バンダイナムコグループの横断プロジェクト「ガンダムプロジェクト」は、「ガンダムカンファレンス Autumn 2022」と「GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-」の内覧会を、9月29日に開催した。
ガンダムファンとの対話に特化したAI「メロウ」や、「閃光のハサウェイ」などのTVアニメ放送が発表
今回のカンファレンスには、バンダイナムコグループでチーフガンダムオフィサーを務める藤原孝史氏が登壇。ガンダムシリーズ45周年にあたる2025年に向けてのプロジェクトである「GUNDAM NEXT FUTURE -ROAD TO 2025-」の詳細が発表された。
まず藤原氏は、「GUNDAM NEXT FUTURE -ROAD TO 2025-」の中核として「リアルイベント」「メタバース」「映像展開」の3つの柱を掲げる。
第1の柱となるリアルイベントでは、11月2日から東京国立博物館で開催される「150年後の国宝展」に、GUNDAM FACTORY YOKOHAMAの「動くガンダム」1/10スケール試作モデルの出展が決定。
その他にも、2023年3月末のグランドフィナーレに向けて行われるGUNDAM FACTORY YOKOHAMAでの施策や、「もう一つの宇宙世紀」を舞台に未来社会の課題解決に向けた実証実験をコンセプトとした、大阪万博のガンダムパビリオンなど様々なイベントが実施される予定となっている。
第2の柱となる、ガンダムメタバースプロジェクトについては、メインストリートの画像が公開。スペースコロニーを模した空間内に巨大なガンダムやアバターが存在し、世界中のガンダムファンがさまざまなカテゴリーのコンテンツと出会ったり、ファンたちの交流の場となる予定だという。
また、ガンダムメタバースは、それぞれの区画が複数の「コロニー」として区切られていることも特徴。
その一つとなる「ガンプラコロニー」は、ガンプラファン同士が交流を深められる区画だ。将来的には、ガンプラスキャン技術を活用し、デジタルデータとなったガンプラをメタバース空間に展示できる形を目指して開発が進められている。
自身で作成したガンプラをスキャンしてバトルする「ガンプラスキャンバトル」も実現に近づいており、「GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-」においては、自分で作成したガンプラを360度スキャンして映像内に取り込む「ROAD TO GUNPLA BATTLE プロジェクト」の第2回テスト稼働イベントが実施される。
ガンプラのスキャン技術については、ソニーグループと共同で研究が進められていることも明かされ、早くも2022年内にはガンプラコロニーを対象としたクローズドテストが実施される予定だ。
ガンプラ以外には、「ゲーム」「アニメ」「音楽」といったコロニーも用意されているようで、現在計画が進められているのが「esportsコロニー」。PC向けに配信中のFPS「ガンダムエボリューション」は、このメタバースとの連携が想定されたタイトルでもあるそうだ。
また、世界中のガンダムファン同士のコミュニケーションを活性化させるため、様々な言語を自動で翻訳できるシステムもメタバース内に実装される予定だという。
さらに、メタバース空間に毎日足を運んでもらうための独自のソリューションとして、AIキャラクター「メロウ・ネージュ」が発表れた。
メロウは、ガンダムファンと対話することに特化して開発されたAIで、ガンダムメタバースにおけるAIキャラクターのルーツとなる。攻略・実況・司会・対話といった機能が用意され、メタバース空間でユーザーをお出迎えしたり、自ら話題を提供してコミュニティを活性化させる、遊園地のキャストのような存在を目指しているという。
コミュニティ内で行われる会話や雰囲気を学習していく機能も持っており、メロウ自身がどのようなキャラクターに成長していくかも、メタバースの見どころの1つとなる。近日中には、メロウによる動画ライブ配信も実施される予定とのことだ。
3つ目の柱である「映像展開」については、地上波・衛星・YouTubeに向けた施策が行われる。
まず地上波では、10月2日より放送がスタートするTVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(以下、水星の魔女)が2クールに分けて放送されることと、第1クール放送終了後の2023年1~3月に、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」、「機動戦士ガンダム サンダーボルト」、「機動戦士ガンダム NT(ナラティブ)」のTV放送も決定。3作品ともに、全4話のTVエディションとして再編集された形で放送される。
BS11で金・土曜にかけて放送枠が設けられている「ガンダムアワー」では、引き続き歴代シリーズ作品を放送。「水星の魔女」の再放送の他、現在制作中の劇場版にあわせて、「機動戦士ガンダムSEED」「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の全話放送も予定されている。
また、ガンダム公式YouTubeチャンネルである「ガンダムチャンネル」では、通常の配信枠に加え、毎週日5枠直前の16時30分より、ガンダムシリーズの過去作品の特選エピソードがプレミア公開される。
さらに、従来の映像配信の配信に留まらず、ガンダムファンが制作・公開した動画との連携する仕組みの構築を目指していくという。最初の1歩としては、自由に映像制作・配信が可能な映像素材とガイドラインが用意されるとのことだ。
最後に藤原氏は、ガンダムシリーズをキャラクターIPから社会的アイコンのSPへと成長させる、「GUNDAM NEXT FUTURE」を通じて目指す未来を語り、カンファレンスを締めくくった。
「GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-」の模様をレポート
カンファレンス終了後には、9月29日~10月4日の4日間にかけて新宿住友ビル 三角広場で開催中の、「GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-」の内覧会が実施された。
「GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-」は、「水星の魔女」の放送を記念して開催される、ガンダムシリーズとファンがつながる大型イベント。会場では、「水星の魔女」を中心に歴代のガンダムシリーズに関連した様々な展示物が用意されていた。
「水星の魔女」関連では、ファンから回収したガンプラのランナーで作成したガンダム・エアリアルの実物大ヘッドに加え、全高7mに渡るガンダム・エアリアルの巨大バルーンも登場。ガンプラ、ロボット魂や超合金といった多数のグッズに加え、複製原画の展示も行われていた。
「HG 1/144 ガンダムエアリアル」の設計データを基に、実物大にしたガンダム・エアリアルが動く映像や、2m大のガンダム・エアリアル立像を用いたプロジェクションマッピングのコーナーも用意されている。とくにプロジェクションマッピングでは、最初は色がついていないエアリアルの装甲が、おなじみのトリコロールカラーへと変化する演出に度肝を抜かれることに。
ガンダムゲーム関連では、「SDガンダム ジージェネレーション」シリーズに登場するトルネードガンダムのプラモデルが初公開。「機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE」のガンダム開発試験0番機、「機動戦士ガンダム 戦場の絆II」の赤い三巨星チームセットとあわせて展示されていた。
さらに会場では、ガンプラをスマートフォンで360度スキャンし、映像の中に取り込むことができる「ROAD TO GUNPLA BATTLE プロジェクト」の第2回テスト稼働イベントも実施される。ガンプラは、予め用意されているものの他にも、自作のプラモデルを持ち込こみも可能。ただし、1/144スケール限定や、ポージングを含めた状態で規定サイズに納める必要があるなど、かなり細かなレギュレーションが設定されているので、事前に必ず公式サイトをチェックしておこう。
ニューヨークを拠点に活動するアーティストのカーティス・クリグ氏とコラボした1.6m大ガンダム像、鏡とLEDの幻想的な空間で歴代ガンダムシリーズを表現した「インフィニティ」、ガンプラの「ポリキャップ」にフォーカスした東京藝術大学とのコラボリサイクル・アートといった、バリエーション豊かな展示が用意されているのも印象的だった。
その他にも、今後発売予定の様々な立体物や、川口名人が作成したプラモデルなど、とくにガンプラファンにとってたまらない展示がもりだくさん。EG「RX-78-2 ガンダム[クラシックカラー]」等、TOKYO BASE限定のガンプラやグッズの販売も行われている。
そして会場の出口付近では、「機動戦士ガンダム」最終話のラストシューティングを再現した巨大バルーンも。天井近くにあるジオングとあわせたスケールはかなりのもので、ガンダムファンであれば感動を覚えること間違いなしだ。
ガンダムファンなら丸一日余裕で過ごせそうなほど、盛りだくさんな内容となっていた「GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-」。内覧会では見ることができなかったが、開催期間中は「水星の魔女」のリアルタイム視聴会やメインキャスト陣の登壇を始めとする様々な日替わりのステージイベントも予定されている。
入場は無料と、誰でも気軽に参加できる太っ腹なイベントなので、ガンダムシリーズのファンなら是非とも足を運んでみて欲しい。
GUNDAM NEXT FUTURE -TOKYO BASE-公式サイト
https://bandai-hobby.net/site/gnf/base/tokyo/