バンダイナムコエンターテインメントより、2022年11月2日に発売予定のPS5/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「ドラえもん のび太の牧場物語 大自然の王国とみんなの家」のプレイレポートと、プロデューサー・中島光司氏へのインタビューをお届けする。
本作は国民的人気キャラクターの「ドラえもん」が、25年以上愛されているゲーム「牧場物語」の世界に登場する「ドラえもん のび太の牧場物語」の第2弾。システムは踏襲しているが、舞台やオリジナルキャラクターは一新されているので、本作からプレイしても問題ない。チュートリアルもしっかりしているので、操作も慣れることができる。
今回はゲーム内で1週間の期間を遊ぶことができる体験版を3時間ほど試遊することができた。プレイして驚いたのが舞台となる“イリマ星”の美しさだ。リアルなグラフィックではなく絵本のようなグラフィックだが、これが温かみがあってとても落ち着く。
また、“イリマ星”はとても広く行ける場所も多い。炭鉱だったりリゾートだったり雰囲気が異なるので探索しがいがある。今回はプレイ時間が限られたため、実際に確認できたわけではないが、日本の四季のように季節ごとに景色も移り変わっていくようなのでグラフィックの変化も楽しめそうだ。
ストーリーは見知らぬ星へやってきたのび太たちが、そこで出会った少年ライトの夢を叶えるために、みんなでルームシェアをしながら牧場を盛り立てるというもの。前作は別の家に暮らしていたが、夕飯はみんなが家に集合して食べるし、寝るときも同じ部屋(しずかちゃんなどは別の部屋)なのでいっしょに生活している雰囲気があって楽しい。
ただ、ずっと一緒にいるということもなく、しずかちゃんは病院、ジャイアンは大工、スネ夫は料理屋を手伝ったりしている。そのため、好きなキャラクターに会いに行くという楽しさもしっかりある。
また、今回の舞台であるイリマ星には動物のような姿をしたキャラクターも多数存在。前作にはいなかったが、劇場版に登場するキャラクターたちを彷彿とするデザインでかわいらしい。
キャラクターには無職の青年などもいるが、のび太くんが無職のことをうらやましいと伝えるなど、ピュアな彼だからこその新鮮なリアクションも。そんな彼が、今後、どのようにキャラクターと交流し、仲良くなっていくのか気になる作りだ。
ゲームは、荒れている牧場を手入れして作物や花を収穫し、報酬を手に入れるのが基本。報酬を持ってお店にいけば新しい作物の種や肥料を入手することができ、さらに牧場を発展することができる。
さらに、ここでは、四季折々の作物を育てたり、ライトが研究している四季折々の作物を育てたりと多彩なことができるようだ。
牧場に小屋を建てることで動物たちの世話をすることが可能に。エサをあげたりブラッシングをしてあげたりすることでミルクや卵、羊毛などを獲得できる。
また、のび太ならではなのが「おひるね」というコマンド。このコマンドを実行すると時間が経過する変わりに体力を回復できるというものだが、のんびり屋の、のび太らしいシステムになっている。
前作でもおなじみだった、ひみつ道具はもちろん本作にも登場。一定時間、体力が減らなくなる“ケロンパス”や作物が一気に育つ“アットグングン”などおなじみのひみつ道具が「牧場物語」向けのアイテムに工夫されている。前作にはなかったひみつ道具が追加されたていたり、性能が変わっているものもあるそうなので、どんなものが登場するのかワクワクさせられる。
本作では特定のキャラクターに話しかけることでいっしょに行動することもでき、作業をしていると手伝ってくれる。お気に入りのキャラクターと行動をともにすることで愛着も湧いてくる。
やれること自体はたくさんあるが、“やることメモ”にオススメの行動が確認できるので迷うことはないと感じた。「牧場物語」を知らない人でも楽しめるのでぜひ体験版を遊んでみてほしい。
なお、本作は9月15日から行われている東京ゲームショウ2022でも試遊出展されている。足を運んだ際にはそちらもチェックしてみてはいかがだろうか。
プロデューサー・中島光司氏インタビュー
――本作は「ドラえもん のび太の牧場物語」シリーズの2作目ですが、そもそも「ドラえもん」と「牧場物語」シリーズを組み合わせた作品を作ろうと思った経緯をお聞かせください。
中島:僕自身が「ドラえもん」がすごく好きなので、いつか「ドラえもん」のゲームを作りたいと思っていました。また、一方で小さいころから「牧場物語」シリーズも遊んでいました。「ドラえもん」であれば、「牧場物語」の平和な雰囲気も合うんじゃないかと思い、マーベラスさんに提案させていただいたという形です。そのなかで、開発会社のプラウニーズさんとの出会いなどもあったりと、いろいろな方の縁に支えられて、形にすることができたという流れです。
――マーベラスさんと企画を固めたあと、藤子プロに相談されたのでしょうか?
中島:当然のことながら版権元から許諾をいただけなければゲームは作れません。どちらが先ということはあまりなく、ほとんど同時ですね。「ドラえもん」と「牧場物語」、どちらのゲームとしても成立させたかったので、実現のため、密にご相談をさせていただいてました。
――「ドラえもん」のゲームということで藤子プロにもしっかり監修してもらっているのでしょうか?
中島:はい。「ドラえもん」自身が長く愛されている作品なので、やはり築き上げられてきた世界観というものがあると思います。今回のシナリオは前作以上に版権元とのコミュニケーションのプロセスに力を入れたので、「ドラえもん」作品としてのシナリオのクオリティも上がったのではないかと思っています。
――そんな本作の舞台についてお聞かせください。今回は“イリマ星”が舞台になりますが、どんな場所になるのでしょうか?
中島:本格を作る上で意識したのが、よりそのロケーションを個性的にしようということでした。ゲーム自体が何かを育てていくという内容なので、ひとつひとつの場所に特徴を持たせたいと思いました。
リゾートっぽい雰囲気の場所があったり、一方で森の中はちょっと神秘的な雰囲気を漂わせたりと、それぞれ個性的にしています。
そういった世界観であれば、地球よりも別の惑星という形にしたほうがいいだろうと思い、そこに住んでいる人たちの生活を描くことにしました。
また、本作はUIとゲームバランスにも気を使いました。UIは最新の「牧場物語」シリーズなどを参考にしながら、より遊びやすいように改修しました。ゲームバランスに関しても、かなり力を入れて調整していて、ユーザーさんが遊んでいくなかで、ゲーム内の資源が増えたり、遊べる要素が増えたりすることで楽しくなっていくように設計しています。
本作では作物を育てていれば自然とやれることが増えていくので、そのなかで自分のやりたいことを見つけられるようなバランスを意識しています。
――2作目ではあるものの、初心者がプレイしても分かりやすい導線は引かれていると。
中島:そうですね。初心者が遊んでも、どこかで詰まったりすることはないと思います。
――キャラクターに関してはいかがでしょうか。名前がダジャレになっている人物が多いなと感じました(笑)。
中島:そうですね(笑)。とくに大きく意識したわけではないのですが、「ドラえもん」の世界のお話なので、「ドラえもん」らしさは出したいと思いました。本作はキャラクターと一緒に生活するというところがコンセプトなので、親しみやすい名前にしました。
――前作はメインキャラクターたちがそれぞれ別のところに住んでいましたが、今回はひとつ屋根の下で暮らしています。こういったコンセプトにした理由を教えてください。
中島:前作はのび太くんだけを操作する内容で、それはそれで牧場を育てるゲームとしては違和感は無かったのですが、もう少しみんなで暮らしているとか、みんなで作業しているといった雰囲気を出したいと思いました。みんなで生活すれば、家を増築して大きくなったときのよろこびが、さらに大きくなるんじゃないかと思ったんです。
また、本作ではほかのキャラクターと一緒に作業できるという新しい仕組みもあります。みんなのために自分が何ができるのか、自分がやっていることはすごく些細なことだけど、みんなのためになっているんじゃないか……ということを感じられるようになっています。
――小さいお子さんがプレイしたときに教育にもなりそうですね。キャラクターによって得意不得意はあるのでしょうか?
中島:そうですね。キャラクターと仲良くなると、そのキャラクターに応じた便利なものが解禁されていきます。仲良くなればなるほど、牧場の作業が便利になってくるという仕組みです。
――今回はオフライン2Pプレイも実装されているそうですがこちらは、どういう形になっているのでしょうか?
中島:オフラインでの2Pプレイなので、ひとつの画面でゲームコントローラーを2つ持つ形になります。そして、それぞれのび太くんとドラえもんを操作して、牧場生活を楽しんでもらうことになります。ただ、2人でしかできないということはなく、1人でやるよりも簡単になるというイメージです。
どちらかというと、いい虫を取ったときに自慢したりだとか。コミュニケーションにつながるといいなと思いました。親子はもちろんですが、友達やカップルとワイワイ遊んでもらえればいいなと思っています。
――今回は“熱血応援マイク”など、前作にはなかった新しいひみつ道具も登場するようですが、これらゲームに登場するひみつ道具はどのように選定されたのでしょうか?
中島:登場するひみつ道具を選ぶにあたって、3つの選定基準がありました。ひとつは牧場生活を便利にしてくれるもので、もうひとつはシナリオをおもしろくしてくれるもの、そして最後のひとつは「ドラえもんだったら、このひみつ道具を使いたいよね」と思うものでした。牧場とはあまり紐づかないけど、「ドラえもん」として大事なものも入れました。
牧場として役に立つのは“ずらしんぼ”などですね。前作では牧場をレイアウトしたあとに別のものにしようとすると手間がかかったのですが、今回はずらすだけなので簡単になっています。
前作から効果を改良したものもあり、“石ころぼうし”は気づかれないだけでしたが、本作は虫取りをするときに虫に勘付かれなくなる効果を付けたりしています。
――本作には80種類のひみつ道具が登場しますが、「ドラえもん」のひみつ道具の数は多いので80個を選ぶのもすごく大変だったのではないでしょうか?
中島:そうですね。ただ、どちらかというと「あれも入れたい、これも入れたい」となってしまうので、絞るほうが大変でしたね。
――最初から最大で80個というのは決まっていたのでしょうか?
中島:いや、そこはあまり意識していないです。まずはどんなひみつ道具があって、どういうふうにゲームに入れたら楽しいんじゃないかという会議があり、最終的に80個という形に落ち着きました。
――ストーリーについてもお聞かせください。前作をプレイしていなくても楽しめるのでしょうか?
中島:はい。シナリオは前作とはつながっていないので本作から遊んでいただいて問題ありません。そういう意味では、マップも前作と本作ではまったく異なるので、まず本作を遊んで、そのあと前作を遊ぶという順番でも問題なく楽しめます。
――ボリュームはいかがでしょうか?
中島:今回もメインシナリオとサブシナリオという形に分かれていますが、全体のボリュームは増えています。捕れる虫や釣れる魚なども増えているので、長く遊べるようになっているのではないかと思います。
――「ドラえもん」らしさを出すために苦労した点などはありますか?
中島:「ドラえもん」らしさというのは難しくて、ひみつ道具を出せば「ドラえもん」らしいのかといえば、決してそうではないと思っています。「ドラえもん」のなかにある大事な要素を試行錯誤しながらゲームに落とし込んで作っているのがこのシリーズですが、その大事な要素には、非日常だったり冒険感だったりがあると思っています。そのため、本作では雲の上で牧場生活ができたり、海底のなかを冒険したりすることができるようにしました。
――雲の上や海底はゲームが進むと行けるようになるのでしょうか?
中島:雲の上はタケコプター、海底は過酷な環境でも適応できるようになるテキオー灯を使うことで行けるようになります。
――雲の上や海底ではどんなことができるのでしょうか?
中島:雲の上はそこでしか育たない特別な作物があり、海底では真珠を育てて収穫できます。なお、雲の上や海底でキャラクターとのイベントが見れることもあります。前作はのび太くんやドラえもんがメインでしたが、本作は“みんな”がテーマになっていることもあり、オリジナルキャラクターたちにもフォーカスがあたるようになっています。
――キャラクターと仲良くなるとどんなことがあるのでしょうか?
中島:先ほどお伝えした牧場生活のサポート以外だと、同じ家で一緒に住むようになります。また、キャラクターごとに特別なイベントが発生するので、そこを楽しんでもらいたいですね。
――「ドラえもん」らしさでいう部分だと、オープニングアニメは本当に「ドラえもん」そのままですね。
中島:はい。アニメはシンエイ動画さんにお願いしました。プロローグの内容をゲームで紹介しようと思うととても長い説明になってしまうので、アニメで描いたほうがすんなり物語に入り込みやすいのかなと思いました。
――ちょっと懐かしさも感じるような映像で良かったです。「牧場物語」らしさに関してはいかがでしょうか? 便利なだけでなく、わざと不便なところも残さなければいけなかったと思うのですが。
中島:そうですね。なんでもひみつ道具でラクをするのは違うと思っていて、きちんとプレイヤー自身が牧場を育てるというところは大事にしました。
牧場を育てることで作物やお金が手に入ったり、住んでいるキャラクターに「ありがとう」と言われたりするので、そういった部分でプレイヤーがよろこびを感じられるようなバランスにしています。
――本作には数多くのひみつ道具が出てきますが、チートみたいなアイテムになっているわけではなく、バランスはしっかり取れているわけですね。
中島:はい。達成感はしっかり得られるようにしています。
――「ドラえもん」「牧場物語」のイメージを大事に制作している本作ですが、本作ならではの魅力はどこでしょうか?
中島:「牧場物語」シリーズと違うのは1本のメインストーリーがあるという点です。版権元さんにしっかり監修していただいたので、「ドラえもん」らしさもしっかり出ているのではないかと思います。体験版ではストーリーは分からないと思うので、ぜひ製品版で物語にも注目してみてもらいたいです。
――最後に発売を楽しみにしているファンにひとことお願いします。
中島:前作を発表したときは、たくさんのユーザーさんに遊んでいただき大変うれしかったです。いただいた意見に目を通して、より遊びやすくなった本作も楽しんでいただければと思います。本作が日々の生活のなかでの癒しだったり、ホッとできる瞬間になればうれしいです。
――ありがとうございました。