PICO Technology Japanは、9月29日に東京・渋谷の渋谷ヒカリエ ヒカリエホールBで、「PICO新製品発表会」を開催した。
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今回の発表会は、9月22日に発表した次世代のオールインワンVRヘッドセット「PICO 4」をメインにしたものだ。日本市場向けのビジネス戦略やコンテンツ戦略などのプレゼンテーションに加えて、アンバサダーに就任した峯岸みなみをゲストに迎えたトークセッションなどが行われた。本稿ではその模様をレポートしていく。
価格は128Gが4万9000円、256Gが5万9400円で10月7日から購入可能
イベント冒頭で9月22日に行われたグローバル発表会のダイジェスト映像が流されたあと、PICO Technology Japanの小山マックス氏が登壇。同社の新製品である「PICO 4」の紹介が行われた。同社が目標にしているのは、誰もが使える簡単でシンプルに楽しめるXR製品の開発だ。そして、それを多くの人に提供することも目標だと小山マックス氏は語る。
「PICO 4」は、超軽量なボディにパンケーキレンズ、4K以上の高解像度ディスプレイと直感的なユーザーエクスペリエンスが特徴のVRヘッドセットである。本体の重さは295グラム。業界トップクラスのカウンターウェイト設計を搭載しており、前後のバランスのとれた快適な装着感が体験できる。VRヘッドセットは比較的重いというイメージがある人も多いだろうが、実際に被ってみるとあまりの軽さに驚くだろう。
パンケーキレンズを採用したことにより、ケースの一番厚い部分でも35.88ミリメートルに抑えることができた。これにより、軽いだけではなく薄さも実現している。後部に付けられたホイールで締め付け具合も調整可能だ。
この「PICO 4」は、複数の人間工学から快適さを追求して生まれた製品である。ヘッドセット前後の重量分散を徹底的に追求。ヘッドセットを付けたときの顔への圧迫感や、後頭部の重みを感じさせないデザインが採用されている。
裏面のパッドやフェイスクッション部分については、装着時の快適さのために厚みと柔らかさを持った素材を採用するなど、いくつかの改善も行われている。前面のクッションには、スーパースキン繊維を採用。湿気をうまく逃がすことで、さらさら感がキープできるようにしている。
「PICO 4」の特徴のひとつとして、5300mAhという大容量のバッテリーと高速充電にも対応している。長時間のプレイにも対応しているほか、充電中の待ち時間からも解放されるのだ。
両面のハードストラップに付けられたスピーカーからは、パワフルで低音効果のあるサウンドが体験できる。ディスプレイは、1200PPIと最大90Hzのリフレッシュレートを実現。これにより、クリアな透明度と滑らかな動きで仮想現実の世界を楽しむことも可能だ。
付属のコントローラーにも快適さが追求されており、大きさを問わず手のひらでしっかりと握ることができる。施されたレーザー刻印がスリップも防止してくれるので、ある程度動きが激しいゲームなどをプレイするときでも、安心してコンテンツに集中することができる。
眼鏡ユーザーは、VRヘッドセットを使用するときにいろいろと苦労することがあるが、「PICO 4」では眼鏡ブランドJINSのオンラインショップで専用アタッチメントが購入できるようになる予定だ。こちらの詳細はまだ明らかになっていないが、サービスが利用可能になったときに公式サイトで発表されるとのこと。
9月29日より、大手量販店で予約受付が開始。実際に購入できるのは10月7日からとなる。各店舗にも「PICO 4」が体験出来るコーナーが設置される予定ということなので、実際に試してみたいという人はチェックしておこう。
「PICO 4」の発売を記念したキャンペーンも実施される。こちらは、期間中に指定販売店で「PICO 4」を購入し、アカウント登録と「PICO 4」でログインするともれなく有料ゲーム3タイトルがプレゼントされる。その中のひとつが、自宅でフィットネスが楽しめる「LES MILLS BODYCOMBAT」だ。
最後に小山マックス氏から、「PICO 4」の価格も発表された。どちらも税込みで128Gが4万9000円、256Gが5万9400円と、お手軽な値段となっている。
グローバルだけではなく日本独自の取り組みにも力を入れていく
続いて、PICO Technology Japanの宮川学氏より、「PICO 4」のコンテンツ戦略と日本でのコンテンツ展開について説明が行われた。ハードだけではなく、コンテンツに力を入れていくと語る宮川氏。
先週発表されたユービーアイソフトの「Just Dance VR」は、PICO限定で2023年にリリースされる。音楽ゲームの中でも人気のあるシリーズで、ダンスの爽快感を通じて人々と繋がることができるタイトルだ。
グローバルコンテンツだけでなく、その地域にあったコンテンツも用意されている。その中のひとつが、CharacterBankが開発したVR魔法アクションRPG「RUINS MAGUS ~ルインズメイガス~」だ。「PICO 4」の発売日からプレイ可能となっている本作は、様々な魔法と盾アクションを駆使して、遺跡に秘められた世界の真相と謎の解明を目指していく作品である。
また、あまたのVRアクションアドベンチャーゲーム「オノゴロ物語 ~The Tale of Onogoro~」が、11月にリリースされる予定だ。こちらは、気の力と蒸気管が融合した和風伝奇スチームパンクという世界観になっており、フィールドに掛けられた謎や巨大生物「カミ」とのバトルが楽しめるタイトルとなっている。
VRはゲームだけではなく、動画コンテンツとの相性もいい。そこで同社では、日本最大級の動画サービス「U-NEXT」と、PICOでアプリ参画の基本合意を得ることができたと発表。既存のサブスクリプションで提供されているコンテンツに加えて、VRならではのコンテンツも揃えていく予定である。こちらの詳細やサービス時期については、続報を楽しみに待とう。
さらに日本オリジナルの施策として、UUUMと長期パートナーシップ締結を発表。これにより、UUUMオリジナル制作の日本初のインフルエンサーVRチャンネルが、PICOのプラットフォームに登場する。
その第一弾として予定されているのが「あなたの推しは、PICOの中にいる。」だ。UUUM所属の人気インフルエンサーたちが、自分の目の前に現れるといったものになるそうだ。今のところリリース時期は決定していないものの、第二弾以降のコンテンツも発表されていく予定である。
ここでUUUMの取締役 執行役員である西田真樹氏が登壇。「最近“推し”という言葉が一般的になりましたが、個人的にも世の中のいろんなことの起点が推し”になっているのではないかと思っています。今回推しを、PICOさんと最先端のテクノロジーに乗せて皆さんに届けていきたいと思います」と抱負を語った。
「PICO 4」アンバサダーに就任した峯岸みなみさんが登場!
続いて、「PICO 4」アンバサダーに就任した峯岸みなみさんが登壇。「PICO 4」を身に付けた状態で、ファッションショーのランウェイ風に登場した峯岸さん。「自分が最先端だという自信がつく感覚がありました」と感想を述べる。なお、今回は白とシルバーを基調にした衣装で登場した峯岸さんだが、こちらも「PICO 4」をイメージして時代を先取るようなものにしたとも語っていた。
以下、トークセッションの模様を一部抜粋してお届けする。
――VRコンテンツもかなり普及していますが、峯岸さんが初めて体験されたのはどんなときでしたか?
峯岸さん:3年ぐらい前に、お仕事で体験させていただいたことがあります。付けると自分が日常的な場所にいることを忘れちゃうぐらい、異空間に連れて行ってくれもらっている感覚が楽しくて、刺激的だったことを覚えています。
AKB48時代に、劇場にVR用カメラが真ん中に置いてあって、私たちの劇場公演を見てもらえるみたいなサービスがありました。それを自分で観たことがなかったので、こういう風に見えているんだな、みたいな感覚で驚きました。
――今現在VRを日常的に使われることはありますか?
峯岸さん:まだ日常には取り入れてはいません。正直もっと重かったり高かったり、身近じゃないイメージがありました。今回「PICO 4」を初めて付けて、軽さにびっくりして。これなら日常に取り入れやすいし、ゲームの中で運動するなど付けながらの行動も楽にできるなと思いました。
――今後VRでこんなことができるといいなと思うことを教えていただけますか?
峯岸さん:これは贅沢なお願いかもしれないですが、視覚的な体験は十分素晴らしいなと思ったので、その国に行ってお店に入ったときに匂いがするなど、嗅覚にも刺激があるようなVRゴーグルができたらすごいなと思いました(笑)。
――ちなみに何が食べたいですか?
峯岸さん:え~、なんだろう? パリで、クロワッサン! バターの香りを嗅いだりだとか。
――VRの普及で生活習慣も大きく変わります。生活習慣の変化と言えば、先月ご結婚されましたよね? 大きな変化はありましたか?
峯岸さん:私は変わらず東京を拠点として活動をしていて、彼は愛知を拠点に活動をしています。新婚生活で何かがかわったということは、ほとんどないですね。新婚なのに会えないな、っていうさみしさはあります。
「PICO 4」はひとりじゃなくて、離れていても一緒に体験できるというのを聞いて、すごいなと思いました。それを付けて一緒に釣りをしたり、離れている時間にも共有できたりするのがいいなと思ったので、ぜひ取り入れたいです。
――釣り以外に、「PICO 4」を使って夫婦でやってみたいことはありますか?
峯岸さん:実際のスポーツは、なかなかその場所までいって楽しむということはやっていませんでした。気軽に自分の家で、そんなに広くなくてもできるということなので、そういうのもやってみたいです。
ここで峯岸さんが「PICO 4」を身に付けて、「All-In-One Summer Sports VR」でビーチバレーを体験することに。VRとはいえ、本物のビーチバレーのように大きなアクションでゲームに挑む峯岸さん。ゲーム自体に慣れていなかったこともあってか、残念ながら勝負自体は負けとなってしまった。
ゲーム終了後に「PICO 4」を取った後、「えー、皆さんいたんですね」と、現実世界に戻ってきた峯岸さん。「世界に入り込めていました」とプレイした感想を述べていた。結構激しく動きながらゲームをプレイしていたが、重さや違和感もなかったそうだ。
最後に、アンバサダーとして峯岸さんから、「私も今日初めて、PICO 4を装着させてもらいました。こうやって体を動かすのもいいと思いますし、逆に普段行けないような場所や景色の中で、自然に癒やされるのもいいと思います。活用方法は、たくさんあるなと思いました。私も別居生活のさみしさを埋めるアイテムとして、活躍させてもらいたいなと思います」とメッセージが語られ、イベントを締めくくった。
「PICO 4」を初体験! これからメタバースに挑戦してみたい人にもオススメ
インベント終了後、会場外に設置された体験エリアで、実際に「PICO 4」を触ることができた。こちらではいくつかのコンテンツが用意されていたが、今回選んだのはVR魔法アクションRPGの「RUINS MAGUS ~ルインズメイガス~」である。いきなり感想からいうと、思っていた以上に快適な装着感だった。
ちなみにこうしたVRの体験会では、ひとりずつサポートしてくれる人が付くことが多いが、今回は比較的自由に触れる形式となっていた。そのためと言っては何だが、電源の入れ方がわからず少しだけ戸惑いつつも、なんとか「PICO 4」の体験がスタート。ほとんど何の説明も受けずに使い始めたのだが、UIも非常にわかりやすく、初めての人でもある程度操作ができるようになっていたことに感心した。
なによりも驚いたのが、最初に「PICO 4」を付けたときだ。VRでは、MRやARグラスとは異なり、現実世界にCGを投影するのではなく基本的に視界内はフルCGになっている。そのため、ゴーグルを付けると現実世界に置いてあるコントローラーなどの場所がわからなくなってしまうことがあるが、「PICO 4」ではシースルーで現実世界が見えるようになっており、コントローラーを持つときもほとんど戸惑うことはなかった。
肝心のゲーム体験のほうだが、こちらもなかなか素晴らしい出来映えだ。「PICO 4」自体の性能の良さもあるのだが、まさに上から下まで全面にゲームの世界が広がっており、自分がその中に入ったような気分にさせてくれる。プレイ中、ちょっと背の低い女の子が登場するのだが、それを見下ろすような感じになるのは、VRならではといった体験だ。
家庭用ゲーム機とは異なり、コントローラーの操作はやや癖があった印象だ。どのボタンを押せばどうなるのかといったセオリーがいまいちわかっていなかったこともあり、何度もメニュー画面を表示させてしまった。だが、これらは単純に慣れの問題であるため、コンテンツやハード自体の完成度の高さとは関係ない部分といえるだろう。
頭に付けたときの装着感も悪くなく、後頭部のダイヤルを回すことで締め付け具合の調整もできるため、すぐに使い慣れるのではないだろうか。数年前に登場したVRヘッドセットと比較しても、大きな進化を感じることができるようになっていた。
VRChatなどメタバースが楽しめるコンテンツも多数登場してきているが、「PICO 4」はこれからVRコンテンツに挑戦してみたいという人にもオススメのアイテムであることは間違いない。