵キャラクターと遭遇すると、敵キャラクターから攻撃を受けることもある。もちろん、こちらが先に発見したなら攻撃を仕掛けることも可能。また、クエスト内のイベントなどでバトルが用意されていることもある。

本作のバトルはリアルタイムのアクションバトルになっている。主体となるアクションは攻撃と回避、そして武器の切り替え。この中で立ち回りの中核となっているのが武器の切り替えだ。攻撃を繰り返して「武器エナジー」を貯め、エナジー満タンで切り替えを行うと強力な連携攻撃が発生。また「武器エナジー」は、敵の攻撃をタイミングよく回避すると瞬時にマックスに。なので、攻撃の繰り返しやタイミングのよい回避から連携攻撃へと繋げていくことがバトルの肝となる。

武器は剣や槍のような近接攻撃武器ももちろんあるが、銃やミサイルなどといった遠距離用の近代兵器も存在している。イベントバトルなどでは、砲台を使って大量の敵と戦ったり、空を飛びながら空中戦を繰り広げたり…などといった展開も用意されていてバラエティ豊か。RPG的なアクションバトルの楽しさもFPS/TPS的な銃撃戦も楽しめるので満足度が高い。

ちなみに、個人的に秀逸だなと感じたのが本作の課金要素として用意されている「アバター」の設定だ。スマートフォン向けRPGでは、仲間キャラクターを課金要素として用意することが多い。ただ仲間キャラクターを課金要素にしてしまうと、ストーリー上の登場タイミングとプレイヤーの獲得タイミングの違いから物語的な整合性が崩れてしまうことが少なくない。また本作のようなアクション主体のゲームでは、プレイヤーが操作できるかどうかも重要だ。しかし単純に操作キャラクターが仲間キャラクターへ切り替わるというだけだと、やはり物語的な整合性が崩れてしまう。もちろんゲームである以上、こうした点があるのは仕方がない部分でもある。そんな中本作の「アバター」は、仲間キャラクターを操作可能な形で活躍させつつ物語的整合性も崩していない。これは画期的だ。

本作における「アバター」とは、優れた戦闘能力を持つ人間の動きや能力をデータ化したもののこと。データベース上にある「アバター」をダウンロードし装着することで、その人間の武器と戦闘能力、そして外観を手に入れることができる。仲間キャラクターというより「憑依」に近い。あくまでプレイヤーが動かしているのは自分のキャラクターだが、武器や戦闘力、外観は「アバター」になるという寸法。「アバターは」こじつけと見ることもできるが、しかし「設定の妙」と捉えた方が正しいだろう。

というのも、「アバター」技術は本作の作品内の世界において確かに通常の技術として存在している。だからプレイヤーがアバターを使って外見を変えることはおかしくないし、なんなら、本作の世界でアバターを使うキャラクターがいたとしても問題ない。つまり、我々プレイヤーに向けて「こういう設定で納得してください」という類のものではなく、本作の世界にしっかり立脚しているのだ。だからこそ筆者は、プレイしていて「しっかり構築された世界だな」と感じた。

「オムニアム」を巡り引き起こされる事件!引き込まれるシナリオ

最後に本作のシナリオについて触れたい。オープンワールドRPGに期待するものの筆頭といえば、自由度。なので正直、お使い的な依頼を受けて達成して…という繰り返し的シナリオであっても個人的にはそこまで問題だとは思わない。…ただ本作、シナリオにもガッツリ力が入っている。

冒頭、主人公は「サプレッサー」を使い切ってしまい倒れてしまう。そして、目覚めた時には記憶を失った状態。そんな主人公を救うのがジークと、その妹シャーリー。序盤の主人公は記憶喪失ということもあって主にシャーリーの下でお使い的なクエストをいくつか重ねていくことになるが、やがて3人が暮らすシェルターが襲撃を受けたことから物語は大きく進みだす。

筆者はこの段落の最初に、「特に物語的な起伏がなく、依頼の達成を繰り返すだけ」というやや否定的な意味合いで「お使い的なクエスト」という言葉を使った。しかし本作はこの「お使い的なクエスト」を単なる「依頼の達成を繰り返すだけ」のものにはしていない。物語的意味を持たせているのだ。その意味とは、シャーリーへの感情移入。「お使い的なクエスト」を通じて、シャーリーに感情移入しているからこそ、シェルター襲撃後の展開には思わず引き込まれてしまう。

また、「オムニアム」や「サプレッサー」といった設定をシナリオへしっかり反映させている点もSF作品として魅力に感じた。特に、敵対的な組織として登場する「アイダの子」の設定は本作のテーマを感じさせる。「アイダの子」は「オムニアム」の使用そのものに反対する組織だ。放射線に警戒しつつも可能な限り「オムニアム」を活用しようとする「ハガード」に対し敵意を持っている。

「オムニアム」「アイダの子」「ハガード」の関係は、我々の暮らすこの現代社会のエネルギー問題に通ずるテーマだ。現実世界のエネルギー問題を踏まえると、「ハガード」の現実的な思想にも理解は示せる一方、「アイダの子」のような組織もいないとおかしい。つまり、説得力がある。だからこそ物語の先が気になってしまう。

シナリオが面白く先を見たくなる一方で、自由度の高いアクションで探索もしたい。そして、バラエティ豊かなバトルも楽しい。率直に言って本作は、オープンワールドRPGとしての完成度が高い。RPGファンであれば、是非一度はプレイしたほうがいい作品といえる。ただその一方で、アプリのデータサイズが非常に重い。もちろん、ここまでの内容を詰め込んだからというのはあるだろう。しかし10GB近いダウンロードデータは、スマートフォン向けゲームとしては破格のサイズといえる。そういう意味で、良くも悪くも現時点の作品といえるかもしれない。

タワーオブファンタジー

Level Infinite

PCダウンロード

  • 発売日:2022年8月11日

    タワーオブファンタジー

    Level Infinite

    iOSアプリiOS

    • 配信日:2022年8月11日
    • 価格:基本無料

      タワーオブファンタジー

      Level Infinite

      AndroidアプリAndroid

      • 配信日:2022年8月11日
      • 価格:基本無料

        ※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

        コメントを投稿する

        この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

        関連ワード
      • アプリレビュー